FNCA 2011 核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップ 会議報告
2012年2月22日〜2月24日 日本 水戸・東海
概要
原子力利用の増大に伴い、核セキュリティを脅かすリスクや核が拡散するリスクが増加するとの懸念が広がる見通しから、2011年に核セキュリティ・保障措置プロジェクトが新設された。本プロジェクトは、核セキュリティ・保障措置を強化するために、経験、知識、情報の共有や方針、戦略、枠組みについての意見交換を行うことを目的としている。このような背景から、本プロジェクトでは以下を活動目標としている。
1. |
核セキュリティ・保障措置の重要性についての認識を高める。 |
2. |
核セキュリティ・保障措置の分野での情報交換を円滑化する。 |
3. |
核セキュリティ・保障措置の分野でのキャパシティ・ビルディングを促進する。 |
4. |
核セキュリティ・保障措置の実施に必要な技術的なツールや要件に関する情報を共有することで、核セキュリティ・保障措置の実施体制を強化する。 |
これらの活動目標を踏まえ、核セキュリティ・保障措置プロジェクトの第1回ワークショップが2012年2月22日〜24日に日本の水戸市および東海村で開催された。今回のワークショップでは、核セキュリティ・保障措置に関連した問題をさまざまな観点から扱い、プロジェクトの活動目標を実現するためのあらゆる手段を模索した。そのために、今回のワークショップでは以下を重点的に行った。
1. |
核セキュリティ・保障措置の実施に必要な要件を理解し、現在の実施状況を把握する。 |
2. |
核セキュリティ・保障措置の実施体制を強化する上で解決すべき課題を特定する。 |
3. |
核セキュリティ・保障措置の実施体制の強化に効果的な協力関係を構築するために、来年さらに議論を深めるべき分野を特定する。 |
4. |
今後3年間の活動計画を策定する。 |
最初に文部科学省の村上氏、FNCA日本コーディネーターの町氏、日本プロジェクトリーダーの千崎氏から開会挨拶があった。続いて、町氏からFNCAの活動状況が紹介され、千崎氏より核セキュリティ・保障措置プロジェクトの概要について報告がなされた。
続くセッションでは、核セキュリティ・保障措置について講演が行われた。最初のセッションの講演では核セキュリティの国際的な枠組みが紹介された。次のセッションの講演では、IAEAの保障措置とその戦略の最近の進展について説明があり、追加議定書の重要性が強調された。これらのセッションはいずれも、核セキュリティ・保障措置の実施に必要な主要要件を理解する上での基盤となり、その一方で、追加議定書申告に関する情報収集、核物質防護に必要な要件についての正しい理解、核セキュリティ・保障措置の規制能力の確保という解決すべき課題についての認識を高めた。
次のセッションでは、11の参加国からカントリーレポートが発表され、参加各国が核セキュリティ・保障措置の実施における自国の現状を把握できるよい機会となった。また、さらに重要な成果として、核セキュリティ・保障措置を実施する上での共通の課題を確認でき、そのうちのいくつかを本プロジェクトの活動の対象にする見通しを立てることもできた。
続くセッションでは円卓討議が行われ、核セキュリティ、保障措置、3S、IAEAやアジア太平洋保障措置ネットワーク(APSN)などの多国間枠組みとの協力、核セキュリティ・保障措置分野の人材育成(HRD)をテーマに、情報や知見の交換が活発に行われた。討議を通して、さらに情報や意見交換が必要なテーマが明確にされ、またFNCAの枠組みにおける協力活動の方向性が模索された。具体的な討議内容は以下のとおりである。
i. |
核セキュリティ
・ |
核セキュリティカルチャーを醸成するための取り組みに関して知見を共有する。 |
・ |
核セキュリティにおける経験および優れた取り組みと、核セキュリティと原子力安全との相反する概念についての専門知識を共有する。 |
|
ii. |
保障措置
・ |
追加議定書(AP)の実施に関して参加国間で経験を共有する場として、FNCAとAPSNが連携して会合あるいはワークショップを開く。 |
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iii. |
3S(原子力安全、保障措置、核セキュリティ)
・ |
3S強化に向けた各S間の調整方法についての検討を行う。この取り組みの一環として、各国における原子力安全、保障措置、核物質・放射線源のセキュリティを担当する機関に関する情報を参加各国から収集し、この情報を表にまとめて各国の規制の仕組みについて情報を共有する。 |
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iv. |
IAEAやAPSNなどの多国間枠組みとの協力
・ |
FNCAとAPSN双方で活動スケジュールおよび活動テーマについての表を作る。 |
