FNCA2007年医療用PET・サイクロトロンワークショップ
概要
2007年11月19-21日、クアラルンプール、マレーシア
背景:
第2回FNCA医療用PET・サイクロトロンワークショップが、2007年11月19日から21日にかけて、プロジェクトの主導国マレーシアの首都クアラルンプールで開催されました。本ワークショップは、マレーシア原子力庁(Nuclear Malaysia)と、マレーシア科学技術革新省(MOSTI)、日本の文部科学省(MEXT)の共同開催で行われたものです。ワークショップには、マレーシア・日本・中国・フィリピン・タイ・ベトナムの6カ国が参加し、参加者人数は25名に上りました。
開会式典:
開会式典は、マレーシア国歌の斉唱で始まりました。マレーシアのプロジェクトリーダーであるDr. Mohamed Ali Abdul Khader氏が厚生省長官代理として祝辞を述べ、続いて、本ワークショップを主管するマレーシア原子力庁副長官Mr. Adnan Hj. Khalid氏が長官代理として開会の辞を行い、ワークショップはスタートしました。
ワークショップ:
本プロジェクトの目的は、アジア諸国における核医学診断技術の向上を図り、最新技術による病気の発見がアジアの人々の健康増進に資する事です。近年登場したPET及びPET/CTは、がんのさまざまな診断に有効な機器です。ワークショップでは、「イメージング(撮像)装置」「放射性安全とPET放射性医薬品」「臨床診断」という三つの視点に基づいて、PETの有効利用を考えました。参加者は、各々の専門分野に関係する分科会に分かれて討議が行ないました。
「イメージング(撮像)装置」のテーマは、PETイメージングにおける放射線安全・品質保証・品質管理です。分科会の討議では、PET装置の性能試験・品質管理については、標準規格「NEMA NU-2 2001」に基づくべき、またCT装置についてはガイドライン「AAPM39」に基づくべきとしました。また、装置の品質管理において、定期的に行うPETの動作評価がとても重要であると結論付けました。
「放射性安全とPET放射性医薬品」のテーマは、PET用放射性医薬品の品質保証・品質管理、サイクロトロンおよび18F-FDG製造における放射線安全です。最終的な成果として、ガイドラインの策定をめざしています。今回の分科会では、ガイドラインの構成と国ごとでの具体的な執筆担当、今後の全体工程が決まりました。
「臨床診断」は、クリニカルPETの臨床症例集の刊行をテーマとしていて、目標としてはPET画像による症例閲覧システムの導入をめざしています。今回の分科会では、今後の活動計画を討議し、合意しました。
今回のワークショップの結論として、参加者は下記について合意をしました。
(1) |
それぞれの分科会の作業計画、提案と結論に基づいて、各自は必要となる書面を編集し、マレーシアのプロジェクトリーダーに提出すること。 |
(2) |
電子メールによる連絡体制設立を早急に行うこと。 |
(3) |
プロジェクトのマレーシア担当者は分科会が提出するデータと書面を編集するための事務局として活動すること。電子メール上での議論は、次回のワークショップまで継続的に各分科会で行うこと。 |
(4) |
書面準備に関するすべての伝達事項は、今回のワークショップに参加しなかった参加者に対しても、各国コーディネーターに登録された後には、伝えられること。 |
(5) |
FNCAマレーシアコーディネーターは、韓国とインドネシアおよび分科会に担当者を登録していない加盟国に対して、これらの情報を連絡する必要がある。 |
テクニカルビジット:
11月21日午前中に、ワークショップの参加者一行は、マレーシア厚生省の健康(医療)長官代理のDr. Noorimi Binti Haji Morad氏を表敬訪問しました。
大きな成果を期待しているとの同氏の挨拶を受けて、本プロジェクトのマレーシアでのリーダーであるDr. Mohamed Ali Abdul Khader氏が、今回のワークショップでは今後の活動の実務的な取り決めを含め大きな進捗を得たと報告を行いました。
同日午後、ワークショップ参加者一行はプトラジャヤ病院PET・サイクロトロン施設を訪問しました。同施設は昨年度のワークショップ開催時にも訪問していましたが、当時は一部建設中の部分がありました。今回は、すべて完成した形で見学することができ、具体的なGMP基準に則った運用についても、その状況を目の当たりにすることができました。
公開セミナー:
11月22日と23日に、公開セミナーが開催されました。「PET技術、放射性医薬品製造とサイクロトロン技術の応用 ; 放射性医薬品と放射化学」「PET技術、放射性医薬品製造とサイクロトロン技術の応用 ; 規制面」「診療分野におけるPETの利用」について、マレーシア・日本・中国の専門家が、さまざまなプレゼンテーションを行い、技術の継承に努めました。今回の公開セミナーには、講演者を含めて120名以上の参加がありました。 |