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原子力安全マネジメントシステム ワークショップ

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ワークショップ

FNCA 2009 原子力安全マネジメントシステムワークショップ

2009年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
概要

2010年2月9-11日
オーストラリア、シドニー


2009年度原子力安全マネジメントシステムプロジェクトのワークショップが、オーストラリアのシドニーで、2010年2月9日〜11日の3日間開催され、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの10ヵ国から専門家が参加しました。

【ワークショップ概要】

 オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)専務理事Dr. Ron HUTCHINGSにより参加者への歓迎及び開会の言葉が述べられ、ワークショップの背景が説明された。原子力安全管理システム(SMS)プロジェクトは原子力安全文化(NSC)プロジェクトに代わり発足し、第10回コーディネーター会合で承認された。
 主導国であるオーストラリアのプロジェクトリーダー、Mr. Basil Ellis(ANSTO)が、ワークショップにおける活動概要を説明した。

 NSCプロジェクトのオーストラリアリーダーであった、Mr. Simon Bastinが、前プロジェクトの概要についてプレゼンテーションを行い、SMSプロジェクトの背景をさらに掘り下げた。

 参加者はカントリーレポートとして、各国の組織、原子力施設、安全管理システムの概要について、興味深い発表を行った。カントリーレポートの内容は添付3に掲載される。

 プロジェクトの参考・指針となるような文書について検討が行われた。Code of ConductやSafety Fundamentalsなどを含め、安全管理システムに関する情報を掲載する有益なIAEA文書は多数あるが、Safety Guide GS-G-3.1 on Application of the Management System for Facilities and Activitiesが、プロジェクトにとってより実用的な指針を与えるであろうことが確認された。この他に、ISO9001、ISO14001、OHSAS18001などの文書を参照し、現代的なマネジメントシステムに対応するためこれらの文書を参考にしながら、NSCプロジェクトで開発されたSMSツールと指針を発展させていくことが重要であると参加者たちは確認した。

 ANSTOの安全の専門家が、原子力施設内の安全マネジメントシステムの例についてプレゼンテーションを行った。Mr. Hefin GriffithsとMs. Maria Petrouは、活動にハイレベルな体制と必要条件を与えている、ANSTOの労働安全衛生(OHSE)マネジメントについて概説した。OPAL研究炉、ANSTOの施設、またANSTOにおける諸活動では、OHSEマネジメントを遵守しなくてはならない。Mr. Griffithsはワークショップ参加者がANSTOのOHSE文書を利用し、またアレンジ出来るよう申し出た。

 Mr. James Keeneが、ANSTOにおいてハイレベルなOHSEシステムに関連し、またOPAL研究炉の規制条件を含め具体的な安全マネジメント要件を実行する、原子炉運転部門のマネジメントシステムについて説明を行った。Mr. Ellisは後に品質・安全・環境・ビジネス・財務など、様々なマネジメントシステムが統合の過程にあることを述べた。

 原子炉運転部門の責任者であるDr. Greg Storrは、NSCプロジェクトを含め、アジア諸国との協力の下に実施したANSTOの過去の活動について言及した。アジア原子力安全ネットワーク(ANSN)研究炉安全管理トピカルグループのオーストリアリーダーであるDr. StorrはANSNの目的とその活動について、簡単な説明を行った。Dr. StorrはANSNとSMSプロジェクトが、活動の重複を避け、知識を共有することで協力することを推奨し、そのための方策が議論された。ANSN研究炉安全管理トピカルグループとの交流について、参加者はワークショップ報告をANSNに提供すること、ANSN研究炉安全トピカルグループのリーダーをSMSワークショップに招くことなどに合意した。

 オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)のMr. Ian Grahamが規制機関の役割について説明を行った。どの規制条件をSMSプロジェクトの指針とするべきか、議論が展開された。Mr. Grahamは他機関の安全マネジメントシステム実施のケーススタディについても、発表を行った。

 安全マネジメントシステム評価プロセス及びSelf Assessment(自己評価)・ピアレビューのツールについて計画・開発することが、ワークショップにおける重要な課題であった。このツールは各国の組織において安全マネジメントシステムの自己評価を行う際に使用されることとなる。同時に、プロジェクト参加国によって構成されたピアレビューチームが、同意した国の機関においてピアレビューを実施する際、使用される。

