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気候変動(森林土壌炭素放出評価) ワークショップ

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ワークショップ

FNCA気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトワークショップ

FNCA2023気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトワークショップ
概要

2023年12月12日
オンライン


2023年度の気候変動(森林土壌炭素放出評価)(ECEFS)プロジェクトのワークショップは、2023年12月12日に日本の文部科学省(MEXT)の主催によりオンラインで開催されました。

参加者

バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、マレーシア、モンゴル、フィリピン及びベトナムの8か国が参加し、参加人数は事務局を含め計32名でした。

[ワークショップ]

文部科学省の小畠亨司氏より歓迎の挨拶があり、日本FNCAコーディネーターの玉田正男氏から開会の挨拶がありました。続いて、参加者全員の自己紹介が行われ、本日のワークショップの議題の確認が行われました。

本プロジェクトは2023年度よりFNCAの新たなプロジェクトとしてスタートしたことから、まず日本プロジェクトリーダーである永井晴康氏よりプロジェクトの概要が説明され、6か国(バングラデシュ、インドネシア、マレーシア、モンゴル、フィリピン、ベトナム)から各国の現状と今後について発表が行われました。

議論の様子

各国の現状を踏まえて、今後の実験計画の方向性についての参加者全員による議論が行われました。今後の研究のための分析試料となる土壌やガスのサンプリングについて説明がなされ、各国で採集した試料は日本へ送付し、日本でCO2ガス及び土壌の分析、14Cの解析を行いうこととしました。また、解析によって得られたデータを集約してデータベースを構築し、このデータベースを用いて機械学習による広域評価を行うこととしました。

議論の様子

 

 


FNCA2023気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトワークショップ
会議報告

2023年12月12日
オンライン


セッション1

文部科学省の小畠氏により挨拶が行われた。小畠氏は、「FNCAプロジェクトの中で、この気候変動プロジェクトは日本が主導で2023年より再スタートすることになったが、その理由として地球温暖化に対応するためであり、土壌の二酸化炭素の動態を解明することが将来の気候変動の解明に大きく貢献するだろう。このプロジェクトには9か国が参加しているが、各国の参加を大いに歓迎する」と述べた。その後、日本FNCAコーディネーターの玉田氏より、このプロジェクトが2023年6月に開催されたコーディネーター会合(CDM)において採択されてスタートし、地球温暖化の主たる原因として土壌から放出される二酸化炭素CO2が重要な役割を担っており、普遍的なCO2の排出モデルの構築が急務であることが述べられた。FNCAプロジェクトは通常 3 年ごとに評価され、本プロジェクトは2025年度末にCDMで評価される予定である。そのため、土壌からのCO2排出量データベースのプロトタイプの作成とその開発について、本ワークショップで活発な議論が行われることを期待するとした。

セッション2

日本プロジェクトリーダーである永井氏が本プロジェクトの概要を説明した。陸上生態系における地球規模の炭素循環において、土壌は大気中の 2 倍以上の量の炭素を貯蔵しており、土壌有機炭素(SOC)の微生物分解を通じて炭素を放出している。これまで、この放出量は植物の光合成を通じて入る炭素とバランスが保たれていた。しかし、地球温暖化は微生物によるSOCの分解を促進し、土壌から大気中へのCO2放出を促進する可能性がある。したがって、将来の気候変動を予測するための気候モデルには、正確な土壌CO2排出モデルが必要である。以上の背景に基づき、本プロジェクトの目的は、陸上生態系における炭素循環を促進するプロセスとその温度上昇に対する感受性を理解し、地球温暖化への炭素循環のフィードバックを予測することである。最終目標は、アジア規模の土壌特性データベースと土壌CO2排出モデルを開発することで、このプロジェクトが完成するために6年という期間がかかることが説明された。

セッション3

参加国よりカントリーレポートが発表された。

バングラデシュ

バングラデシュには、1) 熱帯常緑樹から半常緑樹林(丘陵林)、2) 熱帯湿潤落葉樹林(沙羅林)、3) マングローブ林(天然マングローブおよびマングローブ植林地)、4) 湿地林の 4 つの主要なタイプの森林がある。里山も国土の17.4%に相当する約260万ヘクタールと、国土の重要な部分を占めている。土壌タイプについて、カンビソル、フルビソル、ニトソルが、それぞれ熱帯林、マングローブ、落葉樹林の主要な土壌タイプである。また、マングローブ林が最も多くのSOCを蓄えている。土壌タイプの中ではフルビソルとグレイソルが大部分のSOCを蓄えている。

