第16回 コーディネーター会合
2015年3月4日〜5日 東京 三田共用会議所
2015年3月4日、5日に東京・三田共用会議所において
第16回FNCAコーディネーター会合が内閣府及び原子力委員会の主催(文部科学省の共催)により開催され、
会合前日の3日には日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所の視察が行われた。
本会合においては、FNCA日本コーディネーターである町末男氏が会合議長を務め、
参加12ヵ国(オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、
マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナム)及びFNCAコーディネーター、プロジェクトリーダー、
RCA地域オフィス所長等が出席した。
結果概要は以下の通りである。
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冒頭、平内閣府副大臣と岡原子力委員長より、2000年に設置されたFNCAは、
過去15年間のアジア地域における経済社会面での激変を踏まえて、
そのあり方を見直すべき時期が来たとの認識が示された。
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会議中、FNCA下の10プロジェクトの成果、とりわけ、放射線治療分野において、
放射線治療プロトコル開発の成功例が報告され、その成果が高く評価された。
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全てのプロジェクトに関するワークショップ(WS)を2014年中にアジア各地で開催することが合意され、
特に、原子力人材育成に関するワークショップはIAEA/ANSN (アジア原子力安全ネットワーク)と連携し、
政府高官のレベルで、日本において実施することとした。
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2014年の大臣級会議決議に基づき、本年開始した第4フェーズ・パネル会合では、
エネルギー安全保障と温暖化ガス排出削減の観点からの原子力政策について議論することとし、
本年12月に予定されている気候変動枠組条約会合の前の開催を目指すこととした。
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次回コーディネーター会合は、2016年3月に開催することで合意した。
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各セッションの内容は以下の通りである。
1) セッション 1:開会セッション
冒頭、平内閣府副大臣から歓迎挨拶、岡原子力委員会委員長から開会挨拶がなされた。
平副大臣は、FNCA設立以来、15年間にわたり原子力技術利用を通じてアジア地域の経済社会の発展に貢献したとこを評価しつつ、
この間の加盟12か国の経済社会環境の激変を踏まえて、今後のFNCAの在り方について議論を開始するのに適した時期にあるとの認識が示された。
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平内閣府副大臣
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岡原子力委員会委員長
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2) セッション 2:2014年度のFNCA 会合報告
2014年11月にオーストラリアで開催された第15回FNCA大臣級会合及び2014年8月にベトナムで開催された第6回パネル会合について報告が行われた。
大臣級会合での各国大臣の出席率向上策として、2015年度より始まるFNCA第4次パネル会合での政策議論が貢献することへの期待の発言が海外出席者よりあった。
3) セッション 3:放射線利用開発(第1 部)
@放射線治療
本プロジェクトは、アジア地域にて罹患率の高いがん(特に、子宮頸がん、上咽頭がん、乳がん)のプロトコル(標準治療手順)確立を目的とする。
前例のない規模の多国間共同臨床試験にてアジア人の体格、経済事情を考慮した標準治療法を確立し継続的に更新中。
加盟国の17の病院で標準治療法として用いられ、治療生存率は他の国際的な臨床試験成績と同等かそれ以上を示している。
今次会合では、FNCAプロジェクトにより開発された放射線治療プロトコルの成功例が報告された。
子宮頸がんのプロトコル(CERVIX-IV)の追跡結果では治療後5年生存率が68%に、局所制御率が91%に達したことで本プロトコルの有効性が示された。
1993年より本プロジェクトに参加しているフィリピンから、自国のがん治療技術の向上、生存率向上による社会経済的効果があることが報告された。
A放射線育種
本プロジェクトは、アジア各国でニーズの高い農作物に対し、
放射線照射による突然変異育種技術にて耐病性、耐虫性、耐旱かん性などに優れた品種を作り出し、
アジア地域における食糧増産と農作物の高品質化に貢献することを目的とする。
今次会合では、2013年度に始まったサブプロジェクト「持続的農業のための稲の突然変異技術」の進捗報告がなされた。
良質多収性に加え環境ストレス抵抗性を持つイネ品種が登録されているベトナムとバングラデシュに加え、
今回はマレーシアより炭素イオンビーム照射によるイネ品種の開発成功事例が報告された。
イネが主要作物であるアジアにおいて、化学肥料の大量投与による環境汚染の問題は無視できない段階に来ており、
「持続的農業」への取組として、@低投入多収品種、A有機農業などに適応する品種、Bコスト競合力向上、
C地域特性に適合する品種の開発を今後の研究の方向性とすることが確認された。
他のFNCAプロジェクト「バイオ肥料プロジェクト」、「電子加速器利用プロジェクト(植物生長促進剤)」との連携推進が合意された。
4) セッション 4:原子力安全強化・原子力基盤強化
@放射線安全・廃棄物管理
本プロジェクトはFNCA 参加国間において放射線安全及び放射性廃棄物管理に関する情報、知見を共有することで、
アジア地域における放射線及び放射性廃棄物の取り扱いに関する安全性の向上を図ることを目的とする。
今次会合では、本プロジェクトの活動報告として、2014年9月のワークショップで各国の「緊急時対応・準備」の情報交換がされたこと、
