インドネシア
インドネシアでバナナの収量に影響しているのは、フザリウム(Fusarium oxysporum
fp. Cubense)とBBD (banana blood disease)である。突然変異育種は、バナナの耐病性を誘発する手法として望ましいと考えられる。これまでピサン・バランガン(
Pisang barangan)およびピサン・タンドゥク(Pisang tanduk)の2つの園芸品種(cv.)について組織培養が実施されている。
マレーシア
マレーシアでは、研究機関、大学、民間企業および国際機関の間で作物学的形質を改良した(複数の)品種と有用な(品種改良のための)手法が開発されている。突然変異育種あるいは野生種の耐病性を利用したフザリウムへの耐性を備えたピサン・バランガン(AAA品種)およびピサン・ラスタリ(AAB品種)を開発する同様のプロジェクトの実施が提案されている。
フィリピン
本報告は、フィリピンにおけるバナナ産業の概観とバナナの耐病性を改善する品種改良の研究開発の現状について述べたものである。フィリピンは、バナナの生産と輸出では世界上位10ヶ国に入る。バナナ産業は、フィリピン経済の中核をなす。バナナは外貨獲得のための最大の輸出品目の1つであり、小規模バナナ農家の収入の75%、8,000万フィリピン国民の栄養摂取量の73%を占める。これまでバナナの生産量は増加してきているが、主として病害虫や収穫後のロスのため、収量は世界平均を下回る。ウィルス病、とくにバナナ萎縮病ウィルス(banana
bunchy top virus)は、小規模バナナ農家のほぼ100%で収穫ロスの原因となっている。しかし、耐性形質は利用できず、バナナの交雑育種も雑種不稔性や倍数性のため、きわめて困難である。このため、現在、バナナの品種改良は、突然変異や組織培養、遺伝子組み換え(による形質転換)など、非従来型の手法が中心となっている。これら現在、実施中の研究について、これまでの成果と将来計画が議論された。
ベトナム
本報告は、農産業におけるバナナの重要性を示すとともに、バナナの病害虫に関する研究の概要を紹介したものである。バナナの病気は合計26種が特定されているが、うち3つがウィルス病で、17が細菌病、バクテリア、寄生線虫によるものがそれぞれ1つずつ、残り4つがその他である。ベトナム北部の7つの県(都市)で収集・分離された42種のFOC(Fusarium
owysporum f. sp. cucumerinum)は、レース 1(VCG s 0124, 0124/5,
0125)に属する。これまでベトナムではレース4は見つかっていない。キャベンディッシュ種(AAA品種)は、まだFOCによる感染はない。以上の理由から、ベトナムとしては、BTV(萎縮病)
およびFOCへの耐性を備えたFNCAのバナナ・プロジェクトに参加する。
本共同研究の目的は、特定のフザリウムおよびウィルスへの耐性を備えた突然変異系統の獲得である。このほか、本共同研究を通じて期待される成果としては、耐病性に関係する遺伝子の分離および有用な突然変異種が得られた場合の遺伝子解析である。 プロジェクト立ち上げ会合2日目には、参加者はフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)の育種研究所(IPB)を訪問した。参加者は、バナナの育種の現状に関する説明を受け、遺伝子資源保存所、FHIAハイブリッド種と原産種の圃場評価試験、組織培養・植物病理学研究所を視察した。全ての参加者は、フィリピン大学ロスバニョス校に対して、心より感謝の意を表した。
バナナの育種に関する各国の現状報告に続き、本プロジェクトの詳細について議論が行われ、以下の通り決定がなされた:
1. 菌が犯す植物で分けた性質
2. 同種内の異なる系統( VCG: vegetative compatibility group )