インドネシア

インドネシアの研究センター(BRIN)は、農業、水文地質学、環境などにおいて放射線や同位体(放射性炭素)の広範囲の応用に関する研究を実施している。放射性炭素を除けば、FNCA のテーマは現在の研究センターにとって比較的新しいものである。この特定のアプリケーションに関して、より豊富な経験を持つ地元の関係者と協力するつもりである。また、森林タイプや土壌タイプに関して、ワークショップ前に実施したアンケートに対する回答についても説明した。

マレーシア

マレーシアは、陸上生態系における炭素循環を促進するプロセスを理解すること、さまざまな場所の森林土壌のSOC特性を決定することを目的として、土壌データの取得や分解性や温度に対する反応などの SOC 特性の解析を計画している。しかし、加速質量分析(AMS)などの機器の不足、基礎科学研究をサポートするためのリソース(特に財政)が限られていること、土壌のサンプリングは他の進行中の活動/プロジェクトに依存していることなどの問題点がある。

モンゴル

永久凍土のモニタリングのために、現在、活発に監視されている80以上のボーリング孔がモンゴル全土に分布しており、これらのボーリング孔には4時間間隔で稼働する温度データロガーが装備されている。ゴビ砂漠地域は広い面積(総面積の40%)を占めているにもかかわらず、土壌中の有機炭素貯蔵量は少なく、森林(総面積の9%)は面積が小さいにもかかわらず、1510mgを保有している。

フィリピン

フィリピンは2つの研究テーマを実施しており、1つは安定同位体技術を用いたフィリピン国家緑化計画における貯留炭素の検出である。この研究では、炭素プールを参照サイトと比較し、土壌炭素の供給源を特定することにより、土壌炭素隔離に対する植林の影響を評価する。土壌サンプルの収集は、NGPサイト4か所(Lagro, Rodriguez, Payatas, lpo)と関連する参照サイトにおいて行われている。もう1つのテーマは、フィリピンの国土における土地利用の変化に伴う炭素の隔離と鉱化の動態を理解することを目的として、土地利用の変化の影響について研究を行っている。土地利用の変化によってもたらされる課題と持続可能な農業の必要性に対処するには、土地利用の変化に伴う炭素の隔離と鉱化の動態を理解することが重要である。

ベトナム

ベトナムも、地球温暖化などの気候変動の要因が主に大気中のCO2濃度の増加であり、CO2の排出も産業がメインの発生源であるものの土壌からの排出も重大な懸念である。陸上生態系(特に土壌)における炭素循環を促進するプロセスとその温度上昇に対する感受性を理解し、地球温暖化への炭素循環のフィードバックを予測することを目的として、さまざまな場所の森林土壌中のSOCを収集して特性評価を行う。対象地域は、Nam Cat Tien 国立公園(森林種類:落葉広葉樹、常緑広葉樹、土壌種類:アクリソール、アリソール、フェラリソール)とYok Don国立公園(森林種類:乾燥フタバガキ林、半落葉樹林、常緑樹林、土壌種類:アクリソール、フェラソール、主に赤い玄武岩質の土壌)の2か所からサンプリングして解析を行う。

セッション4

JAEAの小嵐氏が、本研究のゴールは、地球上の将来の気候変動を予測する能力を向上させるために、温暖化への炭素循環フィードバックに関する科学的(そして定量的)洞察を提供することであると述べ、今後実施する予定の次の5項目を提示した。

  1. アジア地域全域のさまざまな森林土壌(表層0〜20cm)からのCO2排出率を測定する[土壌インキュベーション]
  2. SOM 代謝回転の指標として14Cの特徴を含む、土壌の物理化学的、鉱物学的、および有機物の特性を測定する [土壌分析]
  3. アジア規模のデータベースを構築する
  4. CO2排出率と土壌特性の関係を分析して、森林土壌からのCO2排出率を制御する要因を調査する
  5. アジアの森林からのCO2排出と将来の地球温暖化への対応を評価するモデルを開発する

以上の研究を推進するために、JAEAにおいて実験キットを開発し、各国に配布する予定で、このキットを使用して土壌サンプルの収集を行ってもらうこととした。また、土壌試料を収集する場所の選択基準も提示し、本プロジェクト第1フェーズではアジア地域で50か所以上の試料で実験を実施し、40の土壌試料の14Cの分析を終了させたいとした。

本ワークショップ開催前に実施した参加国へのアンケート回答が5か国(インドネシア、カザフスタン、フィリピン、タイ、ベトナム)から提出され、これらの回答を整理して発表した。その内容に関して、質問および検討点がそれぞれに対して示された。

今後のタイムスケジュール案を提示された。
2024年3月末まで

  • 研究地点は、日本と参加研究チームとの間でさらなる協議を通じて決定する。
  • 「実験キット」を開発し、参加研究チームに配布を開始する。

2024年4月から2025年10月まで

  • 各研究チームは、日本と緊密に連絡をとりながら、選定した研究地点でキットを用いた実験を順次開始する。
  • 研究チームは準備が整い次第、土壌とガスのサンプルを日本に送る。
  • 日本の研究チームは土壌とガスの分析を適切に実施する。

