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第4回 コーディネーター会合の記録

2003年3月5日〜7日 沖縄県那覇市


2003年3月7日

  1. 第4回コーディネーター会合(CM)が2003年3月5日から7日にかけて、日本の沖縄県那覇市で、内閣府と文部科学省の共催で開催された。稲嶺惠一沖縄県知事が歓迎挨拶を、大村秀章内閣府大臣政務官が開会の辞を、また町末男アジア原子力協力フォーラム(FNCA)日本コーディネーターが挨拶をそれぞれ述べた。この会合には FNCA 各国の代表と、 IAEA からの二人のオブザーバーが参加した(添付資料1)。この会合のプログラムを添付資料2に示す。

  2. セッション1では、日本のFNCAコーディネーターが2002年度の活動とソウルでの第3回FNCA本会合(大臣級会合(MM)と上級行政官会合(SOM))の概要を報告した。同氏は、FNCA活動のために、パートナーシップならびにエンド・ユーザーとの連携をさらに強化すべきことを強調した。会合はこの報告を了承した。

  3. セッション2で、カントリー・レポート(添付資料4)の発表で述べられたもののうち、フォローアップが必要な事項は以下のとおりであった。

    (1)オーストラリア代表のDr.Easeyは、資金と人的資源の制限から、恒常的に膨らんで行くプログラムでは効率的かつ効果的な協力を行なう環境を維持できにくいことを指摘した。

    (2)中国のコーディネーターであるMr.Liは、中国政府はFNCAの枠組下の協力にますます多くの機関が参加するよう促すために、国内の運営システムを立ち上げることに大きな注意を払ってきていることを報告した。

    (3)インドネシアのコーディネーターであるDr.Hastowoは、インドネシアは原子力発電プラントをもっているFNCA各国から原子力広報素材に関する支援を期待すると述べた。また同氏は、放射性廃棄物管理ワークショップを2003年10月15日から19日にかけて、またTcジェネレータのサブワークショップを中性子散乱の専門家会合とともに、セルポンで2004年1月の第2週に開催することを申し出た。

    (4)韓国代表のMr.Choiは、2004年2月前半に、研究炉安全文化のピアレビューとつなげて原子力安全文化のワークショップを開催することを申し出た。同氏はまた、ベトナムの提案した「原子力ならびに原子力関連分析技術を用いた海洋汚染研究ならびにモニタリング、ならびにFNCAデータベース」を支持した。

    (5)マレーシアのFNCAコーディネーターであるMr.Adnanは、マレーシア政府は将来「核医学」に関連するプロジェクトへの参加にも関心をもっていると述べた。マレーシア原子力庁(MINT)のDr.Khairulは、廃水リサイクリング浄化で工業用水化を作るために電子線を用いるのは興味深い研究テーマであると指摘した。マレーシアは本年、薄膜を対象にした加速器の工業利用ワークショップを開催する。

    (6)フィリピンのFNCAコーディネーターであるDr.Dela Rosaは、フィリピン政府は突然変異育種(MB)ワークショップを開催する意向があると述べた。フィリピン原子力研究所(PNRI)はFNCA参加国に「原子力、放射線、そして放射能」と題するマルチメディアCD-ROMを供与する。

    (7)タイの代表であるMs.Jindaromは、FNCA人材養成ワークショップを2003年10月に開催することを提案し、また2003年6月に開催される「原子力科学技術に関する国内シンポジウム」にFNCAの地域スピーカーズ・ビューロー(RSB)からの講師派遣を要請した。タイにとって国内施設を用いてKo-中性子放射化分析(NAA)の研究を実施するには、その分野の専門家の支援が必要になるかも知れない。

    (8)FNCAベトナムコーディネーターであるDr.Tanは、ベトナムでの電子加速器設置は国家プロジェクトとして提案されることになろうと述べた。この会合で、ベトナムは「原子力ならびに原子力関連分析技術を用いた海洋汚染研究ならびにモニタリング、ならびにFNCAデータベース」という題の新FNCAプロジェクト提案を行なった。ベトナムは2003年に予定されるFNCAの他のイベントを開催する用意があることを表明した。とくに2004年には第5回FNCA大臣級会合を開催する。

    (9)国際原子力機関(IAEA)の代表であるMr.K.P.KimはIAEAの権限と使命、またアジア地域原子力協力協定(RCA)のプログラムについて発表した。同氏はプロジェクトレベルの活動において共同と補完を拡充することに焦点を置き、将来IAEA/RCAとFNCAの間にさらなる相乗効果をもたらすことへの希望を表明した。RCAのすべての地域プロジェクトは、1カ国の問題に焦点を当てるのみならず、実は国境を超えた効果をもっていることも紹介した。この観点から、FNCAとIAEAが同一方向をめざして活動することが勧告された。

