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研究炉ネットワーク ワークショップ

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ワークショップ

FNCA 2013 研究炉ネットワークワークショップ

2013年 FNCA 研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
概要

2013年9月24日〜9月27日
カザフスタン アルマティ



 2013年度の研究炉ネットワーク(RRN)ワークショップは、2013年9月24日より9月27日まで、カザフスタン国立原子力センター(NNC)および日本の文部科学省(MEXT)の主催により、カザフスタン・アルマティにおいて開催されました。

 オーストラリア、バングラデシュ、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ及びベトナムの11カ国が参加し、参加人数は事務局を含め計17名でした。

 本プロジェクトは2011年度から始まったプロジェクトで、第1フェーズの3年目にあたる。主に研究/試験炉及びRI製造の現状についての発表がなされ、RI製造・供給にかかるFNCA地域ネットワーク構築について討議がなされました。

[ ICNRP-09/FNCA合同開会セッション ]

 本ワークショップと同時期に開催されていたICNRP-09(第9回原子力・放射線物理学国際会議)との合同開会セッションを行いました。カザフスタン国立原子力センター(NNC)総裁Dr. BATYRBEKOV、核物理研究所長代理Dr. Chakrov、町FNCA日本コーディネーターから開会の挨拶があり、続いてカザフスタン国立原子力センターの現状および発展の見通し等についての発表がなされました。


合同開会セッションの様子

[ ワークショップ ]

 セッション1では、町FNCA日本コーディネーターからFNCAの10プロジェクト全体の活動について、神永氏より本プロジェクトのこれまでの活動概要及び課題について報告がなされ、今までのワークショップのサマリー等をまとめて、本プロジェクトの目的等について再確認しました。

 セッション2では研究/試験炉利用について、各国から発表がなされ、議論しました。

ワークショップの様子

 セッション3ではRI製造及びアイソトープ安定的供給のための国内ネットワークの設立状況について各国から報告がなされ、セッション4では安定的RI製造及びRI供給のためのFNCA地域ネットワーク設立について、町氏のリードスピーチに続き、議論しました。

 セッション5では、研究/試験炉の設計、利用における協力について、日本のリードスピーチに続き、ベトナム、韓国、タイから発表がなされました。セッション6では研究炉ネットワークプロジェクトのプロジェクト3年延長可能性を含む将来計画について、町氏のリードスピーチに続き、議論しました。

 セッション7では第14回大臣級会合に向けたサマリー発表を含むまとめを行いました。最後に、町氏及びDr. BATYRBEKOVより閉会の言葉があり、ワークショップを成功裏に終了しました。

[ ICNRP-09/FNCAジョイントオープンセミナー ]

 カザフスタン、ロシア、オーストラリア、韓国、ウズベキスタン、日本、インドネシアから、研究/試験炉や医療用RIについての講演がなされました。


神永氏(JAEA)の発表

オープンセミナーの様子

[ テクニカルビジット ]

 テクニカルビジットとして、核物理研究所(INP)の主要施設であるWWR-K炉、放射化学/アイソトープ製造センターを見学しました。





2013年 FNCA 研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
会議報告

2013年9月24日〜9月27日
カザフスタン アルマティ



結論及び提案事項

FNCA加盟国におけるMo-99の需要と供給

会合において確認された主要な事項は、以下の通り。

1. ANSTO(オーストラリア原子力科学技術機構)では、LEU(低濃縮ウラン)を用いた核分裂法によるMo-99の製造能力を、2015年末までに現在の1,000 6-day Ci/週から3,500 6-day Ci /週に増強する。
2. Mo-99の需要は、バングラデシュ、インド、中国等の開発途上国では、増加あるいは一定である一方、日本では代替の画像診断法の増加により減少している。
3. KAERI(韓国原子力研究所)が建設を進めている20MWの新研究炉は、2017年に運転を開始する予定で、併設されるLEUを用いた核分裂法による新Mo-99製造施設は、2,000 6-day Ci /週の製造能力を持ち、2018年からRIの供給を始めることが期待されている。
4. FNCA加盟国地域内でのMo-99製造能力は、2017年までに6,000 6-day Ci /週に到達する見込みであるが、これはFNCA加盟国における需要3,000 6-day Ci /週(中国が不参加のため、中国を除く)を大きく上回る。
5. これらの根拠により、2016年以降、これらの新しいMo-99製造施設でFNCA加盟国地域内のMo-99の安定供給を確保することが期待される。
6. Mo-99供給の近い将来(2014、2015年)における不足は、FNCA加盟国のいずれにおいても想定されておらず、多くの国々が地域外の国から必要なMo-99の供給を受けていることが確認された。
7. 加盟国は、Mo-99のある地域の供給で経験した有害な品質管理問題に関してコメントし、FNCA加盟国地域の輸出入を強化するためにMo-99品質の調和の重要性を強調した。

