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人材養成 workshop

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ANTEP(アジア原子力教育訓練プログラム)

ワークショップ


FNCA 2005 人材養成 ワークショップ


FNCA 2005 人材養成ワークショップ 概要


  2005年度のFNCA人材養成ワークショップ(WS)は、2005年9月13日から16日にかけて、ベトナム・ダラトにおいて開催されました。本WSはベトナム科学技術省(MOST)と日本の文部科学省(MEXT)の共催により、ベトナム原子力委員会(VAEC)と日本原子力研究所(JAERI)が実施しました。

 初日の開会セッションでは、ベトナム・ラムドン州人民委員会のチャイ副議長、MEXT清水調査員、VAECタン委員長の3名が開会挨拶を行いました。

 WSには、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムおよび日本から8カ国の人材養成(HRD)担当のプロジェクト・リーダー(PL)1名ずつのほか、総勢19名が参加しました。

 WS前半は、各国のカントリーレポートの発表のほか、HRDネットワークの現状として、アジア原子力技術教育ネットワーク(ANENT)や世界原子力大学(ANU)などの活動紹介と、JAERIが実施したANU構想に関するアンケート調査の結果についての報告がありました。このアンケート調査は、ANUに期待される機能についての情報収集とANU実現に向けてのFNCAメンバー国間での相互協力の可能性について確認することを目的として実施しました。調査結果によると、「ANUの主目的は学位取得か職業訓練か?」との質問について、「学位」と回答したのはフィリピンだけで、大半は「両方」との回答でした。

 WS後半は、町FNCA日本コーディネーターからのFNCA全体活動の紹介とANU構想の具体化に向けた目的、機能、対象者などについて、活発な討議が行われました。また、ANUに対する人材養成のニーズと貢献可能な分野についても議論し、各国からの項目をリストアップしました。

 WSの最終日には、既存のアジア諸国での人材養成プログラムについて、MEXT佐野国際原子力協力官から紹介がありました。

 今後のプロジェクトの活動計画は 3段階で行うことなり、このうち1〜2段階までを今年度中に完了させることが合意されました。

 ANUの名称変更についての議論が行われ、ANUに代わる「Asian Nuclear Training and Education Program (ANTEP)」の基本構想は、日本がとりまとめ、2005年に開催されるFNCA大臣級会合に提出することとなりました。

 今回のWSにおいてまとめられた議事録および結論・勧告は、2006年3月に東京で開催される第7回FNCAコーディネーター会合に報告されることとなりました。また、次回のWSの開催については、中国から開催の申し入れがあり、参加者の合意が得られました。

 また、今回のWSの一環として、ダラト原子力研究所とダラト大学を視察しました。参加者は、主催者に対し、WSの実施と温かいもてなしに心からの謝意を表明いたしました。

2005年度 FNCA人材養成WS 討議風景その1 2005年度 FNCA人材養成WS 討議風景その2 ダラト原子力研究所への視察

以上




FNCA 2005 人材養成ワークショップ議事録(案)

2005年9月13〜16日 ベトナム、ダラト市

 「FNCA2005人材養成ワークショップ」は、ベトナム科学技術省及び日本の文部科学省の主催、ベトナム原子力委員会及び日本原子力研究所のホストにより、2005年9月13〜16日の4日間にわたり、ベトナムのダラトにおいて開催された。Appendix 1

  本ワークショップ初日に開会セッションを行い、ラムドン州人民委員会 Tran Quang Thai 副議長の歓迎挨拶に続き、文部科学省研究開発局原子力計画課清水美和子調査員、ベトナム原子力委員会 Vuong Huu Tan 委員長 がそれぞれ開会挨拶を行った。

 本ワークショップには、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、日本から、各国1名ずつの人材養成の責任者であるプロジェクトリーダーの他、合計19名が参加した(Appendix 2参照)。

 昨年度ワークショップにて提案され、2005年3月30〜4月1日に開催された第6回コーディネーター会合において合意されたテーマに基づいて作成したカントリーレポートを、本ワークショップ初日に各国プロジェクトリーダーが発表した。取り上げたテーマは、以下のとおりである。

