アジア諸国では、放射線を中心とする原子力の科学技術利用に加え、近年の原子力ルネッサンスに対応した原子力エネルギー利用のための原子力分野の人材養成の重要性が強く指摘されている。FNCAのHRDプロジェクトは、アジア地域の原子力科学技術分野のHRDにおけるニーズの把握、情報交換や調査、協力のあり方の検討、教材の共同作成など、具体的な協力活動や相互支援を通じて、アジア地域のHRD交流の促進と原子力技術基盤の強化に役立てることを目的としている。そのため、1999年より人材養成ワークショップを年1回開催し、FNCA参加国間で意見交換を進めている。
2004年のFNCA大臣級会合において、アジア原子力教育訓練プログラム(ANTEP; Asia Nuclear Training and
Education Program)が提案されたのを受け、HRDプロジェクトでは、アジア諸国における原子力分野の人材養成の連携及び調整を行うとともに、効率的な協力体制を強化するためのより具体的な活動を進めている。これまでに、アジア諸国それぞれの国情や政策に応じた個々のニーズ、及び各国や国際機関等がANTEPに貢献できるプログラムをアンケート調査により明らかにすることにより、ニーズとプログラムのマッチング状況を調査して来た。文部科学省の原子力研究交流制度や原子力国際機関(IAEA)の研修制度を中心として、各国のニーズに対応した人材養成プログラムの進展が示されている。今後は、各国のニーズとプログラムのより詳細レベルでの調整と既存プログラムの有効活用、より多くの国からのプログラム提供、連携と調整機能の高度化などによる協力体制の一層の強化と推進が課題である。
我が国は、これまでの原子力研究開発及び利用で培った経験、知見、ノウハウ等に基づき、本プロジェクトの効果的・効率的な進展のため、しかるべき役割を果たして行きたい。
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