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2002年 FNCA 原子力広報プロジェクト・リーダー会合


 「2002年 原子力広報プロジェクト・リーダー会合」は、日本の文部科学省(MEXT)とマレーシア原子力庁(MINT)の共催で、2002年10月15日(火)〜17日(木)(3日間)にかけて、マレーシア・クアラルンプールで開催され、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムのFNCA7カ国から12名が参加しました(オーストラリアと中国のプロジェクト・リーダーは欠席)。
  同プロジェクト・リーダー会合では、地域スピーカーズ・ビュロー:RSB、FNCAウェッブサイトやFNCAニュースレター等のネットワークおよびプロジェクト・リーダー会合等を通じた情報提供・交換など、今後のFNCAの枠組み下での原子力広報の展開について意見が交わされ、とくにFNCA原子力広報活動の改善について、1.どのようにして新聞やテレビのレポーターなどマス・メディアとのコミュニケーションを高めるか、2.公衆とのコミュニケーションで最も重大な障害は何でありどのように問題を解決していくのか、3.学校教育の役割はどうあるべきか――の具体的な3議題に焦点を合わせて討議が行われました。
  また、「放射線とその利用に関する高校生を対象と した合同意識調査」の実施について、各国から暫定報告がなされ、この種の調査の将来計画についても議論されました。
各国の報告の概要また、各国のプロジェクト・リーダーから、自国の原子力広報の現状が報告されました。
  次回、2003年のFNCA原子力広報プロジェクト・リーダー会合は、展示会やセミナーを含む国の原子力広報イベントにあわせ、ベトナムで開催することが合意されました。
一堂に会したFNCA参加各国の原子力広報
プロジェクト・リーダー
テクニカルツアーでマレーシア原子力庁
(MINT)を視察するプロジェクト・リーダー
 

各国報告の概要


インドネシア
   インドネシア国内は、現在もなお多くの政治的・経済的な問題、労働問題、暴力、ストライキやデモなどに直面している。1997年からの経済危機以来、頓挫していた国家プロジェクトは完成へ向けて活動を再開し、経済の進展状況が改善する徴候が見えはじめている。
インドネシア原子力庁(BATAN)はこのような経済危機の中、政府を促して原子力発電所を建設させようとしても政府自体に資金がなく、議会の議員達の関心も他の問題に向けられ、国家プロジェクトの成功にはおぼつかないという風潮の中にあって、原子力政策に関して消極的な姿勢をとらざるを得ない状況にあった。
しかしながら、原子力政策に関しての消極的な姿勢とは対照的に、農業、健康や医療、工業、照射施設やラジオ・アイソトープの利用などの研究分野では、積極的な広報活動を行ってきた。経済危機以前には、原子力のうち発電所分野だけに目が向けられていたが、経済危機以後は、収益力のある公衆に有用な原子力研究全分野に対して向けられている。この結果、2003年度の予算においては広報活動により多くの予算配分の可能性がある。
2002年中頃から、エネルギー、とくに電気エネルギーの重要性についての関心が高まっている。これは経済回復の最善の手段として、電気エネルギーが認識されはじめたためである。インドネシア政府は、電力の需要・供給を満足させるために、経済危機以前の計画を再開し、環境に優しい競合力のある電気エネルギーの受入れをめざしている。
BATANでは、これらの進展する状況に適合するような対応をしてきており、原子力利用に確信をもたせ、人材養成を積極的に行い、原子力による発電の準備を進める努力をしてきている。インドネシアの原子力発電について、多くの人々は「とっくの昔に原子力発電の開始をしていなければいけなかったのでは」という意見をもっている。このため、原子力広報活動は、政策の変更に伴った対応を行う必要があり、これに応じた優先順位を定めなければならない。原子力発電の導入には、より多くの賛成意見が必要であるが、2016年までに原子力発電所の運転を開始したい。
韓 国
   韓国における原子力平和利用は、1958年に制定された原子力法により翌年に設立した韓国原子力研究所(KAERI)によって開始された。原子力法は5年ごとに原子力推進政策を盛り込んで改定され、2001年に採択された原子力推進政策「中期総合原子力推進計画」では、政府が原子力計画を実施する際に公衆に受け入れてもらうこと、原子力の研究開発計画を奨励することが重要であることを強調している。原子力広報の組織では、韓国原子力文化財団(OKAEA)を韓国原子力財団(KNEF)に改組し、広報に力を入れている。
計画の中で最優先に掲げているのは「公衆とともに歩む原子力」であり、情報公開の政策に力を入れている。これは公衆の「知る権利」を尊重する基本的概念に基づいている。また政府は、「手をつなぐ原子力政策」を実施している。この「手をつなぐ」というアイデアは、原子力産業界と公衆とがともに手と手をとり合いながら原子力の計画を進めていき、最終的な目標を達成するための新しい提案である。
韓国では1995年から、9月第1週のうちの1日を「Nuclear Safety Day(原子力安全デー)」として定め、認識を高めるための多くのイベントを実施している。
原子力の情報を適切に迅速にメディアや公衆に開示するための、リアルタイムの情報発信システムを設けることが提案されている。具体的には、地域住民の参加による地域環境放射線監視システムを設置することで、原子力産業に従事する人間と地域共同体との間に信頼関係を築くことに貢献するものである。
過去多年にわたり、韓国での広報活動計画は順調に実施されてきた。しかしながら、そのうちのいくつかはうまく機能しなかった。政府の広報計画が成功するか失敗するかは、社会的、文化的、伝統的な状況、さらには政治的な状況にまで大きく関係している。広報計画をすすめていくには、原子力産業界が社会的、政治的な問題を真剣に受け止める必要がある。
 