 Mr. Bastinは、前のNSCプロジェクトでどのようにプロセスとツールを開発したかについて、発表を行った。NSCプロジェクトでは、安全文化を推進し評価するツールとして、attitudinal surveys、key indicators及び自己評価・ピアレビューのツールを使用した。Mr. Bastinによると、NSCの自己評価・ピアレビューのツールは、IAEAのガイダンス文書を基に独自に開発され、その後2008年の最終バージョンに至るまで、相当改良を重ねたということである。NSCのツールでは安全文化、また放射線防護などのより実用的な事柄に関する質問を取り扱った。なぜならこれらを管理するシステムは、組織内の安全対策を反映するためである。

 中部電力の倉田聡氏が、原子力技術協会(JANTI)の浜田潤氏に代わり、JANTIのピアレビューのプロセスに関するプレゼンテーションを行った。JANTIのピアレビューは、改善を必要とする分野と長所を特定することによって、安全と信頼性を向上させることを目的としている。品質監査がしばしば最低限の要求事項について評価を行うのに対し、ピアレビューはベストプラクティスを評価することで改善すべき分野を特定するため、有効であることが述べられた。

 ワークショップ参加者は、NSCにおける自己評価・ピアレビューツールを精査し、SMSプロジェクトの形式にも適しているということに賛同した。いくつかの質問のテーマは、SMSの評価にも利用することができる。参加者は、NSCプロジェクトのピアレビュー報告書がSMSプロジェクトに有用であり、可能であればアレンジを行うことにも同意した。また参加者はIAEA GS-G-3.1などを参照し、ツールに含めるその他の情報について検討した。ワークショップ後に、これらの情報はSMSの自己評価・ピアレビューツールのドラフトとして統合され、参加者に回覧され、改良の後決定されることとなった。

 今回は第1回のワークショップであったため、プロジェクトの対象と目的について検討が行われた。第10回コーディネーター会合においてDr. Ron Cameronが提案したプロジェクトの対象は研究炉施設であったが、本ワークショップにおいて、研究炉に主眼を置きながらも、原子力施設へと対象を一般化させることとなった。またプロジェクトの目的についても、ワーキンググループ及び施設のバックグラウンドを反映し、微修正することが必要とされた。これらの変更を施した新しいプロジェクトの対象と目的は、添付4に掲載される。

 SMSプロジェクトの将来活動に関するセッションも行われた。主要な議題は、ピアレビューとワークショップを分離して行うか、または続けて行うかということであった。NSCプロジェクトではどちらの手法も試されたので、NSCプロジェクトの関係者が双方の長短について説明した。

 少人数でピアレビューを実施し、ある程度時間が経ってからワークショップを開催する場合、ピアレビューで提起された改善提案をどのようにフォローしたかについて、検討することが可能である。一方で、ピアレビューに参加しないワークショップのみの参加者は十分な情報を得られないという短所もある。ピアレビューとワークショップを続けて開催する場合は、すべての参加者がピアレビューのプロセスを知ることが出来るため、SMSプロジェクトにとってより適切であるとされた。Mr. Ellisは、継続的に改善を行うというマネジメントシステムの理念に従い、今回決まったピアレビュー及びワークショップの実施方法も、将来的に変更される可能性があると述べた。

 次回ワークショップの開催国についても検討された。今回が第1回ワークショップであったため、参加者にとって次回開催国になることを確約することは困難であったが、数人は将来的にアレンジが可能になった時、ピアレビューとそれに続くワークショップの開催国となることに意欲を見せた。開催国は今後のプロジェクトワーキンググループにおける話し合いによって決定される。

【その他の活動】

 Lucas Heights siteの主要地域におけるテクニカルビジットが実施された。まず参加者は、HIFAR炉の後継であり、20MWプール型多目的炉であるOPAL炉を訪れた。OPAL炉は主に放射性医薬品用のラジオアイソトープ製造と、近隣施設における研究のために使用する熱中性子線及び冷中性子線を提供するために使用されている。また、現代的な中性子研究施設と、放射性廃棄物管理施設、その他の研究棟も訪問した。

