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放射線治療 ワークショップ

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ワークショップ


FNCA 2015 放射線治療ワークショップ

2015年度 FNCA 放射線治療プロジェクトワークショップ
概要

2015年12月1日 - 12月4日
ベトナム、ハノイ


ワークショップ概要

期間:2015年12月1日- 4日
開催地:ベトナム、ハノイ
主催:ベトナム国立がん病院(K病院)および文部科学省(MEXT)
共催:ベトナム原子力研究所(VINATOM)
参加人数:33名(バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナム)

 2015年度FNCA放射線治療ワークショップが2015年12月1日から4日にかけてベトナムのハノイで開催されました。本ワークショップは、ベトナム国立がん病院(K病院)と文部科学省(MEXT)およびベトナム原子力研究所(VINATOM)によって共催されたものです。バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナムから計33名が参加しました。

集合写真

開会式
 K病院放射線治療科乳がん・婦人科がん部門の副部長であるTo Anh Dung氏が本セッションの司会を務め、ベトナム原子力研究所(VINATOM)国際協力部部長代理のBui Dang Hanh氏とK病院副院長のBui Cong Toan氏よりそれぞれ歓迎の辞が述べられました。最後に、放射線医学総合研究所(NIRS)フェローおよび前理事の辻井博彦氏より祝辞が述べられました。辻井氏は2015年8月に逝去された前FNCA日本コーディネーターの町末男氏への哀悼の意を表しました。

 K病院放射線治療科頭頸部がん部門のNgo Thanh Tung氏が「ベトナムにおける上咽頭がんに対する化学放射線療法の現状」と題した特別講演を行い、ベトナムにおける上咽頭がんの発生率、年間治療患者数といった現状について述べ、同院で実施した3種類のレジメン(NPC-I NCCN NPC-III)による治療結果を発表しました。

局所進行子宮頸がんに対する拡大照射野を用いた放射線治療と同時併用化学療法の第II相試験(CERVIX-IV)
 プロトコールCervix-IVは、抗がん剤を同時併用しながら、傍大動脈リンパ領域を含んだ拡大照射で放射線治療を行い、骨盤腔リンパ節への転移が見られる局所進行子宮頸がんに対する予防的放射線治療の有用性を確認するものです。2009年1月から、治療開始後に2-4週に予防照射を開始するようにプロトコールを変更したことで安全性が向上し、遂行しやすい治療になりました。

 本プロトコールに登録されている登録患者は103名で(本ワークショップ時点での数。国別では、バングラデシュ(31名)、中国(7名)、インドネシア(9名)、日本(20名)、韓国(7名)、マレーシア(5名)、モンゴル(8名)、フィリピン(4名)、タイ(4名)およびベトナム(8名)。)103名中、91名の患者が評価可能とされました。
 評価可能の91名の内、48名の病期はステージIIBであり、43名はIIBでした。いずれの患者もCT(または超音波)で評価したところ骨盤内リンパ節転移陽性、膨大動脈リンパ節陰性であった。グレード3*1の白血球減少は、19名(21%)に発生しました。グレード3/4の悪心、嘔吐は3名(3%)に発生しました。これらの毒性は管理が可能とされるレベルでした。化学療法を4サイクル以上実施していたのは74名(81%)でした。2年、5年局所制御率(LC)はそれぞれ96%、92%でした。2年、5年無増悪生存率(PFS)*2はそれぞれ77%、58%、2年、5年全生存率(OS)はそれぞれ90%、69%でした。
 治療の安全性および有効性を評価するためにはより長い追跡調査期間が必要とされました。

 CERVIX-IVの臨床データに関する自由討議が行われました。
 インドネシアの患者は、電話またはソーシャルワーカーを通じた評価のみを実施するので、患者の状態を判定することが困難であったことが報告されました。一方、韓国の症例では異なる化学療法計画を用いていたため、これらの症例が本試験の解析に含まれるのか否かについて討議されました。また、腫瘍サイズ、骨盤内リンパ節転移数、化学療法施行サイクル数、IGBTの使用などのパラメータについて、サブアナリシスを実施することも提案されました。
 本臨床試験は目標登録症例数100例を達成したので、症例登録はストップし、今後は経過観察を行うことになります。

※1 グレード:有害事象の重症度を意味する。有害事象共通用語規準(CTCAE)では、グレード(Grade)は1〜5まである。

※2 無増悪生存率(PFS): 治療中(後)、がんの進行が見られない状態で患者が生存している期間の長さ。

インドネシアとフィリピン  会合全体1

子宮頸がんに対する新プロトコール(Retro CERVIX-V)
 昨年度のワークショップでの合意に基づいて、子宮頸がんに対する新たなプロトコールでは、「3次元画像誘導小線源治療(3D-IGBT)」を扱っていくこととなりました。
 FNCA参加国の放射線治療施設における3D-IGBTの実行可能性を確認すべく、最初に所属施設での子宮頸がんに対する小線源治療の現状についてカントリーレポートが発表されました。
 FNCA参加国で最も多く使用されているのはCTによる3D-IGBTで、多くの参加施設で、全ての患者に対し、小線源治療の実施の度に3D治療計画が実施されています。目標線量については、A点線量および高リスク臨床標的体積(HR-CTV)のD90を算出することが最も多く、線量はHR-CTVのD90に基づいて処方されていました。リスク臓器(OAR)に対する線量については、国際放射線単位測定委員会(ICRU)の直腸、膀胱線量、直腸および膀胱D2ccの両者を算出することが最も多く、処方線量は直腸および膀胱D2ccの線量制限に基づいて最適化されていました。
 3D-IGBTは参加施設の大半で技術的に実行可能とされましたが、膨大な作業量、人手不足、および治療計画に回せる時間の限界など、いくつか困難な点が見られました(付表1を参照)。

 表1. FNCA加盟国における子宮頸がん3D-IGBTの実施状況
(略語:小線源治療、IR-CTV中リスク臨床標的体積、CTコンピュータ断層撮影、MRI磁気共鳴画像、Xp X線撮影、Fr分割、D90目的体積の90%に到達する最低線量、D2cc最も照射される組織の体積2ccに到達する最低線量)

