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ワークショップ


FNCA 2008 研究炉利用ワークショップ
概要  会議報告 NAARRT  プログラム   参加者リスト(英文)

2008年FNCA研究炉利用ワークショップ
概要

2008年10月16日〜10月23日
ベトナム、ダラト

第9回コーディネーター会合(2008年)の合意により、2008年FNCA研究炉利用ワークショップが下記の通り開催されました。

開催日 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ 2008年10月16日〜10月19日
研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ 2008年10月19日〜10月23日
オープンセミナー 2008年10月20日
開催地 ベトナム、ダラト
主催 ベトナム原子力委員会(VAEC)
文部科学省(MEXT)
実施機関 ダラト原子力研究所(NRI)
原子力安全研究協会(NSRA)
参加国 オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム

 今年度のFNCA研究炉利用ワークショップとして、2つのサブプロジェクト「中性子放射化分析」「研究炉基盤技術」のワークショップがベトナムのダラト市で開催されました。両プロジェクトは、本年を含め3年間にわたり実施される予定であり、今年が1年目になります。2プロジェクト共同開催のオープンセミナーでは、両ワークショップ参加者が講師となり、研究炉利用や原子力発電の現状等について講演を行ないました。

「中性子放射化分析プロジェクトワークショップ」

 中性子放射化分析ワークショップは、平成20年10月16日から20日の5日間に渡り開催され、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、タイ及びベトナムの10カ国が参加しました。参加人数は計15名でした。

 中性子放射化分析とは、分析対象物(試科)に中性子照射して構成元素を放射化させ、その放射能およびエネルギーを測定して元素分析を行う手法であり、「対象試料内に存在する複数の元素を一度に高感度分析出来る」並外れた長所を持っています。本プロジェクトは、今後3年間、この技術導入により大きな社会経済的貢献が期待できる3つのテーマに対し、利用促進活動を行います。ワークショップでは、各国の研究炉における放射分析活動の現状についての情報交換、各国によるテーマ選択、活動計画・目標等が議論されました。

 テーマと内容は、以下の通りです。

(1)地球化学図作成と鉱物探査
参加国:オーストラリア(主導国)、日本、(現在、登録継続中)

 地表の元素分布を図面化し、人類にとって緊急のニーズである「資源」を把握します。参加国は、関係官庁と協議・連携し、中性子放射化分析の普及を図ることにしました。

(2) 食品汚染モニタリング
参加国:中国、韓国(主導国)、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム

 米や鶏卵等の単一試料、或いは毎日の食生活を示す混合食品試料を扱う提案がありました。具体的実施計画は、今後の議論により調整されることになりました。

(3) 環境汚染モニタリング
参加国:バングラデシュ、中国、インドネシア、日本(主導国)、マレーシア、タイ、ベトナム、(現在、登録継続中)

 河口、海岸の堆積物及び海洋堆積物に存在する汚染物質について、空間的または一時的な変動をモニタリングする計画です。

中性子放射化分析ワークショップ参加者
中性子放射化分析ワークショップ参加者

「研究炉基盤技術プロジェクトワークショップ」

 研究炉基盤技術ワークショップは、平成20年10月19日から23日の5日間に渡り開催され、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、タイ及びベトナムの8カ国が参加しました。参加人数は計13名でした。

 本プロジェクトの新テーマは「研究炉の安全運転のための安全解析技術の共有化」であり、今回の課題は「研究炉のRIA(反応度事故)安全解析及びLOFA(流量喪失事故)安全解析技術の共有化」です。プロジェクトの目的は、研究炉の効率的利用を促進するため、加盟国内で、安全で安定した研究炉運転を確保する安全解析技術を向上させ、均等化する事です。次の安全解析の共通計算コードが選ばれ、日本から各国に配付される事になりました。

(1) COOLOD-N2 :定常炉心熱水力解析コード
(2) EUREKA2/RR :核熱水力結合動特性解析コード

 今回のワークショップでは、各国の研究炉における安全解析の現状についての情報交換、定常熱水力計算コードCOOLOD-N2の説明とプログラム導入におけるサポートが実施され、今後2年間の実施計画について合意が得られました。

研究炉基盤技術ワークショップ参加者
研究炉基盤技術ワークショップ参加者

「オープンセミナー」

 ワークショップに合わせ、平成20年10月20日にオープンセミナーが開催されました。ベトナム・オーストラリア・日本の専門家が以下の講演を行い、現地の研究機関、教育機関、官庁等から41名の参加がありました。

「FNCA各国と日本の原子力エネルギー政策及び計画」 町末男氏(日本)
「持続可能な発展のためのベトナムの原子力政策と計画」 ホアン・アブ・タン氏(ベトナム)
「OPAL研究用原子炉とその利用」 ジョン・ウィリアム・ベネット氏(オーストラリア)
「日本原子力研究開発機構における研究炉利用の展望」 山下清信(日本)
「地球環境評価と鉱物資源探査のための中性子放射化分析の利用」 田中剛氏(日本)

オープンセミナー オープンセミナー
オープンセミナー

「テクニカルビジット」

 各々のワークショップ参加者は、ダラト原子力研究所(NRI)の研究炉TRIGA MARK-IIを見学しました。

ダラト原子力研究所ディエン所長の説明を受けるワークショップ参加者 ダラト原子力研究所ディエン所長の説明を受けるワークショップ参加者
ダラト原子力研究所ディエン所長の説明を受けるワークショップ参加者


2008年FNCA研究炉利用ワークショップ
中性子放射化分析グループ
会議報告

2008年10月16日〜10月23日
ベトナム、ダラト

参加者リスト
1. ジョン・W・ベネット氏 オーストラリア代表
2. シエド・モハメド・ホサイン氏 バングラデシュ代表
3. フアン・ドングイ氏 中国代表
4. スティスナ氏 インドネシア代表
5. 海老原 充氏 日本代表
(プロジェクト内リーダー)
6. 松尾 基之氏 日本
7. 田中 剛氏 日本
8. ムン・ジョンファ氏 韓国代表
9. スハイミ・ビン・エリアス氏 マレーシア代表
10. プレシオサ・コラゾン・パブロア氏 フィリピン代表
11. シリナート・ラオハロジャナファンド氏 タイ代表
12. ブ・ドン・カオ氏 ベトナム代表
13. ジアン・グエン氏 ベトナム
14. 町 末男氏 FNCA日本コーディネーター

 開催委員会議長であるベトナム原子力委員会原子力研究所長グエン・ニ・ディエン氏の歓迎挨拶に続き、各参加者により、自己紹介、FNCA活動への関与と抱負が述べられた。

 中性子放射化分析プロジェクトのリーダーである海老原充主査が開会挨拶を行い、このワークショップで行うべき以下の項目につき説明した。

  1. 放射化分析活動と研究炉利用に関する各国報告
  2. 新中性子放射化分析プロジェクトがサブプロジェクトとして行う下記項目についての活動計画の作成。
    1. 地球化学図作成と鉱物探査
    2. 食品汚染モニタリング
    3. 環境汚染モニタリング
  3. サブプロジェクトごとに、基調講演、各国の活動と計画の発表、目的と目標及び実施計画に関する議論を行う。

I. 各国報告

 各国代表者により、以下の各国報告がアルファベット順に報告された。

オーストラリア:ジョン・W・ベネット氏
 20MW水泳プール型軽水炉であるOPALは、オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)により運営されている。炉は、医療用及び工業用の放射性同位元素製造、シリコン塊への照射、冷及び熱中性子ガイドビームを利用した中性子散乱科学、研究用の材料照射、中性子放射化分析及び遅発中性子放射化分析に利用されている。3×1012 n cm-2 s-1から1×1014 n cm-2 s-1の中性子束が利用可能であり、中性子放射化分析用設備は、短時間照射用及び長時間照射用に分けられ利用されている。中性子放射化分析のデータ処理に当たって、DSM社のK0標準化法ソフトウェアを所用する予定である。現在、中性子放射化分析プロジェクトは、環境、地球科学、鉱物探査、考古学及び多くの場合材料科学の研究領域において計画されている。