【結論】

ワークショップは成功に終わり、有益で得るところの多いものであった。
NSCプロジェクトで使用された自己評価・ピアレビューツールの形式はSMSプロジェクトの適切な出発点であり、将来ワーキンググループによって、論理的に改良される。
開催国の同意と予算に従い、調整可能な時期にピアレビューとワークショップを開催する。
ANSN研究炉安全管理トピカルグループの代表者をワークショップに招くなどして、ANSNとの協力を進める。



2009年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
プログラム

2010年2月9-11日
オーストラリア、シドニー


1日目 2月9日火曜日

09:00-10:20 ワークショップ及びプロジェクト概要紹介
10:20-10:40 コーヒーブレイク
記念写真撮影
10:40-12:30 カントリーレポート発表
12:30-13:30 ランチ
13:30-15:20 カントリーレポート(続き)
15:20-15:40 コーヒーブレイク
15:40-17:00 安全マネジメントシステム指針・参考文書検討

2日目 2月10日水曜日

09:00-10:50 Lucas Heights siteツアー
10:50-11:10 コーヒーブレイク
11:10-12:30 ・「ANSTOにおける安全マネジメントシステム」
 プレゼンテーション及び議論
・「OPAL炉における安全マネジメントシステム」
 プレゼンテーション及び議論
12:30-13:30 ランチ
13:30-15:20 ・「ANSNとの協力について」
 プレゼンテーション及び議論
・ARPANSA
15:20-15:40 コーヒーブレイク
15:40-17:00 安全マネジメントシステム自己評価及びピアレビューツールに関する議論
19:40 Workshop dinner hosted by ANSTO

3日目 2月11日木曜日

09:00-10:30 OPAL炉ツアー
10:30-10:50 コーヒーブレイク
10:50-12:30 安全マネジメントシステム自己評価及びピアレビューツールに関する議論(続き)
12:30-13:30 ランチ
12:30-15:20 プロジェクトの将来計画
15:20-15:40 コーヒーブレイク
15:40-16:30 WS総括・結論


2009年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
参加者リスト

2010年2月9-11日
オーストラリア、シドニー


AUSTRALIA

Mr Basil Ellis
Senior Safety and Reliability Adviser,
Systems Safety and Reliability,
ANSTO

BANGLADESH

Dr. Shaikh Md. Yunus
Chief Scientific Officer, Reactor and Neutron Physics Division,
Bangladesh Atomic Energy Commission

CHINA

Dr Yin Zaizhe
Head, Office of Radiation Protection,
Institute of Nuclear and New Energy Technology (INET),
Tsinghua University Beijing

INDONESIA

Dr. Djoko Hari Nugroho
Head, Division of Development for Nuclear Safety Technology,
Center for Reactor Technology and Nuclear Safety - BATAN

JAPAN

Dr Takehiko Nakamura
Group Leader, Fuels & Materials Irradiation Research Group,
Nuclear Safety Research Center,
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Mr Satoshi Kurata
General Manager, Quality Assurance Section, Nuclear Power Department,
Power Generation Division, Chubu Electric Power Co. Inc.

Dr Ken Nakajima
Professor, Research Reactor Institute,
Kyoto University

Ms Eiko Senami
Researcher, Office of International Relations,
Nuclear Safety Division, Science and Technology Policy Bureau,
Ministry of Education, Culture, Sports, Science & Technology (MEXT)

Ms Aiko Nagai
International Affairs & Research Department,
Nuclear Safety Research Association

KOREA

Mr Hoan Sung Jung
Manager of Safety Management, HANARO Management Division,
Korea Atomic Energy Research Institute

MALAYSIA

Mr Khairuddin B. Mohamad Kontol
Manager for Health Physics Group,
Division of Radiation Health & Safety,
Malaysian Nuclear Agency (Nuclear Malaysia)

PHILIPPINES

Dr Vangeline K. Parami
Head, Licensing Review and Evaluation Section Project,
Nuclear Regulations Licensing and Safeguards Division,
Philippine Nuclear Research Institute

THAILAND

Mr Narin Klaysuban
Head, Reactor Management Section,
Nuclear Technology & Reactor Operations,
Thailand Institute of Nuclear Technology

VIETNAM

Dr Nguyen Nhi Dien
Director, Nuclear Research Institute,
Vietnam Atomic Energy Institute


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