  BTの種類 3D-IGBTの適応 個別3D計画 目標線量算出/処方 OAR線量算出
A点 HR-CTV D90 IR-CTV D90 直腸ICRU 膀胱ICRU 直腸D2cc 膀胱D2cc
バングラデシュ1 3D-CT 個別判断 毎回
バングラデシュ 2 3D-CT 個別判断 毎回 × × × ×
中国 3D-CT 全例 毎回 × ×
インドネシア 3D-CT 全例 毎回 × × ×
日本 3D-CT 全例 毎回 ×
カザフスタン 2D-Xp/3D-CT 全例 毎回 ×
韓国 3D-CT/3D-MRI 全例 初回のみ
マレーシア 3D-CT 全例 毎回 × × × ×
モンゴル 2D-Xp ­ ­ × × × ×
フィリピン 3D-CT/3D-MRI 個別判断 毎回
タイ 3D-CT/3D-MRI 全例 毎回 × × × ×
ベトナム 2D-X p ­ ­ × × ×

 続いて、国際原子力機関地域協力協定(IAEA/RCA)の「RCA地域医おける3D-IGBT支援」プロジェクトについての発表がありました。
 本プロジェクトは2012年〜2015年まで実施され、RCA加盟国15ヵ国が参加したことが紹介されました。(15ヵ国:オーストラリア、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パキスタン、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム)
 また、本プロジェクトの下で4つの地域訓練コース(RTC)およびいくつかの国内訓練コースが開催され、放射線腫瘍科医と内科医に対して3D-IGBT分野の訓練を実施されました。放射線腫瘍科医および内科医121名が地域訓練コースの研修を受け、「2D小線源治療から3D高線量率小線源治療への移行」ガイドラインが策定されました。
 RCA加盟国で3D-IGBTを実施した施設は2012年の12%から2015年の20%に増加しました。

 日本より、子宮頸がんに対する3D-IGBTのレトロスペクティブ研究*3(Retro CERVIX-V)が提案されました。本レトロスペクティブ研究は、FNCA参加国間で3D-IGBTの方法を検討するために実施することとし、小線源治療時の標的体積およびOARに対する線量の評価に用いられる線量体積ヒストグラムパラメータ、全骨盤に対する外照射の線量、小線源治療の目標線量の計画、また実際に標的体積とOARに到達する線量などが対象となります。また、本研究の目標は、FNCA加盟国間で子宮頸がんに対する3D-IGBTについてのコンセンサスを策定し、CERVIX-Vの基盤とすることであることとしました。

 本レトロスペクティブ研究について討議が行われ、実施することが合意されました。3D-IGBTを実施する各国の参加者は、少なくとも5名の3D-IGBT治療患者のデータをデータセンターに提出することとしました。症例報告書(CRF)はデータセンターより提供されます。

※3 レトロスペクティブ研究: 遡及的研究、後ろ向き研究のこと。最初に疾病にかかった人を「症例」として選び、その集団に対して、性別や年齢などが類似している健康な人を「対照」として選んで、両者の生活習慣などを過去に遡って「後ろ向き」に調査する手法を指す。

上咽頭がんに対する同時併用化学放射線療法(CCRT)の第U相試験(NPC-III)
 プロトコールNPC-IIIは、頸部リンパ節に転移のある上咽頭がん症例に対し、導入化学療法を行った後、放射線療法と化学療法を同時併用するプロトコールです。放射線療法と化学療法を同時併用した後で、化学療法を追加するプロトコール(NPC-I)との違いは、化学療法の順番を同時併用の前に行う点にあります。

 本プロトコールへ登録されている登録患者は61名です(本ワークショップ時点の数。国別では、バングラデシュ(1名)、中国(8名)、インドネシア(12名)、日本(0名)、カザフスタン(0名)、韓国(0名)、マレーシア(13名)、モンゴル(0名)、フィリピン(7名)、タイ(0名)、ベトナム(20名)。)登録患者61名分の内、ワークショップ前に提出・解析された58名分のデータについて発表されました。

 年齢の中央値は47歳であり、いずれのネオアジュバント化学療法*42-3サイクルを100%の遵守率で受けていたのに対し、同時併用化学療法は4サイクル以上で76%の遵守率を示しました。放射線治療の全治療期間の中央値は56日でした。機器の故障による治療の中断は24名、毒性による中断は8名でした。グレード3/4の白血球減少が導入期に11%、同時療法期に20%発生し、グレード3の悪心・嘔吐が9%発生しました。晩発毒性として、グレード3口腔乾燥症が5名で発生しました。再発は、原発部位7.3%、リンパ節部位14.5%、および遠隔部位19%で認められました。
 2年局所制御率(LRC)は85.6%、3年LRCは75.1%でした。2年無遠隔転移率(DMF)は83.8%、3年DMFも同率でした。2年無増悪生存率(PFS)は76.3%、3年PFSは66.7%でした。2年全生存率(OS)は79.7%、3年OSも同率でした。
 これらの結果をNPC-I試験の結果と比較すると、DMF率とOS率は向上し、LRC率は低下していましたが、いずれも統計学的有意差は認められませんでした。目標登録数は120名であるが、今までのところまだ半数程度の症例集積状況です。
以下の点について討議されました。

1. 一部の国において登録の問題がある。その要因として化学療法のプロトコールが異なる、放射線治療の分割法が異なる、NPCの発生率が低い、リニアックが利用できない、治験が競合するなどが挙げられる。
2. 放射線治療の線量分割にばらつきがある。10%未満のばらつきは許容可能とみなすので、69.96 Gy 33分割は許容できる。しかし、すべての試験者はできるだけプロトコールを遵守しなければならない。
3. 放射線治療に化学療法を導入するタイミング、および化学療法の総用量も検討すべきである。

 本臨床試験を継続した場合の利益と不利益について討議がなされ、登録をさらに1年続けることが決まりました。来年はNPCに対する新規プロトコールの案も検討すべきとされました。

