FNCA2023研究炉利用プロジェクトワークショップ 会議報告
2023年10月17〜19日
タイ、バンコク
(仮訳)
序文
研究炉利用(RRU)プロジェクトワークショップは、タイのバンコクにおいて3日間にわたり開催された。初日(10月17日)前半の全体セッションでは、日本の各プロジェクトリーダーが、RRUグループと中性子放射化分析(NAA)グループの現在のプロジェクトの概要を本ワークショップの主要な論点に触れながら説明した。初日後半から2日目(10月18日)にかけては個別セッションが開かれた。RRU個別セッションでは、各国から新しい放射性同位元素(RI)を含むRI製造、中性子散乱、材料研究、人材育成、新しい研究炉等、選択されたトピックに関する各国の活動が発表された。NAA個別セッションでは、環境試料に関連する活動の進捗状況が各国から発表され、続いてエンドユーザーとの連携を含む多くのトピックについて議論された。RRU、NAAの各グループでそれぞれ議論の詳細内容をまとめ、総括セッションでそれぞれのまとめを共有した。3日目(10月19日)は、午前中にオープンセミナーが開催され、続いて午後にTRR-1/M1とRI製造センターへのテクニカルビジットが行われた。
[個別セッション]
RRU-1: 国別報告
1) 新しい放射性同位元素(RI)を含むRI製造
オーストラリア
ANSTOは、オーストラリア及びニュージーランド向け放射性医薬品の製造を継続し、多くの海外諸国へ輸出している。比較的新しいオーストラリアの20 MWの多目的研究炉OPALは、毎年300日以上の実稼働日数の重要業績評価指標(KPI)を維持している。ANSTOは、重要な放射性医薬品である99Mo (モリブデン)バルク、99Mo/99mTc (テクネチウム)ジェネレータ、無担体177Lu (ルテチウム)、131I(ヨウ素)バルク、131I製品、123I製品、51Cr(クロム)-EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、187Re (レニウム) Oncobeta及び192Ir(イリジウム)、198Au(金)、90Y(イットリウム)、32P(リン)などの多数の委託照射製品を製造している。ANSTOは、177Lu製造用にリサイクル濃縮176Ybを導入し、177Lu製造に必要な非常に高い目標である90%以上をサポートしている。ANSTOは2017年に99Mo製造のための古い施設に代わる新しい製造施設を稼働させた。最近、ANSTOは、老朽化した無菌放射性医薬品施設を更新するための連邦政府の資金供与承認を得た。この新しい施設は、適正製造基準(GMP)に準拠し、既存の放射性同位元素や今後開発される重要な診断用放射性同位元素、医療用放射性同位元素の生産能力を向上させ、オーストラリアの独立した生産能力を確保する予定である。
ベトナム
熱出力500 kWのダラト原子炉はベトナムで唯一の原子炉である。1984年3月から現在に至るまで運転・利用されている。2023年6月末現在、同原子炉の総運転時間は約60,800時間で、年間平均1,500時間の安全かつ効率的な運転が行われている。原子炉の運転時間の90%以上は、放射性同位元素の研究と製造に利用されてきた。運転中、原子炉は医療向けのさまざまな放射性同位元素及び放射性医薬品の研究・製造に利用されてきた。ダラト原子炉は、131I、32P、99mTcジェネレータ、標識試薬など、医療に使用される放射性同位元素約13,500 Ciを供給し、ベトナムにおける核医学の発展にも寄与している。
2) 中性子散乱
インドネシア
インドネシアの中性子散乱技術研究は、多目的研究炉G.A. Siwabessyを中性子源とするBRINの中性子ビーム施設にて行われている。この施設は、三軸分光計、小角中性子散乱分光計、高分解能小角中性子散乱分光計、残留応力中性子回折計、中性子テクスチャー回折計、高分解能粉末回折計、中性子ラジオグラフィで構成されている。この施設を利用するためにさまざまな機関から利用者が訪れている。現在進行中の主要なプログラムは、原子炉の利用の再活性化と運転延長(核燃料)である。
3) 材料研究
カザフスタン
