FNCA2008原子力広報プロジェクト・リーダー会合
議事録
2008年11月10日〜14日、中国 北京
2008年度FNCA原子力広報プロジェクトリーダー会合(PLM)は11月10日〜14日に、中国・北京の紫玉飯店(ZIYU Hotel)において、中国国家原子能機構(CAEA)及び日本の文部科学省(MEXT)の共催として、また原子力安全研究協会(NSRA)と国際原子力機関(IAEA)の協力の下、開催された。
5日間に渡る会合には8ヵ国(バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)からプロジェクトリーダーが参加した。また、町末男FNCA日本コーディネーター、文部科学省の金森氏、CAEA国際合作司処長のMr. Huang Wei、日本原子力文化振興財団の横手光洋氏、IAEAの金子真幸氏及びMr. Robert Ian Facerも同会合に参加した。オーストラリア及び韓国からは参加者がなかった。 原子力広報プロジェクトリーダー会合の最終アジェンダ及び参加者リストを付録1及び2に示す。
セッション1:オープニングセッション
Chairman: Mr. Huang Wei Co-Chair: Mr. Minoru Kubo
11月10日、開会に際してCAEA国際合作司長のDr. Yang Dazhuより、歓迎挨拶が述べられた。挨拶の中でDr. Yangは、中国を含む各国において原子力を平和的に利用するための持続的な取り組みについて、また、様々な原子力利用の経験について情報交換することの重要性について言及した。さらに、FNCAの行ってきた多様な分野への重要な貢献についても述べた。
文部科学省を代表し金森陽子氏が開会の挨拶を行い、その中でCAEAのPLM開催に対する謝意を示した。また、会合を通して情報・見解を共有すること、さらにパブリックアクセプタンスを向上させ、公衆の信頼を得るために正確な情報を供給することの重要性について言及した。
セッション2:カントリーレポート・FNCA/IAEAレポート
Chairman: Mr. Huang Wei Co-Chair: Mr. Minoru Kubo
オープニングセッションに続き、町FNCA日本コーディネーターが「2008年のFNCA活動の進捗状況―持続可能な発展に向けた展望と課題」と題して発表を行い、人材養成、広報、食料及び農業、工業、医療、安全文化、放射性廃棄物管理、研究炉利用など、FNCAプロジェクトについて説明した。また、同時に2007年に東京で開催されたFNCA大臣級会合の成果についても報告した。
またIAEAの原子力工学セクション基盤計画技術主任のMr. Robert Ian Facerが、「原子力導入に対するIAEAのサポート」と題して発表を行った。その中でMr. Facerは原子力発電所を保有している国及び建設を計画している国に対してIAEAが提供し得る支援について説明した。
セッション2(続き):カントリーレポート
Chairman: Mr. M. Rosli Muda Co-chair: Ms. Dang Thi Hong
引き続いてセッション2では、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムのプロジェクトリーダーがカントリーレポートを発表した。カントリーレポートのトピックスはFNCA参加国における広報活動(展示会、セミナー、講演、イベント等)の報告及び原子力に関連する最新事情の紹介であった。
セッション3:広報活動の現状に関する報告
Chairman: Ms. Rhodora R. Leonin Co-Chair: Mr. Ferly Hermana
日本プロジェクトリーダーの久保稔氏(日本原子力研究開発機構(JAEA)執行役・広報部長)がFNCAの広報プロジェクトの活動について説明し、プロジェクトがこれまでもたらしてきた利益について総括した。主な活動内容は次の通りである。
1) |
アジア原子力協力ネットワーク |
2) |
メディアとのコミュニケーション |
3) |
地域スピーカーズビューロー(RSB) |
4) |
原子力広報訓練 |
5) |
プロジェクトリーダー会合 |
6) |
FNCAオープンセミナー |
7) |
その他 |
11月10日の晩、CAEAによって歓迎ディナーが開催された。
セッション4:オープンセミナー
Chairman: Mr. Zhang Yiwei Vice Director of News Center, CAEA
11月11日、原子力の展望と開発に関するオープンセミナーが紫玉飯店のZixiayuan会議室において開催された。CAEAニュースセンター主任・Mr. Ding Jiekuiが正式にセミナーを開会した。
トピックス・講師: |
(1) |
「原子力開発と環境」
Mr. Robert Ian Facer
IAEA原子力工学セクション基盤計画技術主任 |
(2) |
「アジアの持続的発展における原子力の動向」
町末男FNCA日本コーディネーター |
(3) |
「原子力と持続的発展」
Mr. Song Gongbao
CAEA核燃料サイクル部長 |
(4) |
「日本の原子力に対するパブリックアクセプタンス」
横手光洋
日本原子力文化振興財団専務理事・事務局長 |
(5) |
「中国における第3世代原子力発電の進歩」
Mr. Shen Wenquan
国家核電技術公司(SNPTC)専門委員 |
オープンセミナーでは、地方政府等職員、原子力関連企業職員、マスメディア、そしてFNCAプロジェクトリーダーなど、60名ほどの参加があった。質疑応答の場面では講師と参加者の間で有益な意見交換がなされた。参加者からの主な質問事項は以下の通りである。
(1) |
米国で発生した金融危機は、原子力発電の開発に影響を与えるのか? |
(2) |
アジアで原子力発電所の建設が盛んであるが、それに対して意見はあるか? |
