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核セキュリティ・保障措置 workshop

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各国の核セキュリティ文化醸成活動
各国の追加議定書(AP)良好事例集

ワークショップ

FNCA 2014 核セキュリティ・保障措置ワークショップ

FNCA 2014 核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップ
概要

2014年11月5日 -11月7日
韓国、大田市




2014年度の核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップが2014年11月5日より11月7日まで、韓国・大田市にある韓国原子力統制技術院(KINAC)/国際核セキュリティアカデミー(INSA)で開催されました。日本の文部科学省(MEXT)と韓国原子力安全委員会(NSSC)/KINACの主催の下、FNCA参加各国および国際原子力機関(IAEA)から1名が出席し、核セキュリティ・保障措置についての経験と知見を共有しました。


オーストラリア、中国、バングラデシュ、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、およびベトナムの12ヵ国より、それぞれの国における核セキュリティ・保障措置の向上、核セキュリティ文化醸成への取り組み、核セキュリティ・保障措置に係わる法的枠組みについての最近の状況が発表されました。各国とも国際機関や地域的機関、他の諸国と協力して核セキュリティ・保障措置の強化を進めており、また、ほとんどの参加国が必要に応じてIAEAや他の機関と協力しながらトレーニングやセミナー、ワークショップを実施して率先して核セキュリティ・保障措置分野の人材養成を図っていることが報告されました。

ワークショップを通し、核セキュリティ文化の醸成が重要とされました。職員や管理者の教育ビデオ配布、原子力施設のための組織方針や活動計画の立案、原子力施設のあらゆるレベルの職員に向けた教育トレーニングの実施など、核セキュリティ文化を促進するための各国の取り組みが報告されました。

その他、核不拡散・核セキュリティ分野における人的なキャパシティ・ビルディングについて討議されました。韓国、日本、インドネシアが中心的拠点(COE)を設立し、また中国が2015年に設立予定であることから、核不拡散・核セキュリティの効果的・効率的な教育トレーニングのためのCOEの今後の役割や各国COE間の協力に重点を置いて討議されました。

保障措置実施の国内の法的枠組みについての討議では、特に、規制当局間の義務と責任の連携の考え方やベストプラクティスが共有されました。また、国内の情報セキュリティシステムについての討議で、核セキュリティ情報の取り扱いの問題や、情報のセキュリティと透明性との関係の問題が挙げられました。

そして、2014年10月に開催されたIAEA国際保障措置シンポジウムの結果と2014年3月に開催されたハーグ核セキュリティサミットの結果が報告されました。とりわけ、次回ワークショップでは、機密情報を保護するための情報セキュリティについてさらに焦点をあてて討議することが提案されました。

参加国間で核セキュリティ・保障措置への取り組みに関する情報の共有や更新をさらに図ることが合意されました。また、FNCAとAPSNの活動の重複を避けるため、APSNとの連携について様々な意見が出されました。

ワークショップの後、INSAの核物質防護訓練・試験施設の設備、出入管理システム、中央警報ステーション等へのテクニカルビジットが実施されました。


FNCA 2014 核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップ
会議報告

2014年11月5日〜7日
韓国、大田市



セッション1、2:カントリーレポート
議長:カザフスタン、バングラデシュ
FNCA参加12か国(オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、マレーシア、モンゴル、フィリピン、韓国、タイ、ベトナム)より、前回のワークショップ以降の核セキュリティ・保障措置の実施、核セキュリティ文化およびキャパシティ・ビルディングへの取り組みについてカントリーレポートの発表が行われた。すべての参加国が保障措置と核セキュリティの強化に向けて国際機関や地域的機関、および他の国々と緊密な協力関係にある。ほとんどの参加国がIAEAや他の国の協力を得て研修コース、セミナー、ワークショップを開催し、核セキュリティ・保障措置分野の人材養成を率先して行った。