マレーシア
  マレーシア原子力庁(MINT)は、政府系あるいは民間系のメディア、とくにテレビとのパートナーシップを利用し、メディアと協力しながら広報活動を推進している。
以下は、主なメディアの制作番組一覧である。

 
録画番組/ドキュメンタリー 生放送番組
On-Track TV2−英語 おはようマレーシア
ビジョン2020−英語 マレーシアハリイニ
(マレーシアトゥデイ)
Perspektif TV1−バハーサマレーシア グローバルTV2
Era Bina TV1−バハーサマレーシア ライブチャットオンS&T ラジオ1
NONATV3−女性に最も人気のテレビ番組
マレーシアキタ(われらがマレーシア)
スーパーキッド−子供向け特別番組
教育テレビ
※これらの番組には英語版の提供がある
   
    MINTの広報活動に対する年間予算は、100万マレーシア・リンギットである。MINTでは、高校生、大学生、政治家や政府の役人、民間会社、NGO団体などを定期的にMINTに招待し、研究開発について直接、体験してもらうことを目的とした広報活動を行っている。MINTへの訪問者数は、年間約6,000名に達している。政治家も放射線の農業利用、医学利用の重要性を認識し、支援の立場をとっている。これらの広報活動により一般への理解を得ることができている。
MINTでは、少なくとも毎月1回マレーシアの各州で開催される展示会に参加している。政府の原子力技術広報プログラムにおいて、学校、師範学校、大学への講演を行った。マレーシアでの合同意識調査はMINTに学生を招待して、16歳から19歳の高校生を対象として実施している。
フィリピン
 

 フィリピンにおける広報活動は、フィリピン原子力研究所(PNRI)の原子力サービス・訓練部において、講演会や研究開発のデモンストレーション、技術セミナーなどの開催を中心に行っている。この中での広報活動は、若い世代に焦点を合わせ、とくに原子力発電の将来計画に主眼をおき、目標の達成のために原子力の科学技術に関する多くの情報の提供を行ってきた。具体的な広報活動は以下のとおりである。PNRIの研究所を訪れる見学者に対し、ガイド・ツアーを実施した。2002年9月の時点で41の学校や研究所から1,500名以上の学生、教師の訪問があった。また、これとは別に37の学校から121名の飛び込み参加があり、科学技術や原子力平和利用に関する情報を提供した。訪問者にはパンフレットや情報資料、実験室のサンプル製品などを提供し、突然変異育種の園芸品種はとくに人気があり好評であった。

   
 
