FNCA 2008 放射線育種プロジェクト ワークショップ
概要
2008年10月27日〜31日
ベトナム ダラト
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ワークショップの参加者達 |
2008年度FNCA放射線育種プロジェクトワークショップが、2008年10月27日(月)より10月31日(金)まで、工業用原子力技術応用センター(CANTI)および日本文部科学省(MEXT)の主催により、ベトナム、ダラトのBlue Moon Hotelにおいて開催されました。バングラデシュ、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの8カ国より計45名が参加しました。
【開会式、特別講演】
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Dr. Nguyen Huu Quang |
本ワークショップは、Dr. Le Huy Ham(農業遺伝学研究所長)の開会の挨拶により始まりました。引き続き、日本のプロジェクトリーダーである中川仁氏(農業生物資源研究所放射線育種場長)、Dr. Le Xuan Tham(Vice Director of Bureau of Science and Technology, Lamdong Province ベトナム)、Dr. Nguyen Huu Quang(ベトナム工業用原子力技術応用センター所長)よりそれぞれ挨拶がありました。
また、ワークショップを通して日本とベトナムより以下の講演が行われました。
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特別講演1 |
: |
「日本における放射線を応用したバイオテクノロジー技術の近年の発展」(田中淳氏、日本原子力研究開発機構) |
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特別講演2 |
: |
「日本におけるガンマ線照射を利用した突然変異育種と分子生物学的研究」(中川仁氏) |
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特別講演3 |
: |
「ベトナムにおける作物の突然変異育種:現状と今後の展望」(Dr. Mai Quang Vinh、ベトナム農業遺伝学研究所) |
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特別講演4 |
: |
「突然変異誘発とバイオテクノロジーを用いた作物品質改良のための方法と戦略の概観」(Dr. Bui Chi Buu、ベトナム) |
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特別講演5 |
: |
「南ベトナムにおけるイネの品質と重要形質の改良のための突然変異育種の成果と教訓」(Dr. Do Khac Thinh、ベトナム) |
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特別講演6 |
: |
「突然変異と関連技術を用いた高品質香米品種の改良」(Dr. Le Xuan Tham) |
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特別講演7 |
: |
「ベトナムにおける低フィチン酸イネ(Oryza Sativa L.)の開発」(Dr. Nguyen Thi Lang、ベトナム) |
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特別講演8 |
: |
「中国におけるイネの突然変異育種の概観」(Mr. Luo Ju、中国水稲研究所) |
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特別講演9 |
: |
「日本におけるイネの突然変異育種研究」(西村実氏、農業生物資源研究所放射線育種場) |
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特別講演10 |
: |
「γ線を用いた試験管内突然変異育種研究のための試験管内開花技術の利用」(Dr. Nguyen Tien Thinh、ベトナム原子力研究所) |
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特別講演11 |
: |
「ユリ科植物の体細胞胚発生誘導に関する原子力技術」(Dr. Duong Tan Nhut、ベトナム) |
【サブプロジェクト「イネの品質改良育種」】
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ベトナムの様々なイネ品種 |
参加各国より現在までの研究の進捗状況が報告され、プロテイン・フィチン酸・芳香性の含有量を評価する技術を標準化していくこと、さらにフィチン酸に関する評価方法はタイより提供されることなど、今後の具体的な将来計画が策定されました。
また、2008年の成果をもとに昨年度作成したサブプロジェクト「イネの品質改良育種」研究計画の修正が行われました。
【サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」専門家会合報告】
サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」について、マレーシアのDr. Rusli Ibrahimより、6月30日〜7月3日にマレーシア・クアラルンプールでバナナ耐病性研究の参加国であるバングラデシュ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの5カ国の専門家による専門家会合が開催され、全ての参加国はBBTV、フザリウム、線虫に耐病性のある有望な変異系統を確認することができ、本サブプロジェクトの目標を達成されたことが報告されました。
また全ての参加国は、本プロジェクトにおいてバナナの新品種を獲得するという最終ゴールに到達するため、フェーズIIとして2010年まで延長するとの提案に賛成しました。本提案については、2009年3月に日本で開催される第10回コーディネーター会合において提起される予定です。
【サブプロジェクト「ラン耐虫性育種」】
サブプロジェクト「ラン耐虫性育種」について、マレーシアのDr. Rusli Ibrahimより、開花期の苗に対する生体スクリーニングによって、スリップスに対して抵抗性のある2つの有望な変異系統が育成されていることや、D. mirbellianumに関する試験管内スクリーニングでは、1.0Gy以上の高線量で照射したものに関し、ハダニ加害に対する抵抗が大きくなるとの報告が行われました。
【テクニカル・ビジット】
参加者はテクニカル・ビジットとして、まず、ダラトの原子力研究所、Dalat Hasfarm社、Langbiang Farm社、およびニャー・ホーの綿・農村開発研究所とを訪問しました。Dalat Hasfarm社はダラトで最も大きな会社であり、主にカーネーション、菊、バラ、ユリなどを生産しており、約7割が日本、オーストラリア、シンガポール、インドネシア、台湾、カンボジアに輸出されています。 ダラト原子力研究所においては研究炉の見学が行われ、またニャー・ホーでは稲作農家やブドウ農家などの訪問も行われました。
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ベトナム原子力研究所内見学の様子 |
Dalat Hasfarm社 |
Langbiang Farm社 |
【議事録】
議事録が起案され、全ての参加者によって討議および採択が行われました。本議事録は2009年3月に東京で開催される第10回コーディネーター会合において報告される予定です。
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ベトナムの陸稲品種 |
ブドウ農家訪問 |
綿・農村開発研究所 |
FNCA 2008 放射線育種プロジェクト ワークショップ
議事録
2008年10月27日〜31日
ベトナム ダラト
開催日: |
2007年10月27日〜31日 |
開催場所: |
ベトナム、ダラト
ブルームーンホテル
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主催: |
日本 文部科学省(MEXT)
ベトナム 原子力委員会(VAEC)
工業用原子力技術応用センター(CANTI)
ベトナム農業科学アカデミー(VAAS)
農業遺伝学研究所(AGI)
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事務局: |
原子力安全研究協会(NSRA)
工業用原子力技術応用センター(CANTI)
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参加者: |
バングラデシュ、中国、インドネシア、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの8カ国より計45人が参加(添付資料II) |
言語: |
英語 |
オープニングセッション
本セッションは、Dr. Le Huy Ham(農業遺伝学研究所長)の開会の辞で始まり、引き続き日本のプロジェクトリーダーである中川仁氏(農業生物資源研究所放射線育種場長)、Dr. Le Xuan Tham(Vice Director of Bureau of Science and Technology, Lamdong Province ベトナム)、Dr. Nguyen Huu Quang(ベトナム工業用原子力技術応用センター所長)よりそれぞれ挨拶があった。
セッション1 公開講座
中川氏より、本プロジェクトのプロジェクトレビューが行われた後、日本とベトナムより9つの講演が行われた。
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特別講演1 |
: |
「日本における放射線を応用したバイオテクノロジー技術の近年の発展」(田中淳氏、日本原子力研究開発機構) |
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特別講演2 |
: |
「日本におけるガンマ線照射を利用した突然変異育種と分子生物学的研究」(中川仁氏) |
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特別講演3 |
: |
「ベトナムにおける作物の突然変異育種:現状と今後の展望」(Dr. Mai Quang Vinh、ベトナム農業遺伝学研究所) |
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特別講演4 |
: |
「突然変異誘発とバイオテクノロジーを用いた作物品質改良のための方法と戦略の概観」(Dr. Bui Chi Buu、ベトナム) |
