
|
第5回 大臣級会合
第5回アジア原子力協力フォーラム上級行政官会合報告
- 第5回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)上級行政官会合は2004年11月30日、9カ国のFNCA参加国から20名の参加者を得て開催された。主な議題は以下のとおりである。
(1)第5回FNCAコーディネーター会合の報告とFNCA活動の進展報告
(2)第1回「アジアの持続的発展における原子力エネルギーの役割」検討パネルの報告
(3)大臣級会合の円卓討議に関する事前討議
- 議題(1)では、第5回コーディネーター会合の結論と勧告や2004年のFNCAの主な活動や将来計画について町末男FNCA日本コーディネーターより報告があった。本会合は、各プロジェクトの目覚ましい進展を評価した。
2-1 研究炉利用分野においては、PZC(高分子ジルコニウム化合物)を吸着したMo-99の自動ローディングマシンの実証第1号機が2004年、インドネシア原子力庁(BATAN)で成功のうちに据え付けられ、稼働した。同機の容量は、一日に80人の患者の診断するだけのMo-99を生産する。メンバー国は、病院のニーズに応じて同様の機材を据え付けることが奨励された。大気の汚染の計測のための中性子放射化分析の利用が行われ、比較データが得られている。
2-2 農業分野では耐旱性のある大豆とソルガムや害虫に強いランの突然変異育種の開発が参加国間における種子の交換を通じて進められている。バイオ肥料のプロジェクトでは、参加国でのフィールド・デモンストレーションによりバイオ肥料が農家に普及することが望まれる。
2-3 医学利用の分野では、子宮頚がんの放射線療法が2004年以来、効率化を改善するため化学療法と組み合せて調査されている。マレーシアが担当する陽電子放出断層写真撮影(PET)のプロジェクトは、詳細な活動計画を策定するため2005年に初会合を開催する予定である。
2-4 「原子力エネルギーの広報(パブリック・アクセプタンス)」プロジェクトは、原子力コミュニケーターのトレーニングのためのワークショップが2004年、バンコクにおいて開催された。地域スピーカーズ・ビュロー(RSB)では、メンバー国が各国の原子力広報会議に発表者を招くことが奨励されている。
2-5 TENORM(技術的に濃度が高められた自然発生の放射性物質<Technology Enhanced?Naturally Occurring Radioactive Materials>)の管理については、専門家ミッションがオーストラリア、マレーシア、ベトナム、中国、タイの関係サイトを訪問し、改善にむけた数項目を勧告した。
2-6 原子力安全文化分野においては、「研究炉の安全文化」に関するプロジェクトとしてBATANのスルポン研究炉へのピアレビュー活動が2004年は中断した。今後の計画が2005年に議論される予定である。
2-7「電子線加速器利用」プロジェクトでは、環境保護のための排ガス照射の実証が中国で実施された。特定の市場原理に立った利用が2005年に調査される予定である。
- FNCA日本コーディネーターは、進行中のプロジェクトの評価の重要性を強調した。いくつかのプロジェクト評価成果は、3月の第6回CMにおいて報告され、FNCAの活動のさらなる発展の観点から徹底的な議論にかけられる予定である。
- 議題(2)では、戸谷氏による第1回「アジアの持続的発展における原子力エネルギーの役割」検討パネルの報告が高く評価された。また、第2回会合の計画が本会合によって支持された。
- 議題(3)では、12月1日の「原子力科学技術のための人材養成に関する協力」と「FNCAの今後のあり方」の2つの円卓討議のトピックについて事前の討議が行われた。本会合は次の主要点を記した。
a)全代表が核兵器の不拡散を引続き支持することを確認したが、本件は大臣級の討議に必ずしも適したトピックではないとの決定を下した。
d)HRD協力のため、IAEAのRCAやアジア原子力技術教育ネットワーク(ANENT)などの他の活動との連携強化が奨励された。
e)いくつかの代表は、原子力エネルギー支持におけるメディアの重要な役割を強調し、原子力エネルギー利用に関する客観的かつバランスのとれた情報提供にむけて、メディアに対してさらに影響力を及ぼすため、国際協力を強化することを望んだ。
- 第7回会合はマレーシアにおいて開催されることが再確認され、またフィリピンが2008年の第9回会合を主催することが合意された。
|
|