  1. 各国の人材養成に関する原子力分野の最近の話題について
  2. 2004年度大臣級会合においてベトナムから提案されたアジア原子力大学(ANU)の概念について
  3. 人材養成戦略モデルのまとめ
  4. FNCA人材養成プロジェクトの将来計画に関する日本からの提案

 第2日目には、「人材養成ネットワークの現状」(ANENT、WNU等)及び「日本における外国人学生、科学者、技術者向けの博士号取得のための大学制度」についての発表が行われ、人材養成に関する既存のネットワークについての理解をより一層深めた。さらに、ANU構想についての全体討論を活発化するために、「ANU概念についての調査結果のまとめ」の発表が行われた。この調査の目的は、ANUに期待される機能についての情報収集と、ANU実現に向けてのFNCAメンバー国間での相互協力の可能性について確認することであった。Appendix 3

 第3日目には、ANU構想に係る目的、機能、対象とする人材に重点をおいて、活発な討論が引き続き行われた。町末男FNCA日本コーディネーターがワークショップに加わり、ANUに対する人材養成の緊急なニーズと貢献可能な分野についての議論が行われ、各国ごとにニーズ及び貢献可能分野の項目をリストアップした。Appendix 4
リストの修正版は、9月末日までに日本プロジェクトリーダーへ提出することとなった。大多数の国が興味を示している分野は、放射線利用(PET、電子ビーム加速器、食品照射)、研究炉利用(ラジオアイソトープ製造、中性子放射化分析、材料照射)、原子力発電計画、原子力安全と原子力規制であった。

 ワークショップ最終日には、既存のアジア諸国の人材養成MEXTプログラムについて、文部科学省研究開発局原子力計画課国際原子力協力官佐野多紀子氏から紹介があった。

 ANUの名称変更についての議論が行われ、「Asian Nuclear Training and Education Program (ANTEP)」が提案された。ワークショップにおいて議論されたANTEP構想の結論は、日本プロジェクトリーダーが草案をまとめ、各国プロジェクトリーダーに承認を求めた後、上級行政官会合に提出されることとなった。 Appendix 5

 この将来活動計画については、議論された内容を踏まえた修正版を日本プジェクトリーダーが作成し、各国プロジェクトリーダーに送付することとなった。

備考
 本ワークショップにおいて、中国からFNCA2006人材養成ワークショップ開催の申し入れがあり、参加者は中国の申し入れに対して合意し、謝意を表した。

 本ワークショップの一環として、ダラト原子力研究所とダラト大学の視察が行われた。参加者は主催者に対し、すばらしい準備と温かいもてなしに謝意を表した。

 この議事録は、本ワークショップ参加者全員の合意が得られており、2006年3月に東京で開催される第7回FNCAコーディネーター会合に報告される。




2005年度 FNCA人材養成ワークショッププログラム


主   催: ベトナム科学技術省(MOST)
文部科学省(MEXT)
実施機関: ベトナム原子力委員会(VAEC)
日本原子力研究所(JAERI)
日   程: 2005年9月13日(火)〜9月16日(金)
開催場所: ベトナム、ダラト市内、ソフィテルダラトパレス
参 加 国: 中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム



9月13日(火)
09:30-10:00 参加者登録
10:00-11:00 開会セッション
司会:Nguyen Mong Sinh, VAEC
10:00-10:05 歓迎挨拶
ラムドン州人民委員会副議長
TRAN Quang Thai
10:05-10:10 開会挨拶
文部科学省 研究開発局 原子力計画課 国際協力担当 調査員
清水美和子
10:10-10:15 開会挨拶
ベトナム原子力委員会(VAEC)委員長
VUONG Huu Tan
10:15-10:30 参加者紹介
10:30-10:50 記念写真撮影
コーヒーブレイク
10:50-11:20 第6回FNCAコーディネーター会合結果と今回のワークショップの進め方
松鶴秀夫 日本プロジェクトリーダー(PL)
11:20-17:55 プレゼンテーションセッション1−カントリーレポート“ANUコンセプトと原子力人材養成に関する自国の最近の話題について”
(ベトナム・中国・マレーシアはHRD戦略モデルも含む)
議 長:Rapieh Aminuddin
11:20-12:05 松鶴秀夫
12:05-13:30 昼 食
議 長:Rapieh Aminuddin
13:30-14:30 Vu Dang Ninh  ベトナム PL
14:30-15:05 Chen Gang 中国PL
15:05-15:25 コーヒーブレイク
議 長:Estelita Gregorio Cabalfin
15:25-16:00 Karsono  インドネシア PL
16:00-16:35 Eui-Jin Lee  韓国 PL
議 長:Chen Gang
16:35-17:10 Rapieh Binti Aminuddin マレーシアPL
17:10-17:35 Estelita Gregorio Cabalfin フィリピンPL代理
17:35-17:55 Somporn Chongkum タイPL


