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バイオ肥料

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安藤 象太郎
安藤 象太郎
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
熱帯・島嶼研究拠点 プロジェクトリーダー


 アジア原子力協力フォーラム(Forum for Nuclear Cooperation in Asia−日本が主導する原子力平和利用協力の枠組み−)が主導している農業協力「FNCAバイオ肥料プロジェクト」のHPをご覧頂き有り難うございます。

 現在、アジア地域には40億人が住み世界人口の60%を占め、日本も含めたアジア地域における食料の安定供給は極めて重要な課題です。また、日本では,労働人口6,800万人のうち、農林水産業従事者数は204万人で、3%でありますが,アジア全体では、労働人口19億9千万人のうち、農林水産業従事者数は10億6千6百万人で、53.5%と過半数を占め、かつ、多くは零細な農民です。したがって、持続的かつ農業収益を確保できる農業生産技術の確立は、アジアの経済的基盤であります。
 地球に存在する化石エネルギーのうち、石油の経済性に基づく可採年数は39年とされております。同様に、天然ガスの経済性に基づく可採年数は60年です。ところで、現在の農作物の生産量を維持するためには窒素換算で毎年8千万t以上の化学窒素肥料が使われており、肥料に用いるアンモニアの合成だけで最低でも1,800億立方メーターの天然ガス(世界で1年に生産する天然ガスの約7.5%、日本の年間消費量の3.5倍(世界エネルギー統計))が消費されており、21世紀の食料生産は化石エネルギーの枯渇問題と直結しています。
 20世紀の農業は、無機化学肥料や化学農薬の使用により単位面積あたりの収量が飛躍的に増加し、人口増にみあう農作物の供給に大きく貢献しました。しかしながら、化学肥料に過度に依存する農業は、農地の劣化や、水質汚染などの環境問題をアジア諸国でも広く引き起こし、持続的な農業推進の機運と有機農業への関心が高まり、減化学肥料、減化学農薬の取り組みが積極的に開始されています。また、日本でもH18年に有機農業推進に関する法律が制定されました。
 このような状況下で、減化学肥料を実現しながら農業生産力を低下させず、農家の農業収益を維持しながら、地球環境にもフレンドリーな新技術の出現が切望されています。この要求に応える一つの方法が、植物に特異的に養分を供給する微生物のバイオ肥料としての利用です。現在のバイオ肥料は、土着微生物との競合、品質維持等様々な問題が解決できず化学肥料の安定的な代替え技術にはなっていませんが、21世紀における安定的かつ持続的な食料生産における肥料資材として非常に重要な技術になると確信しております。
 本プロジェクトの目的は、放射線照射技術を用いてバイオ肥料の改良を行い、その改良型バイオ肥料の普及を目指すことで化学肥料の施用量を減らして、第1に、アジアにおいて、持続的で環境にフレンドリーな農業の実現に貢献すること、および、第2に農業生産にかかる費用を減らして、農家の収入を上げることです。

 今後とも、皆様のご理解と研究協力を期待いたします。



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Forum for Nuclear Cooperation in Asia