2006年1月23日〜27日
韓国、ソウル特別市、韓国放射線医科学研究所(KIRAMS)
背景:
2005年12月の第6回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合および2005年3月の第5 回FNCAコーディネータ会合に合意に基づき、2006年1月23日〜27日に韓国ソウル市の韓国放射線医科学研究所(KIRAMS)で2005年度FNCA放射線治療ワークショップが開催された。この会合は、KIRAMSの主催、日本の文部科学省(MEXT)の共催、韓国科学技術部(MOST)原子力局と日本原子力産業会議(JAIF)と協力により開催された。FNCA8カ国、すなわち中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、およびベトナムの代表がワークショップに参加した。
開会式:
開会式典では、KIRAMS理事長のDr. Soo-Yong Lee 、MEXT原子力局原子力計画課長の中原徹氏、および日本のプロジェクトリーダーの辻井博彦博士が歓迎の辞を述べた。
韓国放射線腫瘍学会(KASTRO KOSTRO)会長のSeung-Jae Huh教授が韓国の放射線治療の現状について特別講演を行った。
議事次第が採用され、議長が指名された。
セッション 1: 子宮頸がんに対する加速多分割照射療法(AHF)の追跡調査
Cervix-II の結果が大野博士によって発表された。1999年1月から2002年11月に合計121人の症例が登録された。研究プロトコル適格症例103人の5年生存率と局所制御率は73%と88%であった。制御不能例は、骨盤制御が8% 、遠隔転移が21%とその両方が2%だった。遅発性有害事象はCERVIX-Iに比較して増加したが、容認できうるものであった。
セッション 2:子宮頸がんに対する化学放射線療法(CERVIX-III)
各国から第II相試験の発表があり、要約が加藤博士によって発表された。次とおり108 人の症例が登録された:中国18、インドネシア5、日本25、韓国10、マレーシア9、フィリピン12、タイ19、ベトナム10。78パーセントの患者が4サイクル以上の化学療法を受けた。平均は4.3であった。 遠隔転移の場所は次のとおりであった:PALN(傍大動脈リンパ節)、SCLN(鎖骨上窩リンパ節) 、縦隔リンパ節、骨、および肝臓。急性毒性の発生と重篤度は容認できる範囲であった。
登録症例数は既に計画の100人に達した。追跡調査の重要性から2006年3月まで登録を続けることにした。
セッション 3:子宮頸がんに対する次期臨床試験(CERVIX-IV)
子宮頸がんに対する次期臨床試験の方向性ついて、加藤博士から提案があり、議論した。 CERVIX IIIで指摘された傍大動脈リンパ節転移を防ぐために、次期試験は骨盤の CCRT(化学放射線同時併用療法)+アジュバント化学療法と骨盤のCCRT+傍大動脈リンパ節転移予防RT(放射線療法)の比較を行う事が提案された。次期臨床試験の開始前に2つのシングルアームパイロット研究を行うことに合意した。2つの試験の詳細について議論した。参加各国が1 年間のパイロット研究を行い、次の会合で結果が報告される。
次のミーティングでは、上記の研究の経験に基づき、さらなる将来の無作為研究のための新しい臨床試験計画について、提案され議論されるであろう。
セッション 4:上咽頭がん(NPC)に対する化学放射線療法の第II相研究(NPC-I)
上咽頭がんN2-N3症例に対する第II相試行(NPC-I)に関する臨床データの要約が大野博士から発表があった。合計16人の症例が研究に登録された:インドネシア3、韓国5、フィリピン4、およびタイ4。6カ月での評価を受けた10人の患者の内、2サイクルのアジュバント化学療法を終了したのは1人だけだった。症例登録期間をもう1年間延長することを決定した。
セッション5:NPCに対する次期臨床試験(NPC-II)
局所進行上咽頭がんT3-T4、N0-N1症例に対する化学放射線療法の第II相研究のプロトコル原案が井上博士から発表された。2つの選択肢があった。1番目は、アジュバント化学療法のあるなしの無作為試験で、2番目がアジュバント化学療法のない化学放射線同時併用療法であった。参加者の大部分は2番目を選んだ(NPC II)。NPC IIのNPC Iとの違いはアジュバント化学療法がないことと、患者のリンパ節の状態にであって、NPC I は N2-N3症例に対して、NPC IIはN1-N0症例に対してのものであることを明確にした。改定プロトコル配布後に次期研究NPC-IIを始めることが合意された。
セッション 6:照射線量測定の品質保証/品質管理(QA/QC)
小線源治療に対する物理的なQA/QCの訪問調査の結果が中村博士から発表された。 2003〜2005年に7カ国を訪問して、各国の病院で実施した測定結果は許容できるものであった。 残りの、中国でのQA/QC活動は、暫定的に2006年9月あるいは10月に予定した。
郵送線量調査による外部照射に対するQA/QCの新規プロジェクトが水野博士から提案された。計測値の標準偏差が1-2%であるガラス線量計は、このプロジェクトにとって適切な技術であるとして提案された。各国の参加者は、物理士と実現可能性について議論すると共に、ガラス線量計と固体ファントムを受け取るための輸入要件を関係当局に確認する。調査は、2006年に開始し、1-2年間で終了するであろう。
セッション 7:将来計画とその他の活動
FNCA に参加する腫瘍学者の連係の副産物として、これまでに行われた調査と 今後可能性のある調査が、立崎博士によって発表された。さらなる調査として提案された題目は、がん治療の統計とコスト分析であった。参加者は、最初の段階としてがん登録データ統計に関するデータを提供するのに合意した。データの範囲を全国に広げることもできるが、FNCAの研究に参加する病院やその他の代表的な病院のデータを優先的に集められるべきであるとした。立崎博士が調査フォームを準備して各国に送る。
町博士(FNCA日本コーディネーター)の評価結果資料が配布された。プロジェクトのレビュー、評価、および計画において、放射線治療プロジェクトはFNCAコーディネータ会合で、高い評価を受けて、継続すること承認された。
各国は、上記評価に対するコメントを表明した。参加者は研究結果の重要性、 QA/QC活動の重要性、東洋のデータの価値と特に、公開と普及の重要性を表明した 。
将来計画が、議論され承認された。
次回ワークショップ開催地は、ベトナム政府の合意を条件にベトナムを提案し、暫定スケジュールを2006年12月上旬とすることに合意した。
この会合において、研究結果を国際学会で発表し、国際ジャーナル投稿することが決定した。各参加者は現地学会において結果を発表することが奨励された。ただし、論文投稿はしてはならないとした。
セッション 8:議事録起草
議事録草案が議論され、修正され、採択された。
閉会式典
参加者は、MEXT、KIRAMS、MOST、JAIF、および現地運営スタッフに感謝の意を表した。 参加者は日本政府の継続的な支援に感謝した。辻井博士より閉会挨拶があった。閉会挨拶の中で辻井博彦博士は、開催機関と参加者に謝意を表し、プロジェクトの将来の期待を述べた。
施設見学
参加者は韓国原子力病院(KCCH、KIRAMS)の施設見学を行った。
公開講座
公開講座はワークショップの一部としてKIRAMSで開催された。現地から医師、医学物理士、および研究者が参加した。セッションは、辻井博彦博士挨拶で始まり、FNCA参加者による5つの講演が行われた。セッションの終わりにDr. C.K.Choが閉会挨拶を行った。
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