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人材養成 workshop

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ANTEP(アジア原子力教育訓練プログラム)

ワークショップ


FNCA 2004 人材養成 ワークショップ

概 要


 2004年度FNCA人材養成ワークショップ(WS)は2004年10月4日から7日にかけて、マレーシア・クアラルンプールにおいて開催されました。本WSはマレーシア科学技術革新省(MOSTI)と日本の文部科学省(MEXT)の共催により、マレーシア原子力庁(MINT)と日本原子力研究所(JAERI)が実施しました。

 初日の開会式と全体セッションは、国際原子力機関(IAEA)主催「原子力研究所のための科学技術の実用化にむけた革新的実践管理」トレーニングコースとの共同で行われました。開催挨拶として、MINTのモハマド長官、MEXTの清水調査員、IAEA代表としてMINTのアリ氏、そしてMOSTI大臣の代わりにラーマン事務次官の4名が講演を行いました。

 全体セッションでは、FNCA日本コーディネーターであり原子力委員会の町末男委員が約80名の聴衆を前に、FNCAの主な活動を紹介しながら「原子力研究機関と人材養成における持続可能性」について発表しました。ほかは、首相府のイドゥルス科学顧問が「持続可能を促進する政策や施策」、マレーシア科学開発公社(MTDC)のユヌス科学開発部長が「実用化のための戦略」について講演を行いました。

 IAEAトレーニングコースとの合同セッションが終了後、WSプログラムが始まりました。参加者は中国とインドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、ベトナム、日本の8カ国の人材養成(HRD)担当のプロジェクト・リーダー(PL)1名ずつのほか、日本から4名の参加者とマレーシアと日本からそれぞれ1名ずつのオブザーバーが出席しました。

 今回の大きな議題は、各国の原子力分野におけるHRD経験の歴史的レビューに関する発表と各段階ごとのHRD戦略モデルに関するグループ討論でした。中でも、日本と韓国の参加者は、それぞれの長い開発の歴史を1960年代の原子力開発の黎明期、それに続く1970年代の発電導入時期、そしてそれ以降の大型機の開発や国産化の各段階に分けて紹介しました。戦略モデルについては、原子力開発段階に応じて3つのグループに分かれました。3つのグループとは、発電所を運転中の中国、韓国、日本の3カ国、発電導入を計画中のインドネシアとベトナムの2カ国、RI・放射線利用だけのマレーシア、タイ、フィリピンの3カ国です。こうした作業は将来、個別テーマについてのケーススタディーに変わる予定です。

 FNCAがIAEAのRCAやアジア原子力技術教育ネットワーク(ANENT)、欧州原子力教育ネットワーク(ENEN)などの他のHRDネットワークの連携し、相乗効果を生むことは重要であるとの見方がありました。HRDの調査結果やトレーニング教材、戦略が将来、他の活動に提供されるかもしれません。

 参加者はまた、今回初めてこれまでの3カ年計画(2002年〜2004年)を決められた方法にしたがって自ら評価しました。各PLが作った自己評価が3日目に、プロジェクト全体として1つの評価にまとめられました。PL全員がトレーニング教材の交換や基礎データ調査をこのプロジェクトの成果として認め、次期も本活動を継続することで合意しました。WSとして、議事録のほかに結論と勧告をまとめた。次回のWSは、ベトナムが非公式に主催することを申し出ました。

 本WSの最後に、MINTの施設を視察しました。参加者は、本WSの実施と主催機関に心からの謝意を表明しました。




議事録(案)

2004年10月4〜7日 クアラルンプール、マレーシア

 「FNCA2004人材養成ワークショップ」は、マレーシア科学技術革新省及び日本の文部科学省の主催、マレーシア原子力庁及び日本原子力研究所の実施機関により、2004年10月4〜7日の4日間にかけて、マレーシアのクアラルンプールにて開催された。

 本ワークショップには、2名のオブザーバーを含め14名が参加し、第1日目にはIAEA地域トレーニングコース「原子力研究機関における技術とサービスの商業化のための経営管理上級コースと共催でオープニングセッションが行われ、マレーシア原子力庁長官Dr. Daud Mohamad、文部科学省研究開発局原子力課調査員清水美和子、IAEA代表者Mr. Ibrahim Ailがスピーチを行い、最後にマレーシア科学技術革新省事務局長Dato’ Suriah Abd. Rahmanが開会スピーチを行った。

