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放射線加工・高分子改質 ワークショップ

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ワークショップ

FNCA 2005 低エネルギー電子加速器ワークショップ

2005年度 FNCA 電子加速器利用ワークショップの結果概要


  • 開催日程  : 2005 年 11 月 14 日(月)〜 11 月 18 日(金)
  • 開催場所  : 韓国原子力研究所 国際原子力研修センター (INTEC/KAERI)
  • テジョン市 ( 大田 : Daejeon) 、韓国
  • 電子加速器利用ワークショップの概要及び成果
    原子力委員会の下で行われているアジア原子力フォーラム ( 以下、 FNCA と略 ) のプロジェクトの一つとして、電子加速器利用に関するプロジェクトが平成 13 年度から開始された。本プロジェクトは、電子加速器を用いた放射線加工処理の情報交換を行い、参加国の産業振興及び環境浄化に貢献するための技術の確立を目的とするものである。本プロジェクトの第 5 回ワークショップを韓国大田市 韓国原子力研究所 国際原子力研修センターで開催した。本年度は、廃水処理を中心とした電子線利用に関する情報交換及び討議を行った。なお、本ワークショップは、原子力機構が文科省からの委託に基づきプロジェクトの遂行に中心的な役割を果たすとともに、韓国 原子力研究所( KAERI ) の協力を得て運営を担当した。
  • ワークショップの結果概要
    1. 開催期日:平成 17 年 11 月 14 日(月)〜 11 月 18 日(金)
    2. 開催場所:韓国大田市 韓国原子力研究所 国際原子力研修センター (INTEC/KAERI)
    3. 主催:文部科学省
    4. 実施:日本原子力研究開発機構
    5. 会議日程、プログラム:詳細は 付属書 2 と 3 のとおり
    6. 参加総数  45 名:ワークショップ参加者名簿は 付属書 1 のとおり

      (内訳)国外 40 名( 7 カ国:中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、各 1 名、マレーシア( 2 )、韓国( 18 )、他公開セミナー一般参加者)
      日本 7 名(国内委員 4 名、文科省及び原産他 3 名)

    ワークショップは、 11 月 14 日から 11 月 18 日までの 5 日間、韓国大田市 INTEC/KAERI を会場として行われた。第 1 日目は電子加速器利用に関する上級管理者セミナーが開催され、韓国の産業界、大学、研究機関からの参加者および FNCA 加盟各国専門家、計 45 名が参加した( 付属書 2 )。文部科学省研究開発局原子力計画課清水美和子 国際協力担当 が開会の辞を述べ、韓国科学技術部( MOST )原子力局原子力協力課長 Jong Bae Choi 氏および KAERI の国際 原子力研修センター長 Byung Joo Min 氏からは歓迎の挨拶があった。開会式後、久米民和プロジェクトリーダーから「工業と農業における 放射線利用の進歩 」と題する基調講演があった。

    マレーシア原子力研究所( MINT )の Khairul Zaman 氏から「天然高分子の放射線改質」、原子力機構の吉井文男氏から「放射線による橋かけ高分子の応用」、韓国原子力研究所( KAERI )の Young-Chang Nho 氏から「韓国における放射線改質高分子の最近の進歩」、原子力機構の小嶋拓治氏から「揮発性有機化合物とダイオキシンの電子線処理」、中国 IMP の Zhiguang Wang 氏から「排煙電子線処理の現況」、韓国 Chung Nam 大学の Kang Ho 氏から「環境修復への電子線の利用」、韓国大学の Jinho Jung 氏から「高エネルギー放射線により処理した工業廃水のバイオアッセイ」、 KAERI の Myun Joo Lee 氏から「電子線による工業廃水処理プラントの建設」、と題する諸講演が行われた。

    2 日目からは 付属書3 のプログラムに従い、ワークショップは実施された。 2 日目は、久米民和プロジェクト・リーダーから「電子加速器利用プロジェクトの概要」と題して説明があった。招待講演として、韓国 Konkuk 大学の Joe-Cheon Kim 氏の「 VOC 制御のための電子線と触媒を用いる新しい技術」及び MINT の Zulkafli Ghazali 氏の「マレーシアにおける廃水への電子線利用」が行われた。また、参加各国から廃水の電子線処理を中心とした照射利用研究の現状が報告された。

    3 日目は、大邱市の韓国染色技術研究所の廃水電子線処理パイロットプラント(加速器 1.0 MeV 、 40 mA 、処理能力 1,000 m3 /day )および建設中の電子線廃水処理プラント(加速器 1.0 MeV 、 400 mA 、処理能力 10,000 m3 /day )を見学した。この施設はまもなく建設が終わり、実地運転に入る。

    4 日目は、参加各国から 2002 〜 2005 年の研究活動の評価が発表され、それに基づいて評価報告書が採択された。さらに、第 2 期プロジェクトの活動計画について議論され、プロジェクトの継続が提案された。

