FNCA 2014 放射線育種プロジェクトワークショップ 概要
2015年1月27日 - 1月30日
中国、杭州市
オープンセミナー参加者
2013年度FNCA放射線育種プロジェクトワークショップが、平成27年1月27日(火)〜30日(金)までの4日間、
文部科学省(MEXT)および浙江大学の主催により、中国の杭州市において開催されました。
バングラデシュ、中国、日本、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナム、IAEA/RCAより計16名が参加しました。
開会セッションおよび公開セミナー 持続可能な農業のための突然変異育種応用
公開セミナー『持続可能な農業のための突然変異育種応用』が、
『第4回遺伝資源イノベーションおよび分子育種国際シンポジウム(第4回ISGIMB)』と合同で開催され、
浙江大学、農業研究機関、大学、FNCA参加国から150人以上が参加しました。
セミナーの冒頭には、浙江大学農業・バイオテクノロジー副学部長のZhu Shuijin氏より歓迎挨拶がありました。
続いてFNCA放射線育種プロジェクト日本プロジェクトリーダーである静岡大学名誉教授の中井弘和氏より開会スピーチがあり、
浙江大学による歓待とワークショップ開催への尽力に対し謝辞が述べられました。
セッション1では、中井氏より、FNCA放射線育種プロジェクトの概要と目的、およびワークショップの課題が紹介されました。
次に、中国農業科学院のLiu Luxiang氏より、中国における突然変異育種研究の歴史と発展について発表がありました。
続いて、中井氏より、持続可能な農業;自然・有機農法適応のためのイネの突然変異育種への取り組みが報告されました。
最後に、日本原子力研究開発機構の田中淳氏より、突然変異育種研究におけるイオンビーム照射応用について発表がありました。
セッション2では、浙江大学のZhang Guoping氏より、耐塩性オオムギの遺伝資源同定および耐性メカニズムの特性評価が報告されました。
次に、上海市農業生物学遺伝子センターのMei Hanwei氏より、持続可能な農業のための耐旱・節水イネに関する研究開発が紹介されました。
続いて、ミュンヘン工科大学のThomas Frank氏より、低フィチン酸突然変異イネおよびダイズにおける代謝産物プロファイリングについて発表がありました。
セッション3では、ベトナム遺伝学研究所のLe Huy Ham氏より、FNCA活動を通じたイネの突然変異育種研究に関する成功事例が紹介されました。
次に、マレーシア原子力庁のSobri Bin Hussein氏より、FNCA活動を通じた突然変異育種研究および商業化に関する成功事例が発表されました。
最後に、浙江大学のWu Dianxing氏より、機能性食品のためのイネの突然変異育種について報告がありました。
Shu Qingyao氏およびZhang Guoping氏より閉会挨拶があり、全ての参加者に感謝の意が表されました。
持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する報告、
およびソルガム・ダイズ、ラン、バナナに関するサブプロジェクトのフォローアップ
8ヵ国より、持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する進捗状況が報告されました。
続いて、ソルガム・ダイズ、ラン、バナナに関する各サブプロジェクトのフォローアップ報告が発表されました。
発表の後、低投入の持続可能な農業に貢献するために突然変異育種をどのように利用するかという議題について、円卓討議が行われました。
IAEA/RCAとの協力について
Liu Luxiang氏より、RCAプロジェクトRAS5056の進捗状況が報告されました。
また、2016年に開始予定の、「グリーンクロップ」の品種開発に関する突然変異技術と
関連するバイオテクノロジーの推進に焦点を当てた新規プロジェクトが紹介されました。
FNCAバイオ肥料プロジェクトとの協力について
マレーシアおよびフィリピンでは、オリゴキトサンの利用に着目しているFNCAバイオ肥料プロジェクト・電子加速器プロジェクトとの協力により、
特にイネについて農薬の低減と収量の増加に有意な結果が得られていることが紹介されました。
タイでは、オリゴキトサンの利用によりリュウガンとサトウキビのプランテーションで良い成果が得られていることが報告されました。
生産コストの削減に関し、バイオ肥料プロジェクトとの協力を行っていくことが提案されました。
持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する今後の計画
中井氏より、「持続可能な農業とは何か」という議題についてリードスピーチが行われました。深く充実した議論の後、持続可能な農業には、低投入や高収量だけでなく、経済的競争力、有機/自然農法、品種の多様性(地方品種)を考慮することが重要な役割を果たすことが確認されました。突然変異原については、イオンビームに有用な成果が現れており、今後も利用されることが賛成されました。
閉会セッション
Shu氏および中井氏より閉会の挨拶があり、全ての参加者の努力と協力に対し謝辞が述べられました。
また、全ての参加者より、浙江大学のメンバーによる尽力と温かい歓待に対し感謝の意が表されました。
テクニカルビジット
ワークショップの2日目には、テクニカルビジットとして中国水稲研究所を訪問し、
研究所の概要について説明を受けた後、研究室や研究機器、ジーンバンクを視察しました。
FNCA 20104放射線育種プロジェクトワークショップ
議事録
2015年1月27日-1月30日
中国、杭州市
1) ワークショップの開催概要
) 期 日 |
平成27年1月27日(火)〜1月30日(金) |
) 場 所 |
中国、杭州市 |
) 主 催 |
日本文部科学省(MEXT)
インドネシア原子力庁(BATAN)
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) 出席者
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バングラデシュ、中国、インドネシア、マレーシア、モンゴル、フィリピン、IAEA/RCAより各1名、
日本、タイ、ベトナムより各3名、合計16名(添付資料2参照)
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) 日 程