研究炉WWR-Kはカザフスタンにある2基の研究炉のうちの1基である。運転出力は6 MWtである。基礎研究に加えて、この原子炉は、放射性同位元素(99Mo、131I、192Ir、198Au)の製造、トパーズの中性子着色、及び人間の健康に資する材料研究に使用され、持続可能な環境をサポートし、産業に革新的ソリューションを提供している。研究炉WWR-Kは、例えば中性子ラジオグラフィ装置やガス放出評価装置など、研究開発を実施するための多くの装置を有している。1) 先進原子炉燃料の研究及び試験(高速・軽水炉、HTGR)、2) 核融合炉の構造・機能材料の研究、3) BN-350高速炉廃炉の枠内での材料科学研究があり、これらの研究の一部は外国の科学グループや協会と共同で行われている。
4) 人材育成
モンゴル
近年、モンゴルでは研究炉(RR)プロジェクトの内部検討が進められており、設計研究と燃料の比較分析が行われてきた。RRプロジェクト開発合意に署名がなされ、ROSATOMとの間で秘密保持契約(NDA)が進行中である。RRのプロジェクト提案では、RI製造(放射化法による99Mo/99mTc)、人材育成、中性子放射化分析(NAA)、教育・訓練、核物理学、その他の商業サービスについて提案される予定である。現在、医療用RIはすべて、韓国、中国、ドイツなどの他国から輸入されており、500 mCiの99Mo/99mTcジェネレータは2週間ごとに韓国から輸入され、国内に1台しかないガンマカメラで患者の画像診断に利用されている。近い将来、さらに多くのガンマカメラが設置される予定である。
フィリピン
PRR-1の訓練・教育・研究用未臨界集合体(SATER)は、2023年3月9日に運転認可を受けた。以来、この施設は690名の見学者、2名の卒論生、24名の原子炉工学の研修生を受け入れてきた。現在、原子炉運転員はこの施設にかかる追加の実験マニュアルを作成中である。さらに、この施設を加速器駆動未臨界集合体にアップグレードする計画の一部について資金を獲得し、2025年までに実施される予定で、SATERが連続運転とパルス運転の2つのモードで運転できるようになる。一方、核医学研究開発センターを設立するプログラムが引き続き進行中であり、建物は現在建築中である。この施設の加速器を調達するための予算は、2024年に確保されている。このプログラムを通して、フィリピン原子力研究所(PNRI)は4台のPET/CTシステムを備えた20 MeVサイクロトロン施設を有することとなり、8F、11C、13N、64Cu、43Sc及び68Gaを生成できることとなる。この施設は2026年に完成予定である。
5) 新しい研究炉
中国
中国における小型モジュール炉(SMR)の開発は、主に 1) 高温ガス冷却炉、溶融塩高速炉等の第4世代の原子力システムの研究、2) 地域暖房、海水淡水化、水素製造等、電力以外の複数の用途の開拓という側面に反映されている。SMRの設計は、地域暖房、海水淡水化、工業プロセス用水素生産または熱生産等、発電以外にもさまざまな市場ニーズを対象としている。SMRの最近の開発も紹介する。政府は近い将来、多目的原子炉の開発を計画している。
マレーシア
マレーシアは1982年以来、熱出力1 MWのTRIGA Mark II研究炉を運転しており、これがマレーシアで唯一の研究炉である。中性子照射、153Sm(サマリウム)、82Br(臭素)、51Cr等の放射性同位元素製造、ビーム利用等のさまざまな目的に利用されている。その利用を拡大するために、マレーシアは、新しい研究炉の実現可能性調査を行っており、これは第12次マレーシア計画(12th Malaysia Plan)の下で資金供与されている。これは新しく開始された国家原子力技術方針2023(National Nuclear Technology Policy 2030:DTNN 2030)に沿ったもので、マレーシアの原子力技術開発を支援することを目的とし、その取り組みの1つとして新たな多目的研究炉プログラムが含まれている。
タイ
タイは新しい研究炉(RR)の導入を計画している。これには、正当性、国家ニーズ、ステークホルダーの関与、実現可能性調査、環境影響健康評価、人的資源に基づき、いくつかの条件を満たす必要がある。タイは具体的な開発フェーズを通じて、19のインフラ問題に対するIAEAのガイドラインを適用した。予備戦略計画が実施され、レビューされた。研究炉用統合原子力基盤レビュー(INIR-RR)ミッションが、国内の原子力インフラの状況を把握し、さらなる開発の必要性を特定するために実施された。最近IAEAは、タイの労働力育成のために採用された人的資源(HR)モデリングツールを支援した。結論として、新しいRRは、科学・教育資源に寄与し、医療と産業を向上させ、農業生産性を増大させ、持続可能な原子力エネルギーを促進することができることが判明した。