    5 日目(最終日)は、議事録の草案を審議し、ワークショップ議事録が採択された。最後に、久米プロジェクトリーダーが閉会の挨拶を行い、成功裡に閉会した。

  • 現行プロジェクトの評価
    本プロジェクトは、コスト面で有利な低エネルギー電子加速器を用いた放射線加工処理に関する情報交換を行い、参加国の産業振興及び環境浄化に貢献するための技術の確立を目的とするものである。このプロジェクトの目的に基づいて、現行プロジェクトの評価を行った。 FNCA 電子加速器利用グループ(第 1 期)の成果について、各国に評価を依頼した。得られた回答の要旨を下記の表に示す。
    参加国 主たる成果 社会的評点 科学的評点 継続 / 終了 他分野への波及効果、エンドユーザへの還元
    中国: ・排煙の電子線脱硫・脱硝、再利用の技術確立
    ・半乾燥法等電子線排煙処理技術の改良のパイロット規模での試験
    ・高出力電子加速器の研究開発
        継続 ・滅菌、排煙処理、廃水処理、農作物、 VOC 等の分野への拡大
    インドネシア: ・発ガン性物質やアレルギー物質を含まない天然ゴムの放射線加硫
    ・生分解性高分子架橋体の耐熱性向上
    ・天然高分子ハイドロゲルの開発
    4 4 継続

    ・民間企業 2 社が電子加速器導入
    ・訓練用加速器の導入
    ・排煙処理用実証プラント開発
    韓国: ・繊維染色廃水の処理で、試薬低減、汚染除去効率向上
    ・廃水の滅菌処理で、コスト低減、 2 次汚染予防
    ・電子線処理された廃水の生態学的安定性評価で、データ供給
    4 5 継続 特になし
    マレーシア:

    ・サゴでん粉ハイドロゲルを創傷被覆材、美容マスクとして特許化
    ・軽油発電所からの排 NOx のパイロット規模電子線処理
    ・産業廃水の電子線処理の研究
    4 4 継続 ・産業廃水、 VOC の処理
    ・でん粉、キトサンのハイドロゲルの架橋
    ・生分解性架橋体の包装材としての利用
    フィリピン: ・生長促進剤としてのカラギーナンの低エネルギー電子線分解
    ・ CMC/HPC- カラギーナン混合物ハイドロゲルの調製
    3 5 継続 特になし
    タイ: ・非分解性材料の使用低減
    ・環境問題の緩和
    ・天然高分子利用の増進
    4 4 継続 ・付加価値のある農産物
    ・安価な創傷被覆材、水処理
    ベトナム: ・架橋、分解への電子線プロセスの応用
    ・ワークショップによる情報交換
    ・研究開発用電子加速器施設導入
    5 5 継続 特になし

    この各国の研究活動の評価 (2002 年 〜 2005 年:第 1 期 ) に基づいたプロジェクト評価が承認された。本プロジェクトは第 1 期終了後の 2006 年以降も継続することが確認され、第 2 期では、電子線は低エネルギーに限定せず、中間および高エネルギーの電子線装置も含めることとなった。
  • 今後の活動計画 ( 第 2 期( 2006 〜 2008 )プロジェクトへの提案と天然高分子についての市場調査 )
    第 2 期として天然高分子及び廃水処理を中心とした電子線利用プロジェクトの続行が強く要望された。天然高分子加工と廃水処理についての新しい電子線利用プロジェクトを継続すべきであり、 3年間( 2006 年〜 2008 年)の延長で 合意に達した。 第 2 期プロジェクトの名前は、「健康、医学、環境応用のための電子線処理技術の開発」となった。さらに、研究活動の重点は、
    1. 天然高分子の放射線分解
    2. 多糖類と誘導体の放射線改質
    3. 廃水の放射線処理
    に置くこととなった。

    新規提案に際し、放射線技術の費用対効果の分析に留意し、消費者に直結した市場性のあるもので無ければならないとの指摘がなされた。とくに、廃水処理に関しては、廃水の種類を特定すること、予備実験で必要照射線量を決めること、放射線処理を経済的に引き合うものにするため通常の処理法との組み合わせを検討することなどが必要である。

  • ワークショップのまとめ 
    ワークショップでは、電子加速器利用プロジェクトの第 5 回会合として、本年度の主題である廃水電子線処理に関する各国の現状とニーズに関する討議を行った。本ワークショップでは公開セミナーを開催し、電子加速器を用いた各種応用分野を紹介した。また、 2005 年までのプロジェクトの評価を行い、改定 3 ヶ年計画が策定された( 付属書 4: 3 ヵ年計画 )。

    本ワークショップの結果は、 2006 年 3 月に東京で開催される第 7 回コーディネーター会合で報告される。なお、 2004 年度ワークショップにおける参加各国からの排煙処理を中心とした電子加速器利用に関する報告、公開セミナーにおける講演内容は、 JAERI-Conf 2005-005 として出版した。 2005 年度ワークショップについてもプロシーディングとしてまとめて出版される予定である。


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