FNCA2012 電子加速器利用プロジェクトワークショップ
-天然高分子の放射線加工-
議事録
2012年10月2日 - 10月5日、カザフスタン、アルマトイ
1) ワークショップ概要
(i) |
日 程: |
2012年10月2日〜10月5日 |
(ii) |
会 場: |
カザフスタン、アルマトイ |
(iii) |
主 催: |
文部科学省
カザフスタン国立原子力センター(NNC)
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(iv) |
参加者: |
FNCA参加10ヵ国25名(パングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、マレーシア、モンゴル、フィリピン、ベトナム) IAEA/RCA3ヵ国から3名(ミャンマー、パキスタン、スリランカ) |
(v) |
プログラム: |
添付1 |
2) ワークショッププログラム
オープンセミナー “放射線加工の産業および農業利用
「放射線加工の産業および農業利用」と題したオープンセミナーがカザフスタン、アルマトイ市の原子力物理研究所で開催された。研究機関、農業産業部門から約60名がこのセミナーに出席した。
カザフスタン国立原子力センター副センター長のErlan G. Batyrbekov氏が開会の挨拶を行い、全ての参加者を歓迎した。文部科学省の齊藤毅氏は、カザフスタン国立原子力センターに対し、カザフスタンでの最初のFNCAワークショップを開催したことへの深謝の意を表し、また、全参加者の協力および貢献についても感謝を表した。FNCA日本コーディネーターである町末男氏は参加者の積極的な参加により、ワークショップとオープンセミナーが有益で実りの多いものになることを望んだ。
次に町氏は「持続可能な開発のための放射線加工の利用」について紹介した。産業、農業、環境保護のための放射線利用は、先進国および発展途上国における持続可能な開発に貢献するためさらに促進されると考えられ、また商業ニーズに応えるため、新たな価値が付加された高分子製品は加速器を用いることでさらに発展するであろうという見解が強調された。
原子力物理研究所第一副所長のPetr Chakrov氏が「カザフスタンにおける放射線加工利用の現状と将来計画」について発表を行い、原子力物理研究所(アルマティ支部とアスタナ支部)、アルファラビ国立大学、原子力技術パークにおける放射線加工の研究と利用および基盤分野における歴史と、現状、そして今後の活動について説明した。原子力技術パークプロジェクトマネージャーのKotov Sergey氏は、「カザフスタンにおける食料への電子線滅菌基準」について紹介した。原子力技術パークは2006年にクルチャトフに創設され、以来2つの電子線照射施設が導入された。そのうちの1つは2009年から稼働されている。放射線橋架橋技術は主に発砲ポリエチレンや熱収縮テープなどの製品に利用されている。他方の施設は、ケーブル製品の架橋や食品滅菌のために2013年に稼働が開始される予定である。マレーシア原子力庁のKamaruddin Bin Hashim氏は、「マレーシアにおける放射線加工の成功例」について発表した。マレーシア原子力庁の放射線加工技術部は、指サック用の加硫処理したゴムラテックス、フェースマスク、冷却パッチ、創傷被覆材の製品化に成功した。アクリル樹脂や油ヤシにより作られたオーバープリントワニス、生分解性のデンプン由来の包装用の発泡体やフィルム、収縮チューブ、キトサン由来創傷被覆材、照射分解キトサンによる植物生長促進剤等の製品はパイロット規模での生産段階である。研究、開発、商業化を達成するため、電子線やガンマ線、紫外線の照射施設、先進的な研究開発活動の分析装置、コンセプトとフィージビリティスタディを証明するパイロットプラント、政府からの経済的支援、放射線加工に関する知識と経験が豊富な研究員が必要な要素となる。ベトナム原子力研究所(VINATOM)のNguyen Quoc Hien氏は「産業と農業のためのベトナムにおける放射線加工利用」について発表した。ベトナムにおける放射線加工に関わる組織(政府および民間部門)と施設(電子線、ガンマ線、Co-60照射施設)の概要が紹介された。食品や医療用品の照射について発表があった。高分子材料とナノ粒子およびナノ複合材料の放射線加工の研究、開発、利用についても説明された。日本原子力研究開発機構の玉田正男氏は「日本における産業利用のための放射加工に関する近年の研究開発」について発表を行った。放射線加工は材料開発のためのユニークな技術である。日本では、1970年代から、経済的な材料による耐熱ケーブル、ラジアルタイヤ、ボタン型電池など様々な多目的材料が産業化されている。技術移転における重要な点は、エンドユーザーのニーズに対応し、放射線加工の優れた点を活用することであると述べた。
開会セッション
バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナムのFNCA参加国から電子加速器利利用や天然高分子の放射線加工の専門家が本ワークショップへ参加した。またFNCA参加国ではないIAEA/RCA加盟国を代表し、ミャンマー、パキスタン、スリランカの専門家3名も出席した。参加者リストは、添付2を参照。
Erlan Batyrbekov氏より歓迎挨拶があり、ワークショップの成功と、快適なアルマトイ滞在を望んだ。町氏は開会挨拶を行い、本ワークショップにおける有意義な議論を望んだ。その後、参加者は自己紹介を行った。
セッション 1: FNCAの概要
町末男氏は、2011年〜2012年のFNCAプロジェクトの進捗状況と第12回大臣級会合について報告した。第12回大臣級会合の主要な決定事項や、現行のFNCAプロジェクトの概要や活動結果、2012年度の会合やプロジェクト活動の予定についても説明がなされた。また、町氏の発表において、2012年〜2013年におけるFNCAとRCAの協力に関する最新情報についても言及された。
日本のプロジェクトリーダーである玉田正男氏は、電子加速器利用プロジェクト第4フェーズにおける「天然高分子の放射線加工」の最近の活動や実施計画について発表を行った。第4フェーズでは、農業部門と共同研究開発の下、植物生長促進剤(PGP)や 超吸水材(SWA)の技術移転に重点的に取り組む。
セッション 2: 放射線加工によるキトサン植物生長促進剤(PGP)の製造とフィールドおよびポット試験に関するカントリーレポート
FNCA参加10ヵ国が、放射線加工により得られたオリゴキトサンPGPの2012年における活動を詳細に示したレポートと今後の計画を発表した。モンゴルは、2012年のワークプランに関する短いスピーチを行い、参加国へPGPの原材料を提供するよう依頼した。レポートのサマリーは、添付3のパートAを参照。
セッション 3: PGPフィールド試験の結果
Kamaruddin Bin Hashim氏は、1)生産過程の最適化、2)特に経済的に重要な生産物である米と唐辛子のようなさまざまな植物の収量と耐病性へのPGPの性能、3)農業機関との協力、4)商業利用のための戦略的計画、5)今後の課題と活動を含むリードスピーチを行った。
参加者は、PGPフィールド試験の結果について討議した。
プロジェクトの次の発展へ向け、以下の事項について討議された。
· 製造工程の最適化
· フィールド試験からの技術データの交換
· 専門家からの支援
· 商業チームとの共同作業
· フィールド試験や実務書に関する書類の準備
· 農家や農業機関との交流
セッション 4: PGP商用化の戦略
Nguyen Quoc Hien氏は、オリゴキトサン製造の実用化における課題についてリードスピーチを行った。参加者はオリゴキトサンPGPと植物エリシターの商業化へ向け、以下の事項が考慮されるべきであるという意見で一致した。
1. |
PGPの原材料の持続的な供給は、製造者や供給者へ保証されなければならない。 |
2. |
PGP製品の脱アセチル化度と分子量が断定されなければならない。 |
3. |
参加国は、政府機関や組織と民間企業のどちらが放射線加工によるオリゴキトサンの製造を行うかを決定する。 |
4. |
製品を消費者へ提供するため、製品の供給を農家へ促進する供給者の存在が望まれる。 |
5. |
PGPが有効な特定の植物のための大規模なフィールド試験が実施されなければならない。 |
6. |
参加各国は、実用化の前に農業省のような適切な機関へPGP製品の登録をすべきである。参加各国の規制により、研究機関あるいは民間企業が登録を行う。製品の登録においては、どの植物あるいは作物をPGPに利用するのかを示し、またPGP利用の方向性を詳細に示さなくてはならない。 |
7. |
エンドユーザーや農家へ製品を普及させるため、製品の実演による農家への製品の促進がなされるべきである。 |
セッション 5: 天然高分子の号車線加工によるPGPの研究開発のための2012-2013年のワークプラン
日本原子力研究開発機構の長澤尚胤氏は、2012年〜2013年における天然高分子の放射線加工によるPGPの研究開発のための活動計画について発表を行った。このセッションにおいて、参加者はPGPあるいはエリシターとしてのオリゴキトサンの使用について集中的に討議した。有望な結果が得られているが、農業機関との協力の下、さらなるフィールド試験を行うための継続的な努力が必要との合意がなされた。唐辛子とイネは本プロジェクトの主要な作物として認識された。いくつかの参加国はトマト、ジャガイモ、トウモロコシ、その他の農作物の試験に興味を持っている。実用化への一歩を踏み出すため、それぞれの参加国の農業省へ放射線誘導オリゴキトサンを登録することや生産許認可取得の重要性が強調された。全ての参加国は協力関係を維持し、フィールド試験結果の情報を共有する。また、いくつかの参加国は、オリゴキトサンの動物飼料添加剤としての利用に興味を示した。スリランカとインドネシアは若鶏飼育へのオリゴキトサンの試験を希望している。マレーシアはオリゴキトサンを用いた水産養殖における試験を行う予定である。ベトナムは、鶏と水産養殖におけるオリゴキトサンの試験を行う予定であり、動物や植物へのオリゴグルカンの試験も検討している。中国は、他の動物に対するオリゴキトサンを用いた様々な飼育試験を行い、さらなる貢献へ向け継続して試験を行う予定である。