バングラデシュ:シエド・モハメド・ホサイン氏
 過去22年に渡り、バングラデシュ原子力委員会(BAEC)が、国内唯一の研究炉である3MW TRIGA Mark-IIを運転してきた。炉の業務には、放射性同位元素の製造、中性子散乱を用いた材料試験、中性子ラジオグラフィー利用による物性解析、様々なマトリクス組成を持つ対象試料の質的・量的評価を行う中性子放射化分析での利用などがある。研究開発業務の例としては、1) 最近実施した3軸スペクトロメーター(TSA)と中性子放射化分析を利用した、熱エネルギー0.0536 eV時の中性子捕獲断面の決定、2) ベンガル湾から採取した6堆積試料についての中性子放射化分析、及び原子吸光分析(AAS)との結果比較がある。中性子放射化分析研究室の大きな業務になっているのは、汚染地下水にさらされている人々の体内砒素に関する評価と軽減化のプロジェクトで行っている、砒素についての分析である。

中国:フアン・ドングイ氏
 中国には、3.5MWスイミングプール炉(SPR)や数基の27kW小型中性子源炉(MNSR)を含めて、中性子放射化分析を実施できる様々な研究炉がある。60MWの中国新型炉CARRは、2009年には臨界に達する計画である。CARRでは、新しい中性子放射化分析用設備が次の5年で建設され、そこには遅発中性子放射化分析設備(DNAA)と冷及び熱中性子ガイドビームを利用した即発ガンマ線中性子放射化分析(PGNAA)が設けられる。中国では、およそ100人が中性子放射化分析業務を行っている。ニ・バンファ氏のグループが行っている最近の活動には、基準となる比較標準試料(SRM,RM)の認証作業及び更なる研究、K0法及び関連手法に関する中性子放射化分析手法の研究、RCA領域における大気環境改善の為の核解析手法(主に中性子放射化分析)の利用、従来から行っている試料分析作業等がある。

インドネシア:スティスナ氏
 中性子放射化分析活動とBATANが保有する3基の炉の研究利用についての発表があった。これらの炉は、中性子放射化分析同様に、放射性同位元素の製造、材料科学、核計装等の幅広い領域で利用されてきた。すべての中性子放射化分析研究所には、K0法と比較法の両方を用いて中性子放射化分析を実施できる設備とソフトウェアが配備されている。バンドンとジョクジャカルタにある中性子放射化分析研究室は、国家認定機関によりISO/IEC 17025(2005年版)の認可を受けた。一方、セルポンの研究室は認証作業中である。計7名のスタッフが、中性子放射化分析作業に従事している。中性子放射化分析は、主に健康面(全血及び生検試料)、環境面(海洋汚染分析及び食品安全分析)、工業面(化粧品及び工業製品)、そして物性解析(ミクロン単位粒径の高分子微粒子やミクロン単位未満の超微小技術)の領域で利用されている。食品汚染と必須元素について予備的に行った分析の結果が、詳細に示された。

日本:海老原充主査
 日本の中性子放射化分析の現在の活動と実施中の計画が、研究炉を利用できる度合いと関連して示された。中性子放射化分析を行える研究炉が3基あるが、その内の2基は現在停止中である。これら2基は2009年に再稼動予定である。多数のゲルマ検出器を備え、中性子源として陽子加速器を利用する、新PGNAA装置の建設計画が示された。加えて、放射化分析をテーマにしている団体である、日本放射化分析研究会(JA3)の活動が紹介された。

韓国:ムン・ジョンファ氏
 韓国の中性子放射化分析の活動とHANARO研究炉の利用状況が発表された。HANAROは韓国唯一の研究炉であり、1995年の開始以来2000日を超え順調に運転されている。機器中性子放射化分析(INAA)、PGNAA及びDNAAの3設備が稼動しており、様々な試料の分析に利用されてきた。今回発表では、INAAを利用し、下水汚泥、火力発電所の主灰(焼却炉の炉底に落下した灰)、河の堆積物試料について行った、環境面での研究が説明された。

マレーシア:スハイミ・ビン・エリアス氏
 1MW TRIGA MK II炉が1982年から稼動している。炉は、小角中性子散乱(SANS)、中性子ラジオグラフィーと中性子放射化分析に利用されている。中性子放射化分析は環境、地質学、食品試料についての元素分析に用いられてきた。最近では、サバ海岸沿いの9箇所で採取した海洋堆積物の分析に、中性子放射化分析が用いている。砒素、クロム、アンチモン及び亜鉛等の有毒物質を含め、29の元素が定量された。幾つかの採取場所で見られた元素による汚染の源を明らかにする為に、今後更なる調査が必要である。この調査データから、マレーシアの、特にサバ海岸沿いについての海洋環境汚染の現状に関し重要な情報が得られると思われる。

フィリピン:プレシオサ・コラゾン・パブロア氏
 フィリピン原子力研究所は、FNCA中性子放射化分析プロジェクトとの係り方として、他国で行った中性子放射化分析結果との比較対照用データとなるよう、エネルギー分散形蛍光X線分析装置(EDXRF)を用いて環境試料分析データを作成する事に関心を寄せている。この方法なら、異なる分析技術を用いる事で、蛍光X線分析データの有効性を示す機会が得られる。調査は大気汚染、鉱物探査、同位体水文学研究(地球上の水循環を対象とする地球科学の一分野)の支援として行う水の元素解析について、行われている。PGNAA装置は、現在組み上げ中である。環境管理局、パラワン市地方政府、マカチ環境保護評議会、ANSTO、フィリピン大学及び科学技術学部と、協力或いは支援の関係が確立されてきている。

タイ:シリナート・ラオハロジャナファンド氏
 原子力平和利用局(OAP)から最近分離し刷新された、タイ原子力研究所(TINT)の現在の組織図が示された。TINTの業務の一つとして、1.2 MW出力TRIGA Mark IIIスイミングプール型炉である、タイ研究炉TRR1/M1の運転を行っている。炉は、中性子放射化分析、放射性同位体製造、中性子散乱、宝石への照射、放射線育種の用途に利用されている。INAA、熱外中性子放射化分析(ENAA)、PGNAA、予備濃縮中性子放射化分析(PNAA)、放射化学的中性子放射化分析(RNAA)等、様々な種類の中性子放射化分析技術が使用可能である。多くの新技術開発も行われている。中性子放射化分析は、環境、食品と健康、鉱物と採掘、工業、農業、そして考古学等、様々な領域で利用されてきた。

ベトナム:ブ・ドン・カオ氏
 TRIGA Mark II炉を改造した、現500kWダラト研究炉は放射性同位元素製造、中性子放射化分析、即発ガンマ線中性子放射化分析、基礎及び応用研究と訓練の用途に利用されている。地質学、油田調査、環境科学と考古学等の領域で、年におよそ1000もの試料が中性子放射化分析にかけられている。研究室では、ダラトK0法ソフトウェアからIAEA K0法ソフトウェアへの切替作業を行っている。カチエン及び他の先史遺跡で採取された粘土試料とれんが試料に関する中性子放射化分析調査の初回報告が示された。起源を決定する際には、多変量分析手法である、主成分分析(PCA)と集団化分析(CA)が用いられている。この作業は、考古学における起源調査に関する省庁プロジェクトの一環として、ダラト原子力研究所のINAA研究室で行われている。

II. 新しい期の計画

 提案されているサブプロジェクトごとに基調発表が行われ、各プロジェクトの見通しが示されると共に、到達可能な目標が提案された。その後、各サブプロジェクトに関して、以前に参加表明した国による発表が続いた。

1. 地球化学地図作成と鉱物探査

基調発表−ジョン・W・ベネット氏(オーストラリア)
 地球化学地図のサブプロジェクトは、鉱物探査、環境モニタリング、作物・動物・人間の健康、そして土地利用の方針決定に利益をもたらす事ができる。このサブプロジェクトは、国家的優先課題に関連して国家利害関係者に重要な利益を提供でき、中性子放射化分析の長所を活用できる側面をもつものと認識させる可能性を持っている。サブプロジェクトの範囲は充分広いので、個々の国は利用出来る技術資源に応じて、対象要素を選択する事ができる。「良い科学は違いを生み出す。」という命題のもと、このサブプロジェクトは、社会経済的利益として定量可能な成果をもたらせる。中性子放射化分析について、参加国内で標準試料を用いて研究所間の比較と評価を行う事が重要であろう。第1段階として、各参加国は、どういう形とレベルで中性子放射化分析の関与が可能かを決める為、適切な国内当局と研究仲間から情報を集める事が求められる。