 開会セッションの後、公開講座が行われ、首相付科学顧問Ahmad Zaharuddin Idrus、日本FNCAコーディネーター、原子力委員会委員 町 末男、マレーシア技術開発会社(MTDC)技術開発部長Norhalim Yunusがレクチャーを行った。

 本ワークショップには、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム日本から、人材養成の責任者であるプロジェクトリーダーが各国1名ずつ参加した。さらに、プロジェクトリーダーの他、日本から4名が参加した。また、オブザーバーがマレーシアと日本から1名ずつ参加した。

 本ワークショップの課題及び内容は、2003年度のワークショップの際に了承され、2004年3月に開催された第5回コーディネーター会合で提案された以下の項目が、本ワークショップにおける各国のカントリーレポートの議題となった。

1.   原子力分野の人材養成に関連した最近の話題について 
2.   各国の人材養成の原子力発展段階史との対応を踏まえた人材養成の歴史的レビュー
3.    自国の向こう10〜20年程度の原子力開発政策目標を考慮した人材養成戦略または人材養成戦略作成のためのモデル(目標達成のために必要な人材の種類と人数、不足している人材を養成するための方策、優秀な若者の原子力業界への貢献、問題点と解決策)
4.    相互支援およびその他
  @   FNCAとANENTの協力体制による若者の教育訓練に対する要望・提案
  A   e-ラーニングシステム導入と利用に向けてのCD-ROM 研修教材に関する調査
  B   ウェブサイト上で公開された放射線防護教材についての評価、コメント等
FNCA-HRD Project HP
  C   2004年度国際および国内研修コースのリスト
5.   人材養成プロジェクトの将来計画に関する日本からの提案
6.   人材養成プロジェクトと将来の展開についての要望および提案
  @  モデルの活用法
  A 将来の展開
  B FNCAのサポートに期待するところ

 ワークショップ第1日目、第2日目に、「放射線利用を中心とした国」「原子力発電計画を計画中の国」「原子力発電を稼動中の国」のグループ分けに準じてカントリーレポートの発表が行われた。発表セッションに加え第2日目には、参加者が同じ3グループに分かれてグループディスカッションを行い、それぞれの人材養成戦略モデルについて討議した。第3日目には、グループ毎に作成した人材養成戦略モデルの発表を行い、活発な意見交換が行われた。引き続き、「原子力研修支援について」「ANENTの現状について」「人材養成国際ネットワーク」の3つの話題についての発表がなされた。午後からは、人材養成プロジェクトの評価について各参加者が発表を行った。これらのプロジェクト評価はひとつにまとめられた。将来計画についての発表および討議が行われ、第3日目の会議は終了した。第4日目には、議事録の採択、大臣級会合に向けての結論と勧告の策定、閉会セッションが行われた。

 ワークショップでの討議において、以下の提案、意見、コメントがあった。

1. 原子力分野の人材養成に関連した最近の話題について

2.   Development of Nuclear Training Technology
     日本原子力研究所国際原子力総合技術センターは、「放射線防護」についての共通教材として、同センターが実施しているインドネシア、タイ、ベトナムとの二国間共催研修の教材を、新たに同センターのウェブサイト上で公開した。 これらの研修教材について、プロジェクトリーダはコメントを求められた。

3.    人材養成戦略または人材養成戦略作成のためのモデル
 人材養成戦略モデル作成のためのグループワーク:
  ・ 放射線利用を中心とした国
  ・ 原子力発電計画を計画中の国
  ・ 原子力発電を稼動中の国

 これらのモデルは再考し、最終版を2004年10月31日までに提出する。

4.   人材養成プロジェクト評価
 各国プロジェクトリーダーによるプロジェクト評価は、本ワークショップにおいて1つにとりまとめられた。

5.   2005年度から2007年度の将来計画
 ワークショップにおいて「人材養成プロジェクトの中期計画」が合意された。

6.   人材養成に関するネットワーク作り
 FNCA人材養成プロジェクトは、人材養成と関連のあるANENT、ENEN、WNU等とのネットワークを維持する必要がある。
   