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特別講演5 |
: |
「南ベトナムにおけるイネの品質と重要形質の改良のための突然変異育種の成果と教訓」(Dr. Do Khac Thinh、ベトナム) |
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特別講演6 |
: |
「突然変異と関連技術を用いた高品質香米品種の改良」(Dr. Le Xuan Tham) |
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特別講演7 |
: |
「ベトナムにおける低フィチン酸イネ(Oryza Sativa L.)の開発」(Dr. Nguyen Thi Lang、ベトナム) |
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特別講演8 |
: |
「中国におけるイネの突然変異育種の概観」(Mr. Luo Ju、中国水稲研究所) |
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特別講演9 |
: |
「日本におけるイネの突然変異育種研究」(西村実氏、農業生物資源研究所放射線育種場) |
田中氏は、量子ビームテクノロジーにより突然変異育種だけでなく、新たなバイオ技術と生物学が生み出されていることを報告した。イオンビームにより植物の新品種が効果的に誘発され、重イオンマイクロビーム技術によって重イオンが腫瘍の放射線耐性に打ち克つことが示された。また、植物ポジトロンイメージング技術によってイネにおける栄養素や重金属の移行の画像化と定量解析が示された。
セッション2 「イネの品質改良育種」サブプロジェクト
Dr. Nguyen Duc Thanhによって「高品質イネにおいて耐旱性を付与するための突然変異誘発技術と分子育種技術」と題した特別講演が行われ、参加各国よりカントリーレポートが発表された。各国からの報告は以下の通りである。(添付資料III)
1. バングラデシュ(Dr. Lokman Hakim)
4つの耐塩性在来種が2つの沿岸地域より集められ、IR64と共にマイクロケルダール法で蛋白質含有量を測定したところ、その範囲は7.90〜 9.94%であり、一方IR64については8.06%であった。これらの耐塩性イネ品種については、種子へのガンマ線照射(350Gy)が行われた後、ボロ季(2007年12月〜2008年5月)に圃場で育成された。それぞれの個体群でM1世代が大量に収穫される中、Morichshail (早生・黒色穂)の変異体であるM1世代が収穫された。次のアマン季(2008年7月〜12月)にそれぞれのM2が収穫され、さらに、同時期に耐塩性品種であるAshfalとMoricshailの種子へのガンマ線照射(350Gy)が行われ、M1世代が圃場で育成された。耐塩性品種の成熟した種子におけるin vitro試験管内再生のための媒体成分の最適化を確立した。照射されたTakshoylの種子は試験管内での器官形成に利用され、16の苗木が元気にポット育成されている。
2. 中国(Dr. Luo Ju)
中国における低アミロースのイネの突然変異育種は2006年からスタートした。CR10、 CR17、CR128、CR86、CR501といった19の既存の稔性回復系統にガンマ線照射(250Gy)され、優良農業形質を持ったM2世代の選抜が行われた結果、2007年には578のM2系統が得られた。2008年には435のM3系統について高速測定を用いた低アミロース含有量の初期解析が行われ、3つの稔性回復系統に由来する12の変異系統が育成されている。そのうち3系統が別の優良品質種と交配され、6つの交配種が得られている。
3. インドネシア(Dr. Masrizal)
インディカ米のIR36 とコシヒカリの交雑から得たKI 237およびKI 432に対し、200Gyのガンマ線照射を行った。草丈と出穂までの日数に焦点を当てた選抜が行われた。1つの矮性M3系統、2つの半矮性M3系統、さらに1つの早生系統が選抜された。選抜されなかった500のM3系統はアミロース含有量のスクリーニングのために育成されている。
4. 日本(Dr. Minoru Nishimura)
ガンマ線照射およびEMS処理に由来するコシヒカリの突然変異系統を選抜し、低アミロース形質を除く劣悪形質を除去するためにコシヒカリと戻し交雑を行った。これらのF3系統に関するアミロース含有量は2.5%から10.0%まで変異が認められた。ひとめぼれ、あきたこまち、日本晴の3品種については、ガンマ線およびイオンビーム照射を行った。これらのM2種子から、新たに低アミロース含有量の6つの変異体についてスクリーニングを行った。
5. マレーシア(Dr. Rusli Bin Ibrahim)
本プロジェクトは最小要水量で多収の新品種の開発に焦点を絞って行われている。選抜されたMR211およびMR219のエリート品種の種子に300Gyおよび400Gyのガンマ線が照射され、異なるレベルのPEGを用いて節水性の選抜を行った。MR211およびMR219から得られた計38の有望変異群が圃場で最小要水量に関する評価が行われた。これらの変異系統は今後、収量および耐風性に関する試験と、低アミロース含有量の選抜が行われる。
6. フィリピン(Dr. Alfonso O. Grafia)