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添付資料1参照
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本ワークショップは、平成27年1月27日〜1月30日までの4日間、中国の杭州市において開催された。
開会セッションおよび公開セミナー 持続可能な農業のための突然変異育種応用
公開セミナー『持続可能な農業のための突然変異育種応用』が、
『第4回遺伝資源イノベーションおよび分子育種国際シンポジウム(第4回ISGIMB)』と合同で開催され、
浙江大学、農業研究機関、大学、FNCA参加国から150人以上が参加した。
セミナーの冒頭には、浙江大学農業・バイオテクノロジー副学部長のZhu Shuijin氏より歓迎挨拶があった。
続いてFNCA放射線育種プロジェクト日本プロジェクトリーダーである静岡大学名誉教授の中井弘和氏より開会スピーチがあり、
浙江大学による歓待とワークショップ開催への尽力に対し謝辞が述べられた。
セッション1では、中井氏より、FNCA放射線育種プロジェクトの概要と目的、およびワークショップの課題が紹介された。
次に、中国農業科学院のLiu Luxiang氏より、中国における突然変異育種研究の歴史と発展について発表があった。
続いて、中井氏より、持続可能な農業;自然・有機農法適応のためのイネの突然変異育種への取り組みが報告された。
最後に、日本原子力研究開発機構の田中淳氏より、突然変異育種研究におけるイオンビーム照射応用について発表があった。
セッション2では、浙江大学のZhang Guoping氏より、耐塩性オオムギの遺伝資源同定および耐性メカニズムの特性評価が報告された。
次に、上海市農業生物学遺伝子センターのMei Hanwei氏より、持続可能な農業のための耐旱・節水イネに関する研究開発が紹介された。
続いて、ミュンヘン工科大学のThomas Frank氏より、低フィチン酸突然変異イネおよびダイズにおける代謝産物プロファイリングについて発表があった。
セッション3では、ベトナム遺伝学研究所のLe Huy Ham氏より、FNCA活動を通じたイネの突然変異育種研究に関する成功事例が紹介された。
次に、マレーシア原子力庁のSobri Bin Hussein氏より、FNCA活動を通じた突然変異育種研究および商業化に関する成功事例が発表された。
最後に、浙江大学のWu Dianxing氏より、機能性食品のためのイネの突然変異育種について報告があった。
Shu Qingyao氏およびZhang Guoping氏より閉会挨拶があり、全ての参加者に感謝の意が表された。
セッション1 持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する報告
8ヵ国より、持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する報告及び計画が発表された。
各国の発表概要は添付資料3の通りである。
セッション2 ソルガム・ダイズ、ラン、バナナに関するサブプロジェクトのフォローアップ
ソルガム・ダイズ、ラン、バナナに関する各サブプロジェクトのフォローアップ報告がなされた。
各発表概要は添付資料3の通りである。
セッション1および2に関する円卓討議
低投入の持続可能な農業に貢献するために突然変異育種をどのように利用するかという議題について、
円卓討議が行われた。
現在の農業では、高い収量を得るために化学肥料・農薬を過剰施用しており、
これにより多くの環境問題や健康問題が起こっている。
持続可能性に低投入や有機農業が重要であることが認識されており、
有機農業を含めた低投入農業への利用に対する適応能力確認のため、
得られた突然変異系統は多様な低投入生態系下で試験すべきである。
また、いかなる農業技術も農家に対し競争的経済利益を供与すべきであることが認識されているが、
突然変異育種技術は、作物品種を多収化、高品質化あるいは高付加価値化することでこれに寄与する。
突然変異育種による生物・非生物耐性品種の開発、
および統合された農業システムのための原子力技術利用もまた作物生産における投入を低減し、
持続性の向上に繋がる。
セッション3 IAEA/RCAとの協力について
Liu Luxiang氏より、RCAプロジェクトRAS5056の進捗状況、
および2016年〜2019年の予定で始まる新たなプロジェクトが紹介された。
新プロジェクトでは、‘グリーンクロップ’の品種開発に関する突然変異技術と
関連するバイオテクノロジーの推進に焦点を当てる。
プロジェクトの最終目標は、高収量、高い光合成効率、原植物、環境ストレス耐性、低投入といった
高品質特性を有する新型品種の作出である。Liu氏は本プロジェクトに育種家のみが関わることを提案した。
一方で中井氏は、RCAプロジェクトをFNCA放射線育種プロジェクトにおけるサブプロジェクトとすることを提案した。
セッション4 FNCAバイオ肥料プロジェクトとの協力について
中井氏より、マレーシアおよびフィリピンにおいては、
オリゴキトサンの利用に着目しているFNCAバイオ肥料プロジェクト・電子加速器プロジェクトとの協力により、
特にイネについて農薬の低減と収量の増加に有意な結果が得られていると述べられた。
バイオ肥料プロジェクトと放射線育種プロジェクトの両者がさらなる利益を得られるような協力を続けていくべきである。
Suniyom Taprab氏によると、タイではオリゴキトサンの利用によりリュウガンとサトウキビのプランテーションで良い成果が得られている。
生産コストの削減に関し、バイオ肥料プロジェクトとの間にプラットフォームを築いて協力を行っていくことが提案された。
セッション5 持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する今後の計画
中井氏より、「持続可能な農業とは何か」という議題についてリードスピーチが行われた。
深く充実した議論の後、持続可能な農業には、低投入や高収量だけでなく、経済的競争力、有機/自然農法、
品種の多様性(地方品種)を考慮することが重要な役割を果たすことが確認された。
突然変異原についてはイオンビームに有用な成果が現れており、今後も利用される。
来年度のワークショップ開催国はモンゴルが候補である。
閉会セッション
Shu氏および中井氏より閉会の挨拶があり、全ての参加者の努力と協力に対し謝辞が述べられた。