ワークショップにおいて合意を得た「結論と勧告」は添付のとおり。「結論と勧告」は、人材養成戦略について討議される2004年12月開催の大臣級会合に提出される。

 本ワークショップにおいて、ベトナムからFNCA2005人材養成ワークショップ開催の申し入れがあり、参加者はベトナムの申し入れに対して合意し、謝意を表した。

 本ワークショップの一環として、マレーシア原子力庁の視察が行われた。参加者は主催者に対して謝意を表した。

 この議事録は、本ワークショップ参加者全員の合意が得られており、2005年3月に東京で開催される第6回FNCAコーディネーター会合に報告される。


参加者リスト


[中 国]
Mr. CHEN Gang
プロジェクトリーダー
中国広東核電集団公司(CGNPC)管理研修センター 人事部 次長
[インドネシア]
Mr. KARSONO
プロジェクトリーダー
インドネシア原子力庁(BATAN)教育研修センター センター長

[韓 国]

Mr. Eui-Jin LEE
プロジェクトリーダー
韓国原子力研究所(KAERI) 原子力訓練センター 教育開発室 室長

[マレーシア]

Ms. Rapieh Binti AMINUDDIN
プロジェクトリーダー
マレーシア原子力庁(MINT)人材育成開発部 部長

[フィリピン]

Ms. (Dr.) Estrella Duran RELUNIA
プロジェクトリーダー
フィリピン原子力研究所(PNRI) 原子力支援研修課
原子力研修センター 担当部長

[タ イ]

Ms. Warapon WANITSUKSOMBUT
プロジェクトリーダー
タイ原子力庁(OAP) 放射線安全規制局 上級放射線物理学者

[ベトナム]

Mr. VU Dang Ninh
プロジェクトリーダー
ベトナム原子力委員会(VAEC) 総務・人事本部 部長

[日 本]

町 末男
FNCAコーディネーター
原子力委員会 委員

清水 美和子
文部科学省 研究開発局 原子力課 調査員

松鶴 秀夫
プロジェクトリーダー
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター長

有冨 正憲
東京工業大学 原子炉工学研究所 教授

中山 雄幸
日本原子力発電株式会社 企画室 副部長

花光 圭子
(社)日本原子力産業会議 アジア協力センター 副主管

笹本 宣雄
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター RI・放射線研修班 教官

杉本 文孝
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター 技術交流推進室 主査

大内 玲
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター 技術交流推進室



結論と勧告


  1. FNCA2004年度人材養成(HRD)ワークショップ(WS)において、プロジェクトリーダーは自国の原子力開発の歴史と現状についてレビューを行った。このレビューと将来の原子力技術開発計画をベースに、以下の3つのHRD戦略モデルが提案された。
    ・ モデル1−RI・放射線利用諸国のHRD戦略モデル
    ・ モデル2−原子力発電所建設を計画する諸国のHRD戦略モデル
    ・ モデル3−原子力発電所を運転中の諸国のHRD戦略モデル

  2. プロジェクトリーダーはモデルを使った試験的調査を行い、次回のWSにおいて結果を発表する。これとともにモデルを更新し、提案する。

  3. HRDプロジェクトをさらに効果的に効率的に実施するため、各国のHRD作業グループか委員会を設立し、サブ・ブロジェクト(HRD戦略、トレーニング、eラーニング)を作る。

  4. 集められたHRD基礎データ調査はHRD戦略開発と実施を支えるため、引き続き更新する必要がある。

  5. プロジェクトリーダーは、アジア原子力技術教育ネットワーク(ANENT)の現状について発表し、議論した。同地域における原子力科学技術の持続可能な発展のため、ANENTや他のネットワークと連携する必要性が指摘された。

  6. WSにおいて、プロジェクトリーダーはFNCAのHRDプロジェクトの成果を評価した。一同は、このプロジェクトが参加国にとってひじょうに有益であったと一致し、継続すべきと勧告した。

Forum for Nuclear Cooperation in Asia