その統合報告書を作成することが述べられた。
本年度ワークショップ開催国であるカザフスタンから、同国に蓄積されている大量の放射性廃棄物の規制への対応が報告された。
A原子力安全マネジメント
本プロジェクトでは、オーストラリアの主導の下、独自の自己評価、ピアレビュー・ツールを作成し、
参加各国の研究炉のピアレビューを年1回実施している。
今次会合では、2014年5月に実施されたバングラデシュの研究炉でのピアレビュー結果が報告された。
また、会合はオーストラリアが本プロジェクトの2年間の延長を決定したことを歓迎した。
B核セキュリティ・保障措置
本プロジェクトは2010年のワシントン核セキュリティ・サミットでの日本の声明に呼応して開始した。
核セキュリティ・保障措置の重要性に係る各国の認識を高めるための情報交換、人材養成、研究開発を推進している。
今回会合では、2014年11月に韓国にて開催されたワークショップの報告がなされた。
KINAC(韓国核不拡散核物質管理院)より韓国の核セキュリティ及び保障措置プロジェクトの成果報告が行われ、
INSA(国際核不拡散セキュリティ・アカデミー)の紹介があった。
C人材育成
本プロジェクトはアジア地域の人材育成・交流の促進により、原子力技術基盤の強化を目的としたプロジェクトである。
今次会合では、2015年度のワークショップで各国の上級行政官が出席のもと
「原子力コミュニケーション人材の育成」を検討テーマとすることが合意された。
5) セッション 5:研究炉利用開発
@中性子放射化分析
中性子放射化分析は、分析対象物に中性子を照射して構成元素を放射化させ、その放射能及びエネルギーを測定して元素分析を行う手法であり、
試料の化学組成を非破壊で高感度に分析することが可能である。
今次会合では、@PM2.5の分析による大気汚染源の組成研究、A鉱物資源の探索、を研究テーマとして、1年間のプロジェクト延長を決定した。
A研究炉ネットワーク
本プロジェクトは、各国が保有する研究炉の情報共有、研究者の技術基盤向上、各国研究炉の相互利用促進、RIの安定供給の推進をするものである。
今次会合では、医療用RI(放射性アイソトープ)の世界的な不足が予測されている中、FNCA域内での需給については、オーストラリア、韓国での増産により、
2018年以降では自給自足が見通せることが認識された。
本プロジェクトの2015年度の検討テーマは、FNCA域内での多目的研究炉の共用に向けた協力体制とすることが決まった。
6) セッション 6:放射線利用開発(第2 部)
@バイオ肥料
本プロジェクトは、放射線滅菌を利用して高品質なバイオ肥料を開発・普及することにより、アジア地域における食糧生産を増加させるとともに、
化学肥料の使用を低減し、環境と土壌の保全を図り、持続可能な農業を促進することを目的としている。
今次会合では、フィリピンとマレーシアにおけるバイオ肥料の商業化の成功事例が報告された。
「電子加速器利用プロジェクト(照射オリゴキトサン)」との連携による相乗効果の確認を今後の課題として、本プロジェクトの3年間延長が承認された。
A電子加速器利用(天然高分子の放射線加工)
本プロジェクトでは、電子加速器の工業利用を目的として、天然高分子由来の「植物生長促進剤」、「土地改良用の超吸水材」の研究・開発、
フィールド試験及びコスト評価等が行われている。
今次会合では、過去3年間のプロジェクト成果として、オリゴキトサン由来の植物生長促進剤により、
イネ、唐辛子、トウモロコシ、ジャガイモ等の30〜60%増収が確認され、ベトナム、マレーシア、タイ、日本では商用化に至っていることが報告され。
「土地改良用の超吸水剤」についてもベトナム、タイ、インドネシアでのフィールド試験の良好な結果が報告された。
今後の方向性として、商用化の促進、バイオ肥料と植物成長促進剤の相乗効果の検証等を課題としてプロジェクトの3年間の延長が承認された。
7) セッション 7: 放射線利用の展望
本セッションは、放射線技術をFNCA各国の成長と福祉の向上に真に役立てるために、
各国が抱える優先課題を報告し、FNCAの将来の活動の方向性を議論する目的で設定した。
冒頭、セッション議長の中西原子力委員会委員より、日本の放射線利用分野の市場規模が原子力発電市場に匹敵するものであることの指摘があった。
各国が報告した重点部門は一様ではないが、集約すると「医療用」、「農業用」に比重が高く、「環境保全利用」も複数国が取り上げた。
FNCA内の放射線利用先進国(日・韓・豪)で「産業用」の市場規模が成長していることより、この市場セグメントの重要性の指摘もあった。
8) セッション 8:第15回大臣級会合のフォローアップ項目に関する討議
@「研究成果をいかにエンドユーザーに結びつけるか」について:
本セッションでは、3か国より各国政府研究機関による研究開発成果の商用化促進の活動を紹介し、
他加盟国での商用化活動の参考とすることを狙った。
インドネシアは、国民の原子力への理解促進が肝要との考えより、政府主導で積極的な広報活動を展開中である。
カザフスタンでは、エネルギー省傘下に国営企業Park of Nuclear Technologies(原子力技術パーク)を設置し、
照射も含む商用化への技術支援サービスを担っている。
タイでは、科学技術省傘下の原子力技術研究所(TINT)に事業開発部があり、自身の研究成果を商用化につなげる責任を負い、
パイロット生産ラインをも抱えて事業化促進を進める体制にある。
A「第4 フェーズ・パネル会合の議題案に関する討議」について
2014年11月の大臣級会合決議にて、第4フェーズ・パネル会合が原子力発電、非発電を問わず政策テーマを議論する場として発足した。
今次会合では、2016年3月開催予定の第1回目会合のテーマ選定の議論を行った。
町コーディネーターより提示された6案に沿い各国の意見を共有し、最終的に以下の2案を選定した:
(1)
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COP21を踏まえたエネルギー・セキュリティー及び地球温暖化ガス排出削減に関わる原子力政策
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(2)
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持続的成長のための原子力利用促進のための政策、優先順位、国際協力
