第12回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合 会合サマリー(仮訳)
第12回FNCA大臣級会合が2011年12月16日、東京・三田共用会議所で、内閣府および原子力委員会の主催で開催され、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、カザフスタン、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナムのFNCA参加12か国から大臣級代表(大臣5ヵ国、副大臣2ヵ国、原子力行政機関長他)が参加した。
近藤原子力委員会委員長が会合を開会し、細野内閣府特命担当大臣(原子力行政)が歓迎の挨拶を行った。歓迎挨拶では、タイにおける洪水の被害に関しお見舞いのの言葉が述べられるとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故に対する各国の支援と連帯の意に感謝の言葉が述べられた。続いて本大臣級会合のプログラムが近藤委員長から紹介され、承認された。
セッション2では、FNCA参加12カ国より各国の原子力に関する世論調査結果や原子力および放射線利用に関する現状や今後の計画、FNCA活動への提案などに関する報告がなされた。インドネシアからは次回2012年のFNCA大臣級会合のホスト国となる意思が表明された。
セッション3では、FNCAにおける活動の報告として、2件の報告がなされた。まず日本の町コーディネーターから、終了するプロジェクト、新規のプロジェクトを含めて、FNCAプロジェクトの計画概要と進捗が報告された。町コーディネーターのプロジェクト運営に対する称賛の意が示され、報告は全会一致で承認された。
次に、2011年7月にジャカルタで開催された「原子力発電のための基盤整備に向けた取り組みに関する検討パネル」の第3回会合の結果概要がパネル議長であった尾本原子力委員会委員より報告された。東京電力福島第一原子力発電所の事故後、初めてのパネル会合であったこと、事故およびその後の対応に関する情報提供と事故から得られた知見が共有されたこと等が述べられた。また、本パネル会合開催にあたりインドネシアから多大な支援がなされたことも報告された。さらに次回のパネル会合はタイで開催予定であること、今後のパネル会合での議論のトピックスとして、立地、許認可、国や地方、地域協力による緊急時対応と準備、原子力損害賠償、基盤整備に対する更なるニーズ、原子力に関する各国状況、プロジェクトの資金調達、福島事故後の原子力政策形成についての継続的議論等が挙げられたことも報告された。尾本パネル会合議長が適時適切な議事項目を取り上げたことに称賛の意が示され、報告は全会一致で承認された。
セッション4は東京電力福島第一原子力発電所事故に関する特別セッションとして行われた。尾本原子力委員会委員が、安全規制、安全文化、機能的・効果的な過酷事故対策、緊急時対策などに関する教訓について述べた。日本原子力研究開発機構(JAEA)、福島環境安全センターの石田センター長は、福島の環境修復に向けたJAEAの除染活動についての講演を行った。土壌表層5cmを取り除くことにより10-20分の1に線量が低下した結果などが紹介された。四方内閣副広報官・官邸国際広報室長は、事故後の官邸国際広報室によるリスクコミュニケーション活動について紹介し、過去9か月の活動からの教訓として、科学的な情報を発信していくための人材育成の重要性が指摘された。会合では、参加国からは情報の透明性、国際的な情報の共有、IAEAを含めた国際的な協力が重要との観点が共有された。また、カザフスタンはセミパラチンスク核実験場での20年の経験について日本と共有する意思があることも示された。
セッション5の人材育成と広報のための基盤整備に関する円卓会議では、3つのリードスピーチとそれに続いて議論が行われた。韓国原子力研究所、原子力教育研修センター長のKiebo Lee氏は、韓国の基盤整備活動の紹介をするとともに、既存の国際的な人材育成活動のネットワーク化により相乗効果が期待され、そのネットワーク化が重要であると述べた。秋庭原子力委員会委員は、日本の原子力利用についての世論調査結果やエネルギー政策に関わる国民の広報活動を紹介し、市民と専門家の間の双方向性のコミュニケーションが重要であると述べた。町コーディネーターは、基盤整備に関わる原子力安全マネジメントシステム、放射線安全・廃棄物管理、人材養成、原子力セキュリティ、保障措置、核不拡散の各FNCAのプロジェクトの方向性、課題について紹介した。続く議論では、中国からは原子力発電所の安全な建設のために国際教育・訓練センターの設立について情報提供があり、セッション議長は原子力エネルギーに対する不安を取り除くために継続的な努力が重要であることを強調した。
セッション6の放射線・アイソトープ応用促進のさらなる協力に関する円卓会議では、町コーディネーターがリードスピーチの中で、FNCAで得られた成果を原子力関係者のみならず、農業従事者、医療従事者、産業界などのエンドユーザーに伝達する努力を強めるべきと述べた。また、各国に新しいホスト国として各プロジェクトを支援するよう町コーディネーターの要望が述べられた。これに対し、マレーシアからは全ての活動について、インドネシアからは研究炉ネットワークプロジェクトについて、フィリピンからは農業分野、サイクロトロン、ナノテクノロジーなどについて、それぞれ関心があることが述べられた。
セッション7では、近藤原子力委員会委員長から第12回FNCA大臣級会合決議案が紹介され、修正を経て、決議が採択された。続いて近藤委員長は会合サマリー案を紹介し、議論がなされた。会合サマリーは、参加者からコメントを踏まえて会合後に議長が取りまとめることとなった。
閉会セッションでは、近藤原子力委員会委員長が会合取りまとめのスピーチを行った。また、インドネシア代表から、ジャカルタでの次回FNCA大臣級会合に各国大臣を招待する旨述べられ、全会一致で歓迎の意が示された。
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