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放射線治療 ワークショップ

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ワークショップ

FNCA 2004 放射線治療ワークショップ

2004年12月14日〜17日
タイ・バンコク市ナライ・ホテル




背景:

 2004年3月の第5回FNCA(アジア原子力協力フォーラム)コーディネーター会合ならびに2004年12月の第5回FNCA大臣級会合の合意に基づき、タイのバンコク市でFNCA2004放射線治療ワークショップが開催された。このワークショップは日本の文部科学省(MEXT)とタイの放射線医学腫瘍学会(THASTRO)、マヒドン大学医学部シリラジ病院の共催、日本原子力産業会議(JAIF)の協力で開催された。
 FNCA8カ国、すなわち中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、べトナムの代表が参加した。



開会式:
 シリラジ病院の Dr.Yaowalak Chansilpa がモデレータを務めた。同じくマヒドン大学シリラジ病院放射線科長の Dr. Suthsak Suthipongchai 、ついで THASTRO 会長の Dr.Yongyut Kongthanarat が歓迎の辞を述べた 。次に MEXT の清水美和子氏、タイ原子力庁( OAP )長官の Pathom Yamkate氏、最後に放射線医学総合研究所( NIRS )の辻井博彦博士が挨拶した。



Dr.Yongyut Kongthanarat が「タイにおける放射線治療の現状」と題する
特別講演を行ない、その中で放射線治療医の不足を強調した。




セッション1:「加速多分割照射( AHF )
プロトコル( CERVIX- U)による子宮頚がん治療」

 2004年12月までの、 CERVIX- U研究に関する103名の適格患者の追跡調査データが発表された。 4年の全生存率と局所制御率はそれぞれ77%ならびに84%であった。急性ならびに晩発性有害事象は容認できうるものであった。これらの患者の追跡調査を少なくとも今後さらに2年間行ないプロトコルを完結することが同意された。

セッション2:「子宮頚がんの化学放射線療法(CRT)プロトコル」

 各国から第 II 相研究に関する現況の発表があった。全参加国からの 35 名の患者のサマリーの発表もあった。登録された患者数は計画された患者数に比べて依然少ないので、引き続いての登録が勧奨された。討議された課題には以下のものが含まれる。
 (1) 急性抗がん剤副作用を最小限にするための適切な緩和スケジュール
 (2) 第T相研究からの適格な患者のデータを含むことの同意
 (3)FIGO 病期診断には含まれていないが、異状大静脈リンパ節を CT スキャンで評価することの将来の研究での必要性






セッション 3:上咽頭がん( NPC )化学放射線療法( CRT )プロトコル」

 化学療法と放射線療法の組み合わせ臨床試行のレビューを行なった。各国から、 NPC の同時併用 CRT のパイロット・スタディの結果の発表があった。
 このパイロット・スタディのデータの蓄積から、プロトコルには投薬上の問題がなく次のフェーズで使用できることがわかった。
 新しい臨床試行の提案がいくつか出され討議した。フィージビリティ調査に基づき、 NPC の診断ならびに治療に用いる装置の状況をレビューした。


セッション 4:「 NPC の新しい化学放射線療法( CRT )プロトコル」

 CT シミュレータを用いた NPC 治療計画と最適照射野の発表があった。さらに NPC の化学放射線療法ならびに肺がんのアジュバント化学療法の CRT 試行に関する文献レビューも行なった。
 NPC のふたつのプロトコルが合意された。
 (1) N2-N3 疾患に関する第U相試行 (NPC-I)
 (2)N0-1 病期V〜W B 疾患( NPC- U)のための第V相試行
第U相試行のための適格患者数は 25 名と思われる。第V相試行は第U相試行の評価が終了してから開始するが、必要な患者数はそれまでに計算する。


セッション5:「放射線量の品質保証 / 品質管理( QA/QC )」

 小線源治療の物理学的な品質保証/品質管理 (QA/QC) のための合同実施調査の測定手法の内容と手順マニュアルの発表があった。 5カ国( 2003 年のフィリピン、タイ、ベトナム、また 2004 年の日本、韓国)の訪問先病院での測定結果は受容できるものであった。こういった線量 QA/QC のための相互訪問の重要性が再度強調された。残っている各国(マレーシア、インドネシア、中国)での同様のQA/QC 活動は、暫定的に 2005年9月〜10月に予定された。各国では 2 機間を調査するが、日本および幾つかの参加国の医学物理士がこれらの訪問に加わることを予定している。