セッション3: 円卓討議(保障措置に対する国内の法的枠組み)
議長:マレーシア

発表の要旨
○オーストラリア:
1987年の核不拡散 (保障措置) 法により、オーストラリアは広範な法的基盤を構築した。この法律は官民両セクターにおいて、現在の国際的な法的枠組みの定める保障措置の要件に従い実施される、原子力事業等を規制している。この法律はまた、保障措置部門の長である、オーストラリア保障措置・不拡散局(ASNO)の局長職について規定している。この職はオーストラリア総督が指名する。局長の職務についても、この法律により規定されている。保障措置、輸出管理、原子力政策に関わる各組織の責任についても紹介された。ASNOは現在、以下の役割を果たしている。

在庫変動報告書(ICR)、実在庫明細表(PIL)、物質収支報告書(MBR)の報告
追加議定書(AP)の要求事項の報告
IAEAの査察や補完的アクセスの実施の円滑化
IAEA総会−保障措置決議への出席
オーストラリアの保障措置支援プログラム
IAEAのガイドライン等に関する専門家としての助言、コンサルタント業務
政府への保障措置に関する助言
国内許認可システムの運用
アジア太平洋保障措置ネットワーク(APSN)

現行の法的規制を変更する計画はない。
○ベトナム:
2010年6月の首相決定により保障措置の国家的枠組みが作られた。この首相決定は保障措置の一般要求事項を規定した、核管理活動に関する規則の発布に関するものである。この規則にはベトナムにおける複数の機関が責任を分担することに関する条項がいくつかある。ベトナムでは核管理の原則は以下のように規定されている。

核管理活動はベトナム法及びベトナムが加盟した国際条約に従って行うものとする。

核管理活動は、厳格かつ継続的な方法で、定常的に行われるものとする。
核管理活動は、組織及び個人の通常の活動へ過度の干渉を避けるものとする。

第7〜9条には、保障措置に関係する活動に従事する各組織の責任についての規定がある。第11条は国際査察官資格について規定している。第12条ではベトナム科学技術省(MOST)の責任が規定されている。ベトナム放射線防護・原子力安全庁(VARANS)はベトナムにおいてMOSTに保障措置に関する報告を行う責任官庁である。MOSTはその報告を受け、IAEAに報告を行う。

討議の要旨
日本より、保障措置実施に関する公的機関の責任に関する各国の課題と省庁間の責任の重複をどう克服したかを討議の論点にすることが提案された。オーストラリア、日本、韓国、インドネシアの4ヵ国が、自国での保障措置実施に関する問題を克服した経験を述べた。討議の要旨は以下の通りである。

保障措置に関し責任を負うそれぞれの官庁や政策立案機関の間で協議を行うことで、保障措置協定(及び追加議定書(AP))による職務を効果的に実施できるようになる。

参加各国の当局間で責任を分散できるようにするためにはIAEA本部に専任の代表を置くのも1つの選択肢である。

参加各国は当局間の責任分担について助言する調整会合に各組織のリーダーを集 めることが奨励される。また、首相など国のリーダーは、権限や責任の分担を組織間で調整したり、各組織の責任を明確にしたりするのに最も適任である。

セッション4:IAEA国際保障措置シンポジウム
議長:中国

発表の要旨
○IAEA:
2014年10月20〜24日にIAEA本部で開催されたIAEA国際保障措置シンポジウムの概要が報告された。また、福島第一原子力発電所の保障措置の状況が紹介された。事故による放射性物質の検認の困難さや、申告放射性物質を非除去のままにする新しい保障措置戦略が述べられた。長期の保障措置戦略はいまだ議論中である。本セッションでは、事故の結果の放射性物質の可能性や放射性物質検認のための技術的措置について議論された。
○オーストラリア:
保障措置体制の整備に関してAPSNが実施している活動が発表された。最初にAPSNの概要について、特に「トレーニング、専門能力向上や経験の共有等についての協力を通じたアジア太平洋地域におけるベストプラクティスの促進」がAPSNの目的であることが紹介された。次に、2014年10月のIAEA国際保障措置シンポジウムでのオーストラリアの発表が報告された。発表では2013年と2014年に開催された保障措置実施指針のケーススタディについてのAPSN会合で寄せられた質問が紹介された。APSNワーキンググループは保障措置の実施、指針、ケーススタディの経験の共有等の活動を行っている。また、APSNはシンポジウムでポスタープレゼンテーションも行った。本セッションでは核セキュリティ・保障措置分野におけるAPSNとFNCA間の協力の可能性と重複を避ける必要性が議論された。
○バングラデシュ:
バングラデシュにおける保障措置や原子力の平和利用のための将来の取り組みが報告された。また、バングラデシュにおける原子力開発や統合保障措置体制の経緯と現状が紹介され、国の保障措置体制の整備、人材育成、国際協力の強化、e-ラーニングプログラム、e-トレーディングプログラム等の取り組みが報告された。