・ |
次のFNCAワークショップにおいて、APSNと合同で追加議定書(AP)についての公開会合を開催する(上記の「保障措置」の箇所でも同内容について言及)。 |
|
v. |
核セキュリティ・保障措置のための人材育成(HRD)
・ |
人材育成のためのツールや方法について引き続き議論する。 |
|
全体的に見て、今回のワークショップは有意義な議論が多く行われ、成功裏に終了したといえる。アジアにおける核セキュリティ・保障措置の実施体制を強化する上で核セキュリティ・保障措置プロジェクトが重要な役割を果たし得ることが示された。本プロジェクトは今後、核セキュリティ・保障措置について参加各国の認識を高めるためのメカニズムとして、また、核セキュリティ・保障措置の強化に向けて知見や経験を共有する場として機能するであろう。アジア地域における核セキュリティ・保障措置の確保に寄与するために本プロジェクトが取り組むべき課題は以下のとおりである。
1. |
プロジェクト活動に役立てるための知識共有システムを確立する。 |
2. |
参加国における政界や他のステークホルダーへのアウトリーチ活動を支援する。 |
3. |
参加国における核セキュリティ・保障措置の強化に有効なプログラムを構築する。 |
ワークショップの各セッション概要
FNCA活動と成果の概要
町 末男 氏(FNCA日本コーディネーター)
FNCAの各プロジェクトの活動内容とその進展状況や成果について、放射線育種プロジェクト、ラン耐虫性育種サブプロジェクト、医療用PET・サイクロトロンプロジェクト、人材養成プロジェクトを例に挙げて紹介された。
核セキュリティ・保障措置プロジェクトについて
千崎 雅生 氏 (日本プロジェクトリーダー、(独)日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター)
世界的に見て核物質の取扱量が増加するとの見通しから、国際協力を促進して核セキュリティ・保障措置を強化する必要性が高まってきていることを背景として核セキュリティ・保証措置プロジェクトが新設されたことが説明された。また、本プロジェクトでは核セキュリティ・保障措置の実施に関する経験、知識、情報の共有と、核セキュリティ・保障措置の政策や戦略、枠組みについての意見交換を目的としていることが報告された。さらに、本プロジェクトの成果として、核セキュリティ・保障措置の重要性についての認識を高めること、情報共有を図ること、キャパシティ・ビルディングを促進すること、FNCAの枠組みでの協力活動を進めること、技術的なツールに関する情報や核セキュリティ・保障措置のために必要な要件に関する情報を共有してアジアにおける核セキュリティ・保障措置を強化することが期待されることが報告された。
セッション 1: 核セキュリティ
内藤 香 氏 ((財)核物質管理センター専務理事・原子力委員会原子力防護専門部会長)
核セキュリティのための国際的な枠組みの概要が紹介された。また、核セキュリティを確保するためには、核物質を適切に管理すること、国レベルで適切な基盤を整備・維持し、核物質の計量管理、核物質防護、輸出管理に効果的な措置を講じること、二国間および国際的なアウトリーチ・プログラムを活用することの3点が特に重要であると述べられた。
セッション 2: 保障措置
Mr. Davis Hurt (IAEA東京地域事務所所長)
IAEA保障措置の概念がどのように発展してきたかについて以下のとおり説明された。
1. |
1990年代に国レベルでの概念が生まれ、現在に至るまで保障措置実施の土台となっている。 |
2. |
「保障措置実施のための概念的枠組み」という文書が保障措置局政策文書としてまもなく新たに作成される予定である。この枠組みでは以下の10の一般原則が定義される予定である。
・ |
識別せず区別する。 |
・ |
コストに左右されずに有効性を最優先する。 |
・ |
法的権限を十分に活用する。 |
・ |
リスク管理を行う。 |
・ |
核拡散の経路をすべて把握する。 |
・ |
核物質計量を転用発見の基礎とする。 |
・ |
情報を総合的に分析する。 |
・ |
情報の安全性と有効性を確保する。 |
・ |
実施プロセスを透明化する。 |
・ |
品質管理を行う。 |
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3. |
これらの新しく定義された原則に基づいて、以下の変化が期待される。
・ |
IAEA文書(国レベルでの保障措置アプローチおよび国ごとの年次実施計画)における内部の検査・承認プロセスが改善される。 |
・ |
保障措置に対する年次評価プロセスが大幅に変更される。 |
・ |
保障措置効果評価(SEE)部門が全施設を評価するシステムから、各運営部門が担当施設を評価するシステムに変更する。 |
|
セッション 2: 追加議定書(AP)の重要性