医療用アイソトープ安定供給のためのFNCA地域ネットワーク

8. 大多数のFNCA加盟国は、医療用RI製造及び供給を調整するための国内委員会を設立し、それぞれ特定の責任者(接点)を含んでいる。一方、マレーシア、インドネシアにおいては、現在国内委員会の設立準備中である。
9. 新たに設立された国内ネットワークは、その定例会においてFNCA地域ネットワークへの報告が重要であることに合意された。
10. 今後、FNCA地域ネットワークは、Mo-99の安定した地域供給のための医療用RIのセキュリティ及び供給についてのOECD/NEAのハイ・レベルグループの活動とリンクした情報交換を行うフォーラムとして活動することが合意された。
11. OECD/NEAのメンバーであるオーストラリア、日本、韓国それぞれがFNCA地域ネットワークをMo-99供給のグローバルなNEAネットワークとのリンクを促進することとした。オーストラリア、日本、韓国はNEA-ネットワークからの情報を報告し、必要に応じFNCAネットワークからのメッセージを伝えることに合意した。
12. 医療用RIの供給は、現在、商業ベースで重大な障害もなく確保されていることを確認した。
13. FNCAネットワークはCJK(中国アイソトープ・放射線協会(CIRA)、日本アイソトープ協会(JRIA)、韓国アイソトープ協会(KRIA)のグループ)とWCI(世界アイソトープ機構)とも調整することが推奨された。CJK会議の現在の契約は2014年に期限切れとなるので、三者は本会議を延長するか終了するか真剣に検討予定である。

試験研究炉の設計/利用における協力

会合において確認された成果は、以下の通り。

14. ベトナムの多目的研究炉は2015年に建設を開始し、2018年から運転開始する予定であり、10MWの研究炉として建設するが、後に20MWに増強できる能力を持った炉となる。
15. 韓国は正式に新規研究炉プロジェクトを立ち上げ、新規20MW炉はRI製造および半導体産業のシリコン照射に用いられる予定である。新規炉は2017年に運転を開始する予定で、2018年からRIの供給を始めることが期待されている。
16. 16. タイは、国内の需要を満たす新たな多目的研究炉を建設する既存のプロジェクトがあるが、まだ建設工程が確定していない。
17. バングラデシュも、新たな10MWの研究炉の建設計画がある。

FNCA加盟国における新規試験研究炉建設について

18. JAEAは予算の制約から共同で先進的研究/試験炉の設計を研究するFNCA加盟国からの原子力エンジニアを招聘する能力は限られていることを報告した。しかし、文部科学省の2013年度研究者育成プログラムにより、モンゴルの原子力エンジニアが一人、神永氏のグループで炉設計を研究する予定である。
19. 広範な情報交換を促進するために、おそらく2014年のFNCAワークショップにあわせて、JAEAが原子炉工学に関するアジア地域協力(に係る会合の開催)を調整することへの期待が表明された。
20. ベトナム、韓国、タイ、バングラデシュにおける新規炉計画を考慮して、研究/試験炉の設計、建設、運転の仕様に関する情報共有の重要性が確認された。