PNRIの研究所を訪れる見学者に対し、ガイド・ツアーを実施した。2002年9月の時点で41の学校や研究所から1,500名以上の学生、教師の訪問があった。また、これとは別に37の学校から121名の飛び込み参加があり、科学技術や原子力平和利用に関する情報を提供した。訪問者にはパンフレットや情報資料、実験室のサンプル製品などを提供し、突然変異育種の園芸品種はとくに人気があり好評であった。
セミナー活動では、研究所に海外で活躍した講師や専門家などが招待された。一般情報のセミナーでは公立・私立の9学校から1,430名の参加があった。
夏季オンザジョブ・トレーニングでは、109名の学生がPNRIの研究室や事務室で実際の作業をとおして役に立つ活動を実施した。
広報関連の講演資料やビデオフィルムがトレーニング・コースの参加者に配布された。印刷物の資料、約34,000冊を9,580名に配布した。
フィリピンの原子力研究開発の現状と成果を国民に紹介するためのPNRI施設の公開、セミナーや展示、ポスターコンテストなどを行う「フィリピン原子力週間」祝賀イベントは、2002年も12月に開催する予定であり、テーマを「原子力技術における機会と挑戦」に焦点を絞っている。ここでは、原子力産業、医学および研究炉における特別な技術の利用にハイライトを当てている。
原子力の利用についての特別な知識を必要とする専門家の訓練のために、PNRIでは16のトレーニング・コースを提供している。これらのコースは医学、工業、研究炉利用に関係した通常4週間のコースで、111の会社や研究所から256名の参加者を得た。
タ イ
 

 タイ国内においては、原子力に関して公衆が懸念する問題点がいくつかある。具体的には、2000年に発生したCo-60による被ばく事故、タイ原子力庁(OAEP)を含めた政府組織の再編に伴うオンガラク(Ongkharak)地域への移転(原子力研究センター建設プロジェクト)である。
新聞のトップ記事にOAEPの名称がたびたび記載されるが、マスコミは公衆に対して時としてマイナスの方向に働く。このような状況もありOAEPはマスコミをとおして公衆に情報を普及する努力を重ねている。
OAEPは1999年から公衆に対してのアドバイザーとして、数名のコンサルタントを広報活動のために雇用し、イメージ・アップに働きかけている。コンサルタントの成果には、次のようなものがある。

1999年から2000年の1年間に、タイのポニティーフィルム・ビデオ社が「原子力を知ろう」という5分間の短編ドキュメンタリー番組を24編作成し、毎週木曜日の夕方にテレビ(チャンネル9)放映した。
2000から2001年の間に、ノーマス・マス・コミュニケーション社は、「目立つ原子力」とうい短編ドキュメンタリー番組を作成した。この番組はタイ国内において20回の放映があった。内容には新聞で取り上げられたCo-60による被ばく事故に関する説明が含まれていた。
2001から2002年の間に、タイのプロ・リンク社がOAEPの広報活動を行った。その活動には「日常生活の中の原子力」というテレビ・ドキュメンタリー番組の作成、3つのラジオ局からの放送やOAEPとメディアとの討論中継などがある。