長山 由孝 氏 (文部科学省研究開発局開発企画課核不拡散・保障措置室査察官)
追加議定書(AP)の重要性が強調され、APは国際的な核の安全保障体制を構築するために非常に重要であること、核物質を保有したり原子力活動を行ったりしている国は透明性を強化して国際社会から信用を得るべきであると述べられた。また、APの普遍化により地域レベルおよび世界レベルでの安全保障の確立が促されることが強調された。さらに、日本におけるAP実施のシステムについて説明があった。最後に、(独)日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの使命は核セキュリティ・保障措置の強化に貢献することであり、日本は本分野においてFNCAに積極的に協力することが述べられた。
セッション 5: カントリーレポートサマリー
セッション3〜4で11の参加国からカントリーレポートとして各国における核セキュリティ・保障措置への取り組みや政策が報告され、以下のとおりサマリーがまとめられた。
1. |
原子力開発の状況に著しい変化はみられていない。日本と韓国では原子力発電所が稼働中で、バングラデシュとベトナムでは原子力発電所の建設を計画している。また、原子力発電所の建設へ向けた具体的な計画を練っている国もある。 |
2. |
各国における核セキュリティ・保障措置の実施状況(核不拡散(NPT)、包括的保障措置協定(CSA)、追加議定書(AP)、統合保障措置(IS)、核物質の防護に関する条約(CPPNM)、CPPNMの改正条約、核テロリズム防止条約)について報告があった。 |
3. |
規制体制については次のように要約される。完全に独立した規制機関を有している国は少ない。多くの国は半独立の機関を有し、その中には完全に独立した規制機関の設立を前向きに検討している国もある。 |
4. |
主な課題として以下が確認された。
・ |
人的資源が不足している。 |
・ |
法規制の整備が不足している。 |
・ |
核セキュリティカルチャーが浸透していない。 |
・ |
3Sを担う独立した規制機関がない。 |
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5. |
既存の国際協力および地域協力について、以下が確認された。
・ |
メガポート・イニシアティブ(米国が主導) |
・ |
IAEA核セキュリティ統合支援計画(INSSP) |
・ |
規制基盤統合支援サービス(IRISS)(韓国が提供) |
・ |
核物質防護強化支援(IAEA、EU、米国、日本による共同イニシアティブ) |
・ |
国境警備強化支援(米国) |
・ |
トレーニングコース(IAEA、オーストラリア、日本、韓国、ロシア、米国) |
・ |
その他の地域協力((独)日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センターのトレーニングコース、INSA(韓国・2014年〜) |
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セッション 6: 円卓討議 (核セキュリティ)
リードスピーチ: Mr. CHUNG, Jinho (韓国)
ソウルで開催される核セキュリティ・サミットの背景および同サミットの意義と目的について説明があった。また、同サミットに関連した2つの主要イベントについても紹介があった。
セッション 6、円卓討議の要約
1. |
核セキュリティの確保に必要な枠組みについての討議が行われた。 |
2. |
核セキュリティ実施に関する経験や知識(特に人材育成の分野)を共有することの必要性が確認された。 |
3. |
核セキュリティの方針や戦略についての意見を交換することの困難性が指摘された。 |
4. |
規制機能、国境管理、専門技術、核セキュリティカルチャーなどの必要不可欠な基盤の整備について、その必要性と課題が認識され、核セキュリティの基盤整備に関する知識を共有する必要があることが確認された。 |
5. |
放射線源のセキュリティ確保の困難性が確認された。 |
6. |
核セキュリティを強化する上でFNCAが果たせる役割について討議された。これに関連して、核セキュリティ強化のための地域協力についてさまざまな可能性が検討された。 |
7. |
核セキュリティ強化における核セキュリティ・保障措置プロジェクトの重要性が確認された。また、地域協力を促進するための手段(トレーニングコースやワークショップ)についての討議が行われた。 |
8. |
インドネシアより、地域的な設計基礎脅威(DBT)の策定を検討すべきであるという提案がなされた。 |
9. |
提案された活動 (インドネシアからの提案): 以下の活動を行うことで合意した。
・ |
核セキュリティカルチャーを醸成するための取り組みに関して知見を共有する。 |
・ |
核セキュリティにおける各国の経験や優れた取り組み、および核セキュリティと原子力安全の概念についての専門知識を共有する。 |
