FNCA

放射線育種

放射線育種サブプロジェクト

イネ品質改良育種サブプロジェクト

活動期間:2007年〜2012年
参加国:バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム



 イネは誰もが知る世界三大穀物の一つであり、アジアにおける大部分の国がイネを主食としており、私達にとって最も身近で重要な作物です。

 そこで、ソルガム・ダイズ、ラン、バナナに続く新たなテーマとして、各国において最も関心の高いイネが選ばれ、イネにおける共通の研究テーマとして、コメの粘りや食味に関連するアミロース含有量改変と同時に、各国独自の育種目標、すなわち収量性や耐塩性などの環境耐性に関する研究が2007年からスタートしました。本サブプロジェクトには、放射線育種プロジェクト参加国の全てが参加しており、解析手法等の情報の交換や照射施設の共同利用を行い、研究活動を進めました。


インドネシアで育成されたアミロース含有量変異
系統。色や大きさなどにも違いが見られる。
右下が親品種。

【 イネにおけるアミロース 】
 イネの主成分(約75%)はでんぷんであり、このでんぷんはアミロースとアミロペクチンという2種類の成分で構成されています。アミロペクチン含有量が高く、アミロース含有量が低い程粘りが強く(もち米に近く)、逆にアミロース含有量が高い程パサパサとしたもの(インディカ米のように)となります。例えばウルチ種のコシヒカリではアミロース含有量は大体17%程度ですが、モチ種ではアミロースは含まれていません。このようにアミロースはイネの食味における、重要な成分の一つとされています。

 活動の初年度となる2007年度のワークショップでは、本サブプロジェクトをスタートするにあたり、アミロース等の成分測定方法、対照として利用する共通品種、種子交換に関する一般的な諸規則等などが合意されました。(サブプロジェクト「イネの品質改良」における合意

 また、2009年1月には、日本原子力研究開発機構を始めとする関係研究機関の協力を得て、日本学術振興会主催による『イネの品質改良育種におけるイオンビーム照射協力に関するワークショップ』を開催し、各国のイネに対しイオンビーム照射を実施しました。

 各国ではそれぞれのニーズにあった有望な変異系統が育成され、新品種として頒布・登録されているものもあるなど、大きな成果を得て2012年に活動を終了しました。得られた成果が今後も有効に活用されていくことが期待されています。

 2013年3月には活動成果をまとめた成果書「Achievement of Sub-Project on Composition or Quality in Rice」が発行されました。(サブプロジェクト『イネの品質改良育種』成果書

イネの品質改良育種におけるイオンビーム照射協力に関するワークショップの様子(2009年、日本)



Forum for Nuclear Cooperation in Asia