タイ バンコク市
2005年9月5日〜8日
2005年度FNCA放射線育種ラン耐虫性専門家会合が以下の通り開催された。
日 程 : |
2005年9月5日〜8日 |
場 所 : |
カセサート大学 タイ・バンコク市 |
主 催 : |
タイ・カセサート大学文部科学省 (MEXT)
文部科学省(MEXT) |
事務局 : |
(社)日本原子力産業会議 (JAIF) |
参加者 : |
インドネシア、マレーシア各1名、日本2名、タイ4名 合計8名 |
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[開会式]
タイのカセサート大学研究開発所(KURDI)副所長が開会の挨拶を行った。
[特別講演]
日本の永冨委員より、「植物のin vitro突然変異誘発におけるガンマ線緩照射と急照射」と題した特別講演が行われた。続いて、タイのDr. Valuli Rojanawongカセサート大学教授より、「 スリップス・パルミ−通称;メロン・スリップ、パルミ・スリップまたはコットン・スリップ−タイにおけるランの虫害」と題した特別講演が行われた。
[各国のラン耐虫性に関する進捗状況報告]
インドネシア、マレーシア、タイの3カ国より、ラン耐虫性研究に関する進捗状況の報告が行われた。
[ラン耐虫害性サブプロジェクトの現在の状況と今後の計画]
各国からの進捗状況報告について議論が行われ、以下の点について合意された。
- 本プロジェクトは、まず花色の突然変異の選抜に重点的に取り組み、その後耐虫性の選抜を行うこととする。花色の突然変異は、突然変異体誘発を示すより重要な指標であり、またランの商業的価値においても重要である。
- 2006年から2007年における新たな研究計画(添付資料3)が策定された。新たに、花色の突然変異体の選抜、耐虫性変異体(insect tolerance)の選抜、および選抜された花色の突然変異体の成長点クローニングを含めることとする。
- デンドロビウムの適正放射線量を確定するため、放射線感受性のデータを測定することとする。
一般的に、ガンマ線に対する放射線感受性は、カルスやPLB等のようなin vitroの材料については明確にならなかった。従って、in vivoの植物、PLB、in vitroの苗を用いて、照射線量0, 40, 80, 120, 160, 320, 640, 1280 Gyの広範囲にわたって、さらに放射線感受性の測定を行うべきである。
突然変異体の誘発には、放射線障害を減らすため、分割照射と緩照射が望ましい。
- インドネシアではスパイダー・マイトに代わりスリップスの選抜手法の開発を行う。
[中間報告]
添付資料4の通り、中間報告がまとめられた。
[テクニカル・ビジット]
ナコン・パトム県バングレーンのJiadラン園とラチャブリ県のタイ・オーキッド・カンパニーのラン園を訪問した。両園は、カセサート大学と共同研究を行い、ガンマ線突然変異誘発によるランの品種の開発を行っている。参加者は、ラン園の管理状況や作業工程を視察し、さらに苗床における病気と害虫を直接観察した。また、放射線を照射したランの成長状況を観察し、葉の色や形、草高、生育習性といった形態変化を確認した。
その後、バンコクにあるタイ・オーキッド・カンパニーの輸出部門を訪問し、輸出前のランの切花の燻蒸消毒と梱包作業を視察した。タイ・オーキッド・カンパニーは、タイのラン輸出業者の内、上位10社の一つである。参加者は、タイ・オーキッド・カンパニーの社長や社員と、ラン産業界の動向や、ランの需要、研究への関心について議論・意見交換を行った。タイ・オーキッド・カンパニーは、ランの品種改良にガンマ線に加えイオンビームの利用に非常に興味を示していた。
この議事録はすべての会合参加者によって議論、合意された。これは2005年12月にマレーシアで開催される2005年度FNCA放射線育種ワークショップで報告される予定である。
添付資料:
- FNCA 2005放射線育種ラン耐虫害性専門家会合プログラム
- FNCA 2005放射線育種ラン耐虫害性専門家会合参加者名簿
- FNCA放射線育種ラン耐虫害性サブプロジェクト研究計画
- FNCA放射線育種ラン耐虫害性サブプロジェクト中間報告
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