6) その他
バングラデシュ:小型モジュール炉の技術移転
提案されているプロジェクトの目的は、IAEAのガイドラインを念頭に置いて、1) 実現可能性調査報告書(FSR)の作成、2) 戦略計画報告書(SPR)の作成、3) 設計選定及び主要仕様の確認、4) 提案されるサイトの立地評価報告書(SER)の作成の技術情報に基づき、新しい高出力研究炉に必要な施設及び研究所の最終技術設計を決定することである。提案された研究炉は、ルプール原子力発電所の運転・保守のために熟練した人材の育成に大きく貢献する。したがって、提案されているこの研究炉は、バングラデシュにおける原子力技術の基礎研究と応用に重要な役割を果たすこととなる。
日本:中性子利用全般
新規制基準に基づくJRR-3の運転が原子力規制委員会から最終的に許可された。JRR-3は2021年2月26日に運転を再開した。JRR-3は2022年に160日間(7サイクル)運転され、5月9日より一般ユーザープログラムを開始した。2023年は170日間(7サイクル)の運転、8月21日より一般利用運転を開始した。JRR-3は、放射性同位元素(198Au、192Ir等)の製造、中性子散乱、材料研究、人材育成等に利用されている。
RRU-2:研究炉の老朽化問題
韓国:研究炉の性能・寿命管理プログラム(PMP)
世界の研究炉の70%以上が運転開始から40年以上経っている。研究炉の運転継続のためには、体系的、包括的かつ効果的な管理プログラムが必要である。老朽化管理は、資産管理と予防保全へと発展しており、原子力発電所では信頼性重視保全(RCM)、オンラインモニタリング、状態監視法を用いて効果的に行われている。性能・寿命管理プログラムは、機器の信頼性を高め、運転継続を可能にする。性能・寿命管理プログラムは、構築物、系統及び機器(SSC)による予防保全戦略の標準化された保全文書である予防保全テンプレート(PMT)を用いて、予防保全プログラムを達成することができる。研究炉HANAROは、SSCの信頼性を向上させ性能・寿命管理を実施するためにPMTを開発した。
RRU-3:次フェーズに向けたRRUグループの将来計画
現フェーズのトピックを継続するとともに、新たなトピックを次フェーズで採用することとした。これらの広範な研究分野を扱うためには、各国からの参加者数を増やすことを要請する。ワークショップは3日間が望ましい。より多くの専門家を招き、より多くのトピックを取り上げるのであれば、日数を増やす必要があるであろう。
トピック |
AUS |
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新しい同位元素を含む同位元素製造及び新規施設 |
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新規研究炉 |
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研究炉利用 |
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-中性子散乱 |
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-材料研究 |
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-BNCT |
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-NR |
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-戦略的計画と協力(新規) |
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-使用済み燃料管理(新規) |
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人材育成 |
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研究炉の老朽化問題(新規) |