|
セッション 7: 円卓討議 (保障措置)
リードスピーチ: Mr. Davis HURT (IAEA)
保障措置の実施に最低限必要な要件と推奨される基盤について説明された。また、経験の共有(良い経験と悪い経験の両方)、トレーニングの共同実施、方針の共同策定、機器の共同開発など、協力活動が見込める分野について提言がなされた。
セッション 7、円卓討議の要約
1. |
保障措置の実施に必要な基盤(法的基盤や技術的基盤など)に関する知見が共有された。 |
2. |
ベンダーから調達した核物質を検認するための技術的専門知識の必要性が確認された。 |
3. |
追加議定書(AP)を実施することの重要性が強調された。その一方で、大学や研究機関から提供された情報の検認および最初の申告に伴う困難な点も指摘された。この点に関連して、国際的な支援が不可欠であることが確認された。 |
4. |
保障措置検査の実施に必要な専門知識が国内当局に不足していることが確認された。 |
5. |
APの批准には政治的な関与が非常に重要であることが確認された。またAPの実施にあたっては、実施に必要な条件に関する専門知識が不可欠であることが確認された。この点に関連して、APの実施に関する知見の共有が重要であることが確認された。 |
6. |
提案された活動: 以下の活動を行うことで合意した。
・ |
APの実施に関するメンバー国の知見を共有する場として、FNCAとAPSNが合同で会合またはワークショップを実施する。 |
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セッション 8: 円卓討議 (3S (原子力安全、保障措置、核セキュリティ)
リードスピーチ: 千崎 雅生 氏 (日本)
3Sがきわめて重要であることや、3S確保においては3S間のインターフェースと相乗効果をよく考える必要があることが強調された。また、3Sの統合的なアプローチをいつ実行するか、統合的なアプローチをどのように策定するかという課題が述べられた。
セッション 8、円卓討議の要約
1. |
3S確保の重要性が確認された。また、大部分の参加者の間で3S確保に関する知見が共有された。 |
2. |
核セキュリティ・保障措置の実施について、原子力安全の専門家の理解が不足していることが指摘された。この点に関連して、原子力安全に関する会議においてその理解を促すという提案がなされた。 |
3. |
原子力安全、保障措置、核セキュリティにおける各関係者の取り組みの調整を図ることが重要であり、それが解決すべき課題でもあることが確認された。 |
4. |
核セキュリティ関連の問題について警備機関や諜報機関などの治安当局と対話を行うことが重要であることが指摘された。 |
5. |
東京電力福島第一原子力発電所の事故は3S確保のための統合的なアプローチが必要であるという教訓となった。しかし、それぞれの接点を考慮するとどのような相乗効果が得られるかを見出すことや、核セキュリティと原子力安全という、相反する概念についてどのように調和を図るかが課題として残されている。 |
6. |
3Sの考え方を原子力施設の設計段階から考慮するという概念(Nuclear 3S by design)と3Sのカルチャーが考慮に値するトピックであることが確認された。 |
7. |
核セキュリティのための規制および実施のキャパシティ・ビルディングの必要が確認された。 |
8. |
タイ原子力庁(OAP)設立50周年を記念して2011年にバンコクで開催された3S会議の成果についてタイから報告があった。同会議では、3Sに関するASEAN諸国間の協力ネットワークであるASEANTOMの立ち上げという成果もあった。ASEANTOMでは、技術担当者だけでなく政策担当者間での協力関係も見込まれている。 |
9. |
核セキュリティの取り組みの一環として核鑑識を含むことが確認された。また、核鑑識分野におけるコア能力を識別するための国際支援プログラム計画が紹介された。 |
10. |
提案された活動: 3S間の調和をより促進させるため以下の活動を行うことで合意した。
・ |
各国における原子力安全、保障措置、核物質・放射線源のセキュリティを担当する当局に関する情報をメンバー国から収集し、それらの情報をメンバー国で共有する。 |
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セッション 9: 円卓討議 (IAEA, APSN等の多国間枠組みとの連携)
リードスピーチ: Dr. Craig EVERTON (オーストラリア)
アジア太平洋保障措置ネットワーク(APSN)の目的、メンバーおよびオブザーバー、活動内容、最近の進展(ワーキング・グループの設定、情報共有のためのウェブサイトの立ち上げ、保障措置トレーニングの必要性や可能性に関する調査)、今後の活動やプロジェクトの予定について説明された。また、アジア太平洋地域における地域協力の構築においてAPSNが果たす潜在的な役割が強調された。