OAEPはマス・メディアとの接触を保つよう努めているが、軌道に乗っていない。タイで発行される大多数の新聞は、政治的な記事と公衆の原子力に対する否定的な意見に関連するニュースを掲載したがる。その内容は政治家や圧力団体の意見をとり上げた記事であるため、公衆を間違った方向に導く原因になってしまう。OAEPは公衆の原子力に対する理解の向上を促進し、OPAPに対してのよいイメージ作りのために努力をしている。
(・)FNCA広報活動の評価
OAEPではFNCAで設置したAsiaNNetのネットワークを利用している。情報の普及のための努力を支持し、タイからの情報を適時このネットに提供する。
「Atoms In Japan」はタイ語に翻訳して関係者に発信しており、購読者からは感謝されている。OAEPの内部から他の英文記事についても、タイ語に翻訳してほしいという多数の意見が出ている。
地域スピーカーズ・ビューロー(RSB)の活動について、2003年にタイで開催するイベントに専門家派遣による講演要請の計画がある。
OAEPは公衆に対する原子力理解促進が大変な仕事であることを認識している。FNCA広報活動およびFNCA参加国の支援によって、タイ国内において今後も、医学、農業および工業分野での研究・開発、原子力の平和的かつ安全的な利用に希望が持てる。
ベトナム
   ベトナムにおける広報活動の状況と問題について、2001年5月に首相が国内最初の原子力発電所のプレ・フィージビリティー・スタディー・プロジェクトに関する政令を発し、2002年3月に首相が工業大臣を委員長、科学技術大臣を副委員長としたプレ・フィージビリティー運営委員会の設立の政令を発した。
これらの事項に関連してベトナム原子力委員会は、原子力発電の導入についての長期計画を策定することとなり、広報活動はこの中でも重要なアイテムの1つとして位置づけられている。
2002年3月26日から28日にハノイ市において、VAECとIAEAの広報セミナー「アジアの原子力と持続可能な発展」を開催し、外国人スピーカーとベトナム県知事との討論会やハノイ工科大学の先生と学生によるセミナーを実施した。
ベトナム国営放送(VTV)の協力で、原子力に関する20から25種類の番組を放送したり、プレス・メディアとの定期的な会合を開催している。2002年10月には、日本での原子力発電状況や放射線利用に関係した特集番組を製作するためにVTVミッションが訪日する。
原子力エネルギーの平和利用をテーマとした展示会を、2002年に国内2ヵ所において開催し、2003年にホーチミン市での原子力展示会や国会議員との討論会を企画している。
ベトナムの長期研究では、電力消費の伸びが約11%というレベルであれば、遅くとも2017年から2020年までには原子力発電を導入しなければならない。しかし、統計では2001年の電力消費の伸び率は15%であり、ここ9ヵ月の間の統計では16%にも達している。

 

日 本
   日本国内ではFNCAの活動の他、原子力関連の政府・関係省庁、公共機関(地方自治体)、研究所、電力会社、民間会社などにおいて広報活動を行っている。アジア原子力協力フォーラム(FNCA)では、情報交換を中心に1991年から10年以上にわたり原子力広報活動を行ってきた。
こうした広報活動においては、単なる情報交換ではなく、より具体的な成果を出すことが求められてきている。こうした状況の中で、FNCAでは2002年には高校生を対象とした放射線およびその利用に関する合同意識調査を実施することが各国によって合意された。
原子力広報の一般的な問題点として、だれにどこまで、どのような説明をしていくのかの基準・標準を設定できないことが上げられる。また、相手の個別事情に合わせて説明や対話が必要となってくる。さらに、社会・政治・科学技術の総合的なシステムを連携づけて、受入れの度合いが決まるので、狭い範囲だけの説明では理解促進に対処することはできない。
身近な原子力をめざすためには、原子力の安全性を一層高め、政策から利用にいたるまで原子力が社会に対して開かれた存在となること。国民にとって身近な存在となることが最も大切である。
 
 

  プロジェクト・リーダー会合の模様
 

2002年FNCA原子力広報 プロジェクト・リーダー会合
議事録 (和文仮訳)

マレーシア・クアラルンプール
2002年10月16〜17日

2003年3月13日
 2002年FNCA原子力広報プロジェクト・リーダー会合が2002年10月16〜17日、マレーシアのクアラルンプールにて開催された。
 マレーシア原子力庁(MINT)および日本の文部科学省(MEXT)がこの会合を共催した。日本原子力産業会議(JAIF)がこれに協力した。
 会合はMINT長官のアフマド・ソブリ・ハシム博士によって公式に開会された。文部科学省の立川調査員が歓迎の挨拶を述べた。
 この会合の参加者は、「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」の7カ国、すなわち、インドネシア共和国、日本、大韓民国、マレーシア、フィリピン共和国、タイ王国およびベトナム社会主義共和国のFNCA原子力広報のプロジェクト・リーダーであり、オーストラリアと中華人民共和国は欠席であった。参加者は2日間の会合に出席し、2日目にはMINTの施設を訪問した。
 各プロジェクト・リーダーは2002年10月15日の国際原子力会議2002(INCユ02)の開会式と全体セッションに参加した。町常務理事とチュン氏は全体セッションで基調講演を行った。
町常務理事は、第2回FNCA本会合と第3回FNCAコーディネーター会合に関する報告を行った。
 各プロジェクト・リーダーは、自国での今までの原子力広報活動に関して報告し、FNCA枠組のもとでの原子力広報活動の評価を行った。 結果は以下の通りである。
1. FNCA各国でのコミュニケーションの促進は、各参加国の広報プログラムに対し、非常に価値があると判明した。
   