セッション 6:「将来計画と関連する活動」

 将来の計画が討議され承認された。これらには以下の事項が含まれる。
 (1) NPC- Tプロトコル(に基づく共同研究)は 2005 年 3 月までに開始する。
    次回ワークショップまでに結果を評価するには、迅速な実施が必要である。
 (2) 次回ワークショップで討議するための、 CERVIX- Vに引き続く子宮頚がんの第V相試行
 (3) NPC での腫瘍マーカーの可能な評価
 (4) 将来の試行に耳鼻咽喉科医と腫瘍内科医の参加の可能性

公開講座:

 ワークショップの一部として、オープン・レクチャーを開催した。現地から医師、医学物理士、研究者を含む 34 名の参加があった。セッションは、辻井博彦博士の挨拶で始まり、 FNCA (ワークショップ)参加者の 4 編の発表があった。セッションの最後に Dr. Yongyut Kongthanarat が閉会挨拶を行なった。

       


セッション7:「 FNCA 放射線治療プロジェクトの評価」

 本プロジェクトの全般的活動の評価を行なった。報告は修正の後採択された。

セッション8:「ワークショップ議事録の起草」

 議事録草案が討議され、修正の後採択された。


閉会式典

 参加者は MEXT 、 THASTRO 、シリラジ病院、本ワークショップを組織した現地スタッフ、また JAIF に感謝を表した。また参加者は本プロジェクトに対する日本政府からの引き続く支援に感謝を表した。閉会挨拶の中で辻井博彦博士は、ホスト機関と参加者への謝意を表し、また将来のプロジェクトへの期待を述べた。





議事録(仮訳)

2004年12月14日〜17日
タイ・バンコク市ナライ・ホテル


(1)2004年3月の第5回FNCA(アジア原子力協力フォーラム)コーディネーター会合ならびに2004年12月の第5回FNCA大臣級会合の合意に基づき、タイのバンコク市でFNCA2004放射線治療ワークショップが開催された。このワークショップは日本の文部科学省(MEXT)とタイの放射線腫瘍学会(THASTRO)、マヒドン大学医学部シリラジ病院の共催、日本原子力産業会議(JAIF)の協力で開催された。
FNCA8カ国、すなわち中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、べトナムの代表が参加した。


開会式典


(2)シリラジ病院のDr.Yaowalak Chansilpaがモデレータを務めた。同じくマヒドン大学シリラジ病院放射線科長のDr. Suthsak Suthipongchai、ついでTHASTRO会長のDr.Yongyut Kongthanaratが歓迎の辞を述べた。次にMEXTの清水美和子氏、タイ原子力庁(OAP)長官のPathom Yamkate氏、最後に放射線医学総合研究所(NIRS)の辻井博彦博士が挨拶した。
(3) Dr.Yongyut Kongthanaratが「タイにおける放射線治療の現状」と題する特別講演を行ない、その中で放射線治療医の不足を強調した。
ワークショップ日程が採択され、議長も選出された。

セッション1:「加速多分割照射(AHF)プロトコル(CERVIX-U)による子宮頚がん治療」

(4) CERVIX-U研究に関する103名の適格患者の2004年12月までの追跡調査データが発表された。4年の全生存率と局所制御率はそれぞれ77%ならびに84%であった。急性ならびに晩発性有害事象は容認できうるものであった。これらの患者の追跡調査を少なくとも今後さらに2年間行ないプロトコルを完結することが同意された。

セッション2:「子宮頚がんの化学放射線療法(CRT)プロトコル」

(5)各国から第II相研究に関する現況の発表があった。35名の全患者をまとめた発表もあった。登録された患者数は計画された患者数に比べて依然少ないので、引き続いての登録が勧奨された。討議された議題には以下のものが含まれる。
i) 急性抗がん剤副作用を最小限にするための適切な水分附加スケジュール
ii) 第T相研究からの適格な患者のデータを含むことの同意
iii)FIGO病期診断には含まれていないが、大静脈傍リンパ節をCTスキャンで評価することの将来の研究での必要性


セッション3:「上咽頭がん(NPC)化学放射線療法(CRT)プロトコル」


(6)化学療法と放射線療法の組み合わせ臨床試行のレビューが行われた。各国から、NPCの同時併用CRTのパイロット・スタディの結果の発表があった。
このパイロット・スタディのデータの蓄積から、プロトコルには投薬上の問題がなく次のフェーズで使用できることがわかった。
(7)新しい臨床試行の提案がいくつか出され討議した。フィージビリティ調査に基づき、NPCの診断ならびに治療に用いる装置の状況が報告された。

セッション4:「NPCの新しい化学放射線療法(CRT)プロトコル」

(8)CTシミュレータを用いたNPC治療計画と最適照射野の発表があった。さらにNPCの化学放射線療法ならびに肺がんのアジュバント化学療法のCRT試行に関する文献レビューも行なわれた。
(9)NPCのふたつのプロトコルが合意された。
1.N2-N3疾患に関する第U相試行(NPC-I)
2.N0-1病期V〜WB疾患(NPC-U)のための第V相試行
第U相試行のための適格患者数は25名と思われる。第V相試行は第U相試行の評価が終了してから開始するが、必要な患者数は後日、計算する。