9月14日(水)
09:00-12:00 テクニカルツアー
ダラト原子力研究所
ダラト大学
12:00-13:30 昼 食
13:30-14:45 プレゼンテーションセッション2−HRDネットワークと学位制度
議 長:Rapieh Aminuddin
13:30-13:45 原子力技術教育のためのアジア諸国におけるネットワーク
Rapieh Aminuddin
13:45-14:00 WNU と他の国際ネットワークの現状
( 社 ) 日本原子力産業会議 花光圭子
14:00-14:30 日本における外国人及び理工学の学生向けの博士号取得のための大学制度
東京工業大学 竹本高敏

14:30-14:45

全体討論
14:45-15:05 コーヒーブレイク
15:05-17:30 討論セッション1−ANUコンセプト
議 長:Eui-Jin Lee
15:05-17:30 ANUコンセプトに関するアンケート調査のまとめ
日本原子力研究所 笹本宣雄
15:05-15:35 全体討論


9月15日(木)
10:00-17:30 討論セッション2−ANU構想及び今後の作業計画
議 長:Vu Dang Ninh & 松鶴秀夫
10:00-11:00 ANU構想及び今後の作業計画についての全体討論
11:00-11:15 コーヒーブレイク
11:15-12:00 ANU構想及び今後の作業計画についての全体討論(続き)
12:00-13:30 昼 食
13:30-13:40 討論の経緯と合意点について
松鶴秀夫
議 長:町末男
13:40-15:30 ANU構想及び今後の作業計画案の作成
15:30-15:50 コーヒーブレイク
15:50-16:00 記念写真撮影
16:00-17:30 ANU構想案及び今後の作業計画案の作成(続き)
18:30-20:30 MEXT・MOST共催レセプション


9月16日(金)
09:00-12:00 事務局作業―WSのまとめ
議 長:Vu Dang Ninh & 松鶴秀夫
09:00-12:00 議事録(案)及びSOM提案資料(案)の作成
12:00-13:30 昼 食
13:30-14:45 結論セッションーWSのまとめ及び将来計画
議 長:Vu Dang Ninh & 松鶴秀夫
13:30-13:45 HRDプロジェクト将来計画
花光圭子
13:45-14:45 議事録(案)及びSOM提案資料(案)の採択
14:45-15:05 閉会セッション
司会:Nguyen Mong Sinh
14:45-14:50 閉会挨拶  Vu Dang Ninh
14:50-14:55 閉会挨拶 松鶴秀夫
14:55-15:00 閉会挨拶  FNCA 日本コーディネーター 原子力委員会( AEC )委員 町末男
15:00-15:05 閉会挨拶 ベトナム原子力委員会 原子力研究所 所長  Nguyen Nhi Dien

2005年度FNCA人材養成参加者リスト


[中 国]
Mr. CHEN Gang
プロジェクトリーダー
中国広東核電集団公司(CGNPC)管理研修センター 人事部 課長
[インドネシア]
Mr. KARSONO
プロジェクトリーダー
インドネシア原子力庁(BATAN)教育研修センター センター長

[韓 国]

Mr. Eui-Jin LEE
プロジェクトリーダー
韓国原子力研究所(KAERI) 原子力訓練センター 国際研修プログラム 部長

[マレーシア]

Ms. Rapieh Binti AMINUDDIN
プロジェクトリーダー
マレーシア原子力庁(MINT)人材育成開発部 部長

[フィリピン]

