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医療用PET・サイクロトロン ワークショップ

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●  放射線防護とPET/CT装置の動作評価
●  18F-FDGの品質保証/
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FNCA 2009 医療用PET・サイクロトロンワークショップ

FNCA2009年 医療用PET・サイクロトロン ワークショップ
「FNCA サイクロトロン・PETプロジェクト専門家会合2009」
概要

2010年2月28日 - 3月2日
マレーシア、クアラルンプール、マレーシア原子力庁


背景

 2009年度FNCA医療用PET・サイクロトロン・ワークショップが、2010年2月28日から3月2日の3日間、マレーシアのクアラルンプールで開催されました。この会合は、マレーシア原子力庁、マレーシア科学技術革新省(MOSTI)そして日本文部科学省(MEXT) による共同開催でした。会合には、中国、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ及びベトナムの7カ国から計20名が参加しました。
 本プロジェクトは、先進技術を用いた病気の早期発見、早期治療により患者の予後が改善しアジア人の健康増進に資することを目的として、核医学診断技術の向上と普及を目指すもので、PETおよびサイクロトロンについて、「画像診断技術」と「放射線安全」を中心とした活動を行っています。ワークショップでは、各国の医療用PET・サイクロトロンに関する状況報告または症例報告、そして、プロジェクト活動の現状と今後の活動予定についての発表と議論が行われました。

ワークショップ風景 ワークショップ参加者

1) PETの臨床診断について

 2010年現在におけるFNCA加盟国のPET用小型サイクロトロンの設置台数とPETセンターの数は、表1.の通りです。
 
表1.「FNCA加盟国におけるPET用小型サイクロトロンとPETセンターの現状」
国名 PET用小型サイクロトロンの設置台数 PETセンターの数
オーストラリア(※) 8 17
バングラデシュ 0 0
中国 70 120
日本 135 260
韓国 34 78
インドネシア 2 2
マレーシア 3 6
フィリピン 1 2
タイ 2 6
ベトナム 3 4
合計 258 495
      ※ オーストラリアは、現在、本プロジェクトには参加していない。

 小型サイクロトロンで製造、合成されるPET薬剤を用いたPET検査は、がん患者を中心にFNCA参加国で着実に進歩しています。FNCA参加10カ国のうち、まだPETがおこなわれていないバングラデシュにおいても近いうちにPETが始まるものと期待されています。半減期2時間の18F-FDGの製造、合成までが、各国の施設で行われており、また合成された18F-FDGは、周囲のPETセンターまで配達されていて、サイクロトロンを持たない診療施設でのPET検査を支援しています。
 ほとんどすべての撮影がPETとCTを一体化したPET/CT装置を用いて、肺がん、大腸がん、頭頸部がん、乳がん、悪性リンパ腫などがんを中心に行われていますが、新しいPET薬剤「18F-lDOPA」を用いたパーキンソン病診断が議論されるなど、がん以外へのPETの応用にも、関心が向いています。
 
表2.「PET画像による臨床用ATLASのための各国の症例データの提出実績」
国名 これまでの症例提出数
オーストラリア(※) -
バングラデシュ 0
中国 30
日本 25
韓国 0
インドネシア 0
マレーシア 23
フィリピン 9
タイ 17
ベトナム 0
合計 104

2009年までに臨床用ATLAS用にマレーシア、中国、タイ、フィリピン、日本から104例の18F-FDG PET症例が収集されました。(表2.参照)
 これまでの経験から1cm未満の小さい腫瘍では18F-FDGが陰性になること、結核など炎症でも18F-FDG陽性になりうることなど、18F-FDGによるがん診断の限界も話題になりました。

2) 放射性医薬品製造について

 昨年の会合でとりまとめられたFDGの製造と品質管理に関するガイドラインの位置づけと経緯について、以下のポイントに対する確認と議論がありました。
 

製造に関しては、詳細は個々の施設が利用している合成装置に強く依存し、合成法も異なるため、統一的なガイドラインを策定し厳格に運用することは現実的ではないこと。
品質管理に関してはワークショップの議論を通して相互理解が深まり、多施設間・多国間で受け入れ可能な合意案が出来たこと、その際、施設の特徴に応じてGMP施設、非GMP施設に分けて基準値や測定頻度を策定したこと、欧米人とアジア人での平均体重の違いを考慮して基準値も変更したこと。