セッション5:「放射線量の品質保証/品質管理(QA/QC)」

(10)小線源治療の物理学的な品質保証/品質管理(QA/QC)のための合同実施調査の測定手法の内容と手順マニュアルの発表があった。5カ国(2003年のフィリピン、タイ、ベトナム、また2004年の日本、韓国)の訪問先病院での測定結果は受容できるものであった。こういった線量QA/QCのための相互訪問の重要性が再強調された。残っている各国(マレーシア、インドネシア、中国)での同様のQA/QC活動は、暫定的に2005年9月〜10月に予定された。各国では2機間を調査するが、日本および幾つかの参加国の医学物理士がこれらの訪問に加わることを予定している。

セッション6:「将来計画と関連する活動」

(11)将来の計画が討議され承認された。これらには以下の事項が含まれる。
・ NPC-Tプロトコル(に基づく共同研究)は2005年3月までに開始する。次回ワークショップまでに結果を評価するには、迅速な実施が必要である。
・ 次回ワークショップで討議するための、CERVIX-Vに引き続く子宮頚がんの第V相試行
・ NPCでの腫瘍マーカーによる評価の可能性
・ 将来の試行に耳鼻咽喉科医と腫瘍内科医の参加の可能性
(12)ワークショップ参加者は、外照射治療にQA/QCを拡大するため、医学物理士グループの新しい活動計画を要請した。
(13)ワークショップ参加者は、韓国政府の同意を条件に、次回ワークショップ開催地として韓国を勧告した。

オープン・レクチャー

(14)ワークショップの一部として、オープン・レクチャーを開催した。現地から医師、医学物理士、研究者を含む34名の参加があった。セッションは、辻井博彦博士の挨拶で始まり、FNCA(ワークショップ)参加者の4編の発表があった。セッションの最後にDr. Yongyut Kongthanaratが閉会挨拶を行なった。

セッション7:「FNCA放射線治療プロジェクトの評価」

(15)本プロジェクトの全般的活動の評価を行なった。報告草案は修正の後採択された。

セッション8:「ワークショップ議事録の起草」

(16)議事録草案が討議され、修正の後採択された。

閉会式典

(17)(ワークショップ)参加者はMEXT、THASTRO、シリラジ病院、本ワークショップを組織した現地スタッフ、またJAIFに感謝を表した。また参加者は本プロジェクトに対する日本政府からの引き続く支援に感謝を表した。閉会挨拶の中で辻井博彦博士は、ホスト機関と参加者への謝意を表し、また将来のプロジェクトへの期待を述べた。

施設訪問

(18)(ワークショップ)参加者はマヒドン大学医学部シリラジ病院への施設訪問を行なった。



プログラム


■主催: タイ医学放射線腫瘍学会
      マヒドール大学医学部附属シリライ病院
      文部科学省
■協力: 社団法人日本原子力産業会議
■日程: 2004年12月14日〜17日
■会場: ナライホテル
      マヒドール大学医学部附属シリライ病院(施設見学)
■宿泊: ナライホテル、タイ 1050 バンコク シロム通り222
      Phone: +66-2-237-0100, FAX: +66-2-236-7161


12月13日月曜日  バンコク ドン・ムアン空港着 ナライホテルに移動

12月14日火曜日
08:00-8:30 登録受付
08:30-09:40 開会セッション
特別講演:タイの放射線治療の現状
09:40-10:10 セッション 1: 子宮頚がんに対する加速多分割放射線療法による治療患者の追跡調査(CERVIX-II)
09:40-09:55 1) 追跡データの発表
09:55-10:10 2) 討議
10:10-10:30 <休憩>
10:30-12:30 セッション 2: 子宮頚がんに対する化学放射線療法(CERVIX-III)
10:30-11:40 1) 各国の臨床データ発表
2) 臨床データのまとめ
11:40-12:30 3) 討議
12:30-13:30 <昼食>
13:30-15:00 セッション 3-1: 上咽頭がんに対する化学放射線療法
1) 同時併用/アジュバント化学療法の臨床研究の概要
2) 各国のパイロット研究および同時併用/
 アジュバント化学療法の臨床経験の発表
3) パイロット研究の臨床データのまとめ
15:00-15:30 <休憩>
15:00-17:30 セッション 3-2: 上咽頭がんに対する化学療法(続き)
4) 上咽頭がんに対する新臨床研究デザインの提案
5) 上咽頭がんに対する日常の治療機器
6) 討議
18:00- < 文部科学省主催歓迎パーティー>