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NAA-1: NAAを含む複数の測定技術を用いた環境モニタリングに関する進捗
オーストラリア
ANSTOはNAAを用いた鉱物試料の測定に取り組んだ。その結果、前回のワークショップ以降NAAで測定した試料の90%が鉱物試料であった。OPAL炉が非常に有効であり、また一部の実験室機器の更新がこの結果に貢献したが、現在の員と機器のレベルでは、さらに多くの試料を分析する能力がある。
バングラデシュ
土壌、ダスト、堆積物、薬用植物、たばこ等の環境モニタリング試料の元素分析が機器中性子放射化分析(INAA)によって行われ、時にはデジタルコンソールの交換とアップグレードによる原子炉の一時停止により、原子吸光分析(AAS)及び誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)によって行われた。中性子ビームがない時には、水及び地質試料の環境自然放射線モニタリングが継続された。この期間に10本の論文が著名な学術誌に掲載され、そのほとんどは本プロジェクト活動に直接関連したものであった。
中国
PM2.5及びPM10の試料が北京で週2回収集され、これらの試料は中性子放射化分析によって分析される。中国改良型研究炉(CARR)における即発ガンマ線放射化分析(PGAA)及び中性子深さ方向分析(NDP)のための新しい中性子導管が今年設置され、いくつかのNDP実験が完了した。今年、嫦娥5号による月のドリルコア試料、標準物質が、NAAを用いて分析された。
インドネシア
首都郊外のパンデグラン・リージェンシー(Pandeglang Regency)における食品及び海洋水産物の微量栄養素組成の決定をINAA技術により実施した。これらの結果は、発育阻害発生を低減させるための政府の取り組みに貢献することが期待され、またインドネシアの食品の成分表、特にマクロ及びミクロミネラルの含有量を完成させることが期待される。
日本
地球化学的基準試料中のCl(塩素)、Br及びIを、放射化学的中性子放射化分析を用いて定量化した。得られた値の信頼性は、繰返し分析によって得られた定量値の再現性の程度と、機器中性子放射化分析によって得られた定量値との整合性に基づいて評価された。その結果、アメリカ地質調査所からの17の試料について、3つのハロゲン元素の信頼に足る定量値を提供可能であることを確認した。
カザフスタン
IVG.1M研究炉は、2023年に低濃縮ウラン(LEU)への燃料転換を完了した。LEU燃料を使用する原子炉の中性子物理特性の決定に関する包括的な一連の研究の一環として、放射化インジケータを使用して中央実験チャンネル内の放射化反応率を決定した。この研究により、燃料転換後のIVG.1M炉における熱中性子及び高速中性子生成パラメータの評価が可能となった。今後数年間は、INAA法を用いて放射化有害元素を特定するために、原子力発電所原子炉の生物学的保護のためのコンクリートの等級を研究するプロジェクトが計画されている。
マレーシア
現在マレーシア政府は、希土類元素(REE)の濃度が高い地域を採掘目的で探索することに注力しているが、工業地域におけるREE及びその他の元素汚染の研究は継続される予定である。データは、工業地域における土壌汚染の程度と汚染源を特定するために評価された。得られたデータは、今後のベースラインデータとして利用できる。マレーシア原子力庁は、民間及び政府機関に対し、NAA技術を用いたREE及びその他の元素の分析サービスを提供した。
モンゴル
ウランバートル市周辺で採取したエアフィルタ、地衣類、粘土、土壌試料などの環境試料に含まれる化学元素(重金属・有毒金属)の含有量を、蛍光X線分析(XRF)、ICP、ガンマ線分光法、ガンマ線放射化・中性子放射化技術を用いて決定した。さらに、2023年8月28〜30日にモンゴルにおいて国際会議が開催され、NAAを含む原子や核種分析方法を用いた環境、地質、工業研究について多くの発表が行われた。
フィリピン
ダラト原子力研究所においてk0-NAAを用いた農業用土壌や堆積物試料、火山灰の分析が行われ、ヒ素及び希土類鉱物の存在が示された。食品製造におけるハラーム食材を含む有機/無機生産物の認証も実施された。その他の補完的な方法もNAAと併用されている。ステークホルダー参画活動を通して、エンドユーザーとの連携を強化するための主要な取り組みが進行中である。
タイ
