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原子力安全マネジメントシステム ワークショップ

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ワークショップ

FNCA 2010 原子力安全マネジメントシステムワークショップ

2010年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
概要

2010年10月11-15日
インドネシア、セルポン


2010年度原子力安全マネジメントシステムプロジェクトのワークショップが、インドネシアのセルポンで、2010年10月11日〜15日の5日間開催され、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの10ヵ国から専門家が参加しました。

【ワークショップ概要】

 インドネシア原子力庁(BATAN)副長官でFNCAコーディネーターのDr. Taswanda Taryoが開会挨拶を行い、参加者への歓迎と、インドネシアの研究炉の安全に関する経験について述べた。G.A.Siwabessy多目的研究炉(RSG-GAS炉)は、インドネシアにける3基目の研究炉であり、事故の経験がないという良好な安全実績を有している。
 これに応えて主導国であるオーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)のMr. Basil Ellisが、Dr. Taryo及び開催国のスタッフに感謝の辞を述べた。そして参加者に向けて、歓迎とすべてのメンバー国の出席に対して謝辞を述べるとともに、今回が原子力安全マネジメントシステムプロジェクトとして2回目のワークショップであり、ピアレビューが初めて実施されるとの説明を行った。

 各参加者は自己紹介を行った。

 原子力安全研究協会の高橋秀武研究参与により、FNCAの設立経緯、目的、活動について説明が行われた。FNCAは、アジアの10ヵ国の参加の下、原子力の平和利用のために日本が主導する国際協力の枠組であり、活動している11プロジェクトのうち、原子力安全マネジメントシステム(SMS)プロジェクトは、2009年にオーストラリアの主導により発足し、2013年までの活動が予定されている。

 続いて、Mr. EllisがFNCAの枠組におけるSMSプロジェクトの背景について説明した。これは、自己評価(Self Assessment)及びピアレビューへの取り組みを発展させた以前の原子力安全文化(NSC)プロジェクトを引き継ぐものである。SMSプロジェクトの目的は、原子力施設における安全マネジメントシステムの重要側面を特定し、安全マネジメントの自己評価及びピアレビューのツールを開発し、合意に基づき参加各国内の機関においてピアレビューを実施することである。

 シドニーで開始したSMSプロジェクトのワークショップでは、安全マネジメントシステムの重要な課題について議論し、自己評価及びピアレビューの適切な手段についてのガイダンス(手引き)を提供した。その後オーストラリアは、プロジェクトチームの精査を受けた安全マネジメントシステムの自己評価ツールを作成した。この自己評価ツールは、参加各国が評価の対象として選択した施設について適用されることになる。RSG-GAS炉は本プロジェクト初のピアレビュー対象施設であり、将来のピアレビューをより有効なものとするための貴重な経験となり得る。

インドネシアにおける原子力活動の背景

 インドネシア原子力規制庁(BAPETEN)副長官Dr.Khoirul Hudaが、BAPETENの役割について報告した。この報告で、インドネシアにおける原子力利用についての基本法は、BAPETENとBATANという2つの独立機関設立の根拠となる、Act no 10//1997により定められている。BAPETENは、規制・許可・検査及び法律施行に関して機能し、明確な安全評価と規制評価プロセスを有している。

 Dr. Taryoが、BATANの役割について報告した。BATANは、「安全・保障措置第一」を基本方針として、原子力分野における研究・開発・応用等の活動を行っている。また、RSG-GAS炉を含む複数の研究センターを所管している。

 SMSプロジェクト発足時、活動分野がアジア原子力安全ネットワーク(Asian Nuclear Safety Network: ANSN)研究炉安全管理(Safety Management of Research Reactor : SMRR)トピカルグループと重複している点が指摘されていたために、シドニーにおけるワークショップで、以降のワークショップに、ANSNの代表者を招聘することが決定した。

 BATANにおけるANSN運営委員会委員であるDr. Setiyantoは、インドネシアにおけるANSN活動について報告を行った。ANSNの構想は、原子力の安全環境についての地域対応力を構築することである。また、インドネシアは、ANSN活動への支援及び参加を活発に行っている。またこれに関連して、SMSプロジェクトのインドネシアリーダーであり、ANSN活動を行っているDr. Djoko Nugrohoは、ANSNの活動と比較して、SMSプロジェクトのピアレビューとそのツールは強力であると発言した。