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9) セッション 9: IAEA/RCAの活動とFNCAとの協力
RCAは、アジア・太平洋地域の加盟国を対象とした原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定に基づき、
加盟国間の技術支援協力を行うIAEAの事業であり、
FNCA参加国より11か国及び非FNCA参加国9か国(インド、パキスタン、スリランカ等)の20か国が参加している。
今次会合では、RCA地域事務所(韓国)よりチェ・クンモ所長が出席し、RCA活動の紹介があった。
2015年以降も、放射線育種、天然高分子の放射線加工、放射線医療での協力が合意された。
10) セッション10: FNCAプロジェクトの今後の活動について
町コーディネーターより、「バイオ肥料」と「電子加速器利用」の2プロジェクトについて総括評価が提示され、
それに引き続き、各国コーディネーターより各国の視点からのプロジェクト評価が発表された。
前述の通り、2プロジェクト(「バイオ肥料プロジェクト」、「電子加速器利用プロジェクト」)の3年間延長が承認された。
条件付き1年延長中であった「中性子放射化分析プロジェクト」については、更に1年の延長が承認された。
尚、2015年度のFNCAワークショップのスケジュールについて、下表の通り提案され、各国の確認を待つこととなった。
表1 ワークショップの開催地
分野
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プロジェクト
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開催地
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放射線利用開発
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放射線育種
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モンゴル
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バイオ肥料
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インドネシア
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電子加速器利用
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バングラデシュ
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放射線治療
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ベトナム
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研究炉利用
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研究炉ネットワーク
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マレーシア
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中性子放射化分析
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韓国
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原子力安全強化
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原子力安全マネジメントシステム
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ベトナム
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放射線安全・廃棄物管理
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タイ
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原子力基盤強化
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人材育成
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日本
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核セキュリティ・保障措置
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カザフスタン
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会合の様子
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(独)日本原子力研究開発機構(JAEA) 高崎量子応用研究所
イオン照射研究施設(TIARA)視察の様子
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結論と提言(仮訳)
1. |
本会合においては、平将明内閣府副大臣と、岡芳明原子力委員会委員長が歓迎の辞を述べ、
両氏は地域における新しい社会経済的発展に寄与するべく、
FNCAが新たな活動について討議を開始することを促した。
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2. |
2014年度のFNCA活動が効果的に実施され、参加国に利益をもたらし、重要な成果を挙げたことが高く評価された。
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3. |
放射線治療プロジェクトにおいて、放射線治療により子宮頸がんの 5年後生存率が68%、
上咽頭がんの3年後生存率が80%を達成したという点で、顕著な成果を挙げていることが評価された。
またRCAとFNCAの放射線治療に関する活動に関し、フィリピンにおける良好な相乗効果について言及があった。