Ms. Estelita Gregorio CABALFIN
プロジェクトリーダー代理
フィリピン原子力研究所(PNRI)原子力サービス・訓練部 照射サービス課
科学研究管理専門家

[タ イ]

Dr. (Mr.) Somporn CHONGKUM
プロジェクトリーダー
タイ原子力庁(OAP)副長官

[ベトナム]

Prof. Dr. VUONG Huu Tan
FNCAベトナムコーディネーター
ベトナム原子力委員会(VAEC)委員長
Mr. VU Dang Ninh
プロジェクトリーダー
ベトナム原子力委員会(VAEC) 総務部 部長
Dr. HOANG Anh Tuan
ベトナム原子力委員会(VAEC)科学計画管理部 次長
Prof. Dr. NGUYEN Nhi Dien
ダラト原子力研究所 所長
Prof. Dr. NGUYEN Mong Shin
科学技術委員会 委員長
Mr. PHAM Van Tai
ダラト原子力研究所 人事管理部 部長
Dr. NGUYEN Van Hung
ダラト原子力研究所 教育訓練センター センター長

[日 本]

町 末男
FNCA日本コーディネーター
内閣府 原子力委員会 委員

佐野 多紀子
文部科学省 研究開発局 原子力計画課 国際原子力協力官

清水 美和子
文部科学省 研究開発局 原子力計画課 国際協力担当 調査員

松鶴 秀夫
プロジェクトリーダー
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター センター長

黒田 雄二
日本原子力発電株式会社 総合研修センター 所長

竹本 高敏
東京工業大学 原子炉工学研究所 客員助教授

<事務局>

花光 圭子
(社)日本原子力産業会議 アジア協力センター

笹本 宣雄
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター

生田 優子
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター

大内 玲
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター



アンケート調査結果のまとめ



1.調査目的
  ANU の有すべき機能について、 FNCA 参加国内でコンセンサスを得るための情報収集
  FNCA 参加国が相互に協力する形で ANU を構築できるか、その可能性の確認
  ANU に対するニーズの把握

2.調査結果
  Q1:ANUに期待される主要目的は?
  ANUは職業訓練と学位取得の両方をカバーすべきである。
  Q2:上記の目的は、何らかの方法により自国で達成可能か?
  ・ 全ての国が、自国内のプログラムだけでは対応できないと回答した(「分野による」という回答国も含む)。
  Q3:既存の国際研修コース/システムを利用して上記の目的は達成可能か?
  既存の国際プログラムだけで達成可能であると回答した国は8カ国中2カ国。
  既存のプログラムでは不十分であるとの回答が大半を占めた。
  Q4:HRD戦略モデルにおいて、ANU卒業生をどのように活かしたいか?
  全ての国が、原子力分野で養成が必要な人材は教育指導者ではなく、現場で働く管理者と原子力技術者であると回答した。
  Q5:ANUの目標達成のためにはどのような機能が必要か?
  実験の要望が一番大きい。
  OJTの優先度が高い。
  実験、OJT、講義、e-ラーニング、計算実習が上位を占める。
  Q6〜Q10:協力関係のある既存の国際研修コースについて
  協力体制の内容
  海外研修コースへの研修生派遣。短期研修がほとんど。
  海外から専門家の招聘、または講師/教官の海外派遣。
  FNCA国内では、RCAとの係わりが一番大きく、次いでANENT、ANSNとの関係が深い。AIT、WNUとの関係は比較的希薄である。
  Q11:ANUのプログラムを作っていく上で、どの既存の国際プログラムと協力関係を持ちたいか?
 

各国とも既存の国際プログラムと何らかの形で協力関係を有しており、ANUと併行して既存のプログラムとの関係の継続を望んでいる。
→ANUは、既存国際プログラムと相補的な協力関係を持つべきである。

  AIT、WNUとの関係はさほど深くないが、ANUとは協力関係を持つことが望ましいとしている。
  Q12:既存の国際研修プログラムにかけている項目は何か?
  既存の研修プログラムに欠けている項目は、実験、OJT、計算実習等であり、これらの項目とANUに期待する項目の間の相関はかなり強い。
  Q13〜Q15:自給可能または開発中の分野、及びANUに貢献可能な分野について
  8カ国中3カ国が、原子力の全分野にわたり自給/貢献が可能と回答した。
  分野によっては自給自足が可能であると回答した国もいくつかあった。
  ある国で開発が必要と考えられる分野を、その他の国がカバーできる可能性がある。
  講義についての貢献可能な国が多いのに対し、実験や計算実習での貢献が可能な国は少ない。ニーズはその逆である。
  ニーズの高い項目:
   