2. AsiaNNetに関して‥‥‥
 
ファックスによる原子力情報の伝達は、各国の原子力情報プログラムに対し有用な情報を提供するものであり、継続すべきである。原子力情報の迅速な送信のために電子メールを用いるよう移行することの重要性が再確認され、この方法での実践的な具体的な原則について議論した。参加者によって合意事項は以下の通りである。
 
FNCA各国の原子力広報の情報交換は、電子メールと他の実用的なツールを使用し、できるだけ迅速に行われるべきである。
情報の提供において、各国の提供者はより多くの説明やコメントを要望される。
「Atoms In Japan」のような刊行物の定期的配布は、FNCA各国に感謝されており、継続するよう要望された。また、可能であればより多くの部数を提供することが要望された。FNCA各国は他の国々に対し、英文の定期刊行物を通じて広報の情報を提供する最善の努力を行うことが要請されていることを再確認した。
FNCAニュースレターはFNCA各国の要請があれば配布される。各国は配布されたコピーを慎重に選ばれた経路を通して最も効果的な方法で利用することを要請される。
会合の参加者はJAIFがFNCA各国の貢献を得て、ウエッブサイトやその内容を改善すべきであると勧告した。
 
 
  各プロジェクト・リーダーは、諸活動の具体的な例をあげて、その目的やターゲット・グループの優先順位、エネルギー全般、なかでも原子力に関する教育の重要性を明確にして、自国における広報活動の現状を報告した。社会的、政治的要素に影響された広報活動の例にも言及し討議した。
この会合ではまた、FNCA枠組のもとで将来行うべき広報活動の進め方も討議した。
その成果を以下に示す。
 
1. FNCA枠組のもとでの広報活動では、各FNCA参加国の真の必要性を確認すること、ニーズを満足するような可能な方法や過去の経験を研究すること、そして国が直面する問題を解決するための最も実行可能なアプローチを特定するよう設計すべきである。FNCA原子力広報活動の改善点では3課題に焦点を合わせた。
 
どのようにして新聞やテレビのレポーターなどマス・メディアとのコミュニケーションを高めるか。
公衆とのコミュニケーションで最も重大な障害は何であるか。また、どのように問題を解決していくのか。
学校教育での役割はどうあるべきであるか。現状と近い将来の傾向について。
   
  マス・メディアとのコミュニケーションを高めるための確認された論点は以下の通りである。
 
メディアとの個人レベルでの接触機会の増大。
地方の新聞社は地元に影響するニュースの方に興味を持つ。
メディア対応には特定のルールはない。
   
 
   コミュニケーションを高めるためには、自分たちの施設にメディアを招待し、個人的な接触を増やす、セミナーを開催し選出されたメディアが代表者を選出し、メディアの決定を尊重することが提案された。さらに、メディアに自分たちのしたことについての認識をもってもらう。また、それがインタビューである場合には、短く、直接的、正確に行わなければならない。100%確実なことを示すべきである。
  また、必要なサポートを行うレポーターを3〜5名確保することが提案された。代わりに、そのレポーターたちが要求していない時でも要求された時でも、彼らが必要と思ったときに使用できるニュースになりそうなものを我々は提供しなければならない。
また、前項に関する障害が以下のように指摘された。
   
 
公衆の中には聞きたがらない者もいる。彼らは自分たちと直接関係のない問題には心を 閉ざしている。
コミュニケーションが異なった波長で行われている。
技術的な言葉は公衆にとって理解できない。
原子力界の人々は自分たちが特殊であると信じ、公衆との交流をしたがらない。
‘原子力界の人々は自分たちが優れたグループであると考えている’
 