予め200Gyおよび300Gyのガンマ線(Co-60)で照射したIR72品種の種子を、高蛋白質かつ低〜中アミロース含有量の変異体を隔離し、圃場で育成した。収穫期に穂の脱穀作業を行い、蛋白質・アミロース分析のための種子を用意した。蛋白質含有量における変異はサンプル解析された。サンプル解析によって4つの低〜中アミロース含有量変異体が得られた。これらの変異体は今後の研究で、M4世代およびその後代で固定化するか、あるいは分離するかどうかの確認を行う。
7. タイ(Mr. Suniyom Taprab)
タイにおける低フィチンイネの突然変異育種は2003年に始動し、人気のある多収品種(SPR1)に200Gyのガンマ線照射が行われた。その後、RD23、PSL2、CNT1およびCNT80のような別のHYVの突然変異を誘発した。2004年にはSPR1のM3世代で低フィチン変異系統が619系統確認され、引き続きM6までの世代で有望な農業形質の選抜が行われた。これらのM6から確認された3つのホモ系統(SPR1'03G1Cs-PTT-2-3-3-1-1、 SPR1'03G1Cs-PTT-9-6-2-1-1、およびSPR1'03G1Cs-PTT-1-8-2-1-1)の様々な環境下における収量性および品質の評価が行われている。SPR1'03G1Cs-PTT-2-3-3-1-1、 SPR1'03G1Cs-PTT-9-6-2-1-1はIP5、IP6および鉄含有量分析が行われ、その結果これら2品種は原品種のSPR1のIP5, IP6および合計IPよりも低品質であることが分かった。また、鉄含有量についてはSPR1とほぼ同量であった。また、アレリズムテスト(lpa1-1)が開始されている。近年、RD23に由来する69のLPA のM5系統と、PSL2に由来する67 のLPA のM4系統が確認されている。加えて、CNT1およびCNT80のM3種子についてフィチン酸含有量の試験が行われている。
8. ベトナム Dr. Le Xuam Tham
2007から2008年におけるFNCAのプログラムでは、育種家と生物学者のいくつかのグループが、メコン川デルタ(南ベトナム)およびレッドリバーデルタ(北ベトナム)において、高品質で耐性を持つイネの変異種とその交配の圃場試験を行い、固定系統の選抜に関し効果的な共同研究を続けている。
- オモンイネ研究所(カントー)のDr. Nguyen Thi Langは、MASにより選抜を行い、OM 1490およびOMCS 2000のM5およびM6世代で、低フィチンに関する多くの有望系統を確認した。また、いくつかの地方品種のスクリーニングを行った。
- 農業科学研究所(南ベトナム)のDr. Do Khac Thinhは、香米と広域適応性をもった変異系統の交雑のための圃場試験を続けている。
- ソクチャン省農業農村開発省のDr. Le Xuan Thamらは、ソクチャン省において、いくつかの有望固定系統と芳香変異系統の交配種を公開した(メコンデルタセンターにより)。これらの高品質品種は2007年−2008年の国家功労賞を受賞し、多地域において大規模生産用に公開された。芳香性等の成分(2AP、鉄、リン、亜鉛、クロムや蛋白質、アミロース)に関する分析によって、特にRed ST系統では高鉄含量を有する品種開発のための遺伝資源を提供できることが示された。
- 農業遺伝学研究所(ハノイおよびその他の北ベトナム)のDr. Le Huy Hamらは、多収、耐旱性、耐塩性に関する有望な変異系統を選抜するための遺伝子と特性に密接に関係するマーカーを開発した。
まとめ
- 標準品種であるインディカ米のIR64およびジャポニカ米のコシヒカリについては、イネの品質評価のための材料に加えられるべきである。
- 1)アミロース、2)蛋白質、3)フィチン酸、4)芳香性における含有量および成分の評価技術の標準化を行うべきである。
- 今後アミロースおよび蛋白質含有量の評価方法が決定され、全ての参加者に送付される。
- フィチン酸の評価方法については、タイより情報が送付される。
イネの品質改良育種におけるイオンビーム照射協力に関するワークショップ開催について
田中委員より、2009年1月に開催予定の「イネの品質改良育種におけるイオンビーム照射協力に関するワークショップ」について、イオンビームによって誘発された突然変異種の紹介と、試料の準備方法に関する説明が行われた。また、事務局よりワークショップに関するスケジュールの説明があった。
セッション3 特別講演2
ベトナムより2つの特別講演が次の通り行われた。
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特別講演10 |
: |
「γ線を用いた試験管内突然変異育種研究のための試験管内開花技術の利用」(Dr. Nguyen Tien Thinh、ベトナム原子力研究所) |
- |
特別講演11 |
: |
「ユリ科植物の体細胞胚発生誘導に関する原子力技術」(Dr. Duong Tan Nhut、ベトナム) |
セッション4 サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」専門家会合報告
サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」について、マレーシアのDr. Rusli Ibrahimより以下の通り報告が行われた。(添付資料 IV)