12月15日水曜日
09:00-12:30 セッション 4-1: 上咽頭がんに対する化学放射線療法新臨床研究
1) 目的
2) 適用
3) 放射線治療
CTシミュレーターを用いた上咽頭がんの治療計画と最適照射野の発表
10:30-11:00 <休憩>
4) 毒性と効果の評価
12:00-13:00 <昼食>
13:00-17:00 セッション 5-2: 上咽頭がんに対する化学放射線療法新臨床研究
(続き)

5) 化学療法の投与方法
15:00-15:30 <休憩>
6) 統計処理
7) 症例登録
8) まとめ

12月16日木曜日
09:00-10:00 セッション 5: 放射線量測定のQA/QC
09:00-09:40 1) 現地調査報告
2) QA/QC マニュアル
09:40-10:00 3) 次回現地調査スケジュール
10:00-10:30 <休憩>
10:30-11:30 セッション 6: 将来計画と他の活動
1) 将来計画
2) その他
3) 次回ワークショップスケジュール
12:00-13:00 <昼食>
13:00-17:00 公開講座
13:00-13:30 登録受付
13:30-13:45 開会セレモニー
13:45-16:50 公開講座:先進放射線療法
1) サイバーナイフ(ロボット化直線加速器)
2) IMRT (強度変調放射線療法)
<休憩>
3) 炭素線療法
4) 悪性腫瘍診断におけるPETの効能と役割
16:50-17:00 閉会挨拶


12月17日金曜日
09:00-10:30 セッション 9: FNCA活動の評価
1) 各国の評価報告
2) 討議
3) 評価の採択
10:30-11:00 <休憩>
11:00-12:00 セッション 10: ワークショップ議事録起草
11:00-11:30 1) 討議
11:30-12:00

2) 議事録採択
3) 閉会挨拶

12:00- 13:00 <昼食>
13:00-15:00

施設見学
マヒドール大学医学部附属シリライ病院訪問
マヒドール大学医学部附属シリライ病院放射線科の紹介

12月18日土曜日  バンコク発



参加者リスト


名前 役職 所属
中国 ヅォウ・ジュウイン 医長、放射線腫瘍科部長 蘇州大学第一病院
中国 ヅォウ・ベイベイ 医長、婦人腫瘍科部長 常州がん病院
インドネシア R .ススウォロ 医師 インドネシア大学医学部
ジャカルタ・チプト・
マングンクスモ病院
インドネシア ナナ・スピリアナ 放射線腫瘍科医 インドネシア大学医学部
日本 辻井博彦 重粒子線医科学センター長 放射線医学総合研究所
日本 井上武宏 集学放射線治療学
助教授
大阪大学大学院
医学系研究科
日本 中野隆史 病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学 教授 群馬大学大学院
医学系研究科
日本 小林国彦 呼吸器内科 助教授 埼玉医科大学
日本 加藤真吾 重粒子線医科学センター
病院 診断課長
放射線医学総合研究所
日本 立崎英夫 研究推進部 国際室長 放射線医学総合研究所
日本 大野達也 重粒子線医科学センター
病院 主任医師
放射線医学総合研究所
日本 須藤久夫 放射線部長 松戸市立病院
日本 中村讓 放射線腫瘍科物理室長 埼玉医科大学
日本 清水美和子 研究開発局原子力課
調査員
文部科学省
日本 中杉秀夫 アジア協力センター
マネージャー
日本原子力産業会議
日本 寺中朋文 アジア協力センター
調査役
日本原子力産業会議
韓国 チュル・クー・ヂョウ 放射線腫瘍科長 韓国がんセンター病院
マレーシア フアド・イスメイル 臨床助教授 マレーシア・ケバンサン
大学医学部
マレーシア アニタ・ブスタン 臨床腫瘍学施設長 マレーシア大学
医療センター
フィリピン ミリアム・カラガス 放射線腫瘍科部長 聖ロカ医療センター
フィリピン レイ・レイエス 産婦人科部長 ジョーズ・レイエス
医療センター
タイ ヤワラ・チャンシルパ 放射線部放射線腫瘍科
  助教授
マヒドン大学医学部
シリラジ病院
タイ クラトーン・テファモンコール 放射線部放射線腫瘍科
  医師
マヒドン大学医学部
シリラジ病院
タイ チュンポット・カカナポーン 放射線部放射線腫瘍科
 医学物理士
マヒドン大学医学部
シリラジ病院
ベトナム ダン ヒュイ・コッ チン 第二放射線治療科 主任 ホーチミン市腫瘍科病院
ベトナム ト・アン ダン 胸部婦人科放射線治療部 副部長 国立がん研究所

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