2025年12月

  • データベースを構築し、CO2排出量と環境要因との関係を分析し、排出量を推定するプロトタイプモデルを構築する。

上記の研究計画案を基に、議論が行われた。

セッション5

最後に、2024年のワークショップは日本で開催する旨、永井氏より発表された。

 


FNCA2023気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトワークショップ
プログラム

2023年12月12日
オンライン



主催: 文部科学省(MEXT)
実施機関: 公益財団法人原子力安全研究協会
開催日程: 2023年12月12日

14:00-14:20

セッション1:開会セッション

  • 歓迎挨拶: 小畠享司氏(文部科学省)
  • 開会挨拶: 玉田正男氏(日本FNCAコーディネーター)
  • 自己紹介
  • 写真撮影
14:20-14:35

セッション2:気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトの概要

プロジェクトの概説と目標:
永井晴康氏(日本プロジェクトリーダー)

14:35-15:55

セッション3:気候変動(森林土壌炭素放出評価)にかかる国別報告

  1. バングラデシュ: Mr. Md. Golam Rasul
  2. インドネシア: Mr. Rasi Prasetio
  3. マレーシア: Mr. Yii Mei Wo
  4. モンゴル: Dr. Avirmed Dashtseren
  5. フィリピン: Mr. Roland V. Rallos
  6. ベトナム: Mr. Phan Quang Trung
15:55-16:05 休憩
16:05-16:55

セッション4:研究計画について討議

発表:小嵐淳氏(JAEA)
討議

16:55-17:00

セッション5:ワークショップのまとめ

永井晴康氏(日本プロジェクトリーダー)




FNCA2023気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクトワークショップ
参加者リスト

2023年12月12日
オンライン


バングラデシュ

Dr. Md. Golam Rasul
Director & Chief Scientific Officer
Institute of Nuclear Minerals (INM)
Atomic Energy Research Establishment (AERE)
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)

インドネシア

Mr. Rasi Prasetio
Research Center for Radiation Processing Technology
Research Organization for Nuclear Energy
National Research and Innovation Agency (BRIN)

日本

Dr.玉田 正男
FNCA日本コーディネーター

Mr. 和田 智明
FNCA日本アドバイザー

Mr. 河原 卓
文部科学省

Mr. 小畠亨司
文部科学省

Ms. 中原 里紗
文部科学省

Mr. 熊谷 耕一
文部科学省

Dr. 永井 晴康
日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究センター 副センター長

Dr. 小嵐 淳
日本原子力研究開発機構
研究主席

Dr. 梁 乃申
国立環境研究所
地球システム領域 シニア研究員

Dr. 市井 和仁
千葉大学
環境リモートセンシング研究センター 教授

Dr. 松崎 浩之
東京大学
総合研究博物館 タンデム加速器分析室 教授

Ms. 竹村 京子
原子力安全研究協会

Mr. 野村 智之
原子力安全研究協会

Dr. 吉田 光明
原子力安全研究協会

Ms. 猪越 千明
原子力安全研究協会

マレーシア

Mr. Yii Mei-Wo
Waste and Environment Technology Division
Malaysian Nuclear Agency

モンゴル

Dr. Avirmed Dashtseren
Director
the Institute Geography-Geoecology
Mongolian Academy of Sciences

フィリピン

Mr. Roland V. Rallos
Science Research Specialist II
Agriculture Research Section, Atomic Research Division
Philippine Nuclear Research Institute (PNRI)

ベトナム

Mr. Phan Quang Trung
Deputy Head
Research and Application of Nuclear and Isotope Technology Department
Institute of Nuclear Research (NRI)
Vietnam Atomic Energy Institute (VINATOM)

中国[Observer]

Dr. FANG Yunting
Institute of Applied Ecology
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. ZHANG Weidong
Institute of Applied Ecology
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. WANG Chao
Institute of Applied Ecology
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. FENG Wenting
Xinjiang Institute of Ecology and Geography
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. XU Buqing
Guangzhou Institute of Geochemistry
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. CHEN Ji
Institute of Earth Environment
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. ZHOU Wenjun
Xishuangbanna Tropical Botanical Garden
Chinese Academy of Sciences (CAS)

Dr. FAN Xianlei
Northeast Normal University

Dr. WANG Hui
Chinese Academy of Forestry

Dr. WANG Jian

モンゴル

Dr. NYAMSANJAA Khulan
Researcher
Botanic Garden and Research Institute,
Mongolian Academy of Sciences (NRI),
Vietnam Atomic Energy Institute (VINATOM)

 

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