※4 ネオアジュバント化学療法:術前化学療法。外科的切除前に行われる化学療法のこと。

話し合い  辻井先生

放射線治療における品質保証/品質管理 (QA/QC)
 本活動は、多国間の共同研究を効果的に行うため、各施設が信頼できる線量測定法を整備することを目指して、子宮頸がん治療に係わる線量測定や線源の放射線校正等の品質保証/品質管理(QA/QC)を対象としています。本ワークショップでは、日本とベトナムから発表報告がありました。
 日本より、2006年度から実施された11ヵ国16施設の外部照射用46ビーム(4〜18 MV)で行なわれたガラス線量計を用いたリニアック(X線を発生させる装置)出力の測定調査結果のまとめが報告されました。校正条件について実測線量と計算線量の比の平均値が0.4%、標準偏差が1.5%と優良な結果が得られました。品質保証のための線量監査の必要性が再認識され、本調査結果を、学術雑誌に投稿することが要望されました。

 続いて、子宮頸がんに対する新プロトコールとして3D-IGBTを扱っていくことを受け、小線源治療の事故報告書からの教訓について発表が行われました。勧告内容として以下が紹介されました。

書面化された包括的品質保証プログラムが不可欠である。
品質保証手順の遵守は過誤発生数の低下に資する。
法規制で義務化されていなくても、院内放射線安全委員会を設置し、規制当局および保健当局と連携する必要がある。
メンテナンスは品質保証に不可欠な要素である。
手順の外部監査によって良質で安全な診療が強化され、潜在的な過誤の原因が特定される。
すべての重要な手順の目的を確認および検証することによって、正しい患者の正しい部位に正しい線量を確実に照射することができる。
症例毎にピアレビューを実施することで品質が向上する。

 最後に、ベトナムより、K病院内での放射線治療におけるQA/QC活動とベトナム国内の医学物理士の現状について発表が行われました。K-病院におけるQA/QC活動がIAEAとVINATOMの放射線安全性および線量測定調査に合格したこと、また、ベトナムにおいて医療および教育プログラムにおける医学物理士の役割と責任に関する第1回医学物理士会合が開催されたことが報告されました。

水野先生  会合の様子

乳がんに対する寡分割放射線療法の第U相試験(BREAST-I)
 プロトコールBREAST-Iは、早期乳がんに対する乳房温存術後の全乳房照射(HF-WBI)、あるいは局所進行乳がんに対する乳房切除後の胸壁と鎖骨上窩への領域照射(HF-PMRT)で、1回の照射線量を通常よりやや増加させ、総線量を低下させて治療期間を約3分の2に短縮する治療法です。この治療法は多くの先進諸国で乳房照射に使われ、治療効果が同等で有害事象が同等かやや少ないことがわかってきています。
本ワークショップ時点で、BREAST-IにはWBI(109名)、PMRT(103名)が登録されています。(ただし、本セッション内では、バングラデシュ(WBI:19名、PMRT:63名)、中国(WBI:6名、PMRT:7名)、インドネシア(WBI:6名、PMRT:0名)、日本(WBI:59名、PMRT:1名)、カザフスタン(WBI:10名、PMRT14名)、韓国(WBI:2名、PMRT:0名)、マレーシア(0名)、モンゴル(WBI:0名、PMRT:7名)、フィリピン(WBI:0名、PMRT:10名)、タイ(WBI:7名、PMRT:0名)およびベトナム(0名で、WBI(109名)およびPMRT(102名)が発表されています)

 HF-WBIを受けた患者109名をステージごとに分けると、ステージ0:7名、I:58名、IB:2名、IIA:30名、IIB:13名でした。(110名いるのは、両胸に病巣がある患者1名を2名(2症例)としているためです)

73名の患者に追加線量が照射されました。また、最も多いリスク因子は年齢でした。急性毒性は軽度で、皮膚毒性はグレード1:82%、グレード2:13%、皮下毒性はグレード1:13%、グレード2:1%、肺合併症は非常に少数でした。遅発性皮膚毒性はグレード1:28%、遅発性皮下毒性はグレード1:13%、遅発性肺毒性グレード2:1%でした。
短期の追跡調査では転移1名、介入性死亡1名、乳がん死1名が見られましたが、局所制御は良好でした。

 また、HF-PMRTを受けた患者103名はステージ別で、ステージIIA:44名、IIB:41名、IIIA:16名、IIIB:1名、IIIC:1名でした。
 急性毒性の概要は皮膚毒性グレード1:75%、グレード2:1%、グレード3:2%、皮下毒性グレード1: 11%、肺毒性グレード1:2%、心毒性グレード1:1%でした。遅発性皮膚毒性グレード1:28%、遅発性皮下毒性グレード1:13%、遅発性肺毒性グレード2:1%。
 短期の追跡調査では局所再発2名、遠隔転移4名、乳がん死2名が認められましたが、介入性死亡は見られませんでした。全般的に、治験登録は非常に活発とされました。短期の結果では、HF RTは従来法と比較して同等の安全性および有効性を示すと推測されますが、初期の結果を確認するには長期の追跡期間が必要とされます。

 続いてBREAST-Iの臨床データについて自由討論が行われ、次の2点について討論されました。1つは皮膚毒性のグレードの明確化であり、もう1つは臨床的利点が同等と推定される治療法による社会経済学的利益でした。
 本プロトコールにさらに200名の登録をしていくことに参加者全員が同意しました。

フィリピン  唐澤先生  バングラデシュ

今後の予定等
 次回ワークショップは、2016年11月8日-11月11日(仮)にインドネシアで開催することとなりました。
 Retro Cervix-Vについては、前向き試験*5の実施前の調査として、各施設は5症例と対応する症例報告書を提出することが確認されました。

※5 前向き試験:臨床試験計画を立案し、ある時点から観察、あるいは介入行為を行い、データを収集する試験。臨床試験のこと。

閉会
 辻井博彦氏が閉会の辞を述べ、ワークショップは閉会しました。

テクニカルビジット
 3日目の午後、K病院のTan Trieuキャンパス、また、4日目には同院のQuan Su キャンパスを訪問し、放射線治療機器や治療の現場を見学しました。

治療計画  テクニカルビジット  治療計画見学

オープンセミナー
 2日目の午後にワークショップの一環として、K病院のTan Trieuキャンパスにてオープンセミナーが開催され、1)子宮頸がんの概要およびFNCA子宮頸がんプロトコールの紹介、2)乳がんの概要およびFNCA乳がんプロトコールの紹介、3)ベトナムにおける放射線治療の現状、4)子宮頸がんのための画像誘導小線源治療、5)バングラデシュにおける放射線治療の現状と求められる画一的プロトコール、6)韓国原子力医学院(KIRAMS)における肝細胞がんへの体幹部定位放射線治療の功績、7)粒子線治療と題した7講演が行われました。