  4. セッション3では、8分野におけるFNCAプロジェクトの進展と将来の方向が紹介されレビューされた。コーディネーター会合は現行プロジェクトの活動とその将来計画を承認した。また本会合は、添付資料5に示されるFNCA枠組下のワークショップ/会合の暫定スケジュールや開催地に合意した。
    各プロジェクトに関する討議や合意の主要点を添付資料6に示す。また添付資料7に示すように各プロジェクトの3ヵ年計画も承認された。

  5. セッション4では第3回FNCA本会合のフォローアップがなされた。新プロジェクト提案も以下のようにレビューされた。

    <アジアの持続的発展と原子力エネルギー>
    (1) 日本エネルギー経済研究所のアジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)副所長のDr.Jungが2020年までのAPECのエネルギー需給見通しを概括した。同氏は原子力発電がエネルギー安全保障と環境保護に果たす役割の重要性を強調した。同氏によると、深刻な危機がなければ、同じ傾向が保持される。すなわち、今後20年間は化石燃料を基本とする「いままでどおりでいい(BAU)」となる。また同氏は、「原子力発電という選択肢がなければ、『アネックス1国』の過半は京都プロトコルで要求される環境目標を達成することができなくなる」と述べた。しかし同氏はまた、原子力産業はパブリック・アクセプタンスの問題に直面していると見ている。同氏は原子力発電の選択肢を確保するよう強く主張した。
    同氏は、原子力産業がもっと競争力のあるエネルギー資源になるには、天然ガス利用のようにコスト削減を行なう必要があることを指摘した。

    (2) 町FNCA日本コーディネーターは、「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」の改訂提案を紹介した(添付資料8)。

    (3) オーストラリアの代表が、同国は現段階でこのプロジェクトに参加する予定はないと述べた。

    (4) FNCAフィリピンコーディネーターが、改訂提案書には第3回FNCA本会合の円卓討議でなされた勧告が反映されていることを指摘した。

    (5) FNCAインドネシアコーディネーターのDr.Hastowoが、同提案が最終的に承認されたことへの満足を表明した。

    (6) コーディネーター会合は、このプロジェクトの実施を、資金が確保されることを前提に承認した。

    <人材養成戦略>
    (1) 町FNCA日本コーディネーターがこのテーマに関する発表を行なった(添付資料9)。

    (2) 国家原子力計画に則った現状での利用可能人員と将来予測に関する調査を完了することが合意された。この調査に関連して、東京工業大学の有冨教授が「原子力人材養成開発に関連する教育システム」に関する発表を行なった。

    (3) 韓国が提案した「アジア原子力技術高等教育ネットワーク(ANENT)」/「アジア原子力研究・教育・研修ネットワーク(ANRETN)」の検討を、前記の調査結果を踏まえて行なう。

    (4) コーディネーター会合は、本テーマに関するIAEAの併行してのイニシアティブを認識した。

    (5) フィリピンのFNCAコーディネーターが、FNCA各国の原子力研究機関では「学部卒後のアカデミックな研修」にニーズがあることを指摘した。戦略としては、フェローが地方大学で中核科目を履修し、ANENT/ANRETNプロジェクトをとおして適当なFNCA国で自分の学位論文や研究論文を書き上げることができるようにする。

    (6) マレーシアのコーディネーターのMr.Adnanがもうひとつの戦略を提案した。これは文部科学省の原子力研究交流制度の滞在期間を1年間から「2〜3年間」に延長することで、修士やPh.Dの学位を習得する学部卒後研究を促すものであった。

    <原子力ならびに原子力関連分析技術を用いた海洋汚染研究
      ならびにモニタリングに関するプロジェクト提案>

    (1) ベトナムのDr.Le Van Soが、毒性重金属とFNCAデータベース確立に焦点を置いて、「原子力ならびに原子力関連分析技術を用いた海洋汚染研究ならびにモニタリング」に関する改訂提案を行なった(添付資料10)。

    (2) 現行の関連するIAEA/RCAのプロジェクトでは海洋放射能を扱っていることが認識された。

    (3) オーストラリアのDr.Easeyは、別にFNCAデータベースを確立することが効率的ではないと示唆した。同氏によると、このプロジェクトで作成される重金属濃縮度、水、堆積物、生物相(一定の区域に生息するすべての生物)に関するデータは、国際海事機構(IMO)が確立したデータベースに役立つと思われる。

    (4) コーディネーター会合は、モニタリングサイトは各国の特定の環境問題と関連して選定することを勧告した。

    (5) コーディネーター会合は、このプロジェクトの企画と実施に際しては海洋研究機関との協力が必要であることを認識した。

    (6) このプロジェクト提案は、現行の「中性子放射化分析」プロジェクトの中で実施できることが認識された。

    <医学放射線機器保守ネットワーク>
    (1)「医学放射線機器保守ネットワーク」に関する改訂提案がインドネシアのDr.Hastowoから発表された(添付資料11)。同氏は、自国では2/3が故障状態にあるガンマ・カメラの保守の重要性を強調した。これにより、コーディネーター会合は、プロジェクトはガンマ・カメラに焦点を置くことを認識した。

