1. |
コーディネーター会合(以下「会合」)は、FNCA第 22 回大臣級会合(MLM)の共同コミュニケに基づき、農業発展、食物安全、環境保護、健康利用、核セキュリティ及び人材育成に関するFNCA活動を更に加速することに合意した。また、COVID-19の流行による活動制約下、プロジェクトの研究者と参加者の安全を大前提として、FNCAプロジェクト活動と7つの定例ワークショップ会合を速やかに正常化するために最大限の努力をすることに合意した。これら活動は、各国の保健政策に従うことになる。 |
2. |
会合では、突然変異育種プロジェクトの中間評価と、2022年3月末に終了した2つのプロジェクト、「放射線加工と高分子改質プロジェクト」、「核・同位体技術を用いた気候変動研究プロジェクト」のプロジェクト終了時評価を実施した。これらのプロジェクトに対する評価結果及びコメントは以下の通り。 |
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a) |
放射線育種 |
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会合では、このプロジェクトをさらに 2 年間延長することに合意し、さまざまな分野の関係者のさらなる参画を求める。気候変動下における低投入の持続可能型農業に適応し、病虫害に強く、熱さ・寒さ・洪水・塩害に耐性を持つ主要作物の突然変異系統や品種の開発に成功している。多くの突然変異系統品種を、広く農家へ普及させるために公式に登録され、多くの関連研究論文が発表されており、各国での新品種の普及に役立っている。 |
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b) |
放射線加工と高分子改質 |
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農業分野では、植物生長促進剤(PGP)、超吸水材、バイオ肥料などが開発・利用されている。またPGPの研究開発の進展により、魚の養殖や養鶏の成長促進効果も確認されている。環境分野では、電子線照射による廃水処理が大規模な実用化の段階に入っている。また医療分野では、三次元細胞培養基材が開発され、創傷被膜剤や止血材の実用化が進められている。 |
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c) |
放射性核種・同位体法を用いた気候変動に関する研究 |
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このプロジェクトは、過去の気候変動に関する研究を支援する放射性核種・同位体実験や分析を行い、新しい知識を解釈するための専門知識を共有することで、過去の気候変動のメカニズムやプロセスをより深く理解するために実施されたものである。土壌のサンプリング、処理、炭素循環の炭素同位体分析に関する実践的なガイドなど、いくつかの科学論文が発表された。プロジェクトは終了したが、会合では、放射性核種・同位体技術を用いた気候変動研究は、プロジェクトで構築された研究協力ネットワークを活用し、参加国で継続されるべきであると提言された。 |
3. |
第17回MLMで承認されたプロジェクト提案の改訂評価手順に沿って、全FNCAコーディネーターが、プロジェクトリーダーからの2つのプロジェクト提案について、関連性、有効性、効率、インパクト、持続可能性を考慮しながら事前評価を行った。その結果、「農業、環境、医療分野における放射線加工と高分子改質」の3年間のプロジェクトの新フェーズ、及び「食品偽装対策に用いる核技術」の4年間のプロジェクトを2022年度から新たに開始することが合意された。コメントは項目4に示すとおりである。 |
4. |
a) |
農業、環境、医療分野における放射線加工と高分子改質 |
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本プロジェクトで期待される成果は、社会・経済の発展や環境保全の改善につながる実用的なものとなるべきである。 |
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高分子材料の放射線加工に焦点を当て、利用可能な生物資源を出発材料として使用することに重点を置くべきである。 |
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持続可能なプラスチック経済を実現するためには、放射線を利用したプラスチックのリサイクルやアップサイクルがより重要になることが予想される。 |
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高分子ケーブルの絶縁体の改質について、プロジェクトで議論することが提案される。 |
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参加国の経済的利益に貢献するため、技術移転を効率的に行う必要がある。 |
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このプロジェクトは幅広い研究テーマを扱っているので、いくつかのテーマに絞って毎年開催されるワークショップ会議で提案された分野を議論することが望ましい。 |
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b) |
食品偽装対策に用いる核技術 |
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このプロジェクトは、食品サプライチェーンにおける偽装を減少させることにより、FNCA諸国の農業全体に対して、財政的、環境的、社会的に大きな利益をもたらす能力を有する。 |
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分析方法と対象食品の選定が必要である。携帯型蛍光X線分析が食品偽装を特定するための基準方法として採用されれば、利害関係者に大きな影響を与えることができる。近赤外分光法などの追加技術は、問題や分析対象物質に応じて検討することができる。 |
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プロジェクトを成功させるために、現段階では、最も輸出されている食品を限定して決定することが妥当であると思われる。 |
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このプロジェクトが、食品/ジュースの不純物混入や、有機食品、野生食品、ハラール食品の認証など、食品偽装の他の側面を対象とするかどうかは不明である。プロジェクトはその対象領域を明確に示す必要があるだろう。 |
5. |
会合では、現在進行中の4つのプロジェクトの進捗状況について議論された。「放射線治療」、「研究炉利用」、「放射線安全及び放射性廃棄物管理」、「核セキュリティ及び保障措置」の4つのプロジェクトの進捗状況について議論し、各プロジェクトが加盟国の効果的な協力により成功裏に実施されたことが確認された。各プロジェクトに関するコメントは以下の通り。 |
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a) |
放射線治療(Radiation Oncology) |
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治療施設における放射線治療の物理的品質保証(QA)及び品質管理(QC)が重要であるため、各国でのCOVID-19の流行が収まった後に再開することが望まれる。また、放射線腫瘍医や医学物理士を養成するワークショップで3D-IGBTのハンズオントレーニングコースの実施が再開されるべきであろう。緩和的放射線治療の研究については、RCAで奨励されているように、IAEA/RCAとの連携を進めるべきであろう。 |
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b) |
研究炉の利用 |
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SMRを含む新しい研究炉に関する議論を継続する必要がある。NAAサブグループでは、各メンバー国の環境モニタリングに貢献するため、NAAを含む複数の測定技術の適用について議論する必要がある。 |
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c) |
放射線安全及び放射性廃棄物管理 |
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各国のNORM/TENORMの発生源、量、位置、管理体制、規制、処分・長期保管計画等を最終報告書としてまとめることが重要である。 |
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d) |
核セキュリティ及び保障措置 |
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核セキュリティ・保障措置を強化するため、核鑑識に関する実地訓練や机上訓練(TTX)を物理的会合の中で実施することが推奨される。各国の核セキュリティ能力を強化するため、利害関係者のマトリックスについて積極的に議論することが必要である。 |
6. |
会合では、FNCAがIAEA/RCAとの間で、突然変異育種、放射線治療、放射線加工と高分子改質、食品の出所を特定するプロジェクトについて協力を促進し、相乗効果を図るとともに、FNCAのRCA非加盟国との経験共有に努めるべきとの意見が出された。 |
7. |
会合では、2022年度に各加盟国政府が主催するプロジェクト・ワークショップを別紙のように開催することに合意した。すべてのワークショップは、2022年9月から2023年3月の間に開催されることが望ましい。プロジェクトリーダーは、各ワークショップに直接参加するか、ビデオ会議システムを用いて参加する。直接参加する場合、参加者全員がワークショップ前にCOVID-19の予防接種を受けることが推奨される。COVID-19の流行は2022年のFNCAプロジェクト活動にも影響を与え続けるため、会合では、各プロジェクトが通常のプロジェクト会議に加え、必要に応じて特定のトピックについてビデオ会議システムを使用することが提案された。 |