シエド・モハメド・ホサイン氏(バングラデシュ)
 コックスバーザールの海岸沿いの20km領域(ラボニ海岸からイナニ海岸間)における、重鉱物堆積物の地球化学的組成を調べる為に、最近調査を実施した。この作業は、海岸鉱物砂開発センター(BSMEC)との共同作業で行われた。砂の堆積物は、1kmずつ離れた21箇所の採取ポイントにおいて、深さを3段階に分け、採取された。重鉱物は、BSMECによって、イルメナイト(チタン鉄鉱:FeO.TiO2)、マグネタイト(磁鉄鉱:FeO.Fe2O3)、ガーネット[(Fe, A, Ca, Mg, Mn)(SiO4)]、ルチル(金紅石:TiO2)等に分離された後、それらの中の不純物を判定する為に回収された。分析実施中である。

フアン・ドングイ氏(中国)
 このプロジェクトの目的は、新しい種類の認定標準試料(CRM)を開発する事である。この標準試料は、微量固体試料分析における品質管理にとって必要となるものである。認定作業では、中性子放射化分析を含め、利用可能な様々な核利用による分析技術が用いられる。こうした認定標準試料は、地球化学地図作成と鉱物探査のサブプロジェクトに、役立つものである。

田中剛委員(日本)
 地球化学地図は、地球環境評価と資源探査の為の基礎情報を提供する有効な手段である。機器中性子放射化分析は、広範囲から採取された多数試料中の多数の元素を分析する手法としては、最も優れたものと認識されている。名古屋大学の地球環境科学部は簡便な手法を開発しており、これまでに、2000を超える河川堆積物試料の分析作業で開発手法を実施している。ジルコンのような不溶性鉱物内の微量元素については、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)より機器中性子放射化分析の方がより高い信頼性をもって定量できる。名古屋-豊田-瀬戸地域におけるLa(ランタン)、Ce(セリウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロビウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)、Sc(スカンジウム)、Cs(セシウム)、Au(金)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Th(トリウム)、U(ウラン)の地球化学地図は、興味深い特徴を示した。

スハイミ・ビン・エリアス氏(マレーシア)
 マレーシアは、海洋環境汚染の評価、大気浮遊塵の特性解析、マレーシアの食料に含まれる必須元素・有毒元素や海及び淡水における無酸素堆積物内の地球化学的汚染物質の定量を、国家的な優先事項にしている。陸地の地球化学地図は、現在、優先事項ではない。

2. 食品汚染物質モニタリング

基調講演−ムン・ジョンファ氏(韓国)
 中性子放射化分析は、食品中のI(ヨウ素)、Ca(カルシウム)、Fe(鉄)、Se(セレン)、Zn(亜鉛)等の必須元素及び、As(砒素)、Pb(鉛)、Cd(カドミウム)、Cr(クロム)等の有毒元素の定量において重要な役割を果たしている。主食、栄養補助食品、海産物、肉等に注目し、この技術を利用出来るかもしれない。その為には、プロジェクトで焦点を当てる対象と到達すべき目標についての参加国間の合意が必要となるだろう。中性子放射化分析技術の検出限界について、細心の注意のもとに検討する必要があるとの指摘があった。朝鮮人参の各部位の元素組成に関する詳細な調査が、実施可能なアプローチの一例として発表された。

シエド・モハメド・ホサイン氏(バングラデシュ)
 果物と野菜の15試料がフェニ地区のウパジラの5地点から採取され、砒素汚染についての分析が行われた。分析結果では、3点のアルム(野菜の一種)試料以外は、全て、検出限界(0.6 mg/kg dry weight)未満の砒素レベルであると分かった。基準となるデータを作る目的で、原子炉周辺で育った13の果物と野菜が元素分析の為に採取された。この分析を、現在実施中である。

スティスナ氏(インドネシア)
 バンテン及びジャカルタ周辺の市場で収集した、一連の主食食材に対して行った、元素分析プロジェクトの結果が発表された。カカオ、穀類、豆類、野菜及び米を分析し、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)、Se(セレン)等の必須元素及び、Cr(クロム)、As(砒素)、Sr(ストロンチウム)、Sc(スカンジウム)、Mn(マンガン)等の汚染元素を定量した。照射条件と分析データ、試料準備の詳細が示された。

スハイミ・ビン・エリアス氏(マレーシア)
 多種に渡るマレーシア料理や異なる様式の食生活を検討しながら、マレーシア人の平均的食生活で使われている食料品の必須及び有害元素を定量するプロジェクトを現在実施している。採取地域、食料品と食料品供給場所(レストランや屋台)のタイプ等含めた採取上の提案を検討中である。活動の制約としては、限定された予算、炉の利便性の問題、消費者意識の中で優先度の高いものをうまく取り扱う必要性がある点が、挙げられる。

シリナート・ラオハロジャナファンド氏(タイ)
 タイの食料品内汚染物質を監視するプロジェクトが、実施されている。このプロジェクトでは、栄養素と有毒鉱物に対する中性子放射化分析を行う。プロジェクトは、タイのナコンパトム県サラヤにあるマヒドル大学栄養研究所との密接な連携のもとに実施されている。4グループ(穀物及び穀物製品、でんぷんを多く含む根菜や根茎植物及びその製品、豆類・ナッツ・種及びその製品、ヒレを持つ魚・甲殻類・その他の海洋生物と海産物)の食材が採取されている。採取作業と試料調整は、専門的手順書に基づき、栄養研究所により実施される予定である。また、結果はタイの食料組成表を更新するために使用される予定である。

ジアン・グエン氏(ベトナム)
 2009年実施予定のマーケット・バスケット調査(消費者が購入した物の分析調査)では、ラムドン、プュエン、ナトラン及びビンディン州の都市及び田舎から、100の食材を収集する。As(砒素)、Cd(カドミウム)、Cu(銅)、Hg(水銀)、Sb(アンチモン)、Se(セレン)、Pb(鉛)及びZn(亜鉛)等の微量元素の濃度が、機器中性子放射化分析(INAA)、放射化学中性子放射化分析(RNAA)及び原子吸光分析(AAS)の手法で求められる。異なる州における成人の1日当たりの元素取り込み量が、積算される予定である。

3. 環境汚染モニタリング

基調講演−松尾基之委員(日本)
 対象物質として、大気浮遊塵(フェイズ1-2で実施済み)、堆積物(河川、湖、海洋)及び土壌等の固体環境試料を用いる事が出来る。第一候補は、海岸環境に特化した海洋堆積物と言える。主要及び微量元素、有毒または有害元素、天然または人由来等の論点があるかもしれない。堆積物コア試料を調査する事により環境変化を判定する所までサブプロジェクトの適用範囲を拡大することは、大変興味深い事である。その為には、共通とする試料・採取法・技術手法・ソフトウェアを含んだ分析手法に関し、参加者が合意する事が重要になるだろう。プロジェクトがもたらす利益を挙げるとすれば、アジア諸国の海洋環境汚染の定量化と、海岸地域の長期間における環境変化に対する定量化が行われる点である。調査結果は、質の高い学会誌に発表されるべきである。2つの事例研究が示された。

シエド・モハメド・ホサイン氏(バングラデシュ)
 3つの事例研究が示された。最初のものは、砒素による地下水汚染に関するもので、地球化学的及び水文学的な係わり合いが検討された。2番目の研究は、ベンガル湾の堆積物の成分とバングラデシュの農地土壌を比較するもので、U(ウラン)、Th(トリウム)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Cr(クロム)の元素に注目したものである。3番目は、船舶の解体を原因とする環境汚染の監視をするために開始したプロジェクト研究である。汚染物質は、Cd(カドミウム)、As(砒素)、Zn(亜鉛)、Cr(クロム)、アスベストと難分解性有機汚染物質であり、これらはすべて、労働者と海岸の潮間帯の両方に脅威を与える恐れがある。