セッション 9、円卓討議の要約
1. |
IAEAやAPSNなどの多国間枠組みとの連携を通じて核セキュリティ・保障措置の分野におけるFNCAの活動を強化する必要があることが合意された。 |
2. |
IAEAとの協力を実現するために、IAEAが核セキュリティ・保障措置プロジェクトの活動に定期的に参加するように、本プロジェクトがIAEA事務局長に公式文書で依頼することが期待される。公式文書には、IAEAにどのような提言、連携、支援を期待しているかを明記する必要がある。 |
3. |
IAEAに期待する支援は専門的なものである。具体的には、追加議定書(AP)申告に必要な要件に関する講義、核セキュリティ確保のための国レベルの基盤整備に最低限必要な要件に関する講義、キャパシティ・ビルディング支援に関する情報の共有、核セキュリティ・保障措置トレーニングである。 |
4. |
課題の1つとして、IAEAとの協力活動に必要な財源の確保が挙げられる。保障措置トレーニングがメンバー国支援プログラム(Member State Support Programs)を通じて実施されるケースが多いことから、同プログラムの活用が対応策として考えられる。その点を考慮すると、例えば日本や韓国の原子力施設などで、IAEAによる保障措置検査官トレーニングをメンバー国に対して実施することが可能になると考えられる。ただし、トレーニングの実現性や実施期間についてIAEAとさらに議論や相談を重ねる必要がある。 |
5. |
保障措置に関する活動では、FNCA内での連携とAPSNとの連携が必要であるとの意見で一致した。APSNとの連携においては以下の点が重要であることが確認された。
a. |
活動のスケジュールおよびテーマについてより緊密に連絡し合い、重複しないように注意する。 |
b. |
それぞれの活動が重複しないようにAPSNと連携し、効果の向上とコスト削減を図る。 |
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6. |
提案された活動: APSNとの連携については以下の活動を行うことで合意した。
a. |
FNCAとAPSNの両方の活動のテーマおよびスケジュールの表を作成する。 |
b. |
次のFNCAワークショップにおいて、APSNとFNCA合同で、AP実施についての公開ワークショップを開催する(またはAPSNの本会議と同時に開催する)。 |
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セッション 10: 円卓討議 (核セキュリティ・保障措置分野の人材育成)
リードスピーチ: 直井 洋介 氏 (日本)
(独)日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センターが実施しているキャパシティ・ビルディング支援活動について説明があった。また、支援プログラム策定計画について説明があり、核セキュリティ・保障措置分野におけるメンバー国のキャパシティ・ビルディングの場として同センターを活用してはどうかという提案があった。
セッション 10、円卓討議の要約
1. |
トレーナー養成プログラムを策定する必要性が確認された。 |
2. |
政府関係者やステークホルダーへのアウトリーチ活動の重要性が確認された。 |
3. |
トレーニングコースの講師としてアジア諸国から専門家を招聘することを検討してはどうかという提案がなされた。 |
4. |
人材育成は原則として国家プログラムとして実施すべきであり、それぞれの国が自身で人材育成のための戦略を策定することが必要であることが確認された。 |
5. |
トレーニングコースの情報を共有する手段として電子メールやウェブサイトが効果的であることが確認された。また、法律文書に関する情報を共有してはどうかという提案がなされた。 |
6. |
情報共有の場としてFNCAのウェブサイトを活用することを検討してはどうかという提案がなされた。 |
7. |
(独)日本原子力研究開発機構から国内計量管理制度(SSAC)に関するトレーニングコースを更新する計画について説明があった。新コースの内容には、核物質防護の詳細、追加議定書(AP)、AP批准の必要性についての解説が含まれる予定である。 |
8. |
トレーニングコースの実施期間はパートナー国のニーズに合わせて柔軟に変更すべきとの意見が示された。 |
9. |
核問題に関する情報については、情報管理を行う必要があることが認識された。 |
10. |
提案された活動: 人材育成については以下の活動を行うことで合意した。
・ |
情報を共有するための有望なツール・手法について引き続き討議する。 |
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