また、PET用放射性医薬品製造現場における放射線被ばくに関連し、以下の報告と議論がありました。
 
FDGの製造において、作業者が放射線被ばくを受ける可能性のある作業はいくつかに分類される。FDGの合成は、自動合成装置が行うため、放射線被ばくの可能性が比較的少ないが、品質検査やフィルターの完全性試験、ターゲット交換作業などは、かなり被ばくリスクを秘めている。
フィルターの完全性試験は、「作業者の放射線被ばく」と「薬に対するGMP要請」という二律背反のジレンマ中にあり、実施の是非が大きな論点となる。薬を製造する観点からは完全性試験の実施は必須である一方、毎回、作業者に多大な放射線被ばくを強要することとなる。規制当局との交渉の結果、製造翌日での検査を認められたとの事例もでてきたが、製造当日にのみ使用されるFDGに対し、翌日での試験実施では予防的観点からの意義は極端に低くなる。
それゆえ、GMP要件であり必須となる品質検査で、かつ被ばくリスクが高い検査に対し、今後、自動化を導入し被ばく低減を図ることが望まれる。

被ばく調査の説明 PET用医薬品製造時の被ばくについての発表

3) PET・サイクロトロン施設におけるガラス・バッチを用いた被ばく線量調査

 本調査は、プトラジャヤ病院とウィジャヤ国際医療センターの臨床現場とPET用放射性医薬品の製造現場の職員と職場について、本年6月に現地で実施される予定となりました。フィルターの完全性試験、サイクロトロンのターゲット交換作業など、特定作業における被ばく実態を把握する必要性から、特に被ばくリスクの高い作業時に追加的なバッチ装着を行う手法が提案され、採用されることになりました。

4) 今後の計画

 本ワークショップにおいて、以下が合意されました。
 
FNCAプロジェクト活動を継続し、2010年10月までに各国最少10件、アトラス用の症例データを集め、2011年には、がん以外の領域にも内容を拡大したアトラスを完成させる。
サイクロトロンとPET放射性医薬品製造における放射線安全面のガイドラインの作成を行う。これは、サイクロトロンの設置前基準およびサイクロトロン受入時の基準を含むものとする。医薬品に関する一般的なガイドラインは、それぞれの国で、すでにまとめられており、すべての国に対応するガイドラインをひとつにまとめることは、かなり困難である。このため、各国の個別手順をまとめる作業は、各国の手にゆだねられる。
PET/CT およびサイクロトロン施設における個人被ばくの最適化を図るため、ガラス線量計を用いた個人被ばくおよび環境計測調査を、2010年末までに実施する。本調査の進捗は、次回ワークショップで発表される。
掲載内容と適合性について、国際原子力機関(IAEA)の新技術文書、同様に、各国の個々の文書を参照し、PET/CTの品質管理と品質保証のためのFNCAガイドラインを向上させる。

PET/CT装置の外観 視察に訪れたワークショップ参加者

ワークショップに関連し、ワークショップ参加者は、プトラジャヤ病院とウィジャヤ国際医療センターのサイクロトロン・PET/CT施設の視察を実施しました。
 


FNCA2009年 医療用PET・サイクロトロン ワークショップ
「FNCA サイクロトロン・PETプロジェクト専門家会合2009」
議事次第

2010年2月28日 - 3月2日
マレーシア、クアラルンプール、マレーシア原子力庁


2010年2月28日 日曜日

08:15 ホテルからマレーシア原子力庁に移動
08:45 マレーシア原子力庁着
09:00 歓迎挨拶
 FNCAマレーシア・コーディネーター
 マレーシア原子力庁副長官(技術分野) Muhd Noor Muhd Yunus 氏
日本派遣団代表挨拶
 遠藤啓吾主査
09:30 セッションI: 現在のプロジェクトについての議論
(座長: Rehir氏)
 i. 作業の進捗
 ii. これまでの活動のレビュー
10:30 休憩
10:45 セッションII: 引き続き、現在のプロジェクトについての議論
(座長: Chen Shengzu氏)
 i. アトラス(臨床症例閲覧集)
 ii. 技術手順の活用と過去3年での成果
 iii. 症例研究/提供 会合参加者による技術手順と成果利用についての発表
   (各国10分の発表)
   ・中国
   ・インドネシア
   ・日本
   ・マレーシア
   ・フィリピン
   ・タイ
   ・ベトナム
 iv. 現プロジェクトの進捗と技術手順の利用に関する報告について準備
12:45 昼食
14:00 セッションIII: 現在のプロジェクト活動
(座長: Gerard Goco氏)
 i. 活動計画と状況
 ii. 2010年末までのプロジェクト活動
16:00 休憩
16:15 セッションIV: 新プロジェクト・サイクル
(座長: Muhd Noor Muhd Yunus氏)
 i. 2010年以降の新プロジェクト活動計画の準備
 ii. 新出資者と新主導国
17:30 一時閉会