スティスナ氏(インドネシア)
 提案テーマに合致していたが、予算の都合から見送りとなった多くの国内プロジェクトが示された。その中には、2008年活動として申請した「工業地域の汚染及び汚染源の分析」プロジェクトも含まれる。同時に、「南スマトラ、ムシ川の環境状況を判定するための中性子放射化分析の利用」プロジェクトも、研究技術省の2008年奨励プログラムの助成を受けられなくなった。2009年に開始する、バンテン工業地域の環境汚染に関する新プロジェクトが申請されているが、承認待ちの状態である。FNCA日本コーディネーターである町末男氏が、これらプロジェクトの潜在的重要性を伝える為、関連のインドネシアの決定権者と交渉する事を申し出た。

スハイミ・ビン・エリアス氏(マレーシア)
 サブプロジェクトと合致する2つの国内プロジェクトが示された。最初のものは、海洋環境汚染評価に関するもので、海洋堆積物の有毒な微量元素を定量し、すべての汚染物質の源を明らかにするものである。試料採取場所はサバ州、サラワク州及びイベリア半島の海岸地域に分けられた。作業協力機関として3大学、3省庁が登録されている。2番目のプロジェクトは、大気環境評価の為に大気浮遊塵を特徴づけるプログラムが継続されたものである。

プレシオサ・コラゾン・パブロア氏(フィリピン)
 バタンガス州カラカ市の石炭火力発電所地域の大気環境に関し、地衣類の一種Pyxine cocoesを生体モニターとして利用した調査が、現在実施中である。その地域で入手可能な大気粉塵と土壌試料もまた、適宜、エネルギー分散形蛍光X線分析(EDXRF)または機器中性子放射化分析(INAA)、即発ガンマ線中性子放射化分析(PGNAA)を用いて利用可能な範囲で分析される。もう一つ可能性がある調査地域は、多くの温泉がある事で知られている、ラグナ州マキリング山のロスバニョスである。比較的高い硫黄濃度が、この地域では測定されてきた。この場合に、カラカ採取時と同様の調査手順を用いる事が可能である。

シリナート・ラオハロジャナファンド氏(タイ)
 タイ内湾の海洋環境汚染を監視するプロジェクトが、中性子放射化分析及び他の関係した手法を用いて実施されている。堆積物及び生体試料を対象とし、季節ごとの変化を監視するものである。採取作業は、タイのチョンブリー州ブラパ大学理学部海洋科学部との連携協力により実施される。試料の分析はタイ原子力研究所が担当する。この情報はブラパ大学経由で州の環境当局に伝えられる。

ジアン・グエン氏(ベトナム)
 ニン・チュアン州は、ベトナム初の原子力発電所の建設予定地と考えられている。立地以前の当初の状態を評価する事を目的として、現状における海洋環境試料中の元素レベルの基礎データ集が、現在編集されている。このデータ集は、将来の海洋環境汚染負荷の変動を定量するために必要である。試料は、ニン・チュアン州のニンハイ地区及びニンピュオク地区の海岸地域から採取される予定である。堆積物、海水及び生物相が採取対象である。海洋環境試料から20以上の元素が、K0法と比較法による中性子放射化分析によって定量される見込みである。

4. 目的と目標及び実施計画に関する議論

 発表の後、提案されたサブプロジェクトが順番に議論された。これらの議論では、目的、目標、協力の潜在的可能性、分担及び目標に至るまでの計画が検討された。いずれの場合においても、潜在的最終ユーザーに焦点が当てられた。

a) 地球化学地図作成と鉱物探査
 議論で明確になったのは、このプロジェクトは、その性質上複合的なものであり、利害関係者、協力連携者及び最終ユーザーとの強力な繋がりを必要とするという事である。町氏は、鉱物探査が人類の未来にとって緊急なニーズである事を参加者に想起させた。

 3つの行動が合意された。

  • 各国代表者は自国の関連当局と打ち合せ、鉱物探査及び地球化学地図の為に如何なる国家プログラムが実施されているか把握する。そして中性子放射化分析の技術がその国家プログラムに如何に役立つかを説明する。
  • 小さな地域の調査プロジェクトでも良いので、各国代表者は、土壌・岩・堆積物の試料分析の際に中性子放射化分析を用いるプロジェクトへの参加努力をし、地球化学地図と鉱物探査にとっての、本分析技術の価値を実証する。
  • 中性子放射化分析と誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を比較する機会を模索すべきである。

 関係当局との最初の打合せ以降、サブプロジェクトに参加する意欲があるか、各国は再調査する。

b) 食品汚染物質モニタリング
 個々の国の参加可能性、対象試料の選択、活動計画の展開等の課題が議論された。要約すると、

  • 参加予定国は、インドネシア・韓国・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナムである。
  • 幾つかの食品が対象試料に選ばれた。米を共通の対象、卵を可能となる2番目の対象とする提案があった。有り得る問題として、試料となる米の前に、それを作る土壌が汚染している恐れが指摘された。ラオハロヤナファンド氏が、米の採取方法と試料調整及び分析についての実施手順の草案作りを申し入れた。ムン氏は、毎日の食事摂取を代表する混合の試料がふさわしい事を強調し、この提案はスハイミ・ビン・エリアス氏の支持を得た。
  • 分析手法は、機器中性子放射化分析にすべきである。

 確固たる結論には至らなかったが、詳細な到達目標と活動計画を作成する為に更なる議論が必要という点が合意された。ムン氏が食品プロジェクトの議論を開始し、調整を行う事が合意された。これらの議論は、参加国間のEメール連絡で行われる。

c) 環境汚染モニタリング
 「海洋堆積物」という共通課題が、参加予定国の発表とそれに続いて行われた議論により、明確化した。湾か周辺の海岸線における有毒元素の空間的変動に焦点を当てている国がある一方で、コア試料の分析から、元素濃度の時間変動を判定する事を好む国もある。松尾委員とホサイン氏が、詳細な試料採取手順を共有する事を提案した。サブプロジェクトにおいては、大陸棚から採取された海洋堆積物に特化する事が合意されたが、河口の堆積物及び海岸の試料も含める事が出来るとした。採取方法と分析手順について、全参加国が合意する事の重要性が強調された。

III. サマリーと結論

 FNC中性子放射化分析プロジェクトの第3期課題として、以下の3つのサブプロジェクトが選択された。

3.1 地球化学図作成と鉱物探査
3.2 食品汚染モニタリング
3.3 海洋堆積物内汚染物質の空間的及び時間的な変動モニタリング

 表1は、上記サブプロジェクトと関連する対象物質及び参加国を要約したものである。

 海老原主査が、全参加者に対し、参加者から得た様々な貢献と達成できた前向きな成果についての感謝を示し、ワークショップは正式に閉会した。

  表1 FNCA 中性子放射化分析プロジェクト - 第3期



2008年FNCA研究炉利用ワークショップ
研究炉基盤技術グループ
会議報告

2008年10月16日〜10月23日
ベトナム、ダラト

1.概要

 下記課題のもとに実施した前回のプロジェクトは、成功裡に平成20年3月に終了した。
「研究炉の効率的利用を安全かつ安定して行うために、炉心管理に用いる核計算技術を加盟国間で共有する。」
 本RRTプロジェクトの新テーマとなる「研究炉の安全運転のための安全解析技術の共有化」は、平成20年3月10日に東京で行われた第9回FNCAコーディネーター会合で合意された。
 今回の課題は「研究炉のRIA(反応度事故)安全解析及びLOFA(流量喪失事故)安全解析技術の共有化」である。
 プロジェクトの目的は、研究炉の効率的利用を促進するため、加盟国内で、安全で安定した研究炉運転を確保する安全解析技術を向上させ、均等化する事である。

 次の計算コードが、安全解析の共通コードに選ばれた。

(1) COOLOD-N2 :定常炉心熱水力解析コード
(2) EUREKA2/RR :核熱水力結合動特性解析コード

2. 課題

 第1回ワークショップの課題は、各国の安全解析の現状に関する情報交換、配付コードのインストール及び使用方法の紹介、計算コードのインストール及び実行のデモンストレーション、サンプル問題に関する説明である。

3. 開会式

 今回の参加者が紹介された後、日本のプロジェクトリーダー(PL)である山下主査が、第9回FNCAコーディネーター会合で合意されたRRTプロジェクトの新テーマを報告した。また、表題、目的及び添付Aに示した3年間の計画の説明に続いて、表1に示した第1回ワークショップの課題と議事を提案し、全参加者の合意を得た。