また、全ての参加者より、浙江大学のメンバーによる尽力と温かい歓待に対し感謝の意が表された。
2) テクニカルビジット
ワークショップの2日目に、テクニカルビジットとして中国水稲研究所を訪問し、
研究所の概要について説明を受けた後、研究室や研究機器、ジーンバンクを視察した。
3) 添付資料
i) プログラム
ii) 参加者リスト
iii) セッションサマリー
FNCA 2014 放射線育種プロジェクトワークショップ
プログラム
2015年1月27日-1月30日
中国、杭州市
2015年1月27日 (1日目)
オープンセミナー“持続可能な農業のための突然変異育種の応用”
合同開催:第4回遺伝資源イノベーションおよび分子育種国際シンポジウム(第4回ISGIMB)
08:45 – 09:00
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登録
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09:00 – 10:00
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開会セッション
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議長:Shu Qingyao氏、中国・浙江大学
1. 来賓・講演者・参加者紹介
2. 歓迎挨拶
Zhu Shuijin氏、浙江大学
3. 開会挨拶
Zhang Guoping氏、浙江大学(第4回ISGIMB)
中井弘和氏、静岡大学(FNCA)
4. FNCA放射線育種プロジェクトの概要と目的、およびワークショップの課題
中井弘和氏、FNCA放射線育種日本プロジェクトリーダー
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10:00 – 10:30
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記念撮影及び休憩
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10:30 – 12:00
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セッション1
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議長:Mei Hanwei氏、上海市農業生物学遺伝子センター
1. 中国における突然変異育種研究の歴史と発展
Liu Luxiang氏、中国農業科学院
2. 持続可能な農業;自然・有機農法適応のためのイネの突然変異育種への取り組み
中井弘和氏、静岡大学
3. 突然変異育種研究におけるイオンビーム照射応用
田中淳氏、日本原子力研究開発機構
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12:00 – 13:30
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昼食
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13:30 – 15:00
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セッション2
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議長:田中淳氏、日本原子力研究開発機構
4. 耐塩性オオムギの遺伝資源同定および耐性メカニズムの特性評価
Zhang Guoping氏、浙江大学
5. 持続可能な農業のための耐旱・節水イネに関する研究開発
Mei Hanwei氏、上海市農業生物学遺伝子センター
6. 低フィチン酸突然変異イネおよびダイズにおける代謝産物プロファイリング
Thomas Frank氏、ミュンヘン工科大学 |
15:00 – 15:20
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休憩
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15:20 – 16:50
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セッション3
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議長:Liu Luxiang氏、中国農業科学院
7. FNCA活動を通じたイネの突然変異育種研究に関する成功事例
Le Huy Ham氏、ベトナム農業遺伝学研究所
8. FNCA活動を通じた突然変異育種研究および商業化に関する成功事例
Sobri Bin Hussein氏、マレーシア原子力庁
9. 機能性食品のためのイネの突然変異育種
Wu Dianxing氏、浙江大学
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2015年1月28日 (2日目)
中国水稲研究所へのテクニカルビジット
2015年1月29日 (3日目)
09:00 – 10:30
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セッション1 持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する報告
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議長:Bayarsukh Noov氏、モンゴル
1. バングラデシュ
2. 中国
3. インドネシア
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10:30 – 10:45
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休憩
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10:45 – 12:15
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セッション1 (続き)