RRNプロジェクトの第2フェーズについて

21. RRNプロジェクトは、添付計画にある更新された目標や具体的な目標達成のために、第2フェーズへ延長することが合意された。

RRNプロジェクト第2フェーズ(2014-2016)計画

1. 国内需要を満たす安定供給計画のための国内ネットワークと緊密な連携を持つことにより、加盟国における医療用アイソトープ、特にMo-99について、安定製造/供給のための地域ネットワークの運用。
2. グローバルネットワークによる安定供給確保のため、OECDメンバーであるオーストラリア、日本、韓国を通して、Mo-99の安定供給に向けた活動を調和させるためにNEA/OECDとの連携の確立。
3. 加盟国における医療用アイソトープの製造、需要と供給の最新状況に関する情報共有。
4. n-γ反応を用いたMo-99製造技術の情報共有。
5. 研究炉を用いた半導体製造用シリコンへの中性子ドーピング技術の情報共有。
6. 韓国、ベトナム、タイにおける新規研究炉の建設計画に関連した炉設計及び利用のための照射施設に関する情報共有。
7. 加盟国における原子力技術者の人材育成を強化するための先端研究/試験炉設計について共同研究。

2013年 FNCA 研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
プログラム



共 催: カザフスタン国立原子力センター(NNC)
文部科学省(MEXT)
開催日程: 2013年9月24-27日
開催地: カザフスタン・アルマティ(核物理研究所(INP))

9月24日(火)
ICNRP-09/FNCA開会セッション
議長: カザフスタン
10:00 歓迎挨拶:INP、NNC
10:25 カザフスタン国立原子力センター現状および発展の見通し
10:55 カザフスタンの核物理:科学、技術、安全性、協力
FNCA研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
11:30 開会セッション
議長: カザフスタン
   開会挨拶: NNC、FNCA  
 自己紹介、アジェンダ確認、写真撮影
12:00 セッション1: FNCAの概要及び進捗状況について
議長: バングラデシュ
   1.平成24年度プロジェクト及び大臣級会合について報告(町コーディネーター)
 2.研究炉ネットワークプロジェクトの概要および課題(神永氏)
12:45 昼食
13:50 セッション2: 研究/試験炉及びその利用についてカントリーレポート
ポイント:
 1) アイソトープの需要と供給
 2) アイソトープ製造に用いられている研究/試験炉の現状
 3) 新規研究炉または既存炉アップグレードの計画
 4) 研究炉管理の課題
2-1 発表:バングラデシュ、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国
議長: ベトナム
15:30 休憩
15:50 2-2 発表:マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ
議長: タイ
17:10 終了
 
9月25日(水)
ICNRP-09/FNCA ジョイントオープンセミナー
議長: カザフスタン
09:30 カザフスタンにおける原子力計画及び開発に向けた課題(Kenzhin氏、NNC)
10:00 革新的解決技術に基づく医療用アイソトープ(Mo-99及びSr-89)生産のための核技術複合施設の技術的・商用的な提案(Gogyachikh氏、ロシア)
10:30 オーストラリアOpal研究炉の成功した設計及び利用(Begg氏、ANSTO)
11:00 韓国におけるHANARO炉の利用(Park氏、Ho氏、韓国)
11:15 休憩
議長: ロシア  
11:30 研究炉及び更新した試験炉JMTR(日本)の役割及び利用(神永氏、JAEA)
12:00 放射性核種分離用ベントナイト層を基にした吸着物質(Egamediev氏、ウズベキスタン)
12:30 研究炉RSG-GASの利用及びインドネシアにおけるアイソトープ利用(SUSILOWATI氏、BATAN)
13:00 昼食
FNCA研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
16:00 2-3 発表:ベトナム、オーストラリア
議長: 日本
16:40 2-4 議論、要約、結論
議長: 日本
17:30 終了
 