研究炉利用 核データと物理
炉物理
炉設計とエンジニアリング
材料と核燃料
放射線とアイソトープ利用 水文学
原子力発電 炉設計
  Q16〜Q18:ANUへの貢献のために必要なインフラ
  4ヶ国がANUに協力可能な大学、機関、施設の具体名を挙げている。
  学位取得のシステムにおいて、5ヵ国から大学の協力が得られるとの回答があった。
  Q19:ANUの利用者数
  10名未満と10〜50名との回答が半々。約50〜100名超のANU研修生を確保できる可能性がある。
  Q20:ANU組織の抱える問題
  研修教材の言語(母国語で書かれたものがほとんど)
  研修生の確保、質の高い学生の養成
  ANUの運営費
  奨学金制度
  ANU運営スタッフ
  ANU運営方法、各国の協力形態
  ANU支援国

3.まとめ
  1) ANUの目的 (Q1, Q3, Q5, Q6〜10, Q18)
  8カ国中7カ国が、ANUは高等原子力エンジニアを育成する職業訓練と、学位取得をめざす高等教育の役割があると回答した。
   
ANUは、2つの目的を両方とも含む組織とすべきであり、職業訓練としての機能はANUが主体的に担当し、学位取得は大学の活動に協力する立場である。
  2) ANUの独自性 (Q3, Q5, Q6〜Q10, Q11, Q12)
  ANUに期待される機能は、実験、OJT、講義、e-ラーニング、計算実習である。
  実験とOJTは、既存の国際研修コースに欠落している部分である。
   
ANUは、実験、OJT、計算実習に重点を置いた特徴あるカリキュラムを持つべきである。
このような点で、ANUはRCA、ANENT、ANSNのような既存の国際教育訓練プログラムの補完的機能を持つ協力関係を築く必要がある。
  3) ANUを構築する上で、参加国が貢献できる分野
  3カ国から原子力の全分野にわたり貢献可能と回答があった。
  分野によっては自給自足が可能であり、その分野においては貢献可能と回答した国もいくつかあった。
  ある国の人材養成のニーズは、他国の協力により対処できる。
   
FNCA参加国の相互協力体制によってANUに貢献するという仕組みは(インフラ整備費、運営費の問題を別にすれば)実現可能である。
  4) ANUの期待
  ANUシステムに対するニーズを、年間10名未満とする国と、10〜50名とする国の割合が半々であった。
  ANUへのニーズは50〜100人を超えると予想される。
   
ANUへのニーズは約50人から100人超と予想され、アンケート結果からはANUへの期待の大きさが示された形となった。


FNCA各国の原子力人材養成のニーズ(案)