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議長:ANK Mamun氏、バングラデシュ
4. マレーシア
5. モンゴル国
6. フィリピン
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12:15 – 13:30
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昼食
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13:30 – 14:30
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セッション1 (続き)
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議長:Sobrizal氏、インドネシア
7. タイ
8. ベトナム |
14:30 – 15:45
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セッション2 バナナ、ラン、ソルガム・ダイズに関するサブプロジェクトのフォローアップ
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議長:Le Huy Ham氏、ベトナム
1. ソルガム・ダイズ耐旱性育種サブプロジェクト
Sobrizal氏、インドネシア
2. ラン耐虫性育種サブプロジェクト
Sobri Bin Hussein氏、マレーシア
3. バナナ耐病性育種サブプロジェクト
Adelaida Barrida氏、フィリピン |
15:45 – 16:00
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休憩
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16:00 – 16:30
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セッション2 (続き)
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4. 議論 |
2015年1月30日 (4日目)
09:00 – 10:00
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セッション3 IAEA/RCAとの協力について
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議長:Sobri Bin Hussein氏、マレーシア
1. リードスピーチ
Liu Luxiang氏、IAEA/RCAプロジェクトRAS5056、LCC
2. 議論
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10:00 – 10:45
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セッション4 FNCAバイオ肥料プロジェクトとの協力について
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10:45 – 11:00
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休憩
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11:00 – 12:45
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セッション5 持続可能な農業のためのイネの突然変異育種プロジェクトに関する計画
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議長:田中淳氏、日本
1. リードスピーチ
中井弘和氏、日本
2. 議論
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12:45 – 14:00
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昼食
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14:00 – 15:00
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セッション6 議事録およびまとめ
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議長:Adelaida Barrida氏、フィリピン
1. 議事録起案
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15:00 – 15:15
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休憩
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15:15 – 16:00
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セッション6 (続き)
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議長:Adelaida Barrida氏、フィリピン
2. 議事録採択
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16:00 – 16:30
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閉会セッション
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議長:Shu Qingyao氏、中国・浙江大学
閉会挨拶
Shu Qingyao氏、FNCA放射線育種中国プロジェクトリーダー
中井弘和氏、FNCA放射線育種日本プロジェクトリーダー
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