セッション5:核セキュリティサミット
議長:モンゴル

発表の要旨
○韓国:
・核セキュリティサミットの構成、内容、進展について説明された。第1回核セキュリティサミットは、核物質の安全を確保して核によるテロ行為を防止する必要性について、可能な限り高いレベルで注目を集めるため、2010年にワシントンDCで開催された。第1回サミットには47カ国と3つの国際機関が参加した。2012年、第2回核セキュリティサミットがソウルで開催された。53カ国と4つの国際機関が参加した。第1回サミットでは政治的合意形成が関心事だったが、第2回サミットではそれらの合意の実施についてどのような進展があったかについて焦点があてられた。第3回核セキュリティサミットは2014年にハーグで開催された。53カ国(うち36カ国は大統領や首相が参加)と4つの国際機関が参加した。次に、ハーグ核セキュリティサミットの結果や成果について、国際協力関係構築に重点を置いて説明された。参加国により核セキュリティ体系におけるIAEAの中心的役割が確認された。各国は核セキュリティを世界規模に拡大しようとするIAEAの取り組みを支援しつつ活用している。核物質防護条約(CPPNM)の改正条項の効力発生が迫っており、各国は改正CPPNMの批准に向け、必要な関連法整備を活発に行っている。核物質防護を国際ガイドラインや良好事例に合わせるため、多くの国がIAEAにピアレビューミッションを要請している(ほとんどがIPPASミッションを要請)。参加国は地域協力の重要性を確認し、施設警備強化、訓練実施、共同行動計画の策定などの取り組みに対し、お互いに支援しあっている。
・改正CPPNMはできる限り早く効力を発生させる必要がある。2010年のワシントン核セキュリティサミット以降、19のサミット参加国が改正CPPNMを批准し、うち7カ国はハーグ核セキュリティサミット以降に批准した。14のサミット参加国により、必要法案を通過させる途中であることが報告された。ハーグ核セキュリティサミット中、33カ国が大量破壊兵器の不拡散に関する国連安全保障理事会決議第1540号を完全に実施することを表明し、国の行動計画の策定に取り組んだ。
(世界中の危険な核物質の減量)

危険な核物質の量は徐々に減少している。数カ国においては、高濃縮ウラン(HEU)をダウンブレンドして低濃縮ウラン(LEU)にし、そのLEUを発電炉燃料として利 用している。これらの国々はまた、HEUの代わりにLEUを燃料として利用する ため研究炉を改造した。さらに、国々はHEUを発生国に返還した。こうするこ とで、HEUを得ようとするテロリスト集団が狙う場所の数を減らしている。首脳 達により、自分たちの政治的誓約について再確認され、核物質の量を減らすため
さらに対応策をとることが約束された。2009年以降、12カ国(オーストリア、チ リ、チェコ、ハンガリー、リビア、メキシコ、ルーマニア、セルビア、台湾、ト ルコ、ウクライナおよびベトナム)がHEUの全量を自国の領土外に移送した。ハーグ核セキュリティサミットに参加した15カ国が、HEUまたはプルトニウムを返還したか、または返還手続中である。また、参加国には他国のHEUやプルトニウムの返還を支援している国もある。サミット中、13カ国がHEUを保有しないとする共同声明に署名した。これらの国々は、HEU保有を最小にする重要性を 強調するとともに、そのような立場から、2016年の次回サミット開催に先立ち、自国の領土からすべてのHEUを撤去するよう、すべての国に求めている。サミ ット参加17カ国は、少なくとも32の 研究炉または医療用放射性同位体の生産施設を改造したか、または改造中である。参加国は他国が原子炉を改造する支援も行っている。9カ国より、HEUの代わりにLEUを利用する技術を研究開発中であることが報告された。首脳らはハーグ・コミュニケで、HEU備蓄量の最小化に加え、プルトニウム備蓄量の最小化についても誓約することで、到達基準を引き上げた。