オープンセミナー  タンチュウキャンパス


2015年度 FNCA 放射線治療プロジェクトワークショップ
議事録

2015年12月1日 - 12月4日
ベトナム、ハノイ


(1)アジア原子力協力フォーラム(FNCA)第16回FNCAコーディネーター会議の合意に従って、2015年度 FNCA放射線治療ワークショップが2015年12月1日から4日にかけてベトナムのハノイで開催された。会合はベトナム原子力研究所(VINATOM)、ベトナム国立がん病院(K病院)および文部科学省(MEXT)の共催で開催された。FNCAの11加盟国、すなわち、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タ イおよびベトナムの代表者が本ワークショップに参加した。

開会式
(2)K病院乳房・婦人放射線科副部長To Anh Dung氏がセッションの司会を務め、ワークショップの開会を宣言した。

VINATOM国際協力部部長代理Bui Dang Hanh氏が開会の辞を述べた。

K病院副院長Bui Cong Toan氏が歓迎の言葉を述べた。同教授は、最近のベトナムにおけるがん患者の急速な増加に言及し、増加するがん患者に対応するために多様な治療手段および治療法が必要であると強調した。

放射線医学総合研究所(NIRS)フェロー・前理事の辻井博彦氏が祝辞を述べ、また今年8月15日に逝去されたFNCA日本コーディネーターの町末男氏について語った。同氏は、FNCA活動に対する町氏の多大な貢献に大いに感謝すると共に哀悼の意を表した。

(3)K病院頭頸部放射線科のNgo Thanh Tung氏が「ベトナムにおける上咽頭がんに対する化学放射線療法の現状(2005〜2015年)」と題して特別講演を行った。同氏は、ベトナムにおけるNPCの発生率、年間治療患者数といった現状について述べ、所属施設で実施した3種類のレジメン(NPC I、NCCN、NPC III)による治療結果を発表した。

(4) 個々の参加者が自己紹介を行った。

(5)アジェンダが採択され、議長と書記が選出された(プログラム参照)。

セッション1:局所進行子宮頸がんに対する拡大照射野を用いた放射線治療と同時併用学療法の第II相試験(CERVIX-IV)
(6)NIRS重粒子医科学センター病院医長の若月優氏が、局所進行子宮頸がんに対する拡大照射野を用いた同時併用化学放射線治療の第II相試験CERVIX-IVのプロトコールを発表した。

各参加国の代表者より、CERVIX-IVの最新臨床データが発表され、以下の患者数が報告された。バングラデシュ31名、中国7名、インドネシア9名、日本20名、韓国7名、マレーシア5名、モンゴル8名、フィリピン4名、タイ4名、ベトナム8名。

若月優氏は続いて追跡調査データの概要を発表した。2015年12月1日時点で計103名が本試験に提出された。今年新たに追加された症例は8名であるが、1名は治療開始前に傍大動脈リンパ節転移があったため不適格となった。登録患者数は必要なサンプルサイズに到達した。

本試験に適合した102名のうち11名は評価不可能であった。評価可能な91名のうち48名の病期はステージIIBであり、43名はIIIBであった。いずれの患者もCT(または超音波)で評価したところ骨盤内リンパ節転移陽性、傍大動脈リンパ節陰性であった。グレード3の白血球減少は19名(21%)に発生した。グレード3/4の悪心・嘔吐は3名(3%)に発生した。これらの毒性は管理可能であった。化学療法を4サイクル以上実施していたのは74名(81%)であった。2年および5年局所制御率(LC)はそれぞれ96%および92%であった。2年および5年無増悪生存率(PFS)はそれぞれ77%および58%であった。2年および5年全生存率(OS)はそれぞれ90%および69%であった。

治療の安全性および有効性を評価するためにはより長い追跡調査期間が必要である。

(7)その後CERVIX-IVの臨床データについての自由討議を実施した。インドネシアの患者は、電話またはソーシャルワーカーを通じた評価のみを実施するので、患者の状態を判定することが困難であった。一方、韓国の症例では異なる化学療法計画を用いていた。これらの症例は本試験の解析に含まれるのかについて討論された。また、腫瘍サイズ、骨盤内リンパ節転移数、化学療法施行サイクル数、IGBTの使用などのパラメータについて、サブアナリシスを実施することも提案された。

セッション2:子宮頸がんに対する新プロトコール(Retro CERVIX-V)
(8)前回のFNCAワークショップでの合意に基づき、参加者はFNCA加盟国における子宮頸がんに対する3D画像誘導小線源治療(3D-IGBT)について討議した。

(9)まず、参加者は所属施設での子宮頸がんに対する小線源治療の現状について報告し、3D-IGBTの技術的実行可能性について討議した。

FNCA加盟国で最も多く使用されているのはCTによる3D-IGBTである。多くの参加施設で、全ての患者に対し、小線源治療の実施の度に3D治療計画を実施している。目標線量については、A点線量および高リスク臨床標的体積(HR-CTV)のD90を算出することが最も多く、線量はHR-CTVのD90に基づいて処方される。リスク臓器(OAR)に対する線量については、国際放射線単位測定委員会(ICRU)の直腸および膀胱線量および直腸および膀胱D2ccの両者を算出することが最も多く、処方線量は直腸および膀胱D2ccの線量制限に基づいて最適化される。3D-IGBTは参加施設の大半で技術的に実行可能であるが、膨大な作業量、人手不足、および治療計画に回せる時間の限界など、いくつか困難な点がある(付表1を参照)。

表1. FNCA加盟国における子宮頸がん3D-IGBTの実施状況
(略語:小線源治療、IR-CTV中リスク臨床標的体積、CTコンピュータ断層撮影、MRI磁気共鳴画像、Xp X線撮影、Fr分割、D90目的体積の90%に到達する最低線量、D2cc最も照射される組織の体積2ccに到達する最低線量)