表1 第1回ワークショップの課題

  第1回ワークショップの事前準備 平成20年度第1回ワークショップ
日本 ・最低限の計算機仕様要件に関する情報の提供
・COOLOD-N2とEUREKA2/RRの取扱説明書と計算プログラムの提供
・COOLOD-N2のサンプル問題の提供
・入力データの説明を含め COOLOD-N2の実演
・サンプル問題に対する説明
参加国 ・安全解析の現状に関する情報の準備
・COOLOD-N2とEUREKA2/RRのインストール
・COOLOD-N2のサンプル問題の計算
・各国報告として安全解析の現状を発表
・インストール状況とサンプル問題の計算結果の発表

 開会式において、山下主査はこの活動を行う各研究炉の仕様を発表した。内容を、添付Bに示す。

4. 参加者

 今回のワークショップには、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、タイ及びベトナムからの代表が参加した。参加者一覧を、添付Cに示す。

5. 各国報告

(1) バングラデシュ
「バングラデシュ原子力委員会が保有する3MW TRIGA MARKII研究炉の安全解析の現状」
マフィズル・ラフマン氏

 3MW TRIGA MARKII研究炉は、1986年後半、バングラデシュのダッカ市、シャバールにある原子力研究所に設置された。炉心は、厚さ19.05cm、内径54.9cmの黒鉛反射材容器の中に六角格子形に配列された100本の燃料要素から成っている。この炉心を検証するために、以前、WIMS-CITATIONコードを使った核計算中性子束分布が行われ、後に、FNCAのRRTプロジェクトで用いるためJAEAが共通コードとして提供したSRAC及びMVPを用いた計算が再度実施された。計算コードNCTRIGAとPARETは、それぞれ、研究炉の重要な熱水力解析と非定常解析を行う際に用いられていた。2008年にFNCA-RRTプロジェクトの共通コードとしてJAEAが配付したCOOLOD-N2及びEUREKA2/RRを用いた安全計算が、将来実施されると思われる。FNCAプロジェクトにおいて、安全解析に関する知見と経験を参加国と共有する事を通し、TRIGA MARKII研究炉の熱水力解析と非定常解析について技術向上する事をバングラデシュは期待しており、また、この分野における人材育成を切望している。

(2) 中国
「中国最新研究炉(CARR)の安全解析の現状
シェン・フェン氏

 2009年6月に初臨界予定の中国改良型研究炉(CARR)は、プール内タンク型炉、軽水減速冷却、重水反射体構造である。定格出力は60MWである。最大熱中性子束は、重水反射体内において、8×1014 n・cm-2s-1である。
 核計算と熱水力解析及び非定常解析から成るCARRの安全解析は、中国核安全局が所管する計算コードと基準に従って行われている。2年前にCARRの安全解析作業は完了しており、FNCA-RRTプロジェクトにおいてJAEAが共通コードとして配付したSRAC及びMVPは、CARRのこの工程に間に合わず、用いられていない。核計算には、WIMSD4, CITATION, ORIGEN, MCNP等さまざまな計算コードが用いられた。出力分布や動特性パラメーター等の核計算結果は、熱水力解析及び過渡状態解析の入力情報として使われた。計算コードCARRCOは、燃料集合体についての、温度、圧力及び質量流量等の計算に用いられた。計算コードRELAP5/SCDAPSIM/MOD3.2は、非定常解析で使用される。RELAP5による値の確認・検証としては、RELAP5及び固有事象用に開発された非定常解析コードを用いた計算結果と合致し、更に試験ループでの実験結果と合致している事を確認している。この分析結果を用いて設計を修正し、CARRの安全特性を立証する事も可能である。計算コードCOOLOD-N2とEUREKA2/RRの提供は歓迎できるものであり、これら2つのコードを用いて補完的な安全解析を行えばCARRの更なる安全特性分析が可能と思われる。

(3) 韓国
「HANAROの安全解析プロセス」
パク・ジョンハク氏

 HANARO(Highly Advanced Neutron Application Reactor: 最新型中性子利用炉)は、上昇流軽水冷却、重水減速によるプール内上面開放タンク型研究炉である。この炉は、さまざまな中性子ビーム利用、燃料および材料試験、アイソトープ製造、中性子放射化分析や中性子ラジオグラフィーといった、国の原子力研究開発分野において増大している、高強度中性子線源の必要性を満足させるために設計された。
 HANAROは、放射線災害から個人、公衆及び環境を守るという安全目標に適合すべく、基本的安全要件となる、安全停止機能や炉の適切な冷却機能の健全性維持、また核分裂生成物の放出に対する充分な防止措置等が、確実に行われるように設計、建設及び運転がなされている。安全解析は、放射線被ばくと放射性物質の飛散を確実に許容限度未満にする事を目的とし、構成部品の設計基準を確認する事で実施された。
 HANAROの熱水力解析と安全解析には、計算コードMATRA-hとRELAP5が用いられた。MATRA-hは定常熱水力計算に用いられ、RELAP5は、非定常解析用に用いられた。様々なHANAROの安全解析によって、炉システム及び構成部品は、全ての想定事故に対して、個々の機能が健全に維持されるよう設計されている事が明らかになった。
 FNCA活動において、板状燃料を使った新型研究炉の熱水力解析と安全解析の為の知見とノウハウを、各国で共有する事を、韓国は希望する。

(4) 日本
「JRR-4(Japan Research Reactor-4)の安全解析方法の現状」
平根委員

 JRR-4は、軽水で減速及び冷却する、水泳プール型炉であり、最大熱出力は3.5MWである。JRR-4は、照射実験、シリコンへの照射、原子炉技術者の教育及び医療分野の照射に利用されている。炉心は、20本の燃料要素と5本の制御棒(4本のシム棒((粗制御棒))と1本の微調整棒)と36の反射体で構成されている。JRR-4の燃料は、アルミニウム被覆の低濃縮シリサイド(U3Si2-Al)板状燃料である。制御棒は、ボロン分散ステンレス鋼製である。反射体は、アルミニウムによる被覆及び区画を施された黒鉛でできている。
 日本における研究炉安全指針では、安全上の制限値が定められており、たとえば、限界熱流束比(DNBR)は1.5より大であること、最大中央燃料温度は400℃未満であること、主冷却装置の圧力は設計圧力の1.1倍未満であること等が示されている。
 JRR-4の安全解析と設計においては、計算コードCOOLOD(COOLOD-N2の以前のバージョン)とEUREKA2(EUREKA2/RRの以前のバージョン)が利用された。通常運転(強制対流モード及び自然対流モード)条件及び流路閉塞事象における定状熱水力解析には計算コードCOOLODが用いられてきている。一方、運転上の過渡状態及び反応度投入・ポンプのコーストダウン・商用電源喪失・流量喪失事故(LOFA)等の事故事象における過渡解析には、計算コードEUREKA2が用いられてきた。これにより、計算コードCOOLODとEUREKA2を用いた計算は、すべての安全限界に対して満足する結果となり、JRR-4の安全性が証明された。

(5) マレーシア
「1MW出力の原子炉TRIGA PUSPATI (RTP)における安全解析の現状」
ファイラス・アブドゥル・ファリド氏

 RTPは軽水減速、1MW出力のプール型研究炉である。RTPには、さまざまな照射設備とNAA(中性子放射化分析)、SANS(小角中性子散乱)、NR(中性子ラジオグラフィー)等ビーム実験の為の設備が設置されている。更に、RTPは大学の教育施設としても使われている。燃料にはゼネラル・アトミック社製のTRIGA型燃料を使っており、これは水素化ジルコニウム減速材を濃縮ウランと均一に混合したものである。RTPの炉心は、環状の黒鉛反射体を持つ円柱構造である。
 炉心には111本のステンレス鋼被覆燃料要素があり、これらは濃縮度20%の濃縮ウランを、それぞれ8.5Wt%、12Wt%含有したもの及び20Wt%含有したものである。燃料用その他には9本の黒鉛要素、4本の制御棒、2つの照射チャンネルと1つの中性子源があり、アルミニウム被覆の黒鉛反射体が、炉心周囲を覆っている。
 マレーシア原子力庁における安全解析計算としては、現在、計算コードRELAP5を用いてRTPの定常及び非定常計算に着手したところである。この計算コードは、一次元で蒸気と水の二相流モデルである。RTPのような研究炉にとっては、この計算コードはかなり複雑である。
 FNCA加盟国として、マレーシア原子力庁は、これまでFNCAプロジェクトに深い係わり合いを見せてきた。例を挙げると、前回のプロジェクトに参加し、計算コードSRACとMVPを用いてRTPの核計算を実施した。新プロジェクト「研究炉のRIA(反応度事故)安全解析及びLOFA(流量喪失事故)安全解析技術の共有化」によって、マレーシア原子力庁は、RTPの安全解析の為、熱水力計算コードCOOLOD-N2と非定常計算コードEUREKA2/RRの使用を希望する。