(すべての核物質及び放射線源のセキュリティの向上)

核物質やその他の放射性物質は病院、産業および大学で広範囲に使用されている。 放射性物質を扱うこれらの施設の中には、誰でも自由に入れるようなところもある。このような場合に放射性物質をより安全に守ることが、核セキュリティサミ ットの主目的の1つである。核物質防護の向上と、機密情報のセキュリティの向 上により、放射性物質や核物質を使用したテロ行為の可能性を減らすことができ る。放射線検出装置を設置することで、密輸の摘発率が上がり、最初の段階で、 放射性物質を元の場所から持ちだそうとする人の割合を減らすことになろう。こ れらの分野では、各国の経過報告書に記載されているとおり、サミット参加国で 進歩がみられた。核セキュリティ分野の人材養成は、サミットでのもう1つの主 要な関心事である。核物質密輸への対抗手段は大きな進歩を遂げた。サミットに 参加した28カ国は、2010年以降、放射線検出システムを港湾や国境の検問所に(特別に追加して)設置したり、移動捜査班に放射線検出システムを装備させたりした と発表した。サミット開催中、21カ国が共同協力事業である「核物質密輸への対 処」に署名した。これらの国々は、不正取引に関する新法を可決したか、今後可決すると誓約している。この共同協力事業については、14カ国が2016年までに 資源や研修コースを提供すると約束した。27カ国が核鑑識に関する共同協力事業 を支援した。ハーグ・コミュニケでは、産業、医療、農業、研究等に使用されているすべての放射線源を安全に守るという、新しい目標が設定された。核鑑識が さらなる発展を必要とする有効な手段としてはっきり認識されたことが報告された。

・多くのサミット参加国がすでに訓練施設を整備している。12カ国により、既設の核セキュリティ訓練施設があると報告された。8カ国が現在建設中または設立準備中である。さらに4カ国が設立するか検討中であった。22カ国がハーグでの核セキュリティ・サミット共同協力事業の枠組みの中で、核セキュリティ訓練センターの整備をさらに進めようとしている。
・セッション中、参加者により、2016年開催のサミット後にどのような核セキュリティ活動ができるかについても意見交換がなされた。

セッション6:核セキュリティ文化
議長:タイ


発表の要旨
○日本:
核セキュリティ文化の醸成に向けた日本の取り組みが紹介された。日本の規制当局である原子力規制委員会と事業者は核セキュリティ文化の重要性を認識しており、協力して核セキュリティ文化の醸成に取り組んでいる。まず、事業者に対し、核セキュリティ文化醸成活動を規制に従って実施するよう求める内容の法規制を策定した。事業者による主な活動としては、スタッフ教育の実施、核セキュリティに関するイベントの情報の共有の他、教育の前後に実施するアンケートや原子力規制委員会が年度毎に実施する核物質防護検査において実施する自己評価が挙げられる。また、原子力規制委員会は核セキュリティ文化醸成のための訓練ビデオを作成し提供した。加えて、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)の活動を通じて国内で人材養成活動を行いつつ、アジアでの人材養成にも寄与した。ISCNはまた、事業者の関連施設に講師を派遣して核セキュリティに関する講義を行うことで、核セキュリティ文化を醸成しようとする事業者の取り組みにも寄与した。
○韓国:
韓国における核セキュリティ文化醸成の状況について紹介された。核セキュリティ文化の確立、実施のための政策およびガイドラインの策定、核セキュリティにおけるすべてのステークホルダーの参加を後押しするための取り組み、核セキュリティ文化醸成に向けた定期的な評価、継続的な教育訓練を実施している。国の実施指針である核セキュリティ文化実施指針は序論、核セキュリティ文化の概念、実施指針から構成される。2013年12月の政策声明に基づき、すべての組織は教育訓練実施に向けた行動計画を策定した。評価のためにアンケート(年間調査)を行い、基線解析を実施した。この調査によれば、核セキュリティ文化の認知度は80.7%であった(2012年)。自己評価は指標、検証、測定の手法を用いている。これを踏まえた評価は2014年12月に行われる。また、核セキュリティ文化に関する意識を高めるため、ワークショップも開催された。