  BTの種類 3D-IGBTの適応 個別3D計画 目標線量算出/処方 OAR線量算出
A点 HR-CTV D90 IR-CTV D90 直腸ICRU 膀胱ICRU 直腸D2cc 膀胱D2cc
バングラデシュ1 3D-CT 個別判断 毎回
バングラデシュ 2 3D-CT 個別判断 毎回 × × × ×
中国 3D-CT 全例 毎回 × ×
インドネシア 3D-CT 全例 毎回 × × ×
日本 3D-CT 全例 毎回 ×
カザフスタン 2D-Xp/3D-CT 全例 毎回 ×
韓国 3D-CT/3D-MRI 全例 初回のみ
マレーシア 3D-CT 全例 毎回 × × × ×
モンゴル 2D-Xp ­ ­ × × × ×
フィリピン 3D-CT/3D-MRI 個別判断 毎回
タイ 3D-CT/3D-MRI 全例 毎回 × × × ×
ベトナム 2D-X p ­ ­ × × ×

(10)埼玉医科大学の加藤真吾教授が、国際原子力機関地域協力協定(IAEA/RCA)の「RCA地域における3D-IGBT支援」プロジェクトについて発表した。プロジェクトは2012年から2015年まで実施された。RCA加盟15か国がプロジェクトに参加した(オーストラリア、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パキスタン、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム)。このプロジェクトの下で4つの地域訓練コース(RTC)およびいくつかの国内訓練コースを開催し、放射線腫瘍科医と内科医に対して3D-IGBT分野の訓練を実施した。放射線腫瘍科医および内科医121名が地域訓練コースの研修を受けた。「2D小線源治療から3D高線量率小線源治療への移行」ガイドラインを策定した。RCA加盟国で3D-IGBTを実施した施設は2012年の12%から2015年の20%に増加した。

(11)若月優氏が、子宮頸がんに対する3D-IGBTのレトロスペクティブ研究(Retro CERVIX-V)を提案した。このレトロスペクティブ研究は、FNCA加盟国間で3D-IGBTの方法を検討するために実施される。この研究は、小線源治療時の標的体積およびOARに対する線量の評価に用いられる線量体積ヒストグラムパラメータ、全骨盤に対する外照射の線量、小線源治療の目標線量の計画、および実際に標的体積およびOARに到達する線量などが対象となる。この研究の目標は、FNCA加盟国間で子宮頸がんに対する3D-IGBTについてのコンセンサスを策定し、CERVIX-Vの基盤とすることである。

(12)本レトロスペクティブ研究について討議し、本研究を実施することで合意した。3D-IGBTを実施する各参加者は、少なくとも5名の3D-IGBT治療患者のデータをデータセンターに提出するよう求められる。症例報告書(CRF)はデータセンターより提供される。

セッション3:上咽頭がん(NCP)に対する同時併用化学放射線治療(CCRT)の第II相試験(CCRT/NPC-III)
(13)NIRS重粒子医科学センター病院放射線腫瘍科医である牧島弘和氏が、上咽頭がん(NPC)に対するCCRT第II相試験NPC-IIIを紹介した。各参加国より最近の臨床データが発表された。

各参加国の代表より最新のNPC-III臨床データが発表され、患者数は次の通りであった。バングラデシュ1名、中国8名、インドネシア12名、日本0名、カザフスタン0名、韓国0名、マレーシア13名、モンゴル0名、フィリピン7名、タイ0名、ベトナム20名。

次に、群馬大学重粒子線医学センター・教授の大野達也氏が追跡データの要約を発表した。登録患者は計61名であったが、評価したのは58名であった。br 年齢の中央値は47歳であり、いずれの患者もネオアジュバント化学療法2-3サイクルを100%の遵守率で受けていたのに対し、同時併用化学療法は4サイクル以上で76%の遵守率を示した。放射線治療の全治療期間の中央値は56日であった。機器の故障による治療の中断は24名、毒性による中断は8名であった。グレード3/4の白血球減少が導入期に11%、同時療法期に20%発生した。また、グレード3の悪心・嘔吐が9%発生した。晩発毒性として、グレード3口腔乾燥症が5名で発生した。再発は、原発部位7.3%、リンパ節部位14.5%、および遠隔部位19%で認められた。2年局所制御率(LRC)は85.6%、3年LRCは75.1%であった。2年無遠隔転移率(DMF)は83.8%、3年DMFも同率であった。2年無増悪生存率(PFS)は76.3%、3年PFSは66.7%であった。2年全生存率(OS)は79.7%、3年OSも同率であった。これらの結果をNPC-I試験の結果と比較すると、DMF率とOS率は向上し、LRC率は低下していたが、いずれも統計学的有意差は認められなかった。目標登録数は120名であるが、今までのところまだ半数程度の症例集積状況である。

討議した項目:

1. 一部の国において登録の問題がある。要因としては化学療法のプロトコールが異なる、放射線治療の分割法が異なる、NPCの発生率が低い、リニアックが利用できない、治験が競合するなどが挙げられる。
2. 放射線治療の線量分割にばらつきがある。10%未満のばらつきは許容可能とみなすので、69.96 Gy 33分割は許容できる。しかし、すべての試験者はできるだけプロトコールを遵守しなければならない。
3. 放射線治療に化学療法を導入するタイミング、および化学療法の総用量も検討すべきである。

試験を継続した場合の利益と不利益を討議した後、登録をさらに1年続けることに決定した。来年はNPCに対する新規プロトコールの案も検討すべきである。

セッション4:放射線治療の品質保証/品質管理(QA/QC)
(14)NIRS重粒子医科学センター主任研究員である水野秀之氏が、11ヶ国16施設の46ビーム(4-18 MV)を対象とした、蛍光ガラス線量計を用いた過去9年間の相互比較測定の結果を報告した。本FNCA臨床試験参加施設に対して行われた線量監査では、校正条件について実測線量と計算線量の比の平均値が0.4%、標準偏差が1.5%と優良な結果が得られた。品質保証のための線量監査の必要性が再認識された。水野秀之氏はこの結果を、学術雑誌に投稿する予定である。

(15)NIRS重粒子医科学センター物理工学部重粒子設備室室長である福田茂一氏の代理として、水野秀之氏が小線源治療の事故報告書からの教訓について発表した。勧告内容は次の通りである。