9月26日(木)
FNCA研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
09:00 セッション3: アイソトープ製造及びアイソトープ安定的供給のための国内ネットワークの設置状況
議長: フィリピン
−各国5分ずつ短い報告
10:00 −国内ネットワークのための残りのタスク及び課題についての議論
11:00 セッション4: 安定的アイソトープ製造及びアイソトープ供給のためのFNCA地域ネットワーク設立
議長: オーストラリア
−リードスピーチ(町コーディネーター)
11:20 −議論
ポイント:
1)医療用アイソトープの安定供給確保に向けてアイソトープ製造戦略調整のための加盟国における重要人員の定期的会合
2)会合の調整及びアレンジのための地域オフィスの設置(持ち回り)
3)ネットワーク運営資金調達問題(自己資金)
4)商用供給ネットワークとの連携
5)実行計画
12:30 昼食
13:30 セッション 4 (続き):
議長: オーストラリア
−議論(続き)
14:30 −結論
15:00 休憩
15:15 セッション5: 研究/試験炉の設計、利用における協力
議長: モンゴル
−リードスピーチ
 1.人材育成のための新規研究/試験炉設計に関する共同研究(神永氏)
 2.ベトナムにおける新規研究炉の計画及び設計思想(DUONG Van Dong氏)
 3.韓国における新規アイソトープ製造炉の計画及び設計思想(PARK Ul Jae氏)
 4.タイにおける新規研究炉の計画及び設計思想(Chanatip TIPPAYAKUL氏)
16:15 −議論
ポイント:
 1)加盟国の既存の知見を用いて需要を満たす新規炉のよりよい設計に向けた協力方法
 2)研究/試験炉の人材育成(HRD)の課題
 3)最初の原子力発電所導入のための研究/試験炉の役割
17:30 終了
 
9月27日(金)
FNCA研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
09:00 〈セッション6〉研究炉ネットワークプロジェクトの将来計画(プロジェクト3年延長可能性を含む)
議長: マレーシア
 −リードスピーチ(町コーディネーター)
10:00 −議論、結論
ポイント:
 1)医療用RI製造ネットワークの設置及び運営
 2)シリコンドーピングや大規模なCo-60線源のような研究炉の産業利用戦略
 3)研究/試験炉の人材育成戦略
 4)基礎研究のための炉利用の重要性
11:00 休憩
11:15 〈セッション7〉結論、提言
議長: 韓国
 −報告書案について議論、承認
12:00 −閉会挨拶:NNC、FNCA
12:30 昼食
13:30 テクニカルビジット

2013年 FNCA 研究炉ネットワークプロジェクトワークショップ
参加者リスト

2013年9月24日〜9月27日
カザフスタン アルマティ


オーストラリア

Dr. Bruce Begg
オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)
事業部リーダー

バングラデシュ

MProf. Dr. Shahana AFROZ
バングラデシュ原子力委員会(BAEC)
メンバー(生物科学)

インドネシア

Ms. Endang SUSILOWATI
インドネシア原子力庁 (BATAN)
多目的炉センター 炉運転部

日本

Dr. 町 末男
FNCA日本コーディネーター

Dr. 山下 孝
(公財)日本アイソトープ協会 常務理事

Dr. 神永 雅紀
(独)日本原子力研究開発機構(JAEA) 大洗研究開発センター
照射試験炉センター 副センター長

Ms. 猪越 千明
(公財)原子力安全研究協会(NSRA) 国際研究部

カザフスタン

Ms. Yelena Chakrova
カザフスタン国立原子力センター(NNC)
核物理研究所
放射化学/アイソトープ製造センター長

Mr. Sergey KOTOV
(株)原子力技術パーク 主幹事

韓国

Mr. Nam HO
世界アイソトープ機構 (WCI)
国際コーディネーター

Mr. PARK Ul Jae
韓国原子力研究所(KAERI)ラジオアイソトープ研究部
主任研究員

マレーシア

Mr. Azahari KASBOLLAH
マレーシア原子力庁(Nuclear Malaysia)
医療技術部 研究員

モンゴル

Mr. Chadraabal MAVAG
モンゴル原子力庁 原子力技術部
部長代理

Ms. Otgontsetseg TSERENDORJ
モンゴル原子力庁 原子力技術部
行政官

フィリピン

Mr. Neil Raymund GUILLERMO
フィリピン原子力研究所(PNRI)
科学研究専門家

タイ

Mr. Chanatip TIPPAYAKUL
タイ原子力技術研究所(TINT)
原子力技術/炉運転部 原子力エンジニア

ベトナム

Mr. Duong Van Dong
ベトナム原子力研究所(VAEI)
ダラト原子力研究所(NRI) RI研究/製造センター長



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