1. |
コーディネーター会合(「以下「会合」)は2016年度のFNCA活動が効果的に実施され、参加国に利益をもたらし、重要な成果をあげたことを高く評価した。
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2. |
気候変動緩和に向けた原子力科学技術の利用による持続的発展への貢献の重要性や、放射性廃棄物の安全管理と処分の課題に対する取組の重要性に関連し、第16回及び17回FNCA大臣級会合の各共同コミュニケの指摘を踏まえ、会合は以下のとおり合意した。 |
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a) |
原子力と同位体技術を適用することで、気候変動に対する生態系と景観の脆弱性と復元力を把握することをメンバー国に支援するため、2017年に気候変動研究プロジェクトを新規に開始する。 |
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b) |
特に、廃棄物保管及び処分施設の建設について、放射線安全・廃棄物管理プロジェクトを強化するとともに、放射線安全と安全文化を促進させる。
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3. |
会合は、2016年に実施期間が終了する6つの既存プロジェクト、a)放射線治療、b)研究炉ネットワーク、c)原子力安全マネジメントシステム、d)放射線安全・廃棄物管理、e)人材養成、f)核セキュリティ・保障措置の終了時評価を実施した。各プロジェクトの評価は以下のとおり。
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a) |
放射線治療 |
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アジア地域に多くみられるがんに最適な治療法を確立するため、本プロジェクトは20年以上にわたり化学放射線療法臨床研究を行ってきた。臨床研究の結果、FNCAメンバー国においていくつかの放射線治療に関する共通手順書(プロトコール)が作成された。 |
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b) |
研究炉ネットワーク |
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本プロジェクトは医療用アイソトープの生産と安定供給のためのメンバー国内のネットワークを構築してきた他、FNCA地域間ネットワークも確立してきた。また、Mo-99の生産技術や医療用ラジオアイソトープ生産のための新たな研究開発に係る情報共有を促進した。 |
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c) |
原子力安全マネジメントシステム |
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本プロジェクトは2010年から2016年の間、インドネシア、マレーシア、韓国、バングラデシュ、ベトナム、タイの施設を対象に、計6回のピアレビューを実施した。ピアレビューを受けた施設は、改善に向けた指摘事項に従って、安全監視、文書管理、高経年化対策、維持管理の安全マネジメントシステムが強化された。また、本プロジェクトは原子力安全マネジメントに関する知見や良好事例の共有を通して、原子力安全の強化に貢献をした。会合は、安全管理システムの更なる強化に向けFNCAウェッブページに良好事例を掲載し、FNCAメンバー国間でそれらを共有することを奨励した。 |
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d) |
放射線安全・廃棄物管理 |
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プロジェクト参加国の現状をまとめた報告書などの刊行に加え、研究施設などにおける放射線安全・廃棄物管理の確保についての考え方、取組み方について参加国間で情報共有が図られ、FNCA地域における安全文化が促進をされた。 |
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e) |
人材養成 |
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本プロジェクトでは、各メンバー国に対し、原子力人材育成に関わる国内ネットワークの構築を促した他、中・高等学校における原子力・放射線に関する科学教育を支援した。会合は、各国が実施している人材育成のためのプログラムについて、効果的・効率的に情報を公開するため、アジア原子力教育訓練プログラム(ANTEP)のネットワークシステムを構築し、アジア各国の研究者等の一層の活用を勧奨した。また、FNCA 参加国間の人材養成を一層促進するため、「人材養成」に係る課題は、大臣級会合で討論されることが推奨された。 |
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f) |
核セキュリティ・保障措置 |
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3年間の本プロジェクト活動では、ワークショップや公開セミナーの開催を通じ、核セキュリティ・保障措置の重要性についての認識の向上、核セキュリティ・保障措置のための能力向上や枠組強化などの顕著な成果が見られた。
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4. |
第17回FNCA大臣級会合で承認された「新たなプロジェクト評価プロセス」の下、「新規プロジェクト」と「現行プロジェクトの新フェイズ」合計6件の提案が提出され、全コーディネーターは、関連性、有効性、効率性、インパクト及び持続性(発展性)の観点からの評価を実施した。その結果、会合は3年を期間とする、2つの新規プロジェクト:「原子力及び同位体技術を用いた気候変動研究プロジェクト」及び「研究炉利用プロジェクト」(「研究炉ネットワークプロジェクト」と「中性子放射化分析プロジェクト」を統合)及び既存プロジェクト3件の新フェイズ(期間3年):「放射線治療」及び「放射線安全・廃棄物管理」、「核セキュリティ・保障措置」の開始を合意した。付帯コメントは以下のとおり。
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a) |
放射線治療 |
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子宮頸がんに対する、最新の放射線治療技術を含む、放射線治療及び化学療法による最適な治療法(CERVIX-V)が、3年間で確立し普及されることが期待される。 |
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− |
参加医療機関での放射線医療の物理的なQA/QCが重要であり、計画通りに実施されるべきである。 |
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− |
ワークショップ参加者が、臨床医と医学物理学者の代表としてだけでなく、3種類のがんに対する代表としても必要を満たせる様、各国から最低でも2名の参加が必要である。 |
