FNCA2009人材養成ワークショップ 議事録
2009年6月22日〜25日 日本 敦賀・福井
開会セッション
杉本 純氏(日本原子力研究開発機構 原子力研修センター長)より開会の言葉および、主催者として河原 卓氏(文部科学省 研究開発局研究開発戦略官付 国際原子力協力官)より開会の挨拶が行われ、その後参加者の自己紹介を行った。
セッション 1 -イントロダクション-
杉本氏より2009年FNCA人材養成ワークショップのスコープが発表され、またワークショップのスケジュールが説明された。町 末男氏(日本コーディネーター)より第9回大臣級会合と第10回コーディネーター会合の報告がされ、またプロジェクトレビューの概要と2009年のプロジェクトの全体計画について発表が行われた。
セッション 2 -カントリーレポート-
参加各国より以下の6項目についてのカントリーレポートが発表された。
(1) |
人材養成の戦略と遂行 |
(2) |
人材養成と国の訓練センターの活動を含めた人材養成活動の優先分野 |
(3) |
国の人材養成プログラムに対してFNCA等の国際協力プログラムの果たす役割 |
(4) |
ANTEPの進展と遂行計画 |
(5) |
原子力発電導入に必要な人材養成 |
(6) |
原子力発電導入に必要な人材養成に果たす原子力研究所の役割 |
日本からは河原氏(文部科学省)より「アジアの原子力研究開発に向けた人材養成」、および杉本氏(日本PL)より「原子力人材育成関係者協議会の活動」が発表された。
セッション 3 -ANTEPの進展と遂行計画および文部科学省原子力研究交流制度に係るANTEPの進展-
ANTEPの進展と遂行計画および文部科学省原子力研究交流制度に係るANTEPの進展について議論された。2009年の日本から提供するANTEPプログラムが原子力安全研究協会より紹介された。
セッション 4 -原子力発電導入に向けた人材養成-
本セッションでは原子力発電の導入に向けた人材養成に焦点を当てた。武田 充司氏(原子力安全研究協会 研究参与)より日本初の商業用原子炉における経験が発表された。杉本氏より原子力発電導入に必要な人材養成に果たす原子力研究所の役割が発表された。また、原子力発電に向けたFNCA人材養成データベースを使用した感想と改善への提案が山本 俊弘氏(日本原子力研究開発機構 原子力研修センター 原子力研修グループ研究主幹)より発表された。
セッション 5 -まとめと人材養成プロジェクトの今後の方向性-
主な議論のポイントを以下に示す。 (1) 原子力発電導入のための人材養成の強化方法 (2) 原子力発電炉以外の分野における、国の原子力計画に沿った人材養成の優先分野 (3) FNCA人材養成ワークショップの改善策
結論と提案
(1) |
放射線利用および電子力発電の両分野における人材養成の要望の増加に伴い、文部科学省原子力研究交流制度における招聘研究者数は増加されるべきであるとの意見が参加者から出された。 |
(2) |
各国が自立して人材養成を実施することが強く望まれることが強調された。 |
(3) |
ANTEP遂行を改善するために、文科省原子力研究交流制度の担当者とANTEP担当者(人材養成PL)とのコミュニケーションと協力が強化されるべきである。 |
(4) |
FNCA参加国は各国の原子力科学技術の向上に高く貢献している文部科学省原子力研究交流制度に感謝の意を表した。本制度により、1985年以降、1,491名の研究者が日本で経験を積み、内97名が現在部長職以上の高い役職に就いていることを確認した。 |
(5) |
国の原子力研究所は原子力発電に向けた人材養成において、原子物理、原子工学、放射性安全等の項目を含んだ、原子炉従事者のための“基礎トレーニングコース“を実施することで重要な役割を果たすべきであることが合意された。当該分野での各国内の専門技術を強化するためには、アジア地域で原子力開発の経験を有している先進国−特に日本、中国、韓国からの国際協力が不可欠であり、文部科学省原子力研究交流制度、ANTEPおよび講師育成研修が効果的に利用されてきた。 |
(6) |
原子力発電に向けた人材養成に関して、参加各国は独自のナショナルチームを形成し、人材養成の戦略の準備や関連省庁、大学、産業界間の調整、および人材養成活動を遂行すべきであることが言及された。原子力発電に向けた国内の人材養成計画の見直しに関しては、原子力発電の経験がある日本、韓国および中国からの国際支援が必要である。 |
(7) |
FNCA参加国のほとんどは人材養成のための予算の不足という問題を抱えている。原子力発電の導入および原子力の利用の拡大の重要な時期であることから、人材養成に関して責任のある政府高官は人材養成のために必要な予算を確保するために最大限の努力をすべきである。 |
(8) |
人材養成データベースへのアクセス方法について、メンバー以外の訪問者がウェブサイトで各国内の担当者リストを閲覧できるようにする等の再検討を行うこととした。日本原子力研究開発機構は今年9月にいくつかのFNCA参加国を訪問し、ユーザー(政府、大学、産業界)への本データベースのデモンストレーションを行い、改善に向けたコメントを収集する予定である。参加者は日本原子力研究開発機構の訪問に協力することに同意した。 |
(9) |
原子力発電プロジェクトを成功させるためにはプロジェクトマネージャーは重要である。充分な経験を有した心がけの良いプロジェクトマネージャーを火力発電炉プロジェクトなどの他分野から採用することは、日本の経験上良い方法であると言える。 |
(10) |
スタディパネル、人材養成データベース、ANTEP、文部科学省原子力研究交流制度などのFNCA人材養成活動は、重要な役割を果たしてきており、今後もその活動はさらに強化されて重要な役割を果たしていくべきである。 |
(11) |
国内の訓練センターは、各国の状況に応じて、核医学、工業利用、非破壊試験、農業、保健衛生、および公教育などの原子力発電以外の人材養成に関する主要な優先分野において重要な役割を果たすべきである。 |
(12) |
原子力科学技術における国内の人材養成プログラムの遂行を成功させるためには、人材養成プロジェクトの担当者と国内の人材養成責任者との連絡調整が最も重要であることが同意された。各国内の人材養成に責任のある高官を、今後の人材養成ワークショップへ招待する可能性が提案された。 |
テクニカルビジット
1. |
若狭湾エネルギー研究センター(敦賀) |
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参加者は若狭湾エネルギー研究センターを訪問し、医学治療設備、実験ラボ、発熱設備等を直接視察すると共に説明を受けた。 |
2. |
もんじゅ/日本原子力研究開発機構 高速増殖炉研究開発センター(敦賀) |
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参加者は高速増殖原型炉もんじゅ (FBR) を訪問し、ナトリウム取扱研修棟、ISI研究開発施設、原子炉等の施設を直接視察すると共に説明を受けた。 |
添付
(i) プログラム (ii) 参加者リスト
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