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FNCA放射線育種 ラン耐虫性専門家会合

FNCA 2007 放射線育種 ラン耐虫性専門家会合
概 要

2007年8月7日〜10日
タイ、バンコク市 カセサート大学


 FNCA放射線育種ラン耐虫性専門家会合が、文部科学省(MEXT)とカセサート大学(KU)の主催により、2007年8月7日より10日まで、タイ、バンコク市にあるカセサート大学(KU)において開催されました。タイ、インドネシア、日本、マレーシアより計10名が参加しました。

【開会式】

 初日の開会セッションでは、まずタイのプロジェクトリーダー(PL)であるAssoc. Prof. Arunee Wongpiyasatidより歓迎の挨拶とサブプロジェクト「ランの耐虫性」の総括がなされ、次いでカセサート大学科学部長であるDr. Surapol Patharakornより開会の式辞が述べられました。

  

【特別講演】

 日本のPLである独立行政法人 農業生物資源研究所 放射線育種場長の中川仁氏、および新潟大学 農学部 農業生産科学科 植物生産学コース准教授の岡崎桂一氏より公開講演が行われ、会場に訪れたカセサート大学の学生が熱心に聴講しました。

 また、カセサート大学ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター長であるDr. Somchit Palakasより特別講演が行われました。参加者たちはその後、ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター内の施設を訪問見学し、現在進行中の研究活動についての説明を受け、放射線を照射したランの成長状況を観察し、葉の色や形、草高、生育習性といった形態変化を確認しました。

 

【テクニカル・ビジット】

 三日目のテクニカル・ビジットでは、ナコン・パトム県のコチョウラン農園であるSalaya Orchid Nursery、及びラチャブリ県の商業用切り花を生産するタイオーキッドカンパニーの2ヶ所のラン農園を視察し、ラン園の管理状況や作業工程を視察し、さらに苗床における病気と害虫を直接観察しました。

 

【現在の状況と最終報告、および今後の計画】

 各国から現在の進捗状況報告と最終報告が行われた後、今後の計画について議論が行われました。各国間で意見の交換がなされ、本サブプロジェクトでは本年度が終了の年度となっていますが、ほとんどの参加国により、有望な突然変異育種が育成されるか、少なくとも選抜技術が確立されるまで、2年延長することが望ましいという意見がまとめられました。

 また、最終日には議事録が作成され、討議・採択が行われました。これは2007年11月に韓国で開催される2007年度FNCA放射線育種ワークショップで報告される予定です。


FNCA 2007 放射線育種 ラン耐虫性専門家会合
議事録

2007年8月7日〜10日
タイ、バンコク市 カセサート大学


2007年度FNCA放射線育種プロジェクト、ラン耐虫性専門家会合が次の通り開催された。

日 程 : 2007年8月7日(火)〜10日(金)
場 所 : タイ バンコク市
カセサート大学
ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター (GISC)
主 催 :

日本 文部科学省
タイ カセサート大学

事務局 : 原子力安全研究協会 (NSRA)
参加者 : インドネシア、マレーシア、タイ、日本の4カ国から合計 10名が参加。

【開会式】

 初日の開会セッションでは、まずタイのプロジェクトリーダーであるAssoc. Prof. Arunee Wongpiyasatidが歓迎の挨拶とサブプロジェクト「ランの耐虫性」の総括を行い、次いでカセサート大学科学部長であるDr. Surapol Patharakornが開会の式辞を述べた。

【特別講演】

 日本のプロジェクトリーダーである中川仁氏、岡崎桂一委員より公開講演が行われ、会場に訪れたカセサート大学の学生が聴講した。また、カセサート大学ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター長であるDr. Somchit Palakasにより特別講演が行われた。講演の内容は以下の通りである。

特別講演1:「FNCA放射線育種プロジェクトレビュー」 中川仁氏

 FNCA放射線育種プロジェクトの各国の活動、特に2006年に終了した「ソルガム・ダイズの耐旱性育種」、「ランの耐虫性育種」、「バナナの耐病性育種」サブプロジェクトが詳しく紹介され、2007年から開始した新サブプロジェクト「イネの成分改変・品質改良育種」についても紹介があった。また、その他の活動として、「Mutation Breeding Database」、「Mutation Breeding Manual」および「Mutation Breeding Publication Database」についても説明された。