書面化された包括的品質保証プログラムが不可欠である。
品質保証手順の遵守は過誤発生数の低下に資する。
法規制で義務化されていなくても、院内放射線安全委員会を設置し、規制当局および保健当局と連携する必要がある。
メンテナンスは品質保証に不可欠な要素である。
手順の外部監査によって良質で安全な診療が強化され、潜在的な過誤の原因が特定される。
すべての重要な手順の目的を確認および検証することによって、正しい患者の正しい部位に正しい線量を確実に照射することができる。
症例毎にピアレビューを実施することで品質が向上する。

さらにFNCAの将来計画として、IGBTを含めた小線源治療に対する品質保証/品質管理に関する訪問調査を実施できるかどうか討議された。

(16) K病院医学物理士Nguyen Thanh Binh氏は、K病院での放射線治療の品質保証/品質管理活動と、ベトナムの医学物理士の現状についてについて発表した。同氏は、医療および教育プログラムにおける医学物理士の役割と責任に関する第1回医学物理士会議が開催されたと報告した。また同氏は、K-病院における品質保証/品質管理活動がIAEAとVINATOMの放射線安全性および線量測定調査に合格したことも報告した。

セッション5:乳がんに対する寡分割放射線治療の第II相試験(BREAST-I)
(17)東京女子医科大学放射線腫瘍学教授および放射線腫瘍科部長の唐沢久美子氏が、BREAST-Iのプロトコールを紹介および検証した。

各参加国の代表より乳がんに対する寡分割放射線治療の第II相試験(BREAST-I)の臨床データが発表され、以下の患者数が報告された。バングラデシュ(WBI:19名、PMRT:63名)中国(WBI:6名、PMRT:7名)、インドネシア(WBI:6名、PMRT: 0名)、日本(WBI:59名、PMRT:1名)、カザフスタン(WBI:10名、PMRT:14名)、韓国(WBI:2名、PMRT:0名)、マレーシア(WBI:0名、PMRT:0名)モンゴル(WBI:0名、PMRT:7名)フィリピン(WBI:0名、PMRT:10名)、タイ(WBI:7名、PMRT:0名)、ベトナム(WBI:0名、PMRT:0名)。総患者数はWBI(109名)およびPMRT(103名)であった。

(18)唐沢久美子教授が、乳がん患者109名のWBI臨床データの要約を発表した(110乳房)。患者の病期は次の通りである。ステージ0:7名、I:58名、IB:2名、IIA:30名、IIB:13名。追加線量は73名の患者に照射された。最も多いリスク因子は年齢であった。急性毒性は軽度であり、皮膚毒性はグレード1:82%、グレード2:13%、皮下毒性はグレード1:13%、グレード2:1%、肺合併症は非常に少数であった。遅発性皮膚毒性はグレード1:28%、遅発性皮下毒性はグレード1:13%、遅発性肺毒性グレード2:1%であった。短期の追跡調査では転移1名、介入性死亡1名、乳がん死1名がみられたが、局所コントロールは良好であった。

患者103名のPMRT臨床データも発表された。患者の病期は次の通りである。ステージIIA:44名、IIB:41名、IIIA:16名、IIIB:1名、IIIC:1名。急性毒性の概要は皮膚毒性グレード1:75%、グレード2:1%、グレード3:2%、皮下毒性グレード1: 11%、肺毒性グレード1:2%、心毒性グレード1:1%。遅発性皮膚毒性グレード1:28%、遅発性皮下毒性グレード1:13%、遅発性肺毒性グレード2:1%。短期の追跡調査では局所再発2名、遠隔転移4名、乳がん死2名を認めたが、介入性死亡はみられなかった。全般的に、治験登録は非常に活発であった。短期の結果では、HF RTは従来法と比較して同等の安全性および有効性を示すと推測される。初期の結果を確認するには長期の追跡期間を要する。

(19)続いて、乳がんに対する寡分割放射線治療の第II相試験の臨床データについて自由討論を行った。討論したのは次の2点である。1つは皮膚毒性のグレードの明確化であり、もう1つは臨床的利点が同等と推定される治療法による社会経済学的利益である。最後に、このプロトコールにさらに200名を登録することに全員が同意した。

セッション6:将来計画
次回ワークショップおよびその他の活動に関して、以下の事項について討議の上、合意した。

1. 参加者は、次回ワークショップを2016年11月8-11日にインドネシアで開催することに合意した。2016年3月のコーディネーター会議で最終的に決定する。バングラデシュが2017年FNCA放射線治療ワークショップの主催を申し出た。
2. 提案された試験:セッション2の討議に基づくRetro CERVIX-Vについては、来年、各施設は5症例と対応するCRFの文書を提出する。これはプロスペクティブCERVIX -V研究を実施する前の調査である。Cervix-IVは望ましい症例数に達したので、これらの患者を少なくともあと2年間追跡し続ける計画である。
3. NPC-IIIについては、さらに1年をかけて症例数を追加した後、来年には患者の登録を続けるか決定する。
4. Breast-Iはすでに109名を登録している。各群に100名を登録する必要がある。データの矛盾が認められ、データセンターでの解明を要する。
5. 医学物理士については、各加盟国を訪問してQA/QCを実施することが提案された。

セッション 7:ワークショップ議事録草稿
(20)書記によって示された議事録の草稿について、協議の上、修正が行われた。議事録はワークショップ参加者によって満場一致で採択された。

セッション 8:閉会セレモニー
(21)辻井博彦氏が閉会の辞を述べた。ワークショップは公式に閉会した。

セッション 9:テクニカルビジット(K病院Tan Trieuキャンパス)
(22) 参加者は、K病院のTan Trieuキャンパスのテクニカルビジットを行った。

セッション 10:オープンセミナー
(23)ワークショップの一環として、K病院のTan Trieuキャンパスでオープンセミナーが開催された。開会式では、To Anh Dung氏が歓迎の挨拶を述べた。著明な演者が、非常に興味深い革新的な7つのトピックスを発表した。Chul Koo Cho氏と辻井博彦氏が本セッションの司会を行った。

(24)加藤真吾教授がFNCA放射線治療プロジェクトと子宮頸がんのためのFNCAプロトコールを紹介する講演を行った。

(25)唐澤久美子教授が、FNCA放射線治療プロジェクトと乳がんのためのFNCAプロトコールを紹介する講演を行った。

(26)K病院総合放射線治療科の副科長Nguyen Cong Hoang氏がベトナムにおける放射線治療の現状について講演した。

(27)大野達也教授が、子宮頸がんのための画像誘導小線源治療についての講演を行った。

(28)ダッカデンタルカレッジのA.F.M Kamal Uddin氏が「バングラデシュにおける放射線治療の現状:より優れた治療成績を生み出すために求められる画一的プロトコール」と題した講演を行った。