フザリウム病の萎凋病抵抗性に関するスクリーニングは、人気種である品種Berangan(Musa spp. AAA)の吸枝に由来する分裂組織への0から100Gyでガンマ線照射することから始められた。LD50(半致死線量)およびLD100(全致死線量)はそれぞれ50Gyと80Gyであった。人工接種を利用したフザリウム萎凋病に対する4つのスクリーニング技術が開発された。現在、フザリウム病への耐性/抵抗性および早生、矮性および多収などの改良特性をもつ3つの有望変異体が選抜された。これらの変異体を用いて今後、系統適応性検定試験および分子マーカーに関する同定が行われる。
マレーシア、フィリピン、ベトナムの全ての参加国はBBTV、フザリウム、線虫に耐病性のある有望な変異系統を確認することができ、本サブプロジェクトの目標を達成した。本サブプロジェクトの成果、すなわち照射方法とBBTV、フザリウム、線虫のスクリーニングに関する手法、プロトコルを成果として発行する。本プロジェクトの新しい参加国であるバングラデシュは全ての参加国が開発してきたスクリーニング方法を利用することができる。バングラデシュによって開発された、バナナの葯培養に関するプロトコルは他の参加国によって利用することができる。全ての参加国は、本サブプロジェクトにおいてバナナの新品種を獲得するという最終ゴールに到達するため、フェーズIIとして2010年まで延長することに合意した。
セッション5 サブプロジェクト「ラン耐虫性育種」
サブプロジェクト「ラン耐虫性育種」について、マレーシアのDr. Rusli Ibrahimより報告が行われた。(添付資料V)
この多国間研究プログラムは、特にハダニやスリップスに対する耐虫性変異種を誘発するために開始された。D. mirbellianumおよびD. Jayakartaのプロトコーム類似球体(PLB)に対し、日本原子力研究開発機構(JAEA)のイオンビームを用いた照射(0-2Gy)が行われた。D. mirbellianumに関する試験管内スクリーニングでは、1.0Gy以上の高線量で照射したものに関し、ハダニ加害に対する抵抗が大きくなるとの結果が出た。加えて、開花期の苗に対する生体スクリーニングによって、スリップスに対して抵抗性のある2つの有望な変異系統が育成されている。
セッション6 円卓総合討論
サブプロジェクト「イネの品質改良育種」
全ての参加者によって、2008年の成果を元にサブプロジェクト「イネの品質改良育種」研究計画の修正が行われた。(添付資料VI)
サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」
全ての参加者は、サブプロジェクト「バナナ耐病性育種」を2010年まで2年延長することに賛成した。本提案については、2009年3月に日本で開催される第10回コーディネーター会合において提起される予定である。
テクニカル・ビジット
参加者はテクニカル・ビジットとして、まず、ダラトの原子力研究所、Dalat Hasfarm社、Langbiang Farm社、およびニャー・ホーの綿・農村開発研究所を訪問した。Dalat Hasfarm社はダラトの中で最も大きな会社であり、主にカーネーション、菊、バラ、ユリなどを生産している。ベトナムの中央高地における温暖な気候が利点であり、1000メートルから1500メートルの異なる標高にある3つの農園で、一年を通して切花、切葉、若い苗木等、多種多様な植物を育成することができる。1994年に設立されてから、今日では計40ヘクタールもの温室を所有しており、72%の花が日本、オーストラリア、シンガポール、インドネシア、台湾、カンボジアに輸出されている。Langbiang Farm社は7ヘクタールの温室を持ち、主にユリ、シンビジウム、トルコキキョウなどを生産している。
ベトナムにおける新たな突然変異育種プロジェクトの紹介
Dr. Nguyen Huu Quangより、ベトナムにおける新たなプロジェクト計画として、ガンマーフィールドの建設計画の概要が紹介され、FNCA参加国、特に日本およびマレーシアによる、建設、操作、メンテナンス、宣伝分野における協力が求められ、参加各国より意見交換が行われた。
議事録
議事録が起案され、全ての参加者によって採択された。本議事録は2009年3月に日本で開催される第10回コーディネーター会合において報告される予定である。
添付資料:
- プログラム
- 参加者リスト(英文)
- サブプロジェクト「イネの品質改良育種」(英文)
- サブプロジェクト「バナナの耐病性育種」(英文)
- サブプロジェクト「ラン耐虫性育種」(英文)
- サブプロジェクト「イネの品質改良育種」研究計画(修正版)(英文)
FNCA 2008 放射線育種プロジェクト ワークショップ
プログラム
2008年10月27日〜31日
ベトナム ダラト
開催日: |
2007年10月27日〜31日 |
開催場所: |
ベトナム、ダラト
ブルームーンホテル |
主催: |
日本 文部科学省(MEXT)
ベトナム 原子力委員会(VAEC)
工業用原子力技術応用センター(CANTI)
ベトナム農業科学アカデミー(VAAS)
農業遺伝学研究所(AGI) |
事務局: |
原子力安全研究協会(NSRA)
工業用原子力技術応用センター(CANTI) |
10月27日(月)
オープニングセッション
議長 : ベトナム |
08:30 - 09:00 |
登録 |
09:00 - 09:30 |
オープニングセッション(CANTI)
歓迎挨拶
開会挨拶(AGI) |
09:30 - 10:00 |
記念撮影、休憩 |
セッション 1 公開講演
議長 : ベトナム |
10:00 - 10:30 |
FNCA放射線育種プロジェクトレビュー
(中川仁氏 日本プロジェクトリーダー) |
10:30 - 11:00 |
特別講演1: |