2010年3月1日 月曜日

09:00 ホテルからプトラジャヤ病院に移動
09:45 プトラジャヤ病院着
10:00 プトラジャヤ病院 PET サイクロトロン施設視察
12:00 昼食
13:30 プトラジャヤ病院からウィジャヤ病院に移動
14:30 ウィジヤヤ病院着
16:30 ホテルに移動

2010年3月2日 火曜日

08:15 ホテルからマレーシア原子力庁に移動
08:45 マレーシア原子力庁着
09:00 レポートの確認
(座長: Muhd Noor Muhd Yunus 氏)
10:30 休憩
10:45 議事録の確認
(座長: Muhd Noor Muhd Yunus氏)
閉会の辞
 FNCAマレーシア・コーディネーター
 マレーシア原子力庁副長官(技術分野) Muhd Noor Muhd Yunus 氏



FNCA2009年 医療用PET・サイクロトロン ワークショップ
「FNCA サイクロトロン・PETプロジェクト専門家会合2009」
参加者リスト

2010年2月28日 - 3月2日
マレーシア、クアラルンプール、マレーシア原子力庁


海外参加者

インドネシア

DR. KARDINAH
Head of Department Diagnostic Radiology, National Cancer Center,
Dharmais Cancer Hospital

DR. ABDUL MUTALIB
Director, Center for Radioisotopes and Radiopharmaceuricals,
National Nuclear Energy Agency

ベトナム

MAI TRONG KHOA
Vice Director - Bach Mai Hospital, Hanoi Vietnam
Director - Nuclear Medicine and Oncology Center, Bach Mai Hospital, Hanoi-Vietnam,
Head of Nuclear Medicine Department, Hanoi Medical University

中国

PROF. CHEN SHENGZU
Professor,
Cancer Hospital of Chinese Academy of Medical Sciences

PROF. DANG YAPING
Professor,
First Affiliated Hospital of the Xi’an Jiaotong University

タイ

ASSOC. PROF. RUJAPORN CHANACHAI
Head of Division of Nuclear Medicine,
Siriraj Hospital, Mahidol University

日本

遠藤 啓吾
群馬大学大学院, 医学系研究科 画像核医学
教授

鈴木 和年
放射線医学総合研究所
分子イメージング研究センター

細野 眞
近畿大学 医学部 放射線医学教室
教授

亀田 義仁
住友重機械工業(株) 量子機器事業部
課長代理

加藤 毅彦
原子力安全研究協会 国際研究部
調査役

山田 愛
原子力安全研究協会
国際研究部

フィリピン

DR. GERARD FABIAN DE LEON GOCO
St. Luke’s Medical Center,
Nuclear Medicine Dept.


マレーシア参加者

MOHD AMINUDDIN SAID
Jabatan Perubatan Nuklear, Hospital Putrajaya

AHMAD RIZAL YUSOF
Wijaya International Medical Centre

DATO' DR. REHIR DAHALAN
Director, Medical Technology Division
Malaysian Nuclear Agency

DR. MUHD NOOR MUHD YUNUS
Deputy Director General and FNCA Coordinator
Malaysian Nuclear Agency

DR. NORIAH JAMAL
Senior Research Officer, Medical Technology Division
Malaysian Nuclear Agency

RAJA JAMAL BIN RAJA HEDAR (事務局)
Research Officer, Planning & International Relations Division
Malaysian Nuclear Agency

SITI SYARINA MAT SALI (事務局)
Research Officer, Planning & International Relations Division
Malaysian Nuclear Agency


 

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