討議の要旨
日本の行った自己評価手法に関する質問があった。自己評価手法は、IAEAが間もなく出版する予定の自己評価に関するガイダンスに従い、原子力規制委員会が策定したものである。韓国とは異なり、この時点では日本では全国調査が行われていなかった。日本より、核セキュリティ文化の面で、すべてのレベルの職員(守衛から最高レベルの経営者に至るまで)に対し調査を行う重要性が強調された。また、韓国が実施した核セキュリティ文化に関する調査についてもいくつか質問がなされた。

セッション7:カントリーレポートサマリー
1. 規制当局の独立性
 マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムは独立的な規制当局を設立する法令の整備を進めている 。
2. 保障措置:国際規約の状況
 最新情報なし 。
3. 保障措置:保障措置実施の向上
 新たな法律や規制の導入、国際協力の強化、将来の活動に対する明確な計画をはじめとして、ほとんどの国で著しい改善が見られた。
4. 核セキュリティ:国際規約の状況
 韓国は2014年に改正核物質防護条約と核テロリズム防止条約を批准した。
5. 核セキュリティ:核セキュリティ実施の向上
 新たな法律・規制の実施および起草、核物質防護システムの大幅な改善、国際協力の強化など、ほとんどの国で確実に進展している。
6. 核セキュリティ文化
 自国のあるいは他のイニシアティブによるセミナーやワークショップを主催した国や、核セキュリティ文化の促進のためのガイドラインを策定した国があった。
7. キャパシティ・ビルディング
 インドネシアはI-CONSEPの設立に着手した。中国とカザフスタンはCOEを建設中である。フィリピンとベトナムも近い将来、COEの設立を考えている。

更新されたカントリーレポートサマリーはFNCAウェブサイトに掲載する。

セッション8:円卓討議(情報セキュリティ)
議長:フィリピン

発表の要旨
○マレーシア:
マレーシアにおける事業者に対して実施している電子許可システムについて発表された。規制当局に加え、許認可プロセスに関与した他の関連機関もこの電子許可システムに接続している。このシステムでは輸出管理も行っている。オンライン申請は脅威に脆弱であるという事実を認識して、システムにはセキュリティ対策を実施している。
○日本:
対象施設、輸送、予防システムや保護システム、システムの脆弱性といった重要情報を保護することの重要性について発表された。対策の1つは、情報共有の際、「必要最小限を必要な人だけに知らせる原則」を守ることである。機密情報管理を適用しなければならない。重要情報を守るための課題としては、安全面とセキュリティ面の対立、国内法の要求事項の策定、脅威に対する認識の欠如、限られた資源、核セキュリティ文化の欠如などが挙げられる。

討議の要旨

◆ 各国における最大の課題

コメント・提案
バングラデシュ ・機微情報管理の法的根拠がない。
・知る権利との対立。
オーストラリア ・州によっては法的障壁になる。
・至る所に速やかに情報を普及できるソーシャルメディアの検討。
中国 ・核セキュリティ規制が国家秘密法につながっている。
・核物質防護ネットワークは他のネットワークから物理的に独立させるべきである。
・放射線源の情報セキュリティの問題。
タイ 原子力活動に関する機微情報を事業者と所轄官庁を除いて公開不可にする条項を入れた法令。

◆ 機微情報の機密扱いの基準

コメント・提案

バングラデシュ

機微情報の機密扱いは準備中である。

オーストラリア

・機密扱いマニュアルは段階的アプローチと結果重視あるいは リスクベースで作成されるべきである。
・特に緊急時に、もし要員が情報を得られなければどうなるかを考慮する必要がある。
・情報分類のためのマニュアル作成を計画する。