  示された解決策は、
 
原子力産業に関係する話をするには、宗教上のリーダーや公務員などの公衆にとってより受け入れやすい第3者を登用する。
特に関心をいだくような適切な題材を準備する。
原子力界の人々は態度を改め、公衆の一員であるかのように振る舞うべきである。
  
   本グループでは教育が原子力広報にとって非常に重要な要素であることで意見が一致した。
こういった目的を達成するために、異なったグループに教える際に、適切なテクニックを採用できる指導者を訓練すべきである。教科書は対象テーマに関する均衡のとれた情報を伝えるために改良されるべきである。
  環境保護の概念は新しい方向づけをするべきである。アンケート調査は公衆、学生および教師との接触を確立するためのよい機会を作る。
 
2. FNCA地域スピーカーズ・ビューロ(RSB)の必要性と有効性について議論した。参加者はRSBプログラムが自国における広報活動に、今でも重要であると認識した。
この観点にもとづいて、RSBプログラムをできるだけ利用するために具体的な手順について議論した。これにはイベントの遅くとも4カ月前までの通知とイベントの詳細情報、またフォローアップの必要性が含まれた。
来年2003年に関しては、FNCAは各国の原子力広報活動のための講師派遣の要請を支持すると提案した。ベトナムとタイは計画中のセミナーにこの支援を求めた。
JAIFのアジア協力センター(ACC)はベトナムのホーチミン市の原子力展示会に講師を派遣する予定である。
   
3. マス・メディアとのコミュニケーションを強化するのは、広報活動を成功させる上で重要な要素であることが確認された。また、会合では原子力界とマス・メディアとの会合を開催する可能性について議論した。
   
4. 放射線についての知識とその利用に関する高校生を対象とした合同調査の実施についての暫定の報告がなされ、この種の調査の将来計画について議論した。この調査に関する報告を第3回FNCA本会合の前に作成し、FNCA各国の大臣級代表者に広報活動の意義を紹介することが提案された。
   
5. 若い世代のための広報活動の重要性が再び強調され、この目的に沿った各国別の特別なイベントを検討すべきことが提案されプロジェクト・リーダーで同意した。
   
6. 合同調査の現状と重要性および有用性についての暫定の報告があり議論した。すべてのデータが定量的に分析される時、重要性と有用性の評価を含む最終結果が明かにされる。
   
7. ベトナムは2003年にホーチミン市において、展示会やセミナーを含む自国の原子力広報イベントに関連してプロジェクト・リーダー会合を開催することを提案した。詳細については、ベトナム原子力委員会(VAEC)とACC/JAIFと間で調整する。タイはベトナムで開催できなくなったときにはプロジェクト・リーダー会合をホストすることを提案した。
 
 この2002年FNCAプロジェクト・リーダー会合への参加者は、MINT、MEXTおよびJAIFがこの会合の開催のために行った努力に謝意を表わした。
 この議事録は会合の参加者全員の合意を得たものであり、2002年10月30〜31日に韓国ソウルで開催される第3回FNCA本会合に報告される。
 

2002 FNCA 原子力広報 プロジェクト・リーダー会合
プログラム


開催期間 : 2002年10月15日(火)〜17日(木)(3日間)
開 催 地 : マレーシア・クアラルンプール
共催機関 : マレーシア原子力庁(MINT)、文部科学省(MEXT)
協力機関 : (社)日本原子力産業会議(JAIF)
 
●10月14日(月)
参加者到着
 
Hotel:the Pan Pacific Hotel, Kuala Lumpur  
Tel:+60-3-4042-5555, Fax:+60-3-4041-7263 
 
●10月15日(火)
 
09:30−10:30 <各国プロジェクト・リーダーは、「2002国際原子力会議(INC'02)“世界の潮流と展望”の開会式典に出席>
開催地:プトラ国際貿易センター(クアラルンプール)
11:00−16:30 INC02全体セッション
20:00−22:30 INC02会議の夕食(プトラ国際貿易センター)
●10月16日(水)
 