    (2)このプロジェクトの活動計画を策定するためには、必要な前提条件としてガンマ・カメラの運転・保守状況の調査が重要と認識された。

    (3)中国のMr.Liは同調査は中国ではむずかしいと述べた。理由は、多くの病院がいくつかの省庁の管轄下にあり、また異なる州に所在するからである。

    (4)オーストラリアのDr.Easeyが、IAEAがガンマ・カメラの保守に関する広範な情報をもっており、調査を行なう代わりにそれを利用しうると指摘した。

    (5)最後に、町FNCA日本コーディネーターに、プロジェクトが了承される前に、IAEA専門家とFNCA各国のガンマ・カメラ保守の現在の問題と状況について協議することが要請された。

  6. セッション5で、町FNCA日本コーディネーターがFNCAの活動をさらに効率的に促進するための討議の要点(添付資料12)を紹介した。

    (1) リーディング・カントリーの役割とプロジェクトの定義
    第3回コーディネーター会合と第3回FNCA本会合で承認されたプロジェクトとリーディング・カントリーの定義に従って、また今回のコーディネーター会でのコメントを踏まえ、分野・プロジェクト・活動のリストを改訂した(添付資料13)。

    (2) 開発される技術のエンド・ユーザーとの連携の強化
    FNCAのプロジェクトは社会・経済開発を達成することをめざし、それゆえ単なる情報伝達ではなく需要に応えることを主眼とする。技術的成果はエンド・ユーザーに届けられるべきである。Dr.Easeyは、プロジェクトの成果がなんであるかはプロジェクト提案書に明確に示すべきことを示唆した。FNCAコーディネーターは、プロジェクト・リーダーがエンド・ユーザーとコミュニケーションを深め協力しようとする努力を支援すべきである。オープン・レクチャーをワークショップと関連づけて開催すべきことが示唆された。このアプローチは、日本で開催された放射線治療ワークショップや低エネルギー電子加速器利用ワークショップ、またインドネシアで開催された研究炉利用ワークショップで、すでに実行されている。Mr.Adnanは、マレーシアでも公衆を対象にしたオープン・レクチャーを多くの機会に組織していると述べた。

    (3) FNCA活動でのパートナーシップの強化
    科学者が実施しているプロジェクトの資金の手当を各国ですることや、FNCA活動が国家計画の一部であるとする認識をもつことで、政府の支援を増大していくことが望ましい。各国政府にはさらにFNCAプロジェクトへの資金提供を促したい。このためにはFNCA協力のための公式文書整備が必要になる国もある。本件は今後の会合で討議されるかもしれない。国家レベルでのFNCAコーディネーターとプロジェクト・リーダーの連携強化が勧告された。

    (4) FNCA活動と日本の他の技術協力プログラムの相乗効果
    町博士が再度、文部科学省(MEXT)の原子力研究交流制度について指摘した。同制度は、FNCA各国からの科学者に日本に1年間滞在し、FNCAプロジェクトに関連する協力研究を実施する機会を提供しており、日本原子力研究所(JAERI)、核燃料サイクル機構(JNC)、(独)放射線医学総合研究所(NIRS)ならびにその他の研究所により運営されている。日本人専門家も特定のFNCAプロジェクトを拡充するためにFNCA国に招かれうる。町博士はまた、MEXTの資金で運営されている原子力安全に関するセミナーにも注意を喚起した。

  7. IAEAの原子力局企画・経済研究課長のDr. Hans Holger Rognerが「原子力発電ならびに持続的発展」と題する発表を行なった。同氏はエネルギー資源の連鎖において、7つの基準を同時に満たす必要があることを指摘した。「地球規模のエネルギー需要」と「持続的発展に必要な条件の変化」を考慮に入れると、原子力エネルギーの選択肢は信頼できるエネルギー資源である。同氏は原子力エネルギーの選択肢を締め出すことに強い警告を発している。なぜならそれは持続的発展に逆らうことになるからである。そして原子力オプションを存続させることに積極的な努力を払うべきと主張した。将来の世代がとりうる選択肢を現在の世代が奪ってはならない。

  8. 第4回FNCA本会合を2003年12月の第1週か第2週に沖縄で開催するという計画が紹介された。

  9. 施設訪問
    2003年3月5日に、ミバエ対策事業所施設への施設訪問が行なわれた。沖縄群島におけるミバエならびにミカンコミバエの根絶に日本国政府が果たした印象深い業績をコーディネーター会合参加各国代表は認識した。同施設はIAEAのフェローシッププログラムを通して、FNCA参加国の不妊虫放飼法(SIT)の研究者の訓練施設として使われている。SITに関する訓練でのRCAとFNCAの協力がさらに拡大することが考えられる。



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