日本

・安全要員および緊急時要員のセキュリティに関する機微情報へのアクセス。
・どの機微情報を公開するかしないかの決定。
・サイバーセキュリティーを考慮に入れる。

中国

緊急時対応時におけるセキュリティ要員の安全要員サポート。

韓国

秘密保護(原子力に限らず)の規制文書。

◆ 説明義務と機微情報の対立の問題の解決

コメント・提案

日本

利害対決には明快な解決はない。世論は非常に強い力を持っており、解決は難しい。

オーストラリア

内部問題の対処が必要である。

セッション9:円卓討議(人材養成)
議長:オーストラリア

発表の要旨
○韓国:
原子力安全委員会(NSSC)と韓国原子力統制技術院(KINAC)の設立の背景と、韓国における原子力規制枠組みにおけるそれぞれの役割について発表された。2012年のソウル核セキュリティサミットで、韓国大統領は教育、トレーニングを通した人材育成を推進することを促した。2014年、国内向けおよび海外向けの教育トレーニングを実施する国際核セキュリティアカデミー(INSA)が発足した。NSAの役割と活動が詳細に説明され、最近実施したコース、モンゴル、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、フィリピン訪問、中国および日本のCOEとの協力の展望が述べられた。また、各国COE間の経験の交換、情報共有や密接な協力が重要であることが強調され、地域における核セキュリティ文化を拡大するための日本、中国、韓国への展望が述べられた。
○中国:
2010年核セキュリティサミットで中国国家主席がCOEの設立を表明した後、北京から35km離れた長陽で建設中である国家核セキュリティ技術センター(SNSTC)について発表された。建設はほぼ完成しており、2015年10月〜12月にCOEの活動を開始予定である。COEは国際交流、国際協力や教育訓練、技術検証および研究開発、検査や認定、核物質管理、核物質防護および輸出規制を取り扱う。COEは中国で建設中の原子炉に対する国内および国際的要求を取り扱い、アジア地域におけるトレーニングやキャパシティ・ビルディングに対する強いニーズに対応する。またSNSTCは大学と連携しCOEの協力でコースを実施する。
○日本:
核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)が実施している3つのトレーニングコース(核セキュリティコース、保障措置・国内計量管理コース、核不拡散に係る国際枠組みコース)の概要が発表された。また、ICSNの二国間および国際協力活動が説明され、特に他の国々が自国でトレーニングを実施できるようトレーナー研修に力を入れて進めていることが説明された。今後の重要な取り組みは、トレーニング手法の開発、二国間および多国間の取り組みの補完、キャパシティ・ビルディングのための様々な取り組みの調整、調和である。また、各国COE間の協力のために様々な取り組みや会合が行われていることが説明された。
○インドネシア:
インドネシア原子力規制庁(BAPETEN)長官直属のトレーニング部門について発表された。また、BAPETENの初級・上級査察官の条件やトレーニングプログラム、インドネシア核セキュリティ・緊急時計画センター(Iconsep)の目的と機能が説明された。
○ベトナム:
ベトナムにおける人材育成活動が紹介された。ベトナムの原子力発電導入に向けて教育訓練省が人材育成の国家プロジェクトを進めている。また、科学技術省は規制機関の推進のために原子力安全、核セキュリティ、保障措置分野の人材育成が責務である。様々な事情によりベトナムには現在、核セキュリティ・保障措置分野の国内教育訓練プログラムが整備されていないため、IAEAの支援や他の国際トレーニングコースに頼らなければならない。IAEAとの協力や米国DOE、JAEA、KINACとの協力により、ベトナムでは様々なトレーニングやキャパシティ・ビルディング活動が行われた。

討議の要旨
COE間の協力の必要性に焦点をあてて以下が議論された。
 ・COEの持続性および調和の必要性
 ・2016年核セキュリティサミットに向けたCOEの重要な役割
 ・COEの活動の調和の必要性
 ・COEの機能に言葉の壁が及ぼす影響
 ・調整を助けるためのCOEの活動および計画の透明性の必要性、IAEAの国際核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)の重要な役割
 ・APSN、FNCAや他の地域的機関とCOEの連携