(29)韓国原子力医学院(KIRAMS)の放射線治療科主任のWon Il Jang氏が、肝細胞がんへの体幹部定位放射線治療について-KIRAMSの功績と題した講演を行った。

(30)最終講演として、群馬大学大学院医学系研究科の中野隆史教授が、粒子線治療について発表した。

(31)辻井博彦氏の挨拶をもってオープンセミナーは閉会した

セッション 11:テクニカルビジット(K病院Quan Suキャンパス)
(32)K病院のQuan Suキャンパスにおいてもテクニカルビジットが行われた。


2015年度 FNCA 放射線治療プロジェクトワークショップ
プログラム

2015年12月1日 - 12月4日
ベトナム、ハノイ


1日目 2015年12月1日 場所 : サンウェイホテルハノイ

8:30-9:00
レジストレーション
9:00-10:10
開会セレモニー
司会進行: To Anh Dun氏, K 病院(ベトナム)
9:00-9:05
開会の挨拶 / To Anh Dung氏: K病院(ベトナム)
9:05-9:10
歓迎の挨拶 / BUI Dang Hanh氏: ベトナム原子力研究所(ベトナム)
9:10-9:15
歓迎の挨拶 / Bui Cong Toan氏: K病院副院長(ベトナム)
9:15-9:25
挨拶および町末男氏への追悼メッセージ / 辻井博彦氏: PL(日本)
9:25-9:50
特別講演: ベトナムにおける上咽頭がんに対する化学放射線治療の状況(2005-2015)/Ngo Thanh Tung氏: K病院放射線治療科頭頸部がん部門 (ベトナム)
9:50-10:00
メンバー紹介
10:00-10:05
アジェンダ採択
10:05-10:15
集合写真
10:15-10:30
休憩
10:30-12:10

セッション 1: 局所進行子宮頸がんに対する拡大照射野を用いた放射線治療と同時併用化学療法の第U相試験(CERVIX-IV)
共同議長:Nana Supriana(インドネシア )& Rey H. De Los Reyes(フィリピン )
1) プロトコール紹介とレビュー / 小此木範之氏(日本)
2) 各国からの臨床データの発表報告
バングラデシュ
中国
インドネシア
日本
カザフスタン
韓国
マレーシア
モンゴル
フィリピン
タイ
ベトナム
3) 臨床データのまとめ / 若月優氏(日本)
4) ディスカッション

12:10-13:20
昼食
13:20-16:00

セッション 2: 新プロトコール (CERVIX-V)
共同議長:加藤真吾 (日本)& Yaowalak Chansilpa(タイ)
1) カントリーレポート ”子宮頸がんに対する3D-IGBTの現況”
バングラデシュ
中国
インドネシア
日本
カザフスタン
韓国
マレーシア
モンゴル
フィリピン
タイ
ベトナム
2) IAEA/RCA プロジェクト “3D IGBT in the RCA Region”- RCA地域内・国内における3D-IGBT分野の進行状況についてレビューと討議/ 加藤真吾氏 (日本)
3) 3D画像誘導小線源治療プロトコールの紹介/ 若月優氏 (日本)
4) ディスカッション

17:00-19:00
歓迎ディナー(サンウェイホテルハノイ)

2日目 2015年12月2日 場所 : サンウェイホテルハノイ

9:00-10:40

セッション3 上咽頭がんに対する化学放射線療法第U相研究 (NPC-III)
共同議長:Dyah Erawati(インドネシア )&Lau Fen Nee (マレーシア)
1) プロトコール紹介とレビュー / 牧島弘和氏(日本)
2) 各国からの臨床データの発表報告
バングラデシュ
中国
インドネシア
日本
カザフスタン
韓国
マレーシア
モンゴル
フィリピン
タイ
ベトナム
3) 臨床データのまとめ / 大野達也氏(日本)
4) ディスカッション

10:40-11:10 休憩
11:10-12:30 セッション4: 放射線治療における品質保証・品質管理 (QA/QC)
共同議長:Kum Bae KIM(韓国 )& Cao Jianping(中国)
11:10-11:30 1) FNCA国内における外部照射治療の線量監査のまとめ/ 水野秀之氏(日本)
11:30-11:50 2) 小線源治療における事故報告からの教訓 /水野秀之氏(日本)
11:50-12:10 3) K病院における放射線治療のQA/QC活動、ベトナムにおける医学物理士の現況/ Nguyen Thanh Binh氏(ベトナム)
12:10-12:30 4) ディスカッション
12:30-13:50 昼食
13:50-16:00

セッション 5: 乳がんに対する寡分割放射線療法の第U相試験(BREAST-I)
共同議長: Parvin Akther Banu(バングラデシュ)& Kullathorn Tehphamongkol(タイ)
1) プロトコール紹介とレビュー / 唐澤久美子氏(日本)
2) 各国からの臨床データの発表報告
バングラデシュ
中国
インドネシア
日本
カザフスタン
韓国
マレーシア
モンゴル
フィリピン
タイ
ベトナム
3) 臨床データのまとめ / 唐澤久美子氏(日本)
4) ディスカッション


3日目 2015年12月3日 場所 : サンウェイホテルハノイ

8:30-9:00

セッション 6: 将来計画
共同議長:煦范ヌ尋(日本 )&Miriam Joy Calaguas(フィリピン)

9:00-10:45

セッション 7: ワークショップ議事録草稿
共同議長:Miriam Joy Calaguas(フィリピン)& Rey H. De Los Reyes(フィリピン)&
Jaemelyn Marie O. Fernandez(フィリピン)
1) ディスカッション
2) 議事録採択

10:45-11:00

セッション 8: 閉会セレモニー
閉会挨拶 辻井博彦氏(日本)

11:00-13:00 昼食後K病院Tan Trieu キャンパスへ移動
13:00-14:00

セッション 9: テクニカルビジット(K病院Tan Trieu Campus)

