2003年12月15日〜18日
於 中国蘇州市Asterホテルならびに上海市復旦大学 |
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1) |
2003年3月の第4回FNCAコーディネーター会合ならびに2003年12月の第4回FNCA大臣級会合の合意に基づき、FNCA2003放射線治療ワークショップが2003年12月15日〜18日にかけて、中国の蘇州市ならびに上海市において、日本の文部科学省(MEXT)と中国の蘇州大学核医学院の共催、また日本原子力産業会議(JAIF)と復旦大学の協力で開催された。このワークショップには、FNCAに参加している中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの8カ国の代表者が参加した。 |
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開会式 |
2) |
蘇洲大学核医学院のDr.ツァオ・チェンピン(曹建平)がモデレーターを務めた。蘇州大学のDr.ゲ・ジァンイェ(葛建一)とProf.トン・ジァン(童建)が歓迎挨拶を述べた。文部科学省のMr.坂田に代わりMs.畔柳徳子が歓迎ならびに感謝の挨拶を述べた。さらに、中国国家原子能機構(CAEA)のMr.リー・シアン(李響)そして最後に日本の放射線医学総合研究所のDr.辻井博彦が歓迎挨拶を行なった。(添付書類参照) |
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セッション1 |
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子宮頚がんの標準プロトコル(CERVIX-I)の治療患者の追跡状況 |
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3) |
CERVIX-Iに基づく210例の患者のフォローアップデータが発表され、この研究では許容可能と思われる重篤な晩期有害事象がわずかな数発生したのみであることが明らかにされた。2003年12月現在、5年全生存率は53%であった。これは世界的ならびに日本のデータに比肩するものである。このように、好ましい結果が出たことに基づきこのプロトコルはFNCA各国で実施可能であると結論された。将来の研究のためには、追跡できなかった症例数を減らし追跡率を73%より上げる努力がとくに重要であることが強調された。CERVIX-Iの結果の「国際放射線治療・生物学・物理学ジャーナル」に投稿予定の原稿案が配布ならびに討議された。 |
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セッション2 |
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子宮頚がんの加速多分割照射法 (CERVIX-II) |
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4) |
CERVIX-IIに基づく103人の患者の2003年12月現在におけるフォローアップ・データが発表された。全患者群に対する3年全生存率は83%であった。急性ならびに晩発性の有害事象は許容範囲内と認定された。分析対象外にされた症例についての質疑があり、その除外を行なう基準が討議された。提出されたデータに関するレビューがデータ・センター(放射線医学総合研究所)に要請された。
追跡率の低い機関には、その改善が要請された。この更新されたデータと、レビューされたデータは次回ワークショップで発表される。 |
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セッション3 |
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子宮頚がんに対する化学放射線療法 |
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5) |
子宮頚がんに対する化学放射線同時併用療法(CCRT)の第I相試験の共同研究は終了した。30人の患者のデータのまとめによれば、第IVの血液ならびに血液以外の毒性(有害反応)は見られなかった。ただひとりの患者に血液以外のIII度の容量制限毒性が見られた。毎週シスプラチン(CDDP:抗がん剤)40mg/m2を投与する療法は実行可能であり、次のフェーズで使用される。 |
6) |
進行性子宮頚がんに対する化学放射線同時併用療法(CCRT)第II相試験のプロトコルの提案が、配布され、討議され、合意された。主要討議点は、がん組織型、進行度、化学療法サイクル数に関するものであった。各国最小12名で、総計100人の患者の登録が行なわれる予定である。プロトコルはCERVIX-IIIとして承認された。 |
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セッション4 |
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上咽頭がんに対する化学放射線療法のパイロット研究 |
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7) |
主要な無作為割付研究とメタ解析の結果が発表ならびにレビューされた。放射線に化学療法を追加することは、無病生存率(DFS:Disease
Free Survival) と全生存率に関して、放射線療法単独に比べて改善効果があると思われる。 |
8) |
これまで行われたパイロット・スタディの結果が発表され、討議された。IV度の毒性が見られた患者はいなかった。毎週CDDP30mg/m2を投与する療法は安全と思われるが、CDDP40mg/m2の投与には安全の確認が必要である。 |
9) |
第I / II相試験のプロトコルが発表され、討議された。強度変調療法(IMRT)や小線源治療法はこのプロトコルでは認めないことになる。第I相試験で使用された薬剤投与量のレベルならびにアジュバント化学療法が討議された。その後第II相試験の研究に進む可能性をもって、第I相