2015年活動計画
◆ 核セキュリティ・保障措置
 ・カントリーレポートサマリーの最新版をFNCAウェブサイトへ掲載する。
 ・核セキュリティに関する秘密情報を保護するための参加国の法律・規則に関する情報をワークショップで報告する。
◆ 核セキュリティ文化
 ・各国の核セキュリティ文化活動に関する表の最新版をFNCAウェブサイトへ掲載する。
 ・参加各国の核セキュリティ文化の良好事例について資料を作成する
◆ 情報セキュリティ
 ・2015年度のワークショップで引き続き議論を行う。
◆ 3S
 ・3Sに関する規制当局に関する表の最新版をFNCAウェブサイトへ掲載する。
◆ APSNとの連携(提案)
 ・APSNとともに核セキュリティ文化および保障措置の意識向上のためのオープンセミナーを開催する。
※2015年に日本でAPSN会合が開催されるが、この会合の後に半日のセミナーを開催するのも1つの案である。なお、FNCA核セキュリティ・保障措置プロジェクトでは2012年にベトナムで開催したワークショップで、APSNとの共催でIAEAの追加議定書(AP)に関するオープンセミナーを実施した。

 

 


FNCA 2014 核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップ
プログラム

2014年11月5日〜7日
韓国、大田市



1日目: 11月5日(水)

9:30-10:30 開会挨拶
・Mr. Ham Jinju (韓国原子力安全委員会(NSSC)国際協力局長)
・千崎 雅生 (日本プロジェクトリーダー)
  参加者自己紹介、アジェンダ確認、集合写真
10:30-10:50 休憩
10:50-11:50 セッション1: カントリーレポートI
< モデレーター: カザフスタン >
・オーストラリア
・バングラデシュ
・中国
・インドネシア
11:50-13:20 昼食
13:20-15:20 セッション2:カントリーレポートII
< モデレーター: バングラデシュ >
・日本
・カザフスタン
・マレーシア
・韓国
・フィリピン
・タイ
・ベトナム
15:20-15:40 休憩
15:40-17:10

セッション3: 円卓討議 (保障措置に対する国内の法的枠組み)
< モデレーター: マレーシア >
◆発表: オーストラリア、ベトナム
- 保障措置のための法的枠組みにおける各省庁の責任
◆討議:
- 討議のポイントの確認(日本)
- 省庁間の責任分担に関する課題
- 責任の重複をどう克服するか

2日目:11月6日(木)

9:00-9:45 セッション4: IAEA国際保障措置シンポジウム
< モデレーター: 中国 >
◆発表: IAEA
- シンポジウムの結果報
◆発表: オーストラリア
- シンポジウムでの発表報告「保障措置体制の整備に関するアジア・太平洋地域における実施活動」
◆発表: バングラデシュ
- シンポジウムでの発表報告 「バングラデシュにおける原子力平和 利用のための保障措置の実施と今後の取り組み」
9:45-10:10

セッション 5: 核セキュリティサミット
< モデレーター: モンゴル >
◆発表: 韓国
- ハーグ核セキュリティサミットの結果報告
- 質疑応答

10:10-10:30 休憩
10:30-11:40

セッション6: 核セキュリティ文化
< モデレーター: タイ>
◆発表: 日本
- 核セキュリティ文化醸成に向けた日本の取り組み
◆発表: 韓国
- 韓国における核セキュリティ文化醸成の取り組み

11:40-13:10 昼食
13:10-13:30 セッション7: カントリーレポートサマリーのまとめ (日本)
13:30-14:30

セッション8: 円卓討議(情報セキュリティ)
< モデレーター: フィリピン>
◆発表: マレーシア
- 情報セキュリティの管理と基準
◆討議:
- 討議のポイントの確認(日本)
- 核セキュリティに関する機微な情報の取り扱いの問題
- 質疑応答

14:30-14:50 休憩
14:50-17:00

セッション 9: 円卓討議(人材養成)
< モデレーター: オーストラリア>
◆発表: 韓国、中国、日本、インドネシア、ベトナム
- COEの状況、他の枠組み
- ワシントンにおけるCOEワークショップ
- 2014年のCOE間の協力
◆討議:
- 効果的な協力
- 人材養成と協力の将来計画