 参加各国の代表者は、それぞれの組織・施設について報告を行い、安全マネジメントについての概要を適切に示した。日本については、高橋研究参与と日本原子力研究開発機構(JAEA)の井手広史氏の2名により、JAEAの材料試験炉(JMTR)について、その安全性の概要と自己評価について報告が行われた。加えて、東京大学の出町和之氏より、高速炉「弥生」について報告があった。これらの報告は、興味深いものであった。

 SMSプロジェクトの継続的改良のため、ワークショップにおいては活動の変更・見直しが検討され、必要に応じて新しい活動が追加される。議論のために、Mr. Ellisは、SMSプロジェクト活動に生かされたNSCプロジェクトの教訓について発表した。

 自己評価のプロセスとツールについても議論が行われた。本プロジェクトとして自己評価は初めてで、複雑な試みなので、参加者はさらなる説明とガイダンスが必要であると考えた。ガイダンスについては、次回のワークショップまでに作成される予定である。ツールはすべてのトピックスをカバーしており有用である一方、重要なトピックスを選択し、次回のワークショップで焦点をあてることにもメリットがある。特定のトピックスに精通している講演者を招くことも参加者の理解の手助けとなるし、特定のトピックスに関するカントリーレポートを発表することも考えられる。

 参加者は、自己評価に安全性能指標(Safety Performance Indicator)のような、安全マネジメントシステムの採点を取り入れることに関心を示した。これにより、改善が必要なトピックスを特定し、毎年改善状況の経過を観察することが出来るためである。Mr. Hoand Sung Jungは韓国の事例を紹介し、実用的な指標を採用することの重要性について述べた。Mr. Ellisは指標について検討することに同意した。しかし、参加各国が国際的な良好事例を理解していなければ、誤って高すぎる自己採点をしてしまう可能性についても警告した。国際的な良好事例に関する情報は、ピアレビューの過程において与えられる。

 次回のワークショップについて、Ms. Zarina Masoodはマレーシアが開催国になることを申し出て、参加者はこの申し出に謝意を示した。この提案はFNCAコーディネーター会合に報告される予定である。

 Mr. Ellisは自己評価のトピックスを展開し、”Integration”などの難しい概念についてより詳細な説明を行った。また、一例としてOPAL炉の自己評価のドラフトを示し、参加者はこれに基づき議論を行った。また日本からの参加者も、JMTRの自己評価結果を開示した。これらの報告は、他の参加者が自己評価を実施するのを助けるためのものである。

 全ての参加国がプロセスを理解することを目的に、このワークショップは開催され、また全員参加の下ピアレビューが実施される。これはプロジェクトの開始にあたり特に重要である。理解を促進するために、Mr. Ellisは、OPAL炉の自己評価の一部を使用し、参加者がピアレビューのプロセスを演習するための訓練を行った。これにより、翌日から始まったRSG-GAS炉のピアレビューに馴染むことが出来た。

 最後に、ワークショップでの活動について短い評価が行われた。インドネシアによるプレゼンテーションのおかげで、後日実施されたRSG-GAS炉のピアレビューでは、より深く状況を理解することが出来た。カントリーレポートは興味深かいものであった。将来重要なトピックスに特化するために、カントリーレポートの扱う範囲と形式は変更されるであろう。ワークショップの目的は、自己評価ツールとピアレビューについて議論し、理解を深めることであったが、これは達成された。将来的なSMSプロジェクトの活動内容や新しいアイデアは、次回のワークショップまでに議論され、進展するであろう。また、次回ワークショップの開催地について検討することも今回の目的の一つであったが、2011年の開催地についてはマレーシアが立候補したため、この件はコーディネーター会合に報告されるであろう。


