セッション1:カントリーレポートサマリー
議長:フィリピン
ISCN/JAEAの川久保陽子氏より、2019年度ワークショップ以降の核セキュリティ・保障措置の実施、核セキュリティ文化の促進、キャパシティ・ビルディングの取り組みについてのカントリーレポートサマリーが示された。カントリーレポートサマリーは本ワークショップの会議報告に添付され、FNCAウェブサイトに掲載される。
セッション2:核セキュリティ(人材育成のためのステークホルダーマトリックス)
議長:インドネシア
発表:日本
本セッションでは、ISCN/JAEAの野呂尚子氏が2021年〜2023年のFNCA核セキュリティ・保障措置プロジェクトにおける核セキュリティ分野のテーマを紹介した。同氏は、FNCA参加国間の核セキュリティ人材育成に関する協力を促進するために、ISCN/JAEAからの「ステークホルダーマトリックス」を作成する提案について説明した。この提案の背景または理由の一つに、核セキュリティの活動が広範囲にわたるため、国内のステークホルダーの関与の重要性がある。
ステークホルダーの一部は情報機関、規制当局、許認可保有者、法執行機関、軍、現場担当者、初期対応者、税関等である。ステークホルダーマトリックス作成の目的は、国家の核セキュリティ体制の全体像を把握することである。本マトリックスに基づき、開発中であったインフラの欠陥を特定することができ、FNCA参加国の協力を通じて、各国の核セキュリティ体制の欠陥を補うことができる。それに加えて、核セキュリティに関する人材育成のギャップを特定することができる。最も重要なことは、本マトリックスを活用して、国内の関連組織間の連携および協力を促進できることである。
発表後の討議で、マトリックスの埋め方に関して多数の質問がなされた。その一つに、マトリックス完成までのスケジュールに関する質問があった。バングラデシュの参加者より、COVID-19の影響で必要な各ステークホルダーと会談することが難しいため、ISCN/JAEAへのマトリックスの提出時期に柔軟性を持たせることが提案された。このコメントに対して、野呂尚子氏および直井洋介氏より、スケジュールは柔軟であり、現在はオンラインでミーティングを開くこともできると回答された。
セッション3:保障措置(追加議定書(AP)で求められる輸出管理に関する良好事例)
議長:バングラデシュ
発表:マレーシア、タイ
本セッションでは、マレーシアおよびタイから追加議定書(AP)の実施に関連する輸出管理の良好事例に関する2件の発表があり、その後に討議および質疑応答が行われた。
マレーシアは2005年11月22日にモデル追加議定書(INFCIRC/540)に署名したが、まだ施行していない。1984年原子力認可法(Act 304)では、「保障措置」という言葉は言及されていなかったが、Act 304の一部の条項(第20条および第68条)は、例えば許認可保有者が保有する核物質の申告の必要性など、保障措置にある程度関連していると言える。
したがって、追加議定書に関連する輸出管理はAct 304の適用外である。しかし、2010年戦略貿易法(STA)[Act708]は、兵器および関連物質を含む戦略的材料および技術の輸出、積み替え、輸送および取引、ならびに大量破壊兵器(WMD)の設計、開発、製造および搬送を容易にする、またはする可能性がある活動を規制する法律である。本法はマレーシアの核セキュリティへの国際的義務と調和している。マレーシア原子力許認可委員会(AELB)はAct 708に基づく汎用品としてのカテゴリー0の核物質、施設および機器の監督機関である。
タイは45年以上にわたって核不拡散条約および包括的保障措置協定を施行しており、2017年に追加議定書(AP)を締結した。原子力平和利用法(2016年)が関連する国際条約に従って国内の法的枠組みを実施している。その後、東南アジア諸国連合(ASEAN)シングルウィンドウ(ASW)がASEAN加盟国のナショナルシングルウィンドウ(NSW)を関連付けおよび統合するために構築された。ASWの目的は、貿易関連の電子書類の交換、ならびにデータの一括提出、情報の同時処理、およびASEAN加盟国間の通関の一元的意思決定を可能にすることである。タイのナショナルシングルウィンドウは輸出入管理の重要要素であり、包括的保障措置協定(CSA)およびAPの合意を関連付けている。タイ原子力庁(OAP)が、核物質の輸出/輸入および核燃料サイクルに関してNSW、タイ税関局、および商務省外国貿易局と連携する責任政府機関である。許認可保有者データベースは制限品目の一環としてNSWとの連携を進めている。
発表後の討議で、NSWおよびASWの有効性ならびに影響に関する質問があり、これに対して、NSWおよびASWはASEAN地域の国家間のビジネスおよび貿易に共通の利益をもたらすことを目的としているようにみえるが、まだ最適な利益をもたらしていないと回答された。
直井洋介氏より閉会の言葉が述べられた後、ワークショップは正式に終了した。
添付資料
- 会合プログラム
- 参加者リスト
- カントリーレポートサマリー
バングラデシュ
Dr. Abid Imtiaz
Chief Scientific Officer
Nuclear Safety Section
Nuclear Safety, Security and Safeguards Division
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)
Mr. H. M. Borhanul Alam
Principal Scientific Officer
Nuclear Safety, Security and Safeguards Division
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)
中国
Mr. Chen Chen
Project Officer
State Nuclear Security Technology Center (SNSTC)
Ms. Ju Jingmin
Project Officer
State Nuclear Security Technology Center (SNSTC)
インドネシア
Mr. Khairul
Senior Nuclear Security Officer
Center for Informatics and Nuclear Strategic Zone Utilization
National Nuclear Energy Agency (BATAN)
日本
Mr.WADA Tomoaki
FNCA Coordinator of Japan
Dr. NAMBA Hideki