3日目: 11月7日(金)

8:30-9:00 サマリーのとりまとめ (韓国、日本)
9:00-11:00

セッション10: 閉会セッション
< 議長: 韓国>
リードスピーチ: 千崎 雅生 (日本プロジェクトリーダー)
- サマリー及び結論
- 2015年の活動計画

11:00-11:20 閉会挨拶
・千崎 雅生 (日本プロジェクトリーダー)
・Dr. Ho-Sik Yoo (韓国原子力統制技術院副理事長・核不拡散局長)
11:50-12:50 昼食
13:00-14:30

テクニカルビジット
・核物質防護訓練・試験施設
・出入管理システム
・中央警報ステーション


FNCA 2014 核セキュリティ・保障措置プロジェクトワークショップ
参加者リスト

2014年11月5日〜7日
韓国、大田市


オーストラリア
Dr. Stephan Bayer
Director
Nuclear Security Section
Department of Foreign Affairs and Trade
Australian Safeguards and Non-Proliferation Office (ASNO)

バングラデシュ
Dr. Didarul Alam Chowdhury
Director
Nuclear Safety, Security and Safeguards Division
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)

中国
Mr. Shen Ning
Associate Researcher
China National Nuclear Corporation (CNNC)

インドネシア
Ms. Susilaningsih Medi Lestari
Deputy Director for Safeguards Inspection,
Nuclear Energy Regulatory Agency (BAPETEN)

日本
Mr. Masao Senzaki
Senior Fellow
Integrated Support Center for Nuclear Nonproliferation and Nuclear Security
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Ms. Reina Matsuzawa
Research Fellow
Integrated Support Center for Nuclear Nonproliferation and Nuclear Safety
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Mr. Jaime Alejandro Vidaurre
Invited Researcher
Integrated Support Center for Nuclear Nonproliferation and Nuclear Safety
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Ms. Yuki Matsuda
Integrated Support Center for Nuclear Nonproliferation and Nuclear Safety
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)

Ms. Atsuko Takano
International Affairs and Research Department
Nuclear Safety Research Association (NSRA)

カザフスタン
Mr. Berezin Sergey Anatolievich
Deputy Director General
National Nuclear Center of the Republic of Kazakhstan

韓国
Mr. Ham Jin Joo
Director
International Cooperation Division
Nuclear Safety and Security Committee (NSSC)

Dr. GyungSik Min
Vice President
Director General, Nuclear Nonproliferation Office
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

Dr. Hosik Yoo
Vice President
Director General, Nuclear Security Office
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

Dr. Gwangyu Choi
Director General
International Nuclear Nonproliferation & Security Academy
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

Dr. MoonSeong Ko
Director
Nuclear Security & Cyber Security Division
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

Mr. JungHoon Lee
Senior Researcher
Executive Coordination Division
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control(KINAC)

Mr. DongHyuk Lim
Senior Researcher
Executive Coordination Division
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

Ms. JiHye Jeon
Researcher
Executive Coordination Division
Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control (KINAC)

マレーシア
Mr. Mohd Zulfadli Bin Ramli
Assistant Director
Atomic Energy Licensing Board (AELB)

モンゴル
Mr. Nyamdavaa Enkhgerel
State Senior Inspector on Nuclear and Radiation Safety and Security
Nuclear Energy Agency

フィリピン
Ms. Sylvia Silva Busine
Senior Science Research Specialist
Philippine Nuclear Research Institute (PNRI)

タイ
Mr. Arug Wititteeranon
Acting Head of Nuclear Non Proliferation Center
Office of Atoms for Peace (OAP)

ベトナム
Mr. Luu Nam Hai
Director of International Cooperation Division
Vietnam Agency for Radiation and Nuclear Safety (VARANS)

IAEA
Mr. Davis Hurt
Head of the Agency's Tokyo Regional Office
International Atomic Energy Agency (IAEA)


Forum for Nuclear Cooperation in Asia