14:30-17:30

セッション 10: オープンセミナー(場所 :K病院Tan Trieu Campus)
司会進行: Chul Koo Cho(韓国) &辻井博彦氏(日本)

14:30-14:40 参加登録
14:40-14:50

開会セレモニー
開会挨拶: To Anh Dung氏: K病院(ベトナム)

14:50-15:10 1) 子宮頸がんの概要およびFNCA子宮頸がんプロトコールの紹介
加藤真吾氏(日本)
15:10-15:30 2) 乳がんの概要およびFNCA乳がんプロトコールの紹介
唐澤久美子氏(日本)
15:30-15:50 3) ベトナムにおける放射線治療の現状
Nguyen Cong Hoang氏(K病院総合放射線治療科副科長)
15:50-16:10 4) 子宮頸がんのための画像誘導小線源治療
大野達也氏(日本)
16:10-16:30 5) バングラデシュにおける放射線治療の現状と求められる画一的プロトコール
A.F.M. Kamal Uddin氏 (バングラデシュ)
16:30-17:00 6) 韓国原子力医学院(KIRAMS)における肝細胞がんへの体幹部定位放射線治療の功績/ Won Il Jang氏(韓国)
17:00-17:20 7) 粒子線治療 / 中野隆史氏(日本)
17:20-17:30 閉会挨拶 / 辻井博彦氏(日本)

4日目 2015年12月4日 場所 : ベトナム国立がん病院(K病院)Quan Suキャンパス

9:00-11:00 セッション11: テクニカルビジット(K病院Quan Su Campus)
11:30-13:00 昼食

2015年度 FNCA 放射線治療プロジェクトワークショップ
参加者リスト

2015年12月1日 - 12月4日
ベトナム、ハノイ


バングラデシュ

Dr.A.F.M.Kamal Uddin(プロジェクトリーダー)
Lecturer
Dhaka Dental College

Dr. Parvin Akhter BANU
Chief Consultant
Delta Medical College & Hospital

中国

Prof. CAO Jianping(プロジェクトリーダー)
Directorand Professor
School of Radiation Medicine & Protection
Soochow University

Dr. WANG Lili
Radiation Oncologist
Departmnet of Radiation Oncology
The First Affiliated Hospital of SooChow University

インドネシア

Dr. Nana SUPRIANA(プロジェクトリーダー)
Medical Staff, Faculty of Medicine Radiotherapy Department,
Cipto Mangunkusumo Hospital

Dr. Dyah Erawati
Head of Radiotherapy Division
Dr. Soetomo General Hospital

日本

辻井 博彦 氏(プロジェクトリーダー)
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
フェロー

煦 良尋 氏
国立大学法人弘前大学
大学院医学研究科 放射線科学講座
教授

中野 隆史 氏
国立大学法人群馬大学
大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学 教授
重粒子線医学研究センター センター長

加藤 真吾 氏
埼玉医科大学
国際医療センター 放射線腫瘍科
教授

唐澤 久美子 氏
東京女子医科大学
放射線腫瘍学講座
主任教授

大野 達也 氏
群馬大学
重粒子線医学推進機構 重粒子線医学センター
教授

若月 優 氏
国立研究開発法人放射線医学総合研究所(NIRS)
重粒子医科学センター病院
医長

水野 秀之 氏
国立研究開発法人放射線医学総合研究所(NIRS)
重粒子医科学センター病院
主任研究員

小此木 範之 氏
国立大学法人群馬大学
腫瘍放射線学
スタッフ

牧島 弘和 氏
国立研究開発法人放射線医学総合研究所(NIRS)
重粒子医科学センター病院 治療課
放射線腫瘍医

山田 愛(事務局)
公益財団法人原子力安全研究協会

カザフスタン

Prof. Tasbolat Adylkhanov
Head of the Department of Oncology and Radiology
Semey Sate Medical University

韓国

Dr. Chul Koo CHO(プロジェクトリーダー)
Head of Department of Radiotherapy
Korea Institute of Radiological & Medical Sciences(KIRAMS)

Dr. Kum Bae KIM
Senior Researcher, Medical Physicist
Korea Institute of Radiological & Medical Sciences(KIRAMS)

Dr. Wonil JANG
Chief,
Department of Radiation Oncology
Korea Institute of Radiological & Medical Sciences(KIRAMS)

マレーシア

Dr. Lau Fen Nee(プロジェクトリーダー)
Consultant / Clinical Oncologist
National Cancer Institute,Putrajaya, Malaysia

モンゴル

Dr. Odontuya Gonchig(プロジェクトリーダー)
Head of Radiotherapy Department
National Cancer Center of Mongolia

Dr. Yadamsuren Erdenetuya
Radiation Oncologist of Raiothrapy Department
National Cancer Center of Mongolia

フィリピン

Dr.Miriam Joy CALAGUAS(プロジェクトリーダー)
Head of Department of Radiation Oncology
St.Luke's Medical Center

Dr. Rey H. De los Reyes
Chief of Clinics and Professor, Department of Obstetrics and Gynecology
Far Eastern University-Nicanor Reyes Medical Foundation(FEU-NRFM)

Medical Specialist III
Department of Obstetrics and Gynecology
Jose R. Reyes Memorial Medical Center(JRRMMC)

Dr .Jaemelyn Marie O. Fernandez
Medical Officer III
Radiotherapy Department
Jose R. Reyes Memorial Medical Center(JRRMMC)

タイ

Dr. Yaowalak Chansilpa(プロジェクトリーダー)
Associate Professor
Division of Radiation Oncology, Department of Radiology,
Faculty of Medicine
Siriraj Hospital, Mahidol University

Dr. Kullathorn Thephamongkhol
Lecturer
Faculty of Medicine
Siriraj Hospital, Mahidol University

ベトナム

Prof. Bui Cong Toan(プロジェクトリーダー)
Vice Director
National Cancer Hospital

Dr. To Anh Dung
Vice-Head
Breast and Gynecology Radiotherapy Department
National Cancer Hospital(K Hospital)

Dr.Ngo Thanh Tung
Head
Neck Radiotherapy Department
National Cancer Hospital

Dr. Nguyen Thanh Binh
Vice- Head of Department, Medical Physist
National Cancer Hospital


Forum for Nuclear Cooperation in Asia