「日本における放射線を応用したバイオテクノロジー技術の近年の発展」
(田中淳氏、日本原子力研究開発機構) |
|
11:00 - 11:30 |
特別講演2: |
「日本におけるガンマ線照射を利用した突然変異育種と分子生物学的研究」(中川仁氏) |
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11:30 - 12:00 |
特別講演3: |
「ベトナムにおける作物の突然変異育種:現状と今後の展望」
(Dr. Mai Quang Vinh、ベトナム農業遺伝学研究所) |
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12:00 - 13:30 |
昼食 |
引き続きセッション1 公開講演
議長 : 日本 |
13:30 - 14:00 |
特別講演4: |
「突然変異誘発とバイオテクノロジーを用いた作物品質改良のための方法と戦略の概観」
(Dr. Bui Chi Buu、ベトナム) |
|
14:00 - 14:30 |
特別講演5: |
「南ベトナムにおけるイネの品質と重要形質の改良のための突然変異育種の成果と教訓」
(Dr. Do Khac Thinh、ベトナム) |
|
14:30 - 15:00 |
特別講演6: |
「突然変異と関連技術を用いた高品質香米品種の改良」(Dr. Le Xuan Tham) |
|
15:00 - 16:00 |
休憩、ベトナムの育種研究成果に関するポスター展示 |
16:00 - 16:30 |
特別講演7: |
「ベトナムにおける低フィチン酸イネ(Oryza Sativa L.)の開発」
(Dr. Nguyen Thi Lang、ベトナム) |
|
16:30 - 17:00 |
特別講演8: |
「中国におけるイネの突然変異育種の概観」
(Mr. Luo Ju、中国水稲研究所) |
|
17:00 - 17:30 |
特別講演9: |
「日本におけるイネの突然変異育種研究」
(西村実氏、農業生物資源研究所放射線育種場) |
|
10月28日(火)
セッション2 サブプロジェクト『イネの品質改良育種』
議長:中国 |
09:00 - 09:30 |
「高品質イネにおいて耐旱性を付与するための突然変異誘発技術と分子育種技術」(Dr. Nguyen Duc Thanh、ベトナム) |
09:30 - 10:00 |
バングラデシュ |
10:00 - 10:30 |
中国 |
10:30 - 11:00 |
休憩 |
11:00 - 11:30 |
インドネシア |
11:30 - 12:00 |
アレーシア |
12:00 - 13:30 |
昼食 |
引き続きセッション2 サブプロジェクト『イネの品質改良育種』
議長:マレーシア |
13:30 - 14:00 |
日本 |
14:00 - 14:30 |
フィリピン |
14:30 - 15:00 |
タイ |
15:00 - 15:15 |
休憩 |
15:15 - 15:45 |
ベトナム |
15:45 - 16:30 |
イネ品質改良育種における議論 |
16:30 - 17:30 |
TIARAを利用したイネのイオンビーム照射に関する説明
(田中淳氏、JAEA) |
10月29日(水)
セッション3 特別講演
議長 : ベトナム |
09:00 - 09:20 |
特別講演10: |
「γ線を用いた試験管内突然変異育種研究のための試験管内開花技術の利用」
(Dr. Nguyen Tien Thinh、ベトナム原子力研究所) |
|
09:20 - 09:45 |
特別講演11: |
「ユリ科植物の体細胞胚発生誘導に関する原子力技術」
(Dr. Duong Tan Nhut、ベトナム) |
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セッション4 バナナの耐病性専門家会合報告
議長:バングラデシュ |
09:45 - 10:15 |
最終報告(Dr. Rusli Bin Ibrahi、マレーシア) |
10:15 - 10:45 |
総合討論および評価 |
10:45 - 11:00 |
休憩 |
セッション5 サブプロジェクト『ランの耐虫性育種』報告
議長:インドネシア |
11:00 - 11:30 |
2008年度研究報告(Dr. Rusli Bin Ibrahim、マレーシア) |
11:30 - 12:00 |
ラン耐虫性サブプロジェクトに関する総合討論 |
12:00 - 13:30 |
昼食 |
テクニカル・ビジット |
13:30 - 17:00 |
ダラトにおけるテクニカル・ビジット
- |
ベトナム原子力研究所(NRI) |
- |
Dalat Hasfarm社(菊、バラ、リリー、カーネーション農園) |
- |
Langbiang Farm社(シンビジウム、トルコキキョウ、コチョウラン農園) |
|
10月30日(木)
セッション6 総合討論
議長:タイ |
08:45 - 10:15 |
議事録起案 |
10:15 - 10:30 |
休憩 |
10:30 - 11:45 |
議事録採択 |
11:45 - 12:00 |
閉会 |
12:00 - 13:00 |
昼食
ニャチャンへ移動
|
10月31日(金)
テクニカル・ビジット |
Nha Ho(ドラゴンフルーツ、葡萄、陸稲に関する育種試験場及び農園を視察) |
FNCA 2008 放射線育種プロジェクト ワークショップ
参加者リスト
2008年10月27日〜31日
ベトナム ダラト
No.