FNCA Advisor of Japan
Mr. SUZUKI Tetsu
Deputy Director
Office for Fusion Energy
Environment and Energy Division and Policy Division
Research and Development Bureau
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)
Mr. YAMAMOTO Keishi
Researcher
International Nuclear and Fusion Energy Affairs Division
Research and Development Bureau
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)
Mr. NAOI Yosuke
Director
Integrated Support Center for Nuclear Nonproliferation and Nuclear Security
Japan Atomic Energy Agency (ISCN/JAEA)
Mr. KUMEKAWA Hirokazu
Deputy Director
ISCN/JAEA
Ms. INOUE Naoko
General Manager
International Capacity-Building Support Office
ISCN/JAEA
Ms. NORO Naoko
Deputy Principal Engineer
International Capacity-Building Support Office
ISCN/JAEA
Ms. KAWAKUBO Yoko
Chief
International Capacity-Building Support Office
ISCN/JAEA
Ms. SEKINE Megumi
Chief
International Capacity-Building Support Office
ISCN/JAEA
Ms. TAKANO Atsuko (Secretariat)
International Affairs and Research Department
Nuclear Safety Research Association (NSRA)
Ms. INOKOSHI Chiaki (Secretariat)
International Affairs and Research Department
Nuclear Safety Research Association (NSRA)
カザフスタン
Ms. Nurgul Kurmangaliyeva
Head of International Projects Support Group
National Nuclear Center of the Republic of Kazakhstan
マレーシア
Ms. Noraini Binti Razali
Assistant Director
Policy and External Affairs Division
Atomic Energy Licensing Board (AELB)
Ms. Nurul Hafiza binti Mohamed Aliasruddin
Assistant Director
Policy and External Affairs Division
Atomic Energy Licensing Board (AELB)
モンゴル
Ms. Gerelmaa Gombosuren
Senior officer of the International Conventions and Treaties
The Executive Office of the Nuclear Energy Commission
Government of Mongolia
Ms. Gantseseg Purevbaatar
Officer of the Nuclear Safety and Security Department
The Executive Office of the Nuclear Energy Commission
Government of Mongolia
フィリピン
Ms. Maria Teresa A. Salabit
Senior Science Research Specialist
Nuclear Safeguards and Security Section
Nuclear Regulatory Division
Philippine Nuclear Research Institute (PNRI)
Ms. Eileen Beth A. Hernandez
Science Research Specialist II
Nuclear Safeguards and Security Section
Nuclear Regulatory Division
Philippine Nuclear Research Institute (PNRI)
タイ
Ms. Harinate Mungpayaban
Nuclear Chemist (Senior Professional Level)
Security and Safeguards Technical Support Section
Regulatory Technical Support Division
Office of Atoms for Peace (OAP)
Dr. Areerak Rueanngoen
Nuclear Chemist (Senior Professional Level)
Security and Safeguards Technical Support Section
Regulatory Technical Support Division
Office of Atoms for Peace (OAP)
ベトナム
Ms. Duong Hong Anh
Officer
Nuclear Security and Safeguards Division
Vietnam Agency for Radiation and Nuclear Safety (VARANS)
Mr. Nguyen Ninh Giang
Nuclear Security Officer
Nuclear Security and Safeguards Division
Vietnam Agency for Radiation and Nuclear Safety (VARANS)