特別講演2:「日本における突然変異育種の46年と将来」 中川仁氏

 日本における初期の突然変異育種と1960年に建設された放射線育種場におけるガンマ線照射施設や46年間に及ぶ研究活動の概要と成果が紹介された。また、これまでに我が国で育成された突然変異品種やイネ突然変異品種「レイメイ」などを用いた間接利用品種についても説明された。さらに、近年発展の著しい分子遺伝学的手法を用いた遺伝子機能解明や突然変異体の選抜方法と今後の展開についても報告された。

特別講演3:「アブラナ属作物の耐病性変種におけるスクリーニング及び遺伝子マーカーの開発」 岡崎桂一氏

 岡崎桂一委員により、B. rapa黒斑病に対する接種温度等を含めた様々な要因解析によって確立された耐病性系統のスクリーニング法が紹介された。また、アブラナ属作物の耐病性遺伝子の量的座解析の他、耐病性遺伝子に連鎖したマーカーが耐病性系統の選抜に有効であることが報告された。

特別講演4:「ガンマ照射サービス・原子力技術センターについて」 Dr. Somchit Palakas

 カセサート大学ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター長であるDr. Somchit Palakasより、ガンマ照射サービス・原子力技術研究センターの概要、研究活動などが紹介され、その後センター内の照射施設等を訪問見学し、現在進行中の研究活動についての説明を受けた。また、放射線を照射したランの成長状況を観察し、葉の色や形、草高、生育習性といった形態変化を確認した。

【最終報告】

 各国より最終報告の発表が行われ、添付資料3の通りまとめられた。各国の最終報告の概要は添付資料4添付資料5添付資料6の通りである。

【テクニカル・ビジット】

 三日目のテクニカル・ビジットでは、Nakhon Pathom Provinceのコチョウラン農園であるSalaya Orchid Nursery、及び商業用にデントロビウムの切花を生産している、Ratchaburi Provinceのタイオーキッドカンパニーの2ヶ所のラン農園を視察した。参加者は、ラン園の管理状況や作業工程を視察し、さらに苗床における病気と害虫を直接観察した。

【現在の状況と今後の計画】

 各国から現在の進捗状況報告と今後の計画について議論が行われた。各国では様々な意見の交換がなされ、問題点として、ランの育種では組織再生の期間や生殖周期が長いため、限られた時間枠の中でスリップス或いは葉ダニに対する耐虫性に優れた有望な系統を選抜することが難しいこと、さらに、実験に適当なスクリーニング施設がごく限られており、膨大な数の苗を選抜するためには多くの時間が必要とされるという点が挙げられた。今後、耐虫性に優れた苗を選抜するため、今年度内に植物体の対中性程度を判定する摂食被害スコアの設定を含めた、開花期における適切なスクリーニング方法を開発しなければならないということが確認された。

 プロジェクトを完了させるため、タイを除いた参加国により、有望な突然変異種が育成されるか、少なくとも選抜技術が確立されるまで、本プロジェクトを2年延長することが望ましいと結論づけられた。

 また、議事録を作成し討議及び採択を行った。これは2007年11月に韓国で開催される2007年度FNCA放射線育種ワークショップで報告される予定である。

添付書類:

  1. FNCA 2007放射線育種ラン耐虫性専門家会合プログラム
  2. FNCA 2007放射線育種ラン耐虫性専門家会合参加者名簿
  3. FNCA放射線育種ラン耐虫性サブプロジェクト最終報告(PDF124KB)
  4. インドネシア最終報告概要(英文)(PDF14KB)
  5. マレーシア最終報告概要(英文)(PDF13KB)
  6. タイ最終報告概要(英文)(PDF14KB)

