天然ゴムや海藻から抽出した多糖類のカラギーナンの放射線改質など、放射線利用に関わる天然高分子の構造変化を中性子散乱で解明して見ようというのが目的でした。このため、小角中性子散乱 (Small Angle Neutron Scattering: SANS) という解析手段を活用しました。散乱雄角度と強度を測定解析して、ナノメーター領域の構造とそのサイズや分布などの情報を把握し、放射線による構造変化との相関を解明する研究を重点的に推進しました。日本のような原子炉の中性子強度が高く、且つ、測定設備が整備されているところでは、信頼出来るデータが取得でき、一連の実験である程度の結果が得られました。
しかし、多くのアジア諸国では、設備・装置に課題があり、自国での研究推進が困難という状況でした。現状においては、研究の成果を役立てるというFNCAの活動を達成させることが困難であり、各国での設備・装置が稼動するまで中断すべき、という判断が2004年度末の第6回コーディネーター会議で指摘され、本プロジェクトは、設備・施設が整備されるまで、中断することになりました。
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