■FNCAプロジェクトの「目にみえる成果」を評価 |
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開会セッションで挨拶する細田大臣 |
10月31日に開催された大臣級会合(MM)では、祝辞の中で日本の細田博之・科学技術政策担当大臣は、アジア地域発展のための原子カの重要な役割を紹介し、FNCAの枠組みによる地域協力の意義を強調しました。また、原子力平和利用を希求する日本の立場から、核兵器開発計画を放棄していないと報じられた。北朝鮮に対し国際公約の履行を求め、「核兵器のない朝鮮半島」のために努力をすると述べました。さらに、京都議定書を批准した日本にとって地球温暖化防止対策として原子力に対する期待が大きいと語りました。
つづいて開会挨拶を行った藤家洋一・原子力委員長は、「電力会社の自主点検作業記録の不正報告は遺憾だが、日本にとって原子力発電は不可欠であり、これによって日本の核燃料サイクル政策が変わることはない」としながらも、今後、原子力に対する国民の信頼回復が喫緊の課題であると語りました。 |
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その後、各国代表から研究炉、農業、医学、工業など様々な分野におけるFNCAプロジェクトの進捗状況が報告され、「目に見える成果」があがりつつあることが評価され、将来への期待が表明されました。 |
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■人材養成でハイレベル・タスクグループの設置を提案 |
円卓討議では、2つのトピックスについての意見交換を行いました。まず、最初のトピックスである「原子力における人材養成戦略」について韓国原子力研究所(KAERI)の韓庚源・原子力研修院長がリードオフ・スピーチを行い続いて参加者の間で意見が交わされ、原子カの経験・知識の継承、若い層の原子力への興味と関心を高めることの重要性が認識されました。
インドネシアがネットワーク大学をFNCA参加国から始めること、情報技術(IT)の活用を提案しました。日本の竹内哲夫・原子力委員は、FNCA人材養成プロジェクトの活動として実施されている「人材養成基礎データベース」の調査に基づいて戦略を策定すべきであると述べました。また、フィリピン、オーストラリアから、この間題が重要であり政策的議論が必要であることから、小人数のハイレベルのタスクグルーブで討議することが提案されました。 |
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■地球温暖化対策として原子力に期待 |
円卓討議2つ目のトピックスである「持続可能な発展と原子力エネルギー」では、最初に遠藤哲也・原子力委員長代理によるリードオフ・スピーチが行われ、「温室効果ガス(GHG)の排出を伴わない原子力エネルギーは持続的発展に重要な役割を果たす」という点で意見が一致しました。また、オーストラリア、マレーシアが「エネルギー・ミックスは資源状況やエネルギー政策によって各国が決めるべきもの」と指摘。日本、中国、韓国など原子力発電所を運転する国々からは、「地球環境およびエネルギー供給安全保障の観点から、原子力発電が重要である」との意見が相次ぎ、とくに中国は、同国が京都議定書を批准したことを報告し、「原子力発電をクリーン開発メカニズム(CDM)に含めるべきとする政策を支持する」と明言しました。
一方、マレーシアとタイは、「原子力の安全性が保証されなければ、持続可能なエネルギー源とはいえない」とし、とくにマレーシアは「原子力発電は最後のオプションであり、まず、国産の天然ガス、石油、石炭を利用する」との同国のエネルギー政策を説明しました。このほか、FNCAの中で「アジアにおける持続的発展と原子カエネルギー」について、エネルギー需給や環境影響に関する総合的な検討が計画されていることに関連し、環境・エネルギー政策担当者を加えることが合意されました。 |