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4. |
放射線育種プロジェクトに対し、オリゴキトサンの有効利用に向け、
電子加速器利用(天然高分子の放射線処理)プロジェクト及びバイオ肥料プロジェクトと協力を推進することが奨励された。
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5. |
放射線安全・廃棄物管理プロジェクトに対し、ワークショップにおいて広範囲なトピックスよりも特定の課題に集中すること、
また参加するべき最も適切な専門家を指名するために、ワークショップに先立ち、
注力するトピックスについてコーディネーターに十分に早く報告することが提案された。
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6. |
原子力安全マネジメントシステムプロジェクトについて、
2014年度のバングラデシュにおける参加国の専門家チームによるピアレビューが成功裏に実施されたことが評価され、
バングラデシュ原子力委員会(BAEC)がピアレビューの勧告に従って安全マネジメントを改善したことが言及された。
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7. |
原子力安全マネジメントシステムプロジェクトについて、ベトナム、日本、カザフスタン及びタイ等、
残りの国々においてワークショップ・ピアレビューを実施するために2年間延長されたことが高く評価された。
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8. |
核セキュリティに関して、参加国に対し日本原子力研究開発機構(JAEA)核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)と、
韓国核不拡散核物質管理院(KINAC)が提供した重要な訓練プログラムが高く評価された。
中国は、向こう2年以内に国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションの遂行を計画していることを報告した。
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9. |
人材養成プロジェクトについて、2015年度のワークショップにおいては、IAEA/ANSNのプログラムと十分に連携し、
原子力コミュニケーションに関する人材育成戦略の開発に重点的に取り組むこと、
また参加者は各国の人材育成戦略を担当する上級行政官であるべきことが同意された。
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10. |
オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)における生産能力の増加、
及び韓国原子力研究所(KAERI)の新規稼働する研究炉における生産により、
2018年以降はFNCA地域でMo-99が自給可能になることが言及された。
こうした理解に基づき、2015年度の研究炉ネットワークプロジェクトワークショップにおいては、
地域の多目的研究炉の共同利用、及び原子炉設計の経験の共有に関する国際協力政策に注力するべきであることが勧告された。
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11. |
農業、医療及び工業における原子力利用が、すべての参加国において進展しており、
持続可能な社会経済的発展に寄与していることが認識された。
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12. |
インドネシア、カザフスタン及びタイにおいて、研究機関から関連商業部門に技術移転を促進するために、
政府及び/または研究機関レベルでの計画を持っていることが言及された。
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13. |
政府及び原子力部門のすべてのレベルの意思決定者は、潜在的なエンドユーザーとの連携強化を確立するために、
最善の努力を行うべきであることが提案された。
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14. |
原子力エネルギーに関する検討パネルについて、2015年度より、
提案された範囲に沿い、新しく第4フェーズを開始することが合意された。
提案されたアジェンダは参加国の関心事に合致しており、
以下の2点が2016年の初回会合における最も適切なトピックスであるということが合意された。
アジェンダ@:エネルギー安全保障及び COP-21と関連した温室効果ガス排出削減の観点での原子力発電政策
アジェンダA:持続可能な開発のための原子力利用の促進政策・優先順位・国際協力
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15. |
第 4フェーズ検討パネル第1 回会合の時期は、2015年11月または12月のCOP-21開催に先立ち開催されるべきであることが指摘された。
また第16回大臣級会合及びCOP-21の前に、内閣府が別途会合を企画する可能性について言及があった。
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16. |
放射線育種・電子加速器利用及び放射線治療プロジェクトについて、
RCA/IAEAとの協力及びFNCAに参加していないRCA加盟国との経験・情報の共有を継続することで合意が得られた。
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17. |
2つのプロジェクト(電子加速器利用及びバイオ肥料)の3年間の活動がレビューされ、以下の点が注目された。
(注:放射線育種プロジェクトについては2015年度、他の7プロジェクトについては2016年度に評価が実施される)
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(1) 電子加速器利用プロジェクト(天然高分子の放射線加工)
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i.
