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中性子放射化分析

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中性子放射化分析
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海老原 充
海老原 充
首都大学東京(TMU)大学院
理工学研究科 教授

 中性子放射化分析(neutron activation analysis; NAA)は元素分析法の一つであり,プローブとして中性子を用い,シグナルとして通常ガンマ線を用いる。これらはともに透過能が高いことから,NAA では固体試料を壊さずに,多元素をほぼ同時に定量出来るという,分析法として非常に優れた特徴を有する。他の分析法との比較で唯一不利な点は,中性子源として研究用原子炉を必要とすること,即ち,他の機器分析法に比べて機動性に欠くことである。幸い,FNCA参加国には研究用原子炉が稼働しており,それを積極的に活用するための人材も揃っている。このような状況を反映して,FNCAの発足時からNAAはFNCAの1プロジェクトとして採択されて,現在に至っている。

 NAAはその分析法の特徴から,環境試料,生体試料,地質学的固体試料,材料,考古学試料,犯罪科学試料等々,非常に多種多様な試料の分析に利用させている。FNCA-NAAプロジェクトでは参加国のニーズを集約し,これまで主に環境試料に焦点を当ててプロジェクトを推進してきた。プロジェクト実施当初には環境試料として大気浮遊粒子状物質(suspended particulate matter; SPM)を共同分析し,参加国の大気汚染状況を比較検討した。その後,海洋関連試料も分析対象に加え,NAAによる環境試料分析を継続的に実施するとともに,環境行政当局と連携しながら,NAAデータを環境モニタリングに積極的に活用するよう働きかけることもプロジェクトの目的とした。現在では,環境評価を目的として海洋堆積物の分析をする一方で,食の安全を評価するための食品分析,鉱物資源探査を視野に入れた固体地球化学的試料の分析を実施し,FNCA参加国の社会経済的利益に繋がる活動を実施している。

 FNCAの枠組みのなかですべての参加国がNAAが重要な課題であること認識し,その遂行を後押しして頂いている現状を考えると,その主査として責任の重さを感じると同時に,今後の更なる発展のために微力ながら全力を傾注する所存である。


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