中国
原子力発電所設計エンジニア用訓練( 30 名、 3 〜 6 カ月間)
原子力発電所設計の一般原理、デジタル中央制御室設計技術、 OJT
先進原子力発電所制御室の運転と研修( 24 名、 3 ヶ月)
先進原子力発電所原理、デジタルと制御原理、運転実験、 OJT
韓国
大学の原子力教育プログラムの支援
産業界における優秀な人材確保
原子力人材の国際競争力の強化
韓国政府は、@原子力工学・科学を専攻する大学生やA原子力界に携わる若手科学者やエンジニアのための先進国での留学や研修を支援。
インドネシア
研究炉とその利用
核データと物理、炉物理、炉設計と炉工学、原子炉安全性、放射線防護、中性子ビーム利用、研究炉とその他の原子力施設解体技術
放射線と RI 利用
核医学( PET 、 SPECT )、放射線治療
原子力発電
炉物理、材料と核燃料、炉設計、原子炉の運転保守、原子炉安全性、放射線防護、放射性廃棄物管理(上級スタッフ向け)、原子力発電所建設準備、原子力安全性
マレーシア
研究炉とその利用
核データと物理、炉物理、炉設計と炉工学、材料と核燃料、原子炉の運転保守、放射性廃棄物管理、放射線防護、 RI 製造、中性子ビーム利用
RI と放射線利用
放射線化学、放射線加工、農業利用、水文学、放射性廃棄物管理
サイクロトロンを用いた PET と RI 製造
電子ビーム、サイクロトロン製造
MINT の博士課程修了者 OJT 支援
原子力発電全般、特にプログラム立案
タイ
サイクロトロン施設関係( 2006 年設計予定)
運転と保守、 RI 分離、 PET 、 SPECT
電子線加速器による高分子の改質とフルーツ照射関連
運転と保守、高分子の改質技術、施設の最適利用
原子力発電所関連(緊急)
エネルギー計画立案、実行可能性調査、法規と規制
研究炉の効果的な運転と利用
フィリピン
若手向け原子力工学
原子力エネルギー計画立案(非原子力エネルギー計画者)
研究炉の廃止措置(計画と実務プログラム)
電子線技術(装置と利用)
サイクロトロン技術(装置と利用− RI 製造)
ベトナム
研究炉の運転と応用
コンピューターコードを用いた原子炉安全解析、原子炉保守、炉安全規制、 QA/QC 管理、廃炉措置、核データ研究用中性子ビーム利用、中性子放射化分析、物質科学の中性子散乱研究
年間 5 〜 10 名。若手対象の OJT と修士・博士課程教育
放射線とアイソトープ利用
臨床医のための核医学、米やダイズの突然変異育種を含む原子力技術、電子加速器利用、農作物の生産、医学、食品照射、医療品滅菌の放射線技術、非破壊検査、工業用トレーサー応用、堆積物研究、環境研究
原子力発電
原子力規制官訓練、安全解析、原発サイト評価、環境評価、放射性廃棄物管理、原子力発電プロジェクト(立案、建設、監督、技術者)訓練
 
 年間 30 〜 40 名を養成。うち 5 名は規制、 10 名は規制のための安全技術支援、 15 〜 25 名は原子力発電所プロジェクトに必要な諸活動。形態は、発電所勤務者向け OJT と、研究開発や規制組織勤務者向け OJT と教育。


人材養成(HRD)活動計画(案)
アジア原子力教育・訓練プログラム(ANTEP)



第1段階:基本構想の検討と策定
  (1) ANU調査のとりまとめ
 
ANUの目的、形態
 
各国の既存の HRD制度とその課題
 
各国の分野別 HRDのニーズとANUへの貢献可能性
 
ANUに貢献可能な各国の分野、インフラ、専門家
 
サンドイッチ制度(国外で留学・研修後、自国で学位取得)の可能性
 
ANUに対するニーズや課題
 
ANUの名称変更(ANTEP)
  (2) ANTEPの基本枠組と構造の検討
  (3) FNCAメンバー国の研究機関や大学・教育機関とのネットワーク構築方法の検討
     
第2段階:コーディネーションのための詳細構想の検討と策定
  (1) ANTEPネットワークと運営組織
  (2) メンバー国の教育・訓練活動のコーディネーション
(各国のニーズと貢献可能性)
  (3) ANTEP活動の運用課題の解決のための対応
  (4) 関係機関(研究機関や大学・教育機関)の役割の明確化
  (5) 上級行政官会合( SOM)での報告と審議の将来計画への反映
     
第3段階: ANTEP活動の実施にむけたステップ
  (1) 活動の特徴の具体化とコーディネーション
 
実施国/機関、時期/期間、形態、費用、人数
 
活動の定義
 
参加者の募集・選定方法
  (2) 上級行政官会合( SOM)での報告と審議の将来計画への反映
    <プロジェクト評価>
     
    〔注〕活動の責任は年度毎に開催される各国プロジェクトリーダーによるワークショップだけに限らず、コーディネーター会合や上級行政官会合( SOM)に拡大し、活動の効率化をはかることとする。このため、活動計画は年度毎とせず、段階毎に設け、ANTEPのタイムリーかつ適切な具体化のため、見直しや修正を行う。

Forum for Nuclear Cooperation in Asia