試験の研究をもう1年間継続する。タイに、コンカレント+アジュバント療法を用いてのフィジビリティ調査の実施検討が要請された。放射線療法技術と放射線反応のグレーディングに関する新たなワークショップが提案された。これは、参加国間でこれら2つの事項を標準化することが第II相試験に進む上で、重要なベースになるからである。 |
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コンカレント化学放射線療法《化学放射線同時併用療法(CCRT)》 |
化学療法と放射線療法を同時併用する療法。局所制御率が向上する報告が多く、化学療法と放射線療法の併用療法の主流。 |
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アジュバント化学療法 |
再発、転移の防止を目的として、放射線治療の後に行う化学療法。 |
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ネオアジュバント化学療法 |
放射線の治療範囲や線量を小さくする、また遠隔転移の防止を目的として、放射線治療の前に行う化学療法。 |
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10) |
腫瘍細胞に対する放射線増感作用と正常組織に対する放射線防護効果をもつCOX-II阻害剤について説明され討議された。メロキシカムという薬剤を使った無作為割付第II相試験の研究が提案された。 |
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セッション5 |
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放射線量計測のQA/QC |
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小線源治療の物理的QA/QCの現地調査の結果が計測技術の説明とともに発表された。タイ、フィリピン、ベトナムの3カ国への訪問結果は許容範囲内と考えられた。この現地調査は残りの中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシアでも継続することが要請された。本ワークショップでは、各国の医学物理士の参加も得てこのQA/QC活動を外照射治療にも拡大することを勧告した。 |
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セッション6 |
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将来計画、その他関連活動 |
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12) |
将来計画が討議の上承認された。 |
13) |
メロキシカムを用いた子宮頚癌と上咽頭癌を対象にした新しい無作為フェーズIIプロトコルの詳細が紹介された。参加者の大半は医薬品グラント付きの試行提案に参加する意向を表明した。医薬品会社からの研究グラントは将来の試行のために組み入れて使うことができるかもしれないが、こういった試行をFNCA活動の一部として含めることの可能性はさらに検討する必要がある。 |
14) |
本ワークショップでは、タイ、韓国、フィリピンをこの優先順位で次回ワークショップの可能な候補地とした。 |
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施設訪問 |
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15) |
参加者は、施設訪問として、蘇州大学付属第一医院の放射線治療科と、上海の復旦大学中山がんセンターを訪問した。 |
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オープン・レクチャー |
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第4日目は、ワークショップの一部として、上海市の復旦大学中山がんセンターでのオープン・レクチャーに当てられた。このレクチャーへの地元参加者は、医師、研究者、学生を含んだ。このオープン・レクチャーは放射線医学総合研究所のDr.辻井博彦の挨拶で始まった。9件の講演がFNCA参加者と2名の地元中国の医師により行なわれた。(添付プログラム参照)
オープン・レクチャーの最後に、中国のDr.ツァング・シン(張新)が閉会挨拶を述べた。 |
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セッション7
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ワークショップ議事録の起草 |
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17) |
議事録草案を討議、修正、採択した。 |
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閉会式 |
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18) |
参加者は、文部科学省と蘇州大学、ならびにワークショップを準備した地元のスタッフ、日本原子力産業会議ならびに復旦大学に謝意を表した。参加者はまた日本国政府からの引き続いての支援に謝意を表した。Dr.辻井が閉会挨拶を行ない、ホスト機関ならびに参加者に謝意を表した。 |
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添付書類 |
-ワークショッププログラム |
-参加者リスト |
-将来計画 |
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