3日目には、各国から放射線橋かけと天然高分子のグラフト重合によるハイドロゲル超吸水材の製造と利用に関するカントリーレポートが発表された。
セッション 6: 放射線橋かけと天然高分子のグラフト重合によるハイドロゲル超吸水材の製造と利用に関するカントリ−レポート
FNCA参加9ヵ国とIAEA/RCAの3ヵ国がSWAの研究活動に関する発表を行った。モンゴルは、将来計画に関する短いスピーチを行い、SWAの原材料としてジャガイモデンプンを用いることを提案した。レポートのサマリーは添付3のPart Bを参照。
セッション 7: SWAのフィールドおよびポット試験結果
インドネシア原子力庁のDarmawan Darwis氏は、放射線改質多糖ハイドロゲルSWAのまとめとその利用に関するリードスピーチを行った。 その後、参加者は主に以下のポイントを考慮しながら討議を行った。
(1) |
最適な材料と生産過程の確認 |
(2) |
各国におけるSWAの性能および開発段階 |
(3) |
乾燥地域におけるさまざまな植物の収量 |
(4) |
2013年〜2014年における活動予定 |
(5) |
商業利用へ向けた課題と活動 |
SWAの原材料の選定に関するパラメーターについては、(a)各国で使用されている特産の材料であり、(b)豊富で容易に入手でき、(c)安価(市場において既存のSWAと競争できる。インドネシアにおいてすでに実用化されているSWAの値段は1キロあたり2.5-5US$である)であることが強調された。材料の最適に利用するため、PGP、肥料、栄養物の併用がリードスピーカーより提案された。電子線とガンマ線の両方が使用される。参加各国は、SWAの製造と利用へむけた最適なプロトコルを作成することで合意した。マレーシアは、ベトナムの支援を受けながら一般的なプロトコルを作成することに合意した。SWAの性能と作成および利用に関する開発段階についてまとめられ、各国で使用されている原材料の実用化の可能性について討議された。SWAの使用は屋上や室内での新鮮な果実や野菜、花の生産のように市街地における利用を含み多様である。
ベトナムとタイにおけるSWAのポット試験およびフィールド試験について討議された。土壌および農業部門との協力強化が強調された。セミナー、展示会、ワークショップを開催し、SWAの製造を拡大することが重要であると考えられる。
商業化へ向けた活動計画、課題、作業については、セッション8と9でそれぞれ討議されるため、このセッションでは討議されなかった。
セッション 8: 農業部門との協力におけるSWAの商業化へ向けた戦略
Phiriyatorn Suwanmala 氏は、自身のSWAに関する研究の経験について発表を行った。
日本とベトナムはフィールド試験を行っているが、参加国はSWAの研究や試験の段階である。マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイはSWAのセミフィールド試験の段階であった。中国とミャンマーは現時点ではSWAに関心を示していない。今後の研究において考慮すべき事項は以下の通りである。
1. 土壌改良材としてのSWAに必要なフィールド試験と研究
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いくつかの参加国で使用されている原材料は商業化するには高すぎるため、各国は原材料の選定について再考するべきである。農業廃棄物のような安価で容易に入手できる材料が考えられる。 |
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例えば、SWAの乾燥工程において、アクリル酸の残留物は少量でも大きな影響を与えかねない等、SWAの環境影響が評価されなくてはならない。 |
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混合した原材料(原材料とアクリル酸)の最適濃度と最適条件が調査されるべきである。 |
2. SWAの性能評価と市場調査ための農業機関との連携拡大
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フィールド試験については、SWAの試験へ向けた農家との協力と資金について計画されるべきである。 |
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農業部門におけるSWA促進のため、ワークショップや展示会が組織されるべきである。 |
3. 研究と商業利用へ向けた障害
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ほぼ全ての参加国がSWAの研究開発段階にあるため、SWAの商業化へ向けた障害については、このセッションで討議されなかった。原材料の使用や照射後の乾燥工程といったSWAの研究における障害について討議された。 |