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フィールド試験により、イネ、トウガラシ、トマト、ジャガイモ、ニンジン、キュウリ及びシクラメン等、
様々な作物の収量増加ならびに耐病性向上という点で、オリゴキトサンの有意な効果が証明された。
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ii.
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ベトナム、マレーシア、タイ及び日本で、製品の商業利用が達成された。
インドネシアにおいてオリゴキトサンは、商業化に向け植物生長促進剤(PGP)として登録の途上にある。
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iii.
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ベトナム及びタイにおける超吸水材(SWA)のフィールド試験ならびにインドネシアにおけるセミフィールド試験により、
干ばつ状態及び砂質土壌においても、作物収量の明確な増加が示された。
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iv.
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世界の食糧生産を増加させるために、干ばつ地域での土壌改良材としてのSWAの重要性が十分認識されている。
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v.
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SWAの有益性を示すために、特定の地域における様々な作物に関するさらなる試験、
また費用便益分析を実施するべきである。 |
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(2) バイオ肥料プロジェクト
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i) |
本プロジェクトにより、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、中国及びベトナムで、
放射線滅菌されたキャリアを用いて生産されたバイオ肥料は、蒸気滅菌されたキャリアより有効期限が長く、
品質が良好であることが証明された。
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ii) |
マレーシア原子力庁は、バイオ肥料製造業者と共同でキャリアの滅菌に放射線技術を用いるバイオ肥料の商業生産に成功した。
小区画でのフィールド試験が、農業省のムダ農業開発庁(MADA)の管理下で実施された。
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iii)
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フィリピン大学ロスバニョス校分子生物学・バイオテクノロジー研究所は、
Bio-Nの商業生産においてキャリアの放射線殺菌を利用することに成功した。
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18.
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2つのプロジェクトの延長が以下のコメントを付して合意された。
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(1)電子加速器利用プロジェクト
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i.
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商業利用を促進するため、農業部門との協力をさらに強化するべきである。
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ii.
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いくつかの国々では義務とされているPGPの登録については、コーディネーターが支援するべきである。
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iii.
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オリゴキトサンの商業利用が未完の国では3年以内に達成する。
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iv.
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電子線・ガンマ線照射の新しい応用について、2017年度以前に検討するべきある。
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(2)バイオ肥料
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.
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3年以内に商業利用を達成するために、農業部門におけるキャリアの放射線照射に関して、
原子力研究所との密接な協力が喫緊に必要である。
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ii.
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バイオ肥料とオリゴキトサンPGPの相乗効果を、特定のストレス条件下で特定の作物に関して確認するべきである。
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19.
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第15回コーディネーター会合の結論を踏まえ、中性子放射化分析プロジェクトがレビューされ、
以下のコメントが加えられた。
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(1) |
中性子放射化分析利用の新たに合意された目的、
即ち@大気汚染の発生源別寄与濃度を検討するためのPM2.5の解析及びA鉱物資源の探索は、
いくつかの国々ではエンドユーザーと連携することが理に適っている。
PM 2.5の解析については、大気汚染に関するRCAプロジェクトの成果により補完されるべきである。
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(2) |
2015年度以降のプロジェクトの延長については、エンドユーザーとの連携の程度に基づいて、
2015年度のコーディネーター会合により再度評価されるべきである。
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20.
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2015年度のプロジェクトワークショップについては添付1に示した通り、
それぞれの参加国政府が主催を検討することで合意が得られた。
主催候補国の政府は、可及的速やかにその実施可能性を確認する。
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