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FNCA放射線育種プロジェクト

「バナナの耐病性」立ち上げ会合
2003年9月29日、30日フィリピン・マニラ




  「バナナの耐病性」の立上げ会合は、アジア原子力協力フォーラム(FNCA)突然変異育種プロジェクトの枠組みの下、2003年9月29日、30日の両日、フィリピンのマニラで開催された。同会合には、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピンおよびベトナムのFNCA参加5カ国のプロジェクト・リーダーと専門家が参加し、研究活動の効率的な進め方について議論がなされた。

  同会合では、フィリピン大学ロスバニョス校・育種研究所のDr. Desiree M. Hauteaより、「フィリピンにおけるバナナの研究開発状況」と題する発表がなされ、この新しいプロジェクトへの参加についても合意された。

  同会合では、各国よりバナナの育種研究に関する状況が報告された。各国のカントリー・レポートの概要は以下の通りである。

インドネシア
 インドネシアでバナナの収量に影響しているのは、フザリウム(Fusarium oxysporum fp. Cubense)とBBD (banana blood disease)である。突然変異育種は、バナナの耐病性を誘発する手法として望ましいと考えられる。これまでピサン・バランガン( Pisang barangan)およびピサン・タンドゥク(Pisang tanduk)の2つの園芸品種(cv.)について組織培養が実施されている。

マレーシア
 マレーシアでは、研究機関、大学、民間企業および国際機関の間で作物学的形質を改良した(複数の)品種と有用な(品種改良のための)手法が開発されている。突然変異育種あるいは野生種の耐病性を利用したフザリウムへの耐性を備えたピサン・バランガン(AAA品種)およびピサン・ラスタリ(AAB品種)を開発する同様のプロジェクトの実施が提案されている。

フィリピン
 本報告は、フィリピンにおけるバナナ産業の概観とバナナの耐病性を改善する品種改良の研究開発の現状について述べたものである。フィリピンは、バナナの生産と輸出では世界上位10ヶ国に入る。バナナ産業は、フィリピン経済の中核をなす。バナナは外貨獲得のための最大の輸出品目の1つであり、小規模バナナ農家の収入の75%、8,000万フィリピン国民の栄養摂取量の73%を占める。これまでバナナの生産量は増加してきているが、主として病害虫や収穫後のロスのため、収量は世界平均を下回る。ウィルス病、とくにバナナ萎縮病ウィルス(banana bunchy top virus)は、小規模バナナ農家のほぼ100%で収穫ロスの原因となっている。しかし、耐性形質は利用できず、バナナの交雑育種も雑種不稔性や倍数性のため、きわめて困難である。このため、現在、バナナの品種改良は、突然変異や組織培養、遺伝子組み換え(による形質転換)など、非従来型の手法が中心となっている。これら現在、実施中の研究について、これまでの成果と将来計画が議論された。

ベトナム
 本報告は、農産業におけるバナナの重要性を示すとともに、バナナの病害虫に関する研究の概要を紹介したものである。バナナの病気は合計26種が特定されているが、うち3つがウィルス病で、17が細菌病、バクテリア、寄生線虫によるものがそれぞれ1つずつ、残り4つがその他である。ベトナム北部の7つの県(都市)で収集・分離された42種のFOC(Fusarium owysporum f. sp. cucumerinum)は、レース 1(VCG s 0124, 0124/5, 0125)に属する。これまでベトナムではレース4は見つかっていない。キャベンディッシュ種(AAA品種)は、まだFOCによる感染はない。以上の理由から、ベトナムとしては、BTV(萎縮病) およびFOCへの耐性を備えたFNCAのバナナ・プロジェクトに参加する。

  本共同研究の目的は、特定のフザリウムおよびウィルスへの耐性を備えた突然変異系統の獲得である。このほか、本共同研究を通じて期待される成果としては、耐病性に関係する遺伝子の分離および有用な突然変異種が得られた場合の遺伝子解析である。

  本FNCAプロジェクトは、情報交換および参加国間での地域協力を通じて、国際原子力機関(IAEA)のバナナに関するプロジェクトを補完するものである。

 マレーシアは、本共同研究計画のリーディング・カントリーとなることを了承した。本共同研究計画は、東京で開催される次回のFNCAコーディネーター会合に提出される。

 プロジェクト立ち上げ会合2日目には、参加者はフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)の育種研究所(IPB)を訪問した。参加者は、バナナの育種の現状に関する説明を受け、遺伝子資源保存所、FHIAハイブリッド種と原産種の圃場評価試験、組織培養・植物病理学研究所を視察した。全ての参加者は、フィリピン大学ロスバニョス校に対して、心より感謝の意を表した。

バナナの育種に関する各国の現状報告に続き、本プロジェクトの詳細について議論が行われ、以下の通り決定がなされた:
参加国 インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、日本
変異原 ガンマ線
対象作物 バナナ(マレーシア:ピサン・バランガン、ピサン・ラスタリ、インドネシア:ピサン・バランガン、ピサン・タンドゥク、ベトナム:チュオイタイ、チュオイティウ、フィリピン:ラカタン、ラトゥンダン)
対象病 フザリウム(Fusarium oxysporium f. sp. cubense)(レース1および4):ベトナム、フィリピン、インドネシア?バナナ萎縮病ウィルス(BBTV):フィリピンおよびベトナムBBD:インドネシア?
研究期間 2004年度〜2008年度

1. 菌が犯す植物で分けた性質
2. 同種内の異なる系統( VCG: vegetative compatibility group )

多国間共同研究計画3(MRP-3)「バナナの耐病性」活動計画
2004年度 1. 雄花序または他の外植片からの胚状カルスの誘導(I)2. 胚状カルスからの再分化の最適化3. 胚状カルスに対する最適な照射線量の特定4. 病原体のベースライン情報の確認および性状分析5. 年次会合
2005年度 1. 育種素材への照射(I)2. 照射した育種素材の培養苗の再分化および選抜(I)3. 選抜した突然変異系統の微細繁殖(I)4. 雄花序または他の外植片からの胚状カルスの誘導(II)5. 胚状カルスからの再分化の最適化(II)6. 年次会合
2006年度 1. 育種素材への照射(II)2. 照射した育種素材の培養苗の再分化および選抜(II)3. 選抜した突然変異系統の微細繁殖(II)4. 選抜した突然変異系統の耐病性の圃場評価(I)5. 年次会合(中間報告)
2007年度 1. 選抜した突然変異系統の耐病性の圃場評価(II)2. 選抜された突然変異系統の耐病性の評価(I)3. 年次会合
2008年度 1. 選抜された突然変異系統の耐病性の評価(II)2. 年次会合 (最終報告書)


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