FNCA2016バイオ肥料&電子加速器利用プロジェクト合同ワークショップ 議事録
2016年11月7日〜11月11日
ベトナム、ハノイ
1) ワークショップの開催概要
Ⅰ) 期日 |
2016年11月7日〜11日 |
Ⅱ) 場所 |
ベトナム、ハノイ |
Ⅲ) 主催 |
日本文部科学省 (MEXT)
ベトナム原子力研究所 (VINATOM)
ベトナム農業科学アカデミー (VAAS) |
Ⅳ) 出席者 |
バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナムの10ヵ国より合計24名 |
開会セッション
ベトナム原子力研究所(VINATOM)副所長のCao Dinh Thanh氏、およびFNCAバイオ肥料プロジェクトベトナムプロジェクトリーダー(PL)のPham Van Toan氏より挨拶があり、全ての参加者に対し温かい歓迎の意が表された。続いて、文部科学省調査員の春日章二氏、FNCA日本アドバイザーの南波秀樹氏より挨拶があり、VINATOMおよびVAASの厚遇とワークショップ開催への尽力に対し感謝の意が表された。引き続きワークショップ参加者が自己紹介を行った。
基調講演として、南波氏より2015年〜2016年におけるFNCAの活動概要と進捗状況が報告された。南波氏はFNCAの10プロジェクトについて、それぞれの活動概要と主要な成果を紹介した。続いて、バイオ肥料プロジェクト日本PLである安藤象太郎氏、および電子加速器利用プロジェクト日本PLである玉田正男氏より、各プロジェクトの活動概要とワークショップにおける主要課題が紹介された。
オープンセミナー
ワークショップ初日の11月7日には、アジアにおける放射線技術応用と持続可能な開発と題した半日のオープンセミナーが開催され、ワークショップ参加者を含め、省庁、研究機関、大学、産業界より約50名が参加した。
はじめにCao氏より、ベトナムおける持続可能な発展のための放射線技術応用について報告があった。次にベトナム農業科学アカデミー(VAAS)のNguyen Van Tao氏より、ベトナムにおける持続可能な農業に向けた研究開発が紹介された。続いて電子加速器利用プロジェクトベトナムPLのNguyen Quoc Hien氏より、持続可能な農業のための植物生長促進剤応用について発表があった。引き続きPham氏より、持続可能な農業のためのバイオ肥料応用研究が報告された。
量子科学技術研究開発機構(QST)の田口光正氏からは、日本における超吸水材の新たな医療応用について紹介があった。同機構の佐藤勝也氏からは、日本におけるイオンビーム育種の産業用微生物への応用について発表があった。
フィリピン原子力研究所のFernando Aurigue氏は、フィリピンの持続可能な開発に向けた電子加速器応用の挑戦について報告した。最後に、タイ農業局のPhatchayaphon Meunchang氏より、タイにおけるバイオ肥料研究開発の現状について発表があった。
セッション1 植物生長促進剤に関するカントリーレポート(電子加速器利用プロジェクト)
電子加速器利用プロジェクトの参加7ヵ国が、それぞれ植物生長促進剤(PGP)に関するカントリーレポートについて報告を行った。各国の報告概要は添付資料1 の通りである。
セッション2 バイオ肥料と植物生長促進剤との相乗効果に関する報告(バイオ肥料プロジェクト)
バイオ肥料プロジェクトの参加9ヵ国が、それぞれ植物生長促進剤(PGP)との相乗効果に関する報告を行った。各国の報告概要は添付資料1 の通りである。
セッション3 バイオ肥料と植物生長促進剤との相乗効果に関する可能性について
マレーシアのRosnani binti Abdul Rashid氏よりリードスピーチに続き、バイオ肥料とPGPの併用により得られる相乗効果の利点および評価について議論が行われた。議論内容は以下の通りである。
- セッション2における発表結果から、相乗効果に関する研究は予備段階であり、対象植物の選定、化学肥料の減量率等について条件の最適化が必要であることが示された。特に、化学肥料の過剰施用によりバイオ肥料の効果およびPGPの効果が不明確になるため、土壌分析による化学肥料の適正化が重要であり、コストの評価も同時に必要である。
- 典型的な相乗効果として、トマト栽培の生存率に関して、発芽段階におけるライブコートとその後の成長段階におけるPGPの葉面散布によりトマト青枯病の発生が劇的に減少したことが日本から報告された。
- バイオ肥料とPGPが類似した機能で作用するとき、植物生長促進に関する相乗効果は限定的と考えられる。相乗効果はバイオ肥料の養分供給とオリゴ糖のエリシターのような異なる効果を併用する場合に期待される。
- 本合同ワークショップの開催は、各国内のネットワーク構築および両プロジェクトにおける情報交換を開始する好機となった。
セッション4 個別セッションのまとめおよび意見交換
Pham氏よりバイオ肥料プロジェクト個別セッションの結果が報告され、続いてNguyen氏より、電子加速器利用プロジェクト個別セッションのまとめ、2017年に向けた活動計画、および次期フェーズ(2018年〜2020年)での先行研究について報告があった。円卓討議においては、両プロジェクトにおける今後の協力の可能性と相乗効果について活発に討議された。
各プロジェクト個別セッションのサマリーはそれぞれ添付資料2 (バイオ肥料プロジェクト)、添付資料3( 電子加速器利用プロジェクト)の通りである。
閉会セッション
ワークショップの議事録が討議され全ての参加者によって合意された。本議事録は第18回コーディネーター会合で報告される。最後にCao氏より挨拶があり、実り多いワークショップが閉会された。また、南波氏よりベトナムからの厚遇に感謝の意が表された。
3) 添付資料
添付資料1 セッション1・2サマリー
添付資料2 バイオ肥料プロジェクト個別セッションサマリー
添付資料3 電子加速器利用プロジェクト個別セッションサマリー
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