過去12カ月間、さまざまな種類のバイオマス燃焼及び土壌から放出されるPM2.5の元素濃度を評価し、その化学物質発生源プロファイルを得るために、NAA、粒子線励起X線分析(PIXE)及び誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)が開発された。NAAと関連する分析技術の組み合わせは、PM2.5の発生源の特定やPM2.5の予測の正確度と精度の向上に非常に有効である。
ベトナム
k0-NAA法は、さまざまな試料中のREE分析に用いられ、ICP-MS技術を用いて相互検証されている。PT境界粘土試料の分析も実施し、この分野における研究所の専門知識・技術を示している。さらに、考古学的試料中の元素濃度の計算に人工知能(AI)を適用した。2024年には「INAA法を使用したトゥエンラム湖(Tuyen Lam Lake)の堆積物中の重金属汚染の評価」という新規プロジェクトが提案されている。
NAA-2:総合討論
NAA-1セッションでは、参加国のプロジェクトリーダーが過去1年間のプロジェクト進捗に関する口頭発表を行った。これに応えてNAA-2セッションでは、これらの発表を概観的に総括した。具体的には、2つのキーフレーズ(環境モニタリング、NAAを含む複数の測定技術)がNAAプロジェクトから抽出され、それぞれについて進捗報告の内容を2つの課題に整理した。各キーフレーズの論点は以下の通りである。
- 環境モニタリング
I-1. 過去1年間の各国の実施状況
I-2. 目標はどの程度まで達成されたか
- NAAを含む複数の測定技術
II-1. 実施状況
II-2. 比較結果をどのように使用するか
過去1年間にこれらの課題に対処するために各国が行った活動について、参加国間でレビューされた。各課題に関する各国の対応と進捗を付録に要約している。
NAA-3:次フェーズに向けたNAAグループの将来計画
現フェーズの活動結果に基づき、次フェーズの計画について討議した。以下にその要約を示す。
- 分析対象試料は、現フェーズと同様、広義の環境試料を考える。
- NAA技術を向上させるために、同じ試料を共同で分析し、結果を比較する。この目的のため、次の2種類の試料を分析する。
- 堆積岩(粉末)
日本が準備し、参加希望の国に送る。3種類の試料を準備する。
- モナザイト、ゼノタイム(粉末)
タイが準備し、参加国に送る。主にREE、Th(トリウム)、U(ウラン)を定量化する。これらの試料には比較的高濃度のUが含まれているため、中性子照射によりUから核分裂生成物が生じINAAでのREEの測定に干渉するため、この干渉の補正方法を検討することが重要である。
- 分析対象元素としてハロゲン元素に焦点を当てる。INAAは放射化学的中性子放射化分析(RNAA)とは異なり、分析対象元素を限定することはできないが、特定の実験条件下では一部のハロゲン元素を定量できる岩石試料が存在する。日本はそのような試料を希望する国に送る。得られた結果は上記第2項に述べた目的に沿って比較検討される。
- NAAが主たる分析方法となるが、必要に応じてICP-MSやXRF等の分析法を使用し、試料ごとに分析法の適否を検討する。
総括セッション
結論
RRUプロジェクトには8つのテーマがあり、この3年間(2021〜2023年)に、これらすべてのトピックについて議論してきた。我々は、次フェーズ(2024〜2026年)も引き続きこれらのトピックに取り組むことを決め、さらには新しいトピックも採用した。このワークショップを毎年開催する利点は、RRUにおける新しいテーマについて議論し、ネットワーキングの機会を提供することである。
次フェーズにおけるRRUプロジェクトでは、次のトピックについて考察する。
a. 中性子放射化分析(NAA)
b. 新規放射性同位元素を含む放射性同位元素製造及び新規施設
c. 新規研究炉
d. 研究炉利用 - 中性子散乱
- 材料研究
- ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)
- 中性子ラジオグラフィ(NR)
- 戦略的計画と協力[新規]
- 使用済み燃料管理[新規]
e. 人材育成
f. 研究炉の老朽化問題[新規]
2024年度のワークショップはマレーシアで開催されることで合意した。
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