(6) インドネシア
「RSG-GAS炉の熱水力計算方法の現状」
ムハンマド・ダルウィス・イスナニ氏

 以前はMPR-30と呼ばれていた多目的炉RSG-GASはプール型炉であり、冷却と減速に軽水を用いている。RSG-GASは材料試験炉(MTR)型の研究炉で、低濃縮ウラン(19.75w/o)、ウラン密度2.96gU/cm3の燃料要素を使っている。炉の熱出力は30MWである。照射設備での熱中性子束は、2×1014n/cm2/sまで達する事ができる。当初は酸化物燃料(U3O8-Al)が炉心に用いられていたが、現在はシリサイド燃料(U3Si2-Al)が使われている。FNCAプロジェクトにおいて、計算コードSRACを用いた燃料管理計算が実施された。最初、二番目、三番目の各炉心と代表的運転炉心(40本の燃料要素と8本の制御棒要素)の熱水力特性と安全余裕が、計算コードHEATHYD、COOLOD-N、PLTEMPとPARET等さまざまなコードを用いて計算された。しかし計算結果では、代表的運転炉心のさまざまな数値がうまく適合しなかった。適合しなかった項目は、定格及び定格以上の出力時における炉心全域の温度と炉心中央最大燃料温度である。安全解析報告書の技術情報に関して、炉心熱水力特性とRSG-GASの代表的運転炉心の安全余裕の検討が計算コードCOOLOD-Nを用いてインターアトム社により行われた。酸化物燃料、定格出力30MW、異常出力値34.2MWの条件について計算コードCOOLOD-N AXP(大型計算機版)及びそのパソコン版コードで計算した結果、冷却材と被覆材と燃料部分の熱分布、熱流束及び発熱分布は良く合致した。これらの結果から、計算コードCOOLOD-Nは炉心熱水力特性とRSG-GASの安全余裕を決定する能力があると結論付けられる。将来、定常及び非定常におけるRSG-GASの安全解析報告を更新する際には、計算コードCOOLOD-N2とEUREKA2/RRが使用される見込みである。

(7) タイ
「タイ研究炉TRR-1/M1の安全解析の現状」
チャナティップ・ティッパヤクル氏

 研究炉TRR-1/M1(Thai Research Reactor-1/Modification 1)の安全解析は、核解析、熱水力解析及び非定常解析で構成されている。現在のTRR-1/M1の炉心は、2008年8月に炉心番号17として構成されたものである。この炉心構成の決定と解析に際し、炉心のピーキングファクターを決定するため、前回FNCA-RRTプロジェクトで原子力機構が配付した計算コードSRAC及びMVPを用いた核計算が行われた。原子力機構とタイとの二国間合意のもとに配付された計算コードCOOLOD-N2は、原子炉出力の決め手となる最大燃料温度を含めた、温度分布の解析に用いられた。SRAC、MVP及びCOOLOD-N2の使用は、新しい炉心構成の安全解析を成し遂げるための良い手法になる事が判明した。更に以前行われた活動として、タイは日本との二国間プロジェクト「TRR-1/M1の熱水力学及び非定常解析のため、COOLOD-N2とEUREKA2/RRを使用する事を含めた研究炉基盤技術」に参加した。定常条件(自然対流)でのCOOLOD-N2の計算モデルと非定常条件でのEUREKA2/RRの計算モデルが作られ、実験による妥当性確認を実施した結果、これらのモデルの正確性が充分である事が明らかとなった。
 FNCAプロジェクトにおいては、COOLOD-N2とEUREKA2/RRの計算モデルを各国との協力を通して向上させる事を、タイは望んでいる。タイはTRR-1/M1の計算モデルにこれらのコードを用いた経験はあるものの、測定値と計算値をより一層合致させるには、更に計算モデルを向上させる必要がある。COOLOD-N2の現在の計算モデルでは、まだ過大な計算値になる。計算コードCOOLOD-N2の更なる研究と計算モデルの修正は、過大評価となる事象を調査するチャンスになるだろう。更に、このFNCAプロジェクトにおいては、EUREKA2/RRの計算モデルが著しく進歩する事もあり得る。これまでに、タイは、反応度投入事象の解析のみ実施し、流量喪失及び冷却材喪失事故の解析は行っておらず、これらはTRR-1/M1の非定常解析研究にとって新しい領域となる。前述のように、これらのEUREKA2/RRの計算モデルが、FNCAプロジェクトにおいて作られるべきである。タイは、他の参加国と知見及び専門知識を交換し共有する事により、計算モデルが向上する事を信じている。FNCAの最終成果として、タイは、これらの解析を行う人員の技術能力を向上させ、将来タイに建設されるだろう動力炉の原子炉技術者に技術継承したいと思っている。

(8) ベトナム
「ダラト研究用原子炉の安全解析の現状」
ルオン・バ・ビィエン氏

 DNRR(Dalat Nuclear Research Reactor)は、軽水減速冷却のプール型炉であり、36%濃縮ウラン(HEU)を用いたVVR-M2型ウラン・アルミニウム合金型燃料と、19.75%濃縮ウラン(LEU)を用いたVVR-M2型UO2-Al分散型燃料を使用している。炉は、最大出力500kWの運転が可能である。
 DNRRの安全解析は、核解析と熱水力解析及び過渡解析で構成されている。現在のDNRRの炉心は、HEU-VVR-M2とLEU-VVR-M2の燃料集合体を使った混合炉心であり、2007年9月12日に装荷されたものである。混合炉心を解析する際、計算コードSRAC、MCNP、WIMS-ANL及びREBUSが核計算に用いられた。また、定常及び非定常熱水力条件の解析においては、計算コードCOOLOD-N2とRELAP5/MOD3.2が用いられた。計算コードSRACとCOOLOD-N2は原子力機構から提供されたものであるが、これらの使用が混合炉心装荷と、その後の燃料交換に係る安全解析を実施する良い手法になる事が分かった。また、計算コードSRAC、MVP及びCOOLOD-N2は、20MWのベトナムでの新しい多目的研究炉の想定炉心に対する安全解析に用いられている。ベトナムは、RRTプロジェクトの新しい活動となる「研究炉の安全運転の為の安全解析技術の共有」に参加する事により、計算コードCOOLOD-N2とEUREKA2/RRを用いてDNRR及び新研究炉に関する熱水力及び過渡現象の計算モデルを向上させたいと思っており、また、参加国と情報と知見を共有する事を希望する。加えて、ベトナムは研究炉の安全解析分野における、人材の技術向上を切望している。

 各国報告の要約として、現在用いられている熱水力計算コードと反応度事故解析コードを、それぞれ添付DEに示す。

6. 計算コードCOOLOD-N2の概要

 COOLOD-N2は定常時熱水力解析用の計算コードであり、日本のJRR-2、JRR-3、JRR-4及びJMTRの設計に用いられている。COOLOD-N2を用いると、定常時における、燃料温度、冷却材の温度と圧力、沸騰開始温度、核沸騰からの離脱比(DNBR)等を計算する事ができる。そして、さまざまな種類の燃料と冷却材、冷却材流動の条件を取り扱う事ができる。計算コードCOOLOD-N2では、幾つかの計算モデルとその相関が取り上げられており、計算条件に応じて適切に選択される。
 COOLODの実証の為、実験が行われた。実験では、計装付き燃料(熱電対を内蔵)を用いて、燃料温度の測定が行われた。測定結果は計算結果と合致し、これにより、COOLODの妥当性さは実証された。
 参加者から、熱伝達相関式の選び方や燃料温度の測定結果等に関する幾つかの質問があり、平根委員が回答し、参加者の理解を得た。

