FNCA 2006 バイオ肥料 ワークショップ
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添付資料 III

IV. 放射線とオートクレーブによるバイオ肥料キャリアの滅菌効果比較

1.キャリアの滅菌は、バイオ肥料の品質管理にとって重要である。

2.今回のワークショップでは、放射線滅菌法とオートクレーブ滅菌法が比較された。

3.その結果は以下の通りである。

3-1.放射線照射

  1. プラスの効果
    　 化学的および物理的特性に大きな変化がない。大量生産に適している。時間があまりかからない。労働量が少ない。様々なキャリアの材料に適している。適正線量で完全に滅菌できる。キャリアの扱いが容易である。根粒菌や Azospirillum の生存率を高めることができる。

    * 上記を裏付ける表と図

    Table 1. Effects of autoclaving and gamma irradiation on the physicochemical properties of soybean cake and perilla oil meal by Byun et al . 1988
    Samples Treat
    ments     		Crude
    protein (%)     		TBA
    (mole g-1)    		 Color parameters

    Light
    ness
    (L)

    Red
    ness
    (a)

    Yellow
    ness
    (b)

    △E

     Soybean cake Control 46.3 1.48x10 -5 70.8 3.8 18.3 0.0
    5 kGy 46.5 1.81x10 -5 68.4 4.1 18.0 2.4
    10 kGy 46.6 1.88x10 -5 69.0 4.4 17.6 2.0
    Autoclaving 46.0 1.56x10 -5 62.0 7.0 18.2 9.3
    Perilla oil meal Control 46.7 1.81x10 -5 37.2 7.4 12.6 0.0
    5 kGy 46.6 1.99x10 -5 37.0 6.9 12.8 0.6
    10 kGy 46.8 2.06x10 -5 37.0 7.5 12.8 0.2
    Autoclaving 46.4 1.84x10 -5 35.4 7.3 12.0 1.8
    △E means color difference.
    It was detected using the color and color difference meter (Model ND-1001 DP) by the researchers.

    Figure 1. Cost of sterilization per biofertilizer package by Gandanegara , Indonesia
    Autoclave Irradiation
    Autoclave

    		Irradiation

    Container size:
    3 kg in one time    		 Box Size : 30 x 30 x 58 cm
    Package Nos : 900 pcs
    25kg for irradiation box
    16 boxes (400kg) in one time

    Table 2. Survival of Rhizobium vigna in carriers sterilized by irradiation and by autoclave by Le Thi Thanh Thuy et.al , Vietnam

    Storage time

    Rhizobium densities (cfu/g)

    irradiation

    autoclave

    0 h

    		 1,20 x 10 9 1,32 x 10 9

    2 weeks

    		 9,20 x 10 9 1,00 x 10 9

    1 month

    		 7,40 x 10 9 2,54 x 10 9

    2 months

    		 7,80 x 10 9 1,81 x 10 9

    3 months

    		 2,00 x 10 9 1,56 x 10 9

    6 months

    		 3,00 x 10 9 1,33 x 10 8
    Rhizobium strains 132

    Table 3. Suitability of irradiation for various forms of carrier materials

    Country

    Carrier

    Indonesia peat, filter mud and (soil + charcoal)
    Korea peat
    Malaysia Compost from empty fruit bunch of oil palm (EFB)
    Philippines soil and charcoal
    Thailand peat
    Vietnam peat

    Table 4. Proper dose for irradiation sterilization
    Country Carriers Optimum dose Remarks
    Indonesia Peat 35kGy 35 kGy had been evaluated by bf producer years ago and the dose had been used to sterilize bf carrier up to now
    Malaysia EFB compost > 30 kGy  
    Philippines Soil plus charcoal
    (3: 1)    		 30 kGy Clay loam soil
    Thailand Peat 8 kGy 80 % reduced
    Vietnam Peat 25 to 30 kGy  
  2. マイナスの効果
    　新規設備導入のコストが高い。輸送コストがかかる。専門知識と放射線照射施設の規制が必要である。

3-2. オートクレーブ

  1. プラスの効果
    　小規模生産には安いコストで完全に滅菌できる。操作が簡単である。メンテナンス費用が安く、入手しやすい。

  2. マイナスの効果
    　 大規模生産には時間と労働力がかかる。キャリア材質の化学的および物理的特質の変化の可能性がある。

4. コメント

　放射線滅菌は実行可能なオートクレーブ滅菌の代替方法である。放射線滅菌は大量生産に適している。放射線滅菌法は、バイオ肥料の品質管理に関する意識が高まるにつれ、徐々に受け入れられていくであろう。キャリアの生物および非生物的特性に関する放射線の効果を解明するために、詳細な研究が必要である。

添付資料 IV

V. 放射線滅菌バイオ肥料キャリアの実用化戦略

  1. 目的
    農業従事者に高品質のバイオ肥料を提供し、バイオ肥料キャリアの大量滅菌の方法としてより良い選択肢を提供すること。
  2. 障害と制約
    1. いくつかの参加国にとっての主な制約は、照射施設を利用しにくいことと、輸送コストが高い、商業的な多目的照射施設がない（タイとベトナム）といった、バイオ肥料生産者／製造者にとって不便なこと。
    2. バイオ肥料生産者／製造者にとって、放射線滅菌キャリアを用いた商業スケールのバイオ肥料生産に着手するにはいまだ限られた情報しかない。
    3. 放射線滅菌キャリアの実用化に関する研究が限られている。
  3. 戦略
    1. バイオ肥料と放射線滅菌利用の利点を含む包括的な情報の準備。これはガンマ線または電子線照射施設によるバイオ肥料キャリアの放射線滅菌に関する国家プログラム策定のため、政策決定者に提出する。
    2. 生産者、消費者、政策決定者を対象とした、パンフレット、マニュアル、 DVD 、テレビ、ラジオ、ウェブサイトなどによる自国言語でのバイオ肥料情報の提供拡大。
    3. 農業従事者と一般市民を対象とした、生産者／製造業者および普及機関による実践的デモンストレーションの実施。
    4. バイオ肥料の生産と適用に成功したプログラムを持つ国からの実例の提示。
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