内閣府及び原子力委員会は、平成27年12月8日(火)に日本・東京(三田共用会議所)において、第16回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合を開催した。
FNCA参加国から大臣級代表(大臣2ヵ国、副大臣2ヵ国、原子力行政機関長他)、および経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)事務局長が一堂に会し、本年度開催の国連サミットや国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を踏まえて、「気候変動と原子力の役割」をテーマに、FNCAの気候変動対策への貢献、及びFNCAの今後の更なる発展に向けた改革について討議をし、結果を共同コミュニケとして採択した。
(プログラム)(参加者リスト)
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歓迎挨拶
島尻安伊子内閣府特命担当大臣が歓迎挨拶を行い、その中で、FNCAは発足以来15年間の活動成果を以て加盟各国の社会的・経済的発展に貢献したことを評価しつつ、電力需要の伸びが著しいアジア地域においての原子力安全分野での協力の重要性を強調し、更にOECD/NEAとの今後の協力をも念頭に置いたFNCAの原子力分野での協力活動の拡大を呼びかけた。
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島尻安伊子内閣府特命担当大臣 |
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基調講演
今次会合では、OECD/NEAマグウッド事務局長を招聘し、同氏より「OECD/NEAとの協力と発展について」と題する基調講演がなされた。 気候変動緩和策としての原子力エネルギーの重要性を解説し、原子力基盤整備の促進に向けてOECD/NEAがFNCAに提供できる様々な支援策が提案された。
(OECD/NEA発表資料(PDF))

OECD/NEAマグウッド事務局長 |
会合の様子 |
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カントリーレポート
各国代表より、原子力を含むエネルギー政策、放射線利用研究による成果等が紹介された。
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円卓討議
「気候変動と原子力の役割」をテーマに、原子力科学技術による気候変動緩和・適応への貢献策を討議し、3分野(気候変動科学、緩和、適応の各分野)における行動計画を策定した。引き続き、「FNCAの改革」をテーマに、経済発展著しい参加各国のニーズに則したFNCA活動を展開すべく、FNCA 会合の改革案を討議し、この内容について共同コミュニケを採択した。
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閉会挨拶
松本内閣府副大臣より、2016年のFNCA大臣級会合の日本開催を提案し、参加国の同意を得た。更に、カザフスタンより2017年のFNCA 大臣級会合の同国開催を提案し、参加国の同意を得た。最後に、松本内閣府副大臣が閉会挨拶を行い、今次会合が各国の出席を得て成功裡に終了したことへの謝辞を述べた。
松本内閣府副大臣 |

バトルベコフ カザフスタン国立原子力研究所 総裁
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共同コミュニケの概要(共同コミュニケ全文(仮訳)(PDF))
- 2017 年に原子力科学・技術を活用した新たな気候変動科学プロジェクトを開始する。
- 第4次パネル会合を発足させ、原子力発電およびそれ以外の原子力応用の両領域での政策課題、技術課題及び国際協力に注力する、かつコーディネーター会合との同時開催とする。
- 持続可能な開発のため、FNCA原子力適応プロジェクト、例えば、気候変動適応策として貢献可能な放射線育種プロジェクトを一層推進する。
- 利害関係者の関与や一般社会とのコミュニケーション促進を通じた、原子力技術に対する信頼構築に向けた関連活動及び国際規約準拠を考慮に入れた原子力損害賠償補償のための国内枠組を強化する。
- FNCAの主要な役割の強化や協力を通じた互恵のため、IAEA やOECD/NEAのような国際機関との連携を促進する。
- FNCA が参加国のニーズに速やかに応えていくために、FNCA の業務の効率・効果向上の必要性からFNCA活動の運用の在り方を改善する。
- 諸活動のための原資の多様化とプロジェクト/テーマの成果の一層の活用を促す。
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