2000年度ワークショップ

　2000年11月20日（月）～24（金）に韓国の大田市で、研究炉利用のワークショップが開催された。ワークショップは、韓国科学技術部（MOST）、科学技術庁（STA）＜注1＞の共催で、韓国原子力研究所（KAERI）、日本原子力研究所（JAERI）が協力した。
参加者は、オーストラリア、中国、インドネシア、韓国、日本、マレーシア、タイ、ベトナムから58名が参加した。

＜注１＞：2001年より文部科学省

■	報告・討議内容

1)	中性子散乱


第9回研究炉利用ワークショップ記念写真（2000年11月20日～24日、韓国テジュン市）		中性子小角散乱実験（2000年11月20日～24日、 HANARO研究炉、韓国テジュン市）

●	開催テーマ：高温超伝導体等の機能材料の構造研究および中性子小角散乱(SANS)実験による高分子研究ならびに高分子試料を用いたSANS実験、データ解析

●	成果および今後の展望：

a.	各国参加者が持ち寄った10種類以上のサンプルについてSANS実験を行い、良好なデータおよび解析結果を得た。

b.	2001年以降のテーマとして、産業界での利用を考慮して「残留応力測定/中性子反射率測定」を提案する。

c.	回のワークショップにおいて、SANS実験に関するサブ・ワークショップ開催(韓国、インドネシア等で実験を実施し、結果を中国に持ち寄って分析・評価)と共同実験を提案する。

中性子放射化分析

●	開催テーマ：放射化分析支援システム

●	成果および今後の展望：

a.	放射化分析支援システム、各国放射化分析の現状について情報を交換した。今後、参加国共同で実施することとした。

b.	環境試料等の分析をターゲットとした活動の実施。

c.	各国における分析手法の標準化のためにヨーロッパで標準化されつつあるＫo法の開発、整備を提案することが合意された。

3)	研究炉と利用技術(BNCT)

●	開催テーマ：BNCT(中性子捕捉療法)とその関連技術

●	成果および今後の展望：

a.	BNCTに関する情報交換について医療照射設備を建設中の韓国を始めとして各国から強い要望があり、情報交換のためのネットワーク形成が重要であるとの認識が示された。

b.	情報交換を継続するため、各国でのBNCTに関する進捗状況をステータスレポートに含めて報告することとなった。

4)	円卓会議 (各国のプロジェクト・リーダーが主導し、将来計画等を討議する会議)

円卓会議
2000年11月24日、韓国大田市

●	各セッションの報告を受けて、各活動のとりまとめを実施した。

●	アジア原子力協力フォーラム(FNCA)日本コーディネーターが、FNCAのシステムを紹介するとともに、第1回FNCA本会合の概要について説明した。また、この活動には目に見える成果が要求されているとして、「高性能モリブデン吸着材(PZC)を用いたTcジェネレーター技術の確立および普及」および「中性子放射化分析を用いた環境分析、資源探査」を、日本からの提案として日本のプロジェクト・リーダーが説明した。

●	韓国のプロジェクト・リーダーから、日本から提案されたRI製造分野のテーマについては、2001年5月にバンコクで開催されるIAEA/RCA専門家会合においても同様の議論が行われるので相互に連絡をとりながら行われるべきとの意見があった。

●	日本の提案するプロジェクトが発足した場合に生じる資金面での問題等について質疑があった。

●	2001年度のワークショップは、次のテーマで実施されることが合意された。

a.	中性子散乱エンドユーザーへの適用を考慮した中性子散乱技術の利用

b.	中性子放射化分析環境調査および鉱物資源探査への中性子放射化分析の利用

c.	研究炉と利用技術 PZCを用いたTcジェネレーター技術の確立と普及

●	議長から次の提案があった。 2002年度以降の計画としては、上記のb、cを主題として2001年の3月に開催されるコーディネーター会合に提案することとしたい。各国から他に提案があれば、日本のプロジェクト・リーダーに12月末までに提出する。

●	中国のプロジェクト・リーダーから、2001年度のワークショップを中国がホストする意志のあることが提示された。

第9回研究炉利用ワークショップ記念写真
2000年11月20日～24日、韓国大田市

page top↑

Forum for Nuclear Cooperation in Asia