(3) |
中国における原子力発電の開発について、提言はあるか? |
(4) |
これまでアジアに原子力開発を紹介してきた経験を、アジア諸国が原子力発電を開発するに際して共有することはできるか? |
(5) |
アジアの原子力発電開発に関する研究データはあるか? |
11日の午後より、オープンセミナー参加者とFNCAプロジェクトリーダーは北京市郊外にある中国原子能科学研究院(CIAE)の高速実験炉を視察するテクニカルツアーを行った。
セッション5:原子力広報訓練
11月12日から13日にかけて、IAEAと文部科学省の共催で、「原子力広報のためのリスクコミュニケーションに関するワークショップ」がZixiayuan会議室において開催された。40名余りの参加者(FNCA広報プロジェクトリーダーと地元からの参加者で構成される)がワークショップに臨んだ。なお、プロジェクトリーダーたちは初日のみに参加し、「原子力を導入する国のための先行シナリオ」に基づき、実際的な演習に取り組んだ。
セッション6:世論調査
Chairperson: Ms Ketvarong Nukulkij Co-Chair: Dr. M.S. Ali
2007年のPLMにおいて、各国が原子力に関する世論調査について今年のPLMで報告を行うことが取り決められていた。このため、すべてのプロジェクトリーダーが自国の世論調査の結果・状況について発表を行った。
同時にFNCA独自の世論調査を行うことについても議論がなされた。プロジェクトリーダーたちは、参加国に適した共通の質問事項を作成することについて合意した。質問事項は2009年の第一四半期までに作成することとした。
セッション7:FNCA参加国のDVD/ビデオ・ポスター/パンフレットのレビュー
Chairperson: Dr. M. S. Ali Co-Chair: Ms Ketvarong Nukulkij
本件に係る情報交換は原子力の普及と推進のための有益な手段である。そのため、過去のPLMでも提言されてきた通り、今後も参加国において作成されたDVD/ビデオや印刷形態の資料に関する情報交換は続けられるべきである。今回の会合ではDVDやポスター・パンフレットなどが各参加国から紹介された。また、各国よりイベントなどで配布されるノベルティが紹介され、大変意義深い情報交換となった。
セッション8:次回PLM開催地検討
Chairperson: Mr. F. Hermana Co-Chair: Ms D. T. Hong
2009年はフィリピンでPLMを開催することが提案され、また2010年はベトナム、2011年はタイで開催することが提案された。
将来計画:
- 2009年はフィリピンでPLMを開催することが提案され、また2010年はベトナム、2011年はタイでの開催が提案された。
- メディア・外交関係者・議員・NGOに原子力に関するセミナー・ワークショップに参加する機会と、進んだ原子力の技術を持つ国の施設を訪問する機会を検討すること。
<3年計画>
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2008年 |
2009年度 |
2010年度 |
1. 全体的なスケジュール |
-第9回FNCA大臣級会合(11/28、フィリピン)
-第10回コーディネーター会合(CM)(2009年3月、東京) |
-第10回FNCA大臣級会合(東京)
-第11回CM(東京) |
-第11回FNCA大臣級会合
-第12回CM(東京)
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2. 持続的活動
(1) PLM |
FNCA 2008 PLM
(11月, 中国、北京) |
FNCA 2009 PLM
(フィリピン) |
FNCA 2010 PLM (ベトナム) |
(2) FNCA刊行物 |
-FNCAニュースレター(日/英)
-原子力情報の発信(例:電事連の"Power Line") |
-FNCAニュースレター(日/英)
-原子力情報の発信(例:電事連の"Power Line") |
-FNCAニュースレター(日/英)
-原子力情報の発信(例:電事連の"Power Line") |
-FNCA ウェブサイト |
情報の更新 |
情報の更新 |
情報の更新 |
(3) RSB |
マレーシア(2009年3月、予定) |
マレーシア(2009年6月、予定) |
未定 |
3. 新規活動 ・世論調査 |
-各国で行われた世論調査の発表
-世論調査実施方法の検討 |
-共通の質問事項についての世論調査の実施 |
-調査結果分析
(2011年結果報告) |
4. 将来計画 |
-2009年度活動計画の策定 |
-2010年度活動計画の策定 |
-2011年度活動計画の策定 |
その他
- FNCA参加国において開催される広報セミナーにRSBを利用して専門家派遣を依頼する際は、FNCAコーディネーターから日本コーディネーターに対して少なくともイベントの2ヵ月前までに応募しなくてはならない。日本以外から専門家を招聘することもできる。応募の目的と正当性についても言及されなければならない。
- 原子力発電をすでに導入している中国・日本・韓国の経験はFNCAウェブサイトを通じてFNCA参加各国に共有されるべきである。町日本コーディネーター及び他のプレゼンターの発表内容や関連事項は、FNCA事務局に提供され、FNCAウェブサイトに掲載されるべきである。
日本PLの久保氏が2008年PLMの参加者を代表して、CAEA、文部科学省、原子力安全研究協会、及びIAEAに、会議の成功に対して感謝の意を述べた。
原子力広報プロジェクトリーダー会合は、CAEAニュースセンター副主任のMr. Zhang Yiweiによって正式に閉会した。
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