|
国
|
氏名 / 所属
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1 |
バングラデシュ
(プロジェクトリーダー) |
Dr. Md. Lokman Hakim,
Principal Scientific Officer
Institute of Food & Radiation Biology, Atomic Energy Research Establishment
Bangladesh Atomic Energy Commission (BAEC)
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2 |
中国 |
Dr. Luo Ju,
Associated Researcher
China national rice research institute (CNRRI)
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3 |
インドネシア
(プロジェクトリーダー) |
Dr. Masrizal,
Assistant Deputy for Development of National Science and Technology System,
State Ministry for Research and Technology
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4 |
日本
(プロジェクトリーダー) |
Dr. Hitoshi Nakagawa,
Director, Institute of Radiation Breeding
Division of Genome and Biodiversity Research
National Institute of Agrobiological Sciences (NIAS)
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5 |
日本 |
Dr. Atsusi Tanaka,
Unit Manager
Radiation-applied Biology Division
Quantum Beam Science Directorate
Japan Atomic Energy Agency (JAEA)
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6 |
日本 |
Dr. Minoru Nishimura,
Senior Officer
Institute of Radiation Breeding
Division of Genome and Biodiversity Research
National Institute of Agrobiological Sciences (NIAS)
|
7 |
日本
(事務局) |
Ms. Aki Koike
International Affairs and Research Department
Nuclear Safety Research Association (NSRA)
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8 |
マレーシア
(プロジェクトリーダー) |
Dr. Rusli Bin Ibrahim,
Senior Research Officer, Industrial Crop Group
Agrotechnology and Biosciences Division
Malaysian Nuclear Agency (Nuclear Malaysia)
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9 |
フィリピン |
Dr. Alfonso O. Grafia
Senior Science Research Specialist
Philippine Nuclear Research Institute(PNRI)
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10 |
タイ
(プロジェクトリーダー) |
Mr. Suniyom Taprab
Plant Breeder
Rice Department
Ministry of Agriculture and Cooperatives
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11 |
タイ
(オブザーバー) |
Miss Sunanta Wongpiyachon,
Rice Department
Ministry of Agriculture and Cooperatives
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12 |
ベトナム
(プロジェクトリーダー) |
Dr. Mai Quang Vinh
Agriculture Genetic Institute - AGI
Vietnam Academy of Agricultural Sciences
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ベトナム参加者リスト
No.
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名前
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役職 / 所属
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1 |
Dr. Le Huy Ham |
Director,
Agriculture Genetic Institute - AGI
Vietnam Academy of Agricultural Sciences |
2 |
Dr. Dang Trong Luong |
Head, Genetic Engineering Department
Agriculture Genetic Institute - AGI
Vietnam Academy of Agricultural Sciences |
3 |
Ms. Dao Thi Thanh Bang |
Genetic Engineering Department
Agriculture Genetic Institute - AGI
Vietnam Academy of Agricultural Sciences |
4 |
Mr. Khuat Huu Trung |
Genetic Engineering Department
Agriculture Genetic Institute - AGI
Vietnam Academy of Agricultural Sciences |
5 |
Dr. Le Xuan Tham
(Invited speaker)
|
Vice Director
Bureau of Science & Technology, Lamdong Province, Vietnam
35 Tran Hung Dao, Dalat, Vietnam |
6 |
Dr. Duong Tan Nhut
(Invited speaker) |
Vice Director, Tay Nguyen Institute of Biology
116 Xo Viet Nghe Tinh, Da Lat |
7 |
Prof. Dr. Bui Chi Buu
(Invited speaker) |
Director General,
Institute of Agriculture Science of South Vietnam (IAS)
121 Nguyen Binh Khiem St., District 1, HCM City, VIETNAM
|
8 |
Dr. Do Khac Thinh
(Invited speaker) |
Institute of Agriculture Science of South Vietnam (IAS)
121 Nguyen Binh Khiem St., District 1, HCM City, VIETNAM |
9 |
Ms. Trinh Thi Luy
(Invited speaker) |
Genetics and Plant Breeding, Cuu Long Delta Rice Research Institute, (CLRRI) |
10 |
Dr. Nguyen Duc Thanh
(Invited speaker) |
Institue for Biotechnology (IBT), Vietnamese Academy of Science and Technology
18 Hoang Quoc Viet, Hanoi, Vietnam |
11 |
Dr. Vo Thuong Lan |
Department of Biology, University of Science, National University of Ha Noi, Viet nam |
12 |
Dr. Nguyen Tien Thinh
(Invited speaker) |
Nuclear research Institute,
Vietnam Atomic Energy Commission
01 Nguyen Tu Luc St., Da lat, Vietnam |
13 |
Mr. Nguyen Van Binh |
Tay Nguyen Institute of Biology
116 Xo Viet Nghe Tinh, Dalat, Vietnam |
14 |
Mr. Vu Quoc Luan |
Tay Nguyen Institute of Biology
116 Xo Viet Nghe Tinh, Dalat, Vietnam |
15 |
Dr. Lam Ngoc Phuong |
Agriculture and Biological Application College, Cantho University,
30/4 Street, Cantho City, VietNam |
16 |
Dr. Le Van Hoa |
Vice Dean, Agriculture and Biological Application College, Cantho University,
30/4 Street, Cantho City, VietNam |
17 |
Dr. Le Viet Dung |
Vice Rector, Cantho University,
30/4 Street, Cantho City, VietNam |
18 |
Dr. Nguyen Van Ket |
Dean, Agricultural and Forestry Faculty
Dalat University
01 Phu Dong Thien Vuong, Dalat, Vietnam |
19 |
Mr. Mai Xuan Phan |
Faculty of Biotechnology,
Open University, HCMC,
97 Vo Van Tan, District 3, HCMC |
20 |
Dr. Nguyen Nhu Toan |
Agro-Biology Faculty,
Ha Noi Pedagogical No. 2.
Xuan Hoa, Phuc yen, Vinh Phuc, Vietnam |
21 |
Mr. Ho Quang Cua |
Soc Trang Agricultural and Rural Development Department |
22 |
Mr. Tran Tan Phuong |
Soc Trang Agricultural and Rural Development Department |
23 |
Ms. Nguyen Thi Thu Hien |
Agricultural Extension Centre
Soc Trang Agricultural and Rural Development Department |
24 |
Mr. Vuong Ho |
Acting Director,
Bureau of Science & Technology, Soc Trang Province, 179 Tran Binh Trong, Soc Trang |
25 |
Dr. Le Quang Luan |
Head, Biotechnology Laboratory, Centre for Nuclear Technique, Vietnam Atomic Energy Commission
217 Nguyen Trai, District 1, HCMC |
26 |
Dr. Nguyen Mong Sinh |
Chairman, Union of Science and Technique Association of Lam dong Province |
27 |
Mr. Nguy Xung Hung |
General Serectary, Union of Science and Technique Association of Lam dong Province |
28 |
Mr. Nguyen Van Tu |
Director,
Agricultural Extension Centre,
Lamdong Science and Technology Department |
29 |
Dr. Pham Huu Nhuong |
Deputy Director, Managerment board of High Technology Agricultural Zone, HCMC |
30 |
Ms. Nguyen Tuong Mien |
Centre for Applications of Nuclear Technique in Industry - CANTI
13 Dinh Tien Hoang, Da Lat
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31 |
Ms. Luong Thai Thanh Hang |
Centre for Applications of Nuclear Technique in Industry - CANTI
13 Dinh Tien Hoang, Da Lat |
32 |
Ms. Le Thi Thanh Tam |
Centre for Applications of Nuclear Technique in Industry - CANTI
13 Dinh Tien Hoang, Da Lat |
33 |
Mr. Le Tien Thanh |
Centre for Applications of Nuclear Technique in Industry - CANTI
13 Dinh Tien Hoang, Da Lat |
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