FNCA 2007 放射線育種 ラン耐虫性専門家会合
プログラム

2007年8月7日〜10日
タイ、バンコク市 カセサート大学


日   時: 2007年8月7日(火)〜10日(金)
場   所: タイ バンコク市
カセサート大学
ガンマ照射サービス・原子力技術研究センター(GISC)
主   催:

日本 文部科学省
タイ カセサート大学

事 務 局: 財団法人 原子力安全研究協会(NSRA)
言   語 : 英語


8月7日(火)

08:30-9:00 登録
09:00-9:15 開会式
09:15-9:45 記念撮影及び休憩
特別講演
09:45-10:30 「FNCA放射線育種プロジェクトレビュー」(中川仁氏)
10:30-11:00 「日本における突然変異育種の46年と将来」(中川仁氏)
11:00-12:00 「アブラナ属作物の耐病性変種における
スクリーニング及び遺伝子マーカーの開発」(岡崎桂一氏)
12:00-13:00 昼食
最終報告
13:00-16:30 ランの耐虫性に関する最終報告
(インドネシア、タイ、マレーシア)
16:30-18:00 カセサート大学主催レセプション

8月8日(水)

08:30-10:30 グループ1:最終報告のまとめ
グループ2:タイのイネ専門家との討論(中川仁氏)
10:30-10:45 休憩
特別講演
10:45-12:00 ガンマ照射サービス・原子力技術センターについて(Dr. Somchit PALAKAS)
12:00-13:00 昼食
13:00-15:30 ラン耐虫性における総合討論
15:30-15:45 休憩
15:45-16:30 ラン耐虫性における総合討論
16:30-17:30 ガンマ照射サービス・原子力技術センター施設内見学

8月9日(木)

テクニカル・ビジット
08:30-10:30 移動
10:30-13:00 ナコム・パトム県 Salayaラン農園見学
13:00-14:00 昼食
14:00-15:00 移動
15:00-16:00 ラチャブリ県 タイ・オーキッドカンパニー農園見学

8月10日(金)

議事録作成
08:30-10:30 議事録起案
10:30-10:45 休憩
10:45-12:00 議事録作成
12:00-13:00 昼食
13:00-15:30 議事録採択
15:30-16:00 閉会

FNCA 2007 放射線育種 ラン耐虫性専門家会合
参加者リスト

2007年8月7日〜10日
タイ、バンコク市 カセサート大学



No.

Country

Name/Designation

1. INDONESIA Ms. Ismiyati SUTARTO
Center for Application of Isotope and Radiation Technology (CRDIRT), National Nuclear Energy Agency (BATAN)
2. JAPAN Dr. Hitoshi NAKAGAWA
Director,
Institute of Radiation Breeding (IRB),
National Institute of Agrobiological
Sciences (NIAS)
3. JAPAN Assoc. Prof. Keiichi OKAZAKI
Lab. of Plant Breeding,
Faculty of Agriculture,
Niigata University
4. JAPAN Ms. Aki KOIKE
International Affairs and Research Department, Nuclear Safety Research Association (NSRA)
5. MALAYSIA Dr. Zaiton AHMAD
Research Officer,
Ornamental Group,
Agrotechnology and Biosciences Division
Malaysian Institute for Nuclear Technology Research (MINT)
6. THAILAND Assoc. Prof. Arunee WONGPIYASATID
Department of Applied Radiation and Isotopes,
Faculty of Science,
Kasetsart University (KU)
7. THAILAND Prof. Siranut LAMSEEJAN
Advisor, Gamma Irradiation Service and Nuclear Technology Research Center (GISC),
Kasetsart University (KU)
8. THAILAND Assist. Prof. Chitrapan PILUEK
Department of Horticulture,
Faculty of Agriculture,
Kasetsart University (KU)
9. THAILAND Assist. Prof. Peeranuch JOMPUK
Department of Applied Radiation and Isotopes, Faculty of Science,
Kasetsart University (KU)
10. THAILAND Ms. Katarat CHUSEEAEOM
Lecturer,
Department of Applied Radiation and Isotopes, Faculty of Science,
Kasetsart University (KU)

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