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b) |
原子力及び同位体技術を用いた気候変動研究 |
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− |
本プロジェクトを通じて、FNCA参加国の原子力及び同位体技術の環境研究への適用に関して技術レベルが強化されることを期待する。 |
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− |
土壌、水質、土壌侵食、海岸浸食、海洋システム等の研究での参加国の技術協力が、この3年間に始まることを強く期待する。 |
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c) |
研究炉利用 |
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− |
本プロジェクトは中性子放射化分析から人材養成まで複数のサブテーマに分かれるが、各国の研究者や技師の技能向上に有効であることが期待される。 |
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− |
研究炉の研究者の技術レベルの向上のために、文科省の原子力研究者交換プログラムが活用されることが重要である。 |
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− |
毎年のワークショップでは2〜3のトピックに絞ることが望ましい。 |
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− |
各国より、プロジェクト・リーダーと副プロジェクト・リーダーが選ばれることが必要である。一人は研究炉の運用と管理の責任部署から、もう一人は、中性子放射化分析の研究者が望ましい。中性子放射化分析プロジェクトで進行中の研究活動は2019 年3 月まで継続すべき。 |
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d) |
放射線安全・廃棄物管理 |
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− |
FNCA参加国の大半が、低レベル放射性廃棄物の処理施設及び長期保管施設の建設を計画しており、本プロジェクトは、低レベル廃棄物の放射線安全と管理に関連して、各国の安全性向上に資するべき。 |
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e) |
核セキュリティ・保障措置 |
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− |
核鑑識、サイバー・セキュリティ、放射線源のセキュリティについて、向こう年間にわたり集中的に議論し、喫緊の課題であるアジアに於ける核セキュリティの有効な国際的な仕組みを構築すべき。 |
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− |
核セキュリティの人材養成は、本プロジェクトにて推進されることが強く期待される。
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5.
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会合は、放射線開発に関連する3件のプロジェクト:「放射線育種」「バイオ肥料」及び「電子加速器応用」の進捗を把握するとともに、それらプロジェクトが参加国の協力の下、農業分野において効果的に実施されていることを確認した。
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6.
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会合は、評価活動の改善に向け、プロジェクトの「新たな評価プロセス」について、次回第19回会合でレビューを行うこととした。
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7.
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放射線育種、放射線治療及び放射線プロセスの分野において、IAEA/RCA参加国でFNCA以外のメンバー国との相乗効果の確保や経験の共有を目的として、IAEA/RCAとの協力を継続させることを合意した。
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8.
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FNCAの「会合ガイドライン(TOR)」の制定に関し、会合は、来る第18回FNCA大臣級会合での最終承認に向けて(案)について議論し、原案につき合意した。その際、TORに別添として、コーディネーターを始め、その他会合のメンバーのリストを添付することが提案された。更なるコメントがある場合には、(参加各国は)2017年3月21日までにFNCA事務局にコメントを提出する。TOR原案は、2017年7月19〜20日に開催されるSOMにて最終原案とされる。
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9.
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会合は、第17回FNCA 大臣級会合で正式決定された「FNCA賞」の導入に関し、選定・運用手順を含む実施ガイドライン案について討議した。その際、選定プロセスに関連し、上級行政官会合(SOM)と大臣級会合(MLM)の受賞者決定権や候補プロジェクトの提案に題する妥当性に関連したコメント・質問が提起された。会合は、提案された枠組でまずは開始し、継続的改善に向け議論を続けることとした。来る7月のSOMで受賞候補者を確認・決定し、10月の大臣級会合にて初回授与を行う予定。
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10.
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会合は、日本の会計年度2017年度のプロジェクトワークショップについては、別添1に示すとおりそれぞれの参加国政府が主催することで合意した。「電子加速器利用」と「バイオ肥料」プロジェクトは、成果における相乗効果の確保、効果・効率的な討論実施の観点から、共同ワークショップを開催する予定である。主催候補国政府は、可及的速やかにその実施可能性を確認し、共有することを合意した。
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11.
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会合サマリー(ドラフト)は各国コメントを得るため2週間以内にメールにて送付し、参加国コーディネーターはその後2週間以内にコメントを寄せること、事務局は各国同意を得た最終報告を作成する。
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