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バイオ肥料
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バイオ肥料プロジェクト
 


 アジアには世界人口(61億人)の61%にあたる37億人が住んでいます。2050年にはインド16億人、中国15億人を筆頭に53億人に達すると予測されており、食糧の安定供給はアジア地域が21世紀に直面している最大の問題の1つです。これまで食糧生産は、化学肥料や農薬などの利用により飛躍的に増大しましたが、過剰な使用は農業の基盤である土壌や環境を破壊するばかりでなく、人間の健康にも悪影響を与えることがわかって来ました。
 FNCAバイオ肥料プロジェクトは、植物と共生して植物の栄養素窒素の固定を行う根粒菌や、リンの吸収を助ける菌根菌などの微生物を利用したバイオ肥料を開発し、化学肥料の使用を減らし環境と土壌の保全を図り、環境と調和した持続的農業の確立をめざしています。
これらの微生物は、ピートや鶏糞などのキャリア(微生物を生きたまま保持・増殖するための資材)に混ぜて保持・市販され、バイオ肥料として種子に塗られたり、あるいは畑に播くなどして使用されます。そのキャリアに他の微生物が混入していると、微生物間での競合が生じてバイオ肥料用微生物の生残率が低下し、キャリア中の生菌数密度が低下して肥料効果が消失する場合があるため、キャリアの放射線による滅菌はきわめて重要となります。
  バイオ肥料は、日本では十勝農協連やいくつかの企業により根粒菌や菌根菌の接種資材が販売されており、インドネシアやタイなどアジアの国々でもすでに利用されていますが、普及と農業生産への活用はまだ不十分です。アジア諸国に多い不良土壌(酸性土壌)でも窒素固定の能力が高い微生物の利用や土壌で長く生き残れるバイオ肥料の製造方法、接種効果の高い施用法の開発など、研究開発の余地は大きいといえます。
バイオ肥料プロジェクトは2002年にはじまり、これまでにバイオ肥料として役に立つ微生物の選抜、バイオ肥料に含まれる有用微生物を生きたまま保ち、接種効果の高いキャリアの改良、有用微生物の改良、畑での栽培試験を行ってきました。
2007年からは、これまで得られた成果を活かしつつ、「キャリアの放射線滅菌を確実に普及」と、「持続可能な農業に向けた多機能バイオ肥料」をテーマとし、放射線でのキャリア滅菌技術を用い、さらに「植物の生育を促進しかつ病気を抑制する機能」を付加した高品質のバイオ肥料の開発と普及を目指しています。

   
  バイオ肥料を施用したダイズ(右)としないダイズ(左) インドネシアで市販されているバイオ肥料  
 
 このほかバイオ肥料プロジェクトでは、窒素固定や菌根菌の評価方法、菌接種剤の製造や品質管理、施用方法など、農業技術に役立つ実用的なマニュアルを作成しました。また、参加国の研究や技術情報の交流を促進するためのニュースレターの定期刊行、ならびにアジア諸国のバイオ肥料の研究者や技術者等が自由に質問や意見を交換できるメーリング・リストがすでに活用されています。
 


Forum for Nuclear Cooperation in Asia