 
<プロジェクト・リーダー会合>
開催地:SERAYA会議室、the Pan Pacific Hotel, Kuala Lumpur
司会:Mr. Mohd. Radzuan Othman(マレーシア)
09:00− 09:10 歓迎挨拶
立川 信夫
(文部科学省)
09:10− 09:20 開会挨拶   
Dato'Dr. Ahmad Sobri Hj. Hashim
(マレーシアMINT長官) 
09:30− 09:40 記念写真
09:40−10:00 休憩
10:00−10:20 議長および議事録起草者採択
10:00−10:20 第2回FNCA本会合と第3回FNCAコーディネーター会合の報告
共同議長:Mr. Arianto Iskandar(インドネシア)Mr. Pathom Yamket(タイ)
発表者:町末男(FNCA日本コーディネーター)
<セッション1(パート1) >
「各国のカントリー・レポートの報告」
原子力広報活動の状況と問題 ・FNCA原子力広報の評価
10:40−10:55 インドネシア
10:55−11:30 韓 国
11:30−12:00 マレーシア
12:00−12:30 フィリピン
12:30−13:00 タイ
13:00−13:30 ベトナム
13:40−14:40 昼 食
14:40−15:20 日 本
<セッション1(パート2) >
「FNCA原子力広報活動の改善点の討議」
共同議長:Mr. Mohd Rosli bin Muda(マレーシア)/Mr. Edilberto A. Cabalfin(フィリピン)
10:40−16:00 どのようにして新聞やテレビのレポーターなどマス・メディアとのコミュニケーションを高めるか。
  公衆とのコミュニケーションで最も重大な障害は何であるか。また、どのように問題を解決していくのか。
  学校教育での役割はどうあるべきであるか。現状と近い将来の傾向について。
18:00 文部科学省主催レセプション
 
●10月17日(木)
 
<セッション3 >
高校生を対象とした放射線の利用に関する合同意識調査(アンケート調査)に関する議題
共同議長: Dr. 田中靖政(学習院大学名誉教授)/ Mr. Edilberto A. Cabalfin(フィリピン)
10:10−10:50 アンケート調査参加国から実施状況についての報告
(1) 質問項目の適切さと妥当性について
(2) 回答者が所属する高校の状況について
(3) 回答票のデータの収集について
10:50−12:00 暫定結果の概要(インドネシア、フィリピン、韓国、日本)
12:00−12:30 放射線に関する認知度、理解度の向上のための調査とその評価と有用性について
12:30−13:00 合同意識調査の公表形式についての討議
<閉会セッション >
08:35−10:00

共同議長:
Mr. Mohd Rosli bin Muda(マレーシア)
Dr. 田中靖政(学習院大学名誉教授)

13:00−13:20 議事録作成
13:20−13:50 議事録採択
13:50−13:55 海外参加代表者からの謝辞
13:55−14:00 閉会挨拶
14:00−14:40 昼 食
14:40−17:00 MINT施設訪問
 
●10月18日(木)
参加者帰国
 

参加者リスト



 中 国
欠  席
 インドネシア
氏名 役 職 所属機関
アリアント・イスカンダール 原子力科学技術協力PIセンター
プロモーションマネージャー
インドネシア原子力庁
(BATAN)
原子力科学技術協力
PIセンター
 韓 国
氏名 役 職
所属機関
ジュンクック・チュン 広報・国際協力部
プロジェクトマネージャー
韓国原子力研究所
(KAERI)
 フィリピン
氏名 役 職
所属機関
エディルベルト・カバルフィン 原子力サービス・訓練部長 フィリピン原子力研究所
(PNRI)
 タ イ
氏名 役 職
所属機関
パトム・ヤムケ 次官 タイ原子力庁(OAEP)
ジャラス・ナメーチャイ   タイ原子力庁(OAEP)
 マレーシア
【ホスト国】
氏名 役 職
所属機関
アドナン ハジ カリッド マレーシア原子力庁(MINT)

企画対外関係部長
FNCA
マレーシアコーディネーター

ムハッド・ロスリ・ムダ マレーシア原子力庁(MINT)

企画対外関係課担当

 日 本
氏名 役 職
所属機関
田中 靖政 学習院大学名誉教授  
町 末男 常務理事 社団法人日本原子力産業会議
立川 信夫 研究開発局 原子力課
(国際協力担当)調査員
文部科学省
 《事務局》
立川 信夫   社団法人日本原子力産業会議
アジア協力センター
 


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