7. インストールとサンプル問題の実施を含めたCOOLOD-N2の実演

 平根委員が配付CDを使って、COOLOD-N2のインストール及び使用法について、説明と実演を行った。その後、サンプル入力情報を説明した。
 実演の後、バッチファイルと計算方法に関する幾つかの質問があり、平根委員が回答と助勢を行い、全ての問題は解決した。

8. COOLOD-N2の実習

 参加者は、実演と同様に、インストール及び計算の実習を行った。その後、燃料の最高温度とDNBRを計算結果から選択し、模範の計算結果との比較を行い、各自の計算は正しく行われた事が確認された。続いて、平根委員がCOOLOD-N2の入力情報の概要について説明した。
 計算結果と入力情報の意味についての幾つかの質問があり、参加者の議論により解決された。

9. COOLOD-N2使用の現状

 全ての参加国は、COOLOD-N2の使用及びコード配付用CDの受入に関する誓約書を提出した。幾つかの国ではCOOLOD-N2のインストールがうまくいかず、ワークショップ前にサンプル問題を行う事ができないでいたが、ワークショップ開催中には、すべての国が完了する事ができた。
 COOLOD-N2使用の現状を、添付Fに示す。

10. 議論とその要約

 ワークショップにおいて、各国の安全解析の現状が詳細に報告された。本来、動力炉用に開発された安全解析コードを用いていた国が幾つかあったが、それらのコードは構造が非常に複雑であったため、研究炉に転用するには不便がつきまとっていた。この為、研究炉用の使いやすい安全解析コードの登場が期待されていた。すべての国は、日本からワークショップに先立って配付されたCOOLOD-N2のインストールと実施に関する現状を発表した。インストールと実施上の幾つかの不具合は、ワークショップ期間中に参加者の協力により解決した。
 参加者は、すべてのメンバーが問題解決の為に、互いに支援し助け合う事に合意した。特に、同型の研究炉を持つ国同士の協力が、強く期待された。
 各国からのプロジェクトへの期待について、添付Gに示す。
 日本は、2009年から2010年までの将来計画を提案した。議論の後に合意された将来活動を、表2と表3に示す。

表2 平成21年度の活動

  第2回ワークショップの事前準備 平成21年度第2回ワークショップ
日本 ・EUREKA2/RRのサンプル問題の提出 ・入力情報の説明を含めたEUREKA2/RR の実演
    ・反応度事故
    ・流量喪失事故
・サンプル問題の説明
加盟国 ・COOLOD-N2を用いて自国の炉を計算
・EUREKA2/RRのサンプル問題の計算
・COOLOD-N2の計算結果の発表
・インストールの現状とEUREKA2/RRによるサンプル問題の計算結果

表3 平成22年度の活動

  第3回ワークショップの事前準備 平成22年度第3回ワークショップ
日本 ・計算に関する助言
・最終報告書の骨組み案の提示
・EUREKA2/RRによる現在の計算結果
・最終報告書の発表
加盟国 ・EUREKA2/RRを用いて、自国の炉における反応度事故及び流量喪失事故について計算
・最終報告書の準備
・プロジェクトの評価
・次期プロジェクトについての議論と提案


2008年FNCA研究炉利用ワークショップ
プログラム

2008年10月16日〜10月23日
ベトナム、ダラト


開催日 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ 2008年10月16日〜10月19日
研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ 10月19日〜10月23日
オープンセミナー 2008年10月20日
開催地 ベトナム、ダラト
主催 ベトナム原子力委員会(VAEC)
文部科学省(MEXT)
実施機関 ダラト原子力研究所(NRI)
原子力安全研究協会(NSRA)
参加国 オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム



10月16日(木) 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ
13:15-13:30 参加者登録
13:30-14:00 歓迎挨拶
 グエン・ニー・ディエン(ベトナム原子力委員会(VAEC)ダラト原子力研究所(NRI)所長)
開催挨拶
 海老原充(首都大学東京 教授)
参加者紹介
集合写真撮影
セッショッン1:カントリーレポート発表 「放射化分析活動と研究炉利用」
14:00-15:30 議長:シエド・モハメド・ホサイン
各国発表
 ブ・ドン・オ:ベトナム
 ジョン・W・ベネット:オーストラリア
<コーヒー・ブレイク>
15:30-17:00 議長:ジョン・W・ベネット
各国発表
 シエド・モハメド・ホサイン:バングラデシュ
 フアン・ドングイ:中国
 スティスナ:インドネシア

10月17日(金) 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ
9:00-12:00 議長:フアン・ドングイ
各国発表
 海老原充:日本
 ムン・ジョンファ:韓国
<コーヒー・ブレイク>
議長:スティスナ
各国発表
 スハイミ・ビン・エリアス:マレーシア
 プレシオサ・コラゾン・パブロア:フィリピン
 シリナート・ラオハロヤナファンド:タイ
12:00-13:30 昼食
セッショッン2:「新しい期の中性子放射化分析プロジェクト活動計画」
1. 地球化学図作成と鉱物探査
13:30-15:30 議長:田中剛
基調講演「プロジェクトの見通しと到達ゴール」
 オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO) 原子炉運転部
 Dr. ジョン・W・ベネット
「各国内の活動と最終ユーザーとの係わりを含んだ実施計画」
各国発表
 シエド・モハメド・ホサイン:バングラデシュ
 フアン・ドングイ:中国
 田中剛:日本
 スハイミ・ビン・エリアス:マレーシア
<コーヒー・ブレイク>
2. 食品汚染物質モニタリング
15:30-17:30 議長:スハイミ・ビン・エリアス
基調講演「プロジェクトの見通しと到達ゴール」
 韓国原子力研究所(KAERI)HANAROセンター
 Mr. ムン・ジョンファ
「各国内の活動と最終ユーザーとの係わりを含んだ実施計画」
各国発表
 シエド・モハメド・ホサイン:バングラデシュ
 スティスナ:インドネシア
 スハイミ・ビン・エリアス:マレーシア
 シリナート・ラオハロヤナファンド:タイ

10月18日(土) 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ
3. 環境汚染モニタリング
9:00-12:30 議長:シリナート・ラオハロヤナファンド
基調講演「プロジェクトの見通しと到達ゴール」
 東京大学大学院 総合文化研究科
 松尾基之教授
「各国内の活動と最終ユーザーとの係わりを含んだ実施計画」
各国発表
 シエド・モハメド・ホサイン:バングラデシュ
<コーヒー・ブレイク>
議長:ジアン・グエン
各国発表
 スティスナ:インドネシア
 スハイミ・ビン・エリアス:マレーシア
 プレシオサ・コラゾン・パブロア:フィリピン
 ジアン・グエン:ベトナム
12:00-13:30 昼食
4. 目的と目標及び実施計画に関する議論
14:30-15:15 議長:海老原充
特別講演「原子力利用を通して行うアジアの発展の為のFNCA活動」
 FNCA日本コーディネーター 町末男氏
<コーヒー・ブレイク>
15:15-17:15 ディスカッション

10月19日(日) 中性子放射化分析(NAA)ワークショップ
5. サマリーと結論
10:30-12:00 議長:海老原充
ディスカッション
閉会
12:00-14:00 昼食
14:00-17:00 施設訪問 ダラト原子力研究所(NRI)視察

10月20日(月) オープンセミナー(NAA・RRT共同開催)
8:15-12:00 講演
「FNCA各国と日本の原子力エネルギー政策及び計画」
 町末男氏(日本)
「持続可能な発展のためのベトナムの原子力政策と計画」
 ホアン・アブ・タン氏(ベトナム)
「OPAL研究用原子炉とその利用」
 ジョン・ウィリアム・ベネット氏(オーストラリア)
「日本原子力研究開発機構における研究炉利用の展望」
 山下清信(日本)
「地球環境評価と鉱物資源探査のための中性子放射化分析の利用」
 田中剛氏(日本)

