(1) |
2000年11月にタイ(バンコク)で開催された第1回FNCA大臣級会合以降、10年間にわたり、「原子力技術の平和目的に限定したかつ安全な使用によって、積極的な地域のパートナーシップを通して、社会経済の発展に貢献する」という合意されたビジョン(理念)のもとで、農業・医療・工業の各分野での放射線利用、研究炉の利用、放射性廃棄物管理、原子力安全文化、広報、及び人材養成に関する協力活動を積極的に推進し、社会経済効果の期待できる多くの成果を得てきたことを改めて認識し、
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(2) |
また、持続的発展のための原子力エネルギーの平和利用に関して、2004年以降に、アジアの持続的発展における原子力エネルギーの役割、及び原子力発電導入・拡大に向けた人材養成と原子力安全に関するパネル会合を行ったこと、また、2007年12月18日に日本(東京)で行われた第8回FNCA大臣級会合において9ヶ国による「持続的発展に向けた原子力エネルギーの平和利用に関するアジア原子力協力フォーラム(FNCA)共同コミュニケ」を発出したことを思い起こし、
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(3) |
低炭素社会の実現に向けて、原子力発電はエネルギーの安定供給と温室効果ガスの排出の削減の双方に貢献できる実用的な手段の一つであると多くの国で考えられており、その推進のためには、核不拡散/保障措置、原子力安全及び核セキュリティの確保が前提であることを強調し、
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(4) |
2009年7月30-31日の「原子力発電のための基盤整備に向けた取組に関する検討パネル」の第1 回会合において、既発電国(日中韓)の実務経験、及び新規導入国のニーズがメンバー国間で共有され、有益な意見交換がなされたことを認識し、
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(5) |
原子力発電を、気候変動枠組条約(UNFCCC)の下でのクリーン開発メカニズム(CDM=Clean Development Mechanism)に含めることを想定して2009年4月以降に実施したケーススタディにおいて、温室効果ガスの排出削減と経済面での効果があり得ると確認されたことを認識し、また、CDMを含むクレジットメカニズムが技術中立的であるべきであり、2013年以降の国際的枠組について、その改善の議論がなされつつあることを認識し、
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(6) |
原子力技術が、放射線育種、バイオ肥料、放射線照射による成長促進剤の合成、及び不妊虫放飼法等を用いた食料増産を通じて、飢餓と貧困の減少に貢献できることを認識し、また、放射性医薬品による疾病の早期診断及び放射線によるがん治療を通じて人間の生命を救えることを強調し、 |
1. |
これまでの10年間における各国の貢献を相互に讃えるとともに、各国及びアジア地域における社会経済の持続的発展のために、今後とも原子力技術の平和的利用促進のための協力を一層推進すること。
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2. |
基盤整備の中でも、特に原子力安全の重要性を認識し、地震や津波等の自然災害に対する対策について知見共有を促進すること。また、核セキュリティ、及び核不拡散/保障措置について、人材育成や技術基盤の整備で協力を強化すること。
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3. |
FNCA既存プロジェクトについて活動内容の充実をさらに推進すること。具体的には、各国から示された優先度や貢献の大きさを踏まえたプロジェクトの改廃、効果的な協力手段の採用、エンドユーザーとの情報交換に基づく研究内容の再設定、商業化に向けた課題の克服、他の地域協力プログラムの活用等を推進すること。
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4. |
放射線・アイソトープ応用のさらなる促進のために、農業、医療、工業の分野における商業化やエンドユーザーへの必要な支援を押しすすめるビジネスフォーラムを、これらの応用における改善の具体的な成果とあわせて提供していくこと。
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5. |
研究炉に関して、既存炉及び計画中の新設炉の効率的活用、それらによるアイソトープ(99Moを含む)及びシリコン半導体原料の製造・供給に関するネットワークを含めた連携協力の可能性を検討すること。
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6. |
原子力安全に関する法体系整備や保障措置の整備を含む原子力基盤強化プロジェクト等、公共福祉と社会経済に有益な効果をもたらす新規プロジェクトの発掘に取組むこと。
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7. |
FNCAにおける原子力の平和的利用に向けた取組を、アジア地域の隣接する国々に紹介し、活動の輪を適切に広げることを検討すること。 |