2010年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
プログラム

2010年10月11-15日
インドネシア、セルポン


1日目 10月11日月曜日

09:00-10:20 < 開会 >
・BATANによる歓迎挨拶
・ANSTOによる開会挨拶
・参加者自己紹介
・ワークショップに関する説明
10:20-10:40 ・コーヒーブレイク
・記念写真撮影
・記者会見
10:40-12:30 ・FNCA概要説明
・SMSプロジェクト概要説明
・カントリーレポート発表
12:30-13:30 ランチ
13:30-15:20 ・カントリーレポート(続き)
15:20-15:40 コーヒーブレイク
15:40-17:00 ・カントリーレポート(続き)

2日目 10月12日火曜日

09:00-10:20 カントリーレポートまとめ
10:20-10:40 コーヒーブレイク
10:40-12:30 ・インドネシア原子力規制庁(BAPETEN)の役割
・インドネシア原子力庁(BATAN)の役割
・ANSN活動の紹介
・原子力安全文化プロジェクトの教訓
・SMSプロジェクト将来活動
12:30-13:30 ランチ
13:30-15:20 ・自己評価ツールに関する議論
・ANSTO OPAL炉自己評価の例
15:20-15:40 コーヒーブレイク
15:40-17:00 ・ピアレビュープロセスに関する議論
・ANSTO OPAL炉自己評価を利用したピアレビュープロセスの実践
・G. A. Siwabessy多目的炉見学に関する説明

3日目 10月13日水曜日

午前 ・G. A. Siwabessy多目的炉における安全マネジメントシステムの紹介
・原子炉プール、中央制御室の見学
ランチ
午後 ・廃棄物処理施設見学
・G. A. Siwabessy多目的炉自己評価レポート発表
・ピアレビュー

4日目 10月14日木曜日

午前 ・ピアレビュー(続き)
午後 ・ピアレビューまとめ

5日目 10月15日金曜日

・ワークショップのまとめ
・ピアレビュー結果講評(研究炉スタッフへのフィードバック)
・閉会挨拶

2010年度原子力安全マネジメントシステムワークショップ
参加者リスト

2010年10月11-15日
インドネシア、セルポン


AUSTRALIA

Mr Basil Ellis
Project Leader for Lead Country
Australian Nuclear Science & Technology Organisation (ANSTO)

BANGLADESH

Md Abdus Salam
Principal Engineer
Reactor Operation & Maintenance Unit (ROMU)
Atomic Energy Research Establishment (AERE)
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)

CHINA

Dr MA Tao
Deputy Researcher
Institute of Nuclear and New Energy Technology
Tsinghua University

INDONESIA

Dr Djoko Hari Nugroho
National Nuclear Energy Agency (BATAN)

Dr Sigit Santosa (attending as observer & future Project Leader)
Project Leader
National Nuclear Energy Agency (BATAN)

JAPAN

Dr Jun Hamada
General Manager, Safety Culture Division
Japan Nuclear Technology Institute

Dr Kazuyuki Demachi
Nuclear Professional School &
Department of Nuclear Engineering and Management
School of Engineering
The University of Tokyo

Mr Hiroshi Ide
Chief, JMTR Engineering Section
Department of JMTR Operation
Neutron Irradiation and Testing Reactor Center
Oarai Research and Development Centre
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Mr Hidetake Takahashi
Technical Consultant
Nuclear Safety Research Association (NSRA)
(Former Director of Division)
Japan Material Testing Reactor
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Ms Aiko Nagai
International Affairs & Research Department
Nuclear Safety Research Association (NSRA)

KOREA

Mr Hoan Sung Jung
Manager of Safety Management
HANARO Management Division
Korea Atomic Energy Research Institute

MALAYSIA

Ms Zarina Masood
Manager, Reactor Operations & Maintenance
Nuclear Power Division
Malaysian Nuclear Agency

PHILIPPINES

Ms Haydee M. Solomon
Senior Science Research Specialist
Irradiation Services Section, Nuclear Services Division
Philippines Nuclear Research Institute

THAILAND

Mr Songkran Munsorn
Senior Reactor Operator,
Reactor Management Section, Nuclear Technology Operation Group
Thailand Institute of Nuclear Technology

VIETNAM

Mr Nguyen Nhi Dien
Director of Dalat Nuclear Research Institute
Vietnam Atomic Energy Institute


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