10月19日(日) 研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ
13:15-13:45 参加者登録
13:45-15:15 歓迎挨拶
 グエン・ニー・ディエン(ベトナム原子力委員会(VAEC)ダラト原子力研究所(NRI)所長)
特別講演「原子力利用を通して行うアジアの発展の為のFNCA活動」
 FNCA日本コーディネーター 町末男氏
開催挨拶
 山下清信(日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター 原子力科学研究所研究炉加速管理部長)
参加者紹介
  集合写真撮影
<コーヒー・ブレイク>
1. 各国の研究炉の安全解析の現状
15:30-17:00 議長:加藤友章
各国発表
 マフィズル・ラフマン:バングラデシュ
 シェン・フォン:中国
 ムハンマド・ダルウィス・イスナニ:インドネシア

10月20日(月) オープンセミナー(NAA・RRT共同開催)
8:15-12:00 講演
「FNCA各国と日本の原子力エネルギー政策及び計画」
 町末男氏(日本)
「持続可能な発展のためのベトナムの原子力政策と計画」
 ホアン・アブ・タン氏(ベトナム)
「OPAL研究用原子炉とその利用」
 ジョン・ウィリアム・ベネット氏(オーストラリア)
「日本原子力研究開発機構における研究炉利用の展望」
 山下清信(日本)
「地球環境評価と鉱物資源探査のための中性子放射化分析の利用」
 田中剛氏(日本)
12:00-13:30 昼食

10月20日(月) 研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ
引き続き 各国の研究炉の安全解析の現状
13:30-17:00 議長:シェン・フォン
各国発表
 平根伸彦:日本
 パク・ジョンハク:韓国
 ファイラス・アブドゥル・ファリド:マレーシア
<コーヒー・ブレイク>
議長:パク・ジョンハク
各国発表
 シャナティップ・ティッパヤクル:タイ
 ルオン・バ・ビィエン:ベトナム
ディスカッション

10月21日(火) 研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ
2. 計算コードCOOLOD-N2の説明と実演
9:00-9:45 議長:加藤友章
サマリーレポート掲載用、各国の研究炉及び安全解析に関する諸データ回収
9:45-11:20 議長:シャナティップ・ティッパヤクル
講演「計算コードCOOLOD-N2の概要とインプットデータに関する指示」
実演「計算コードCOOLOD-N2のインストールとサンプル問題の解析」
 日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター 原子力科学研究所
 研究炉加速器管理部 平根伸彦
<コーヒー・ブレイク>
3. COOLOD-N2のインストールとサンプル問題実施について各国報告
11:20-12:00 議長:ファイラス・アブドゥル・ファリド
各国報告
 マフィズル・ラフマン:バングラデシュ
 シェン・フォン:中国
 パク・ジョンハク:韓国
 ムハンマド・ダルウィス・イスナニ:インドネシア
12:00-13:30 昼食
13:30-14:30 議長:マフィズル・ラフマン
各国報告
 ファイラス・アブドゥル・ファリド:マレーシア
 シャナティップ・ティッパヤクル:タイ
 ルオン・バ・ビィエン:ベトナム
<コーヒー・ブレイク>
4. COOLOD-N2の実習
15:00-16:00 議長:ムハンマド・ダルウィス・イスナニ
実演「COOLOD-N2の実習」
 日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター 原子力科学研究所
 研究炉加速器管理部 平根伸彦
5. COOLOD-N2使用の現状のまとめ
16:00-17:30 各国におけるCOOLOD-N2のインストール状況表を作成

10月22日(水) 研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ
6. サマリーレポートの草稿
9:00-11:00 議長:山下清信、グエン・ニー・ディエン
<コーヒー・ブレイク>
7. 来年度の計画に関する討論
11:00-12:30 議長:山下清信、グエン・ニー・ディエン
12:30-14:00 昼食
14:00-17:00 施設訪問 ダラト原子力研究所(NRI)視察

10月23日(木) 研究炉基盤技術(RRT)ワークショップ
8. サマリー報告
9:00-12:00 議長:山下清信
ディスカッション
<コーヒー・ブレイク>
閉会

2008年FNCA研究炉利用ワークショップ
参加者リスト

2008年10月16日〜10月23日
ベトナム、ダラト

中性子放射化分析グループ
氏名 所属
オーストラリア Dr. John William BENNETT

Leader, Neutron Activation Group, Reactor Operations
Australian Nuclear Science and Technology Organisation (ANSTO)

バングラデシュ Dr. Syed Mohammod Hossain

Principal Scientific Officer
Institute of Nuclear Science and Technology (INST) Atomic Energy Research Estabulishment (Savar) (AERE) Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)

中国 Dr. Huang Donghui

Engineer
China Institute of Atomic Energy (CIAE)

インドネシア Mr. Sutisna

Researcher
Center for Technology of Nuclear
National Nuclear Energy Agency of Indonesia (BATAN)

日本 Prof. Mitsuru Ebihara Professor, Division of Chemistry,
Graduate School of Science Tokyo Metropolitan University
Prof. Tsuyoshi Tanaka Professor, Geochemistry and Cosmochemistry, School of Science,
Nagoya University
Prof. Motoyuki Matsuo

Professor, Department of Chemistry, Graduate School of Arts and Sciences,
The University of Tokyo

Dr. Sueo Machi

FNCA Coordinator of Japan
Adviser to Ministry of Education, Culture, Sports,

Mr. Takehiko Kato

Project Manager, International Affairs and Research Association
Nuclear Safety Research Association (NSRA)

韓国 Mr. Jong-Hwa Moon

Senior Researcher, HANARO Utilization Technology Development Center, HANARO Application Researches,
Korea Atomic Energy Research Institute (KAERI)

マレーシア Mr. MD SUHAIMI BIN ELIAS

Research Officer
Waste and Environmental Technology Division
Malaysian Nuclear Agency (Nuclear Malaysia)

フィリピン Ms. Preciosa Corazon B. Pabroa

Science Research Specialist II
the Analytical Measurements
Research Section
Philippine Nuclear Research Institute (PNRI)

タイ Mrs. Sirinart Laoharojanaphand

Nuclear Scientist, Director of Research and Development Division
Thailand Institute of Nuclear Technology (TINT)

ベトナム Mr. Vu Dong Cao

Dalat Nuclear Research Institute (NRI)
Vietnam Atomic Energy Commission (VAEC)

Mr. Giang Nguyen

Dalat Nuclear Research Institute (NRI)
Vietnam Atomic Energy Commission (VAEC)


研究炉基盤技術グループ
氏名 所属
バングラデシュ Dr. Mafizur Rahman

Chief Scientific Officer and Head
Reactor Physics and Engineering Division (RPED), Institute of Nuclear Science & Technology (INST), Atomic Energy Research Establishment (AERE), BAEC

中国 Dr. Shen Feng

Director of theoretical design sector of CIAE
China Institute of Atomic Energy (CIAE)

インドネシア Mr. Muhammad Darwis Isnaini

Researcher Staff
Reactor System and Thermal Hydraulics Group
Reactor Technology and Physics Division
Center for Reactor Technology and Nuclear Safety
National Nuclear Energy Agency (BATAN)

日本 Mr. Yamashita Kiyonobu Director of Department
Department of Research Reactors and Tandem Accelerator
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)
Mr. Tomoaki Kato Chief of Sub-section
JRR-3 Operation Section,
Department of Research Reactor and Tandem Accelerator,
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)
Mr. Nobuhiko Hirane

Researcher
JRR-4 Operation Section, Department of Research Reactors and Tandem Accelerator, Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Mr. Takehiko KATO

Project Manager
International Affairs and Research Association,
Nuclear Safety Research Association (NSRA)

韓国 Dr. Jonghark Park

Senior Researcher
Korea Atomic Energy Research Institute (KAERI)

マレーシア Mr. Mohd Fairus Abdul Farid

Manager, Reactor Engineering Section
Reactor Engineering Section, Nuclear Power Division Malaysian Nuclear Agency (Nuclear Malaysia)

タイ Mr. Chanatip Tippayakul

Nuclear Engineer,
Thailand Institute of Nuclear Technology (TINT)

ベトナム Mr. Luong Ba Vien

Director of Reactor Center,
Nuclear Research Institute, Vietnam Atomic Energy Commission, Nuclear Research Institute (NRI), VAEC

Mr. Le Quang Trung

Researcher, Reactor Center,
Nuclear Research Institute, Vietnam Atomic Energy Commission, Nuclear Research Institute (NRI), VAEC



概要  会議報告 NAARRT  プログラム   参加者リスト(英文)

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