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気候変動(森林土壌炭素放出評価)
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気候変動(森林土壌炭素放出評価)プロジェクト
 


1. 背景

気候変動は我々の想像よりも早く進行しており、今直面する最大の脅威の一つとなっている。近年の急激な気温上昇は気候変動の主要な駆動力であると考えられており、地球温暖化は主に大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加により引き起こされている。

産業革命以降の人類の活動によるCO2放出は大気に付加されたCO2の重要な起源であると認識されている。しかし、陸域生態系で最も炭素を貯蔵する土壌もまた、土壌有機炭素(SOC)の微生物分解過程により大量のCO2を放出している。このCO2放出量は、化石燃料の使用に起因するCO2放出量の約6倍になると見積もられている。そのため、地球温暖化により土壌からのCO2放出がわずかに変化しただけでも、大気中のCO2濃度と全球炭素循環、ひいては地球の気候に大きな影響を及ぼす可能性がある。

しかしながら、地球温暖化が土壌からのCO2放出にどのように影響するかは明らかになっていない。これは、土壌とSOCの分解性や温度応答といった特性の定量的なデータが不足しているからである。放射性炭素(14C)を活用した分析手法は、SOCの動態を定量的に理解することが可能であり、地球温暖化の長期的な影響を予測するための有力な手段となり得る。

2. 目的とゴール

本プロジェクトの全体的な目的は、陸域生態系(特に土壌)における炭素循環を引き起こす過程と気温上昇に対する感度を理解し、地球温暖化に対する炭素循環のフィードバックを予測することである。アジア地域は地球の陸地の3分の1を占め、世界で最も幅広い気候帯にまたがる最も多様な陸域生態系を有している。そこで、森林土壌のSOC特性についてのアジアスケールのデータベースと14C分析手法に基づくSOC動態の解明、ならびに土壌CO2放出モデルの構築をFNCA共同研究の目的とする。

SOC特性のデータベースは、前プロジェクトにおいて加速器質量分析装置(AMS)を用いた14C分析により、いくつかの森林土壌を対象に構築している。このデータベースを将来の気候変動予測に適用するためには、さらに多様な森林生態系から取得した土壌サンプルの分析によるデータの拡充が不可欠である。そのため、土壌サンプリングとSOC分析のガイドライン(前プロジェクトの成果物)に基づいてFNCA参加各国が実施した土壌分析結果を統合することで、データベースをアジアスケールに拡張する計画である。

新しい土壌CO2放出モデルは、実験室と野外でのCO2放出とSOC特性の関連性を明らかにする実験結果に基づき開発する。また、実験室と野外での実験についての研究手法はFNCA参加各国に技術移転し、土壌CO2放出モデル開発のための基礎データを取得する。

開発したデータベースとモデルは、温暖化に対する土壌炭素の応答の長期予測に活用するために、気候変動研究コミュニティーに提供する計画である。




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