セッション 9: 2012-2013年の天然高分子の放射線加工によるSWA研究開発のワ−クプラン
このセッションのリードスピーチは、ベトナム原子力研究所のLe Quang Luan氏が行った。以下の事項が強調された。
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SWA製造に使用される入手可能な材料の選定(特産の材料が望ましく、食品と競合せず、低コストなもの)。 |
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SWA製造のプロトコル作成の必要性。 |
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参加者は、水分の供給や管理、肥料のスローリリース、環境に優しい農業等、SWAの役割の多用途性について強調すべきである。 |
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市街地の農業やガーデニング、塩類土壌や塩質土壌のような耕作限界地へのSWAの利用。 |
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参加者は、農業における干ばつ影響の緩和へむけたSWAの使用のような、気候変動緩和へのSWAの貢献について考慮すべきである。 |
討議の間、これら全ての課題について討議され、SWA製造のためのプロトコルを作成することで合意した。SWA製造のガイドラインはマレーシアのKamaruddin氏とベトナムのHien氏の協力の下で作成される予定である。SWAで固定化したPGP製造の研究が、ベトナムのLuan氏とインドネシアのDarmawan氏により提案された。
セッション 10: 放射線加工に関するFNCAプロジェクトとIAEA/RCAプロジェクトの協力
カマルディン氏は、RAS/8109:農業利用と環境保全のための高分子材料の放射線加工2009-2011について報告を行った。
このプログラムの下、放射線加工の基礎や応用、実証試験や技術移転のような7つのトレーニングコースと3つのプロジェクト会合、また2つの地域重役会議が予定され、実施されている。活動の目的は自国において行われているプロジェクト活動のガイダンスとして、参加国間における情報と技術の普及を支援することである。本プログラムの下、RAS8109の参加国は10の超吸水材と9の有害金属吸着材、そして16の植物生長促進剤等の製品の開発に成功した。これらの製品の多くは、農業関係機関との協力を通してフィールド試験に利用されている。パイロット規模生産の下、いくつかの製品と技術はエンドユーザーや商業化プロセスにおける生産に関わる企業に移転された。町氏もまた、研究プログラムとトレーニング等、FNCAとIAEA/RCAの本質的な違いについて強調した。今後もRCAとFNCAの協力を適切に継続していくことが合意された。
セッション 11: まとめとサマリーレポート
ワークショップの議事録について検討され、討議の後に承認された。
セッション 12: 閉会セッション
ワークショップはPetr Chakrov氏と町氏の挨拶により正式に閉会された。
テクニカルビジット
参加者はカザフスタン国立原子力センター原子力物理研究所の施設を見学した。この研究所は1957年に建設され、カザフスタンにおいて原子力物理、個体物理、放射線生態学、原子力・放射線技術分野における先駆的な科学機関である。参加者は始めにLV4電子加速器を視察し、その後、複合環境研究センターとRI生産放射化学センターを訪問した。高分子ハイドロゲル創傷被覆材を作成する過程におけるベンチスケールの装置を視察した。この装置では、電子線照射を用いた架橋のため、生体適合性の高分子水溶液が熱成形されたパッケージの中で流し込まれる。このハイドロゲルの特徴として、殺菌と効果的な抗菌バリアを有し、乾燥から傷表面を保護し、傷の湿潤に最適な条件を与え、酸素透過性、治療過程を促進し、瘢痕化を減らすことが説明された。
3) 結論と提案
1. 天然高分子の植物生長促進剤/エリシター
1) |
放射線加工によるキトサンからのオリゴキトサン製品やカラギーナンからのオリゴカラギーナンには植物の成長促進効果やエリシター効果がある。 |
2) |
低分子量のオリゴキトサンは、動物の疫病を減らすのに効果的であり、畜産への抗生物質の使用を減らすことができる。 |
3) |
オリゴキトサンの製造に関するガイドラインを更新する。 |
4) |
フィールド試験結果に基づき、様々な作物や病害のための植物生長促進剤およびエリシターとしてのオリゴキトサンの利用に関するガイドラインを作成する。 |
5) |
ビール製品やキノコの酵母細胞の廃棄物から算出されるグルカンはオリゴ糖の優れた材料であり、グルカンの利用について検討するため、ベトナムが次回のワークショップで使用結果について参加国へ報告することを期待する。 |
6) |
エリシターあるいは植物生長促進剤としての放射線誘導オリゴキトサンの登録は、商業化へ向けて必要不可欠であり、各国は適切な時期に必要な行動を取るべきである。 |
7) |
オリゴキトサンの漁業や畜産業への利用は重要であり、この分野における利用に関する研究開発を始める前に、この分野での中国とベトナムからワークショップでさらなる情報が提供されることを期待する。 |
8) |
放射線を用いて製造された植物生長促進剤とエリシターの利用拡大へ向け、多くの参加国において農業部門との協力が構築されている。 |
9) |
2013年(平成25年)〜2014年(平成26年)の間、各国は農業機関やエンドユーザーとの可能な協力の下、自国のニーズに合わせた植物のさらなるポット試験やフィールド試験を行う。 |
10) |
オリゴキトサンとオリゴカラギーナンの植物生長促進剤やエリシターに関する情報をエンドユーザーや関係政府組織へ普及するための活動を、環境適合性や農業製品の安全性の利点を強調しながら拡大することが合意された。 |
11) |
オリゴキトサンの製造や利用のため、ミャンマーが、IAEA/RCAのプロジェクトや、IAEAの技術協力プロジェクト等を通して、FNCA参加国の専門家の支援を受けることを期待する。 |
12) |
放射線加工の研究開発活動へ向け、ガンマセル導入のため、IAEAがモンゴル政府を支援することを推奨する。 |
13) |
天然高分子利用に関するIAEA/RCAプロジェクトは2012年(平成24年)で終了するが、FNCAの参加国でないミャンマー、パキスタン、スリランカはプロジェクトの目標を達成するため、オリゴ糖の研究開発と利用を継続することから、この3ヵ国がFNCAの加速器利用ワークショップへ参加するためIAEA/RCAからのさらなる支援を受けることを推奨する。 |
2. 天然高分子の放射線加工によるハイドロゲル超吸水材の生産と利用
1) |
ベトナムとマレーシアがCMCのアクリル酸の放射線グラフト重合による超吸水材の製造に関する基礎的なプロトコルを提供することを期待する。 |
2) |
参加国は、最もコストが安い現地の原材料や生産過程を用いて各国独自の最良のプロトコルを準備することに合意した。 |
3) |
CMC、ココナッツファイバー、ヤシ油の空果房、サゴ廃棄物は共通の原材料であり、参加国は以下の通り原材料に関する作業を分担することで合意した。
マレーシア:サゴ廃棄物
ベトナム:ココナッツファイバー
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4) |
多機能の超吸水材製品を生産するため、植物生長促進剤・エリシター、栄養分、バイオ肥料の微生物は超吸水材に添加できることが認識され、ベトナムとインドネシアがこの新しい超吸水材について研究し、2013年(平成25年)から2014年(平成26年)にかけて参加国と結果を共有することを期待する。 |
5) |
タイとベトナムにおける超吸水材のフィールド試験結果は優れており、近い将来、市場で成功が期待される。 |
6) |
フィリピンにおけるポット試験において、放射線架橋したカルボキシメチルκカラギーナンは、超吸水材の優れた特性を示した。 |
7) |
屋上農業や家庭菜園のような都市部への超吸水材の使用は、参加国が調査すべき大きな市場である。 |
8) |
農業機関との協力、情報の普及、フィールドでの実証試験は、超吸水材の効果的な開発に必要不可欠である。 |
9) |
放射線照射による超吸水材の商業化利用は、すでに実用化されている超吸水材と市場において競争が行われており、製造におけるコスト削減と製品の品質向上は重要である。 |
3. 一般的な問題
a) |
植物生長促進剤・エリシターと超吸水材の両方におけるプロジェクの目標を達成するため、天然高分子の放射線加工に係わるプロジェクトの継続を期待する。 |
b) |
多くの参加国は、農業部門との連携を確立しており、エンドユーザーあるいは市場の拡大のため、さらなる強化が期待される。 |
c) |
FNCAとIAEA/RCA間の協力の継続を期待する。 |
4) 添付
添付 1:: |
プログラム |
添付 2: |
参加者リスト |
添付 3: |
Part A : |
放射線加工によるキトサン植物生長促進剤の製造とフィールドおよびポット試験に関するカントリーレポートサマリー |
Part B : |
放射線橋かけと天然高分子のグラフト重合によるハイドロゲル超吸水材の製造と利用に関するカントリ−レポートサマリー |
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添付 4: |
Part A : |
PGPの生産工程、近年の活動、開発に関するサマリー |
Part B